2005-01-01から1年間の記事一覧

紋切り型を超えて(その4)

『英語展望 2005年夏号』(ELEC)が届いた。『展望』は派手さはないが、堅実な論考を紹介している、おそらく英語教師・英語教育関係者しか読者がいないであろうと思われる雑誌である。残念ながら最近は年1回の発行になっている。ELEC賞受賞論文の掲載もある…

紋切り型を超えて(その3)

学校英語は役に立たない、というときに、「役に立つ英語を教えるのではなく、『学び』そのもののとらえ方を変えることで、英語教育にも変化が生まれ、『教室が学びの場になる』」という考え方がある。 ジーン・レイブ、エティエンヌ・ウェンガー著『状況に埋…

True Tales of American Life

ポール・オースターがNational Public Radioの企画で始めたリスナーからの実話朗読を編んだもの。1999年-2001年の企画で、私の手元にある英国版ペーパーバックは2001年刊。私自身さすがに、放送そのものを聞いたことはないので、この企画の反響のすごさ…

秋期講座案内

夏の講座は開講されませんでしたが、今度は火曜日に設定しました。若手教員も4技能の関連を見直す良い機会だと思いますので、是非!! 頭と心を総動員する英語力養成講座 −シャドーイングとディクテーションで越える中級の壁−ある程度リスニングもでき、ペ…

紋切り型を超えて(その2)

自分の所属している学会のMLでも、「なぜ世間は学校英語はダメだと言いたがるのか?」と投げかけてみた。少しずつレスポンスがあるが、英語教師や英語教育関係者のMLなので、「世間」ではどう考えているのか?「世間」の声、というものがなかなか出てこない…

教員採用試験受験報告第2弾

第二面接終了。英語の受験者のみ4人一組。計30分。 面接官は3人とも男性。 自己PRを30秒程度で、といわれたが4人順々にやっていく間に一人2分くらいになっていった。 質問事項は以下の通り。 英語の授業で工夫していることは何か?管理職と意見の…

『発信』は、何故強調されるのだろうか?

『英語教育 2005年9月号』はライティングに関わる特集である。タイトルは「発信させるライティング指導」。前回のライティング特集が2000年11月号だからおおよそ5年ぶりの特集である。中高一貫校の生徒でも、2000年度に入学した生徒は、早最…

紋切り型を超えて(その1)

最近、このブログに刺激的なコメントを寄せてくれるferrierさんの発言がずっと気になっている。 「なぜ一般の人たちは、学校英語はダメであると言いたがるか」英学事始め以来100年近く言われているやもしれぬこの世論の背景にはどのような要因があるのか…

教員採用試験受験報告第1弾

二日間に渡り採用試験の二次試験を受けてきた。 いきなりミスをやってしまいました。冷や汗が引いたのもつかの間、教室に冷房はなくみるみる汗だくになるので参った。 1日目。まずは英語筆答試験。 解答用紙がB4で4枚です。 選択問題10問、長文読解3…

Don’t let the sun go down on your wrath.

ELEC同友会英語教育学会サマーワークショップ講師無事終了。 今回はアドバイザーは担当せず、ワークショップの講師だけなのだが、行ってみると自分のワークショップに割りあてられた教室だけ机・椅子、CDデッキ、チョークなど全くセッティングがされていなか…

「申されよ」

時代劇専門チャンネル(CS;ケーブル)での視聴者からのお便り紹介で、会社での会議の席上「申されよ」とつい口にしてしまい、失笑を買った話があった。日本文化に造詣の深い人であれば、この会話の場面とか、人間関係がイメージ出来るのだろうが、日本人であ…

Everyone in his class is a grammar crazy.

夏真っ盛り。今日は、勤務校の校長先生に人物考査書の依頼。履歴書と職務経歴書を参考資料として添付した。専任のK先生にお口添え頂き事なきを得た。これで必要書類のめどが立ったので一安心。来週の二次試験に備えるだけ。とはいえ、明後日からはTOEFL集中…

聴くだけで英文法は身につくか?

『聴くための英文法』上田秀樹著(朝日出版社 2005年) 1600円(CD1枚付き) 『英文法使いこなし練習帳』四軒家忍著(テイエス企画 2005年) 1800円(CD2枚付き) の2冊をチェックしている。 Grammar dictationに活用出来るような、80 -- 100 words程度のま…

想定の範囲内?

本日午前中は、ELEC同友会英語教育学会のサマーワークショップ資料作成。「ディクテーション再考」がテーマなので、今年も Grammar Dictationの応用に取り組みますよ。あと数年の間は、私一人で行う企画では、ひたすらGrammar Dictationを普及させるべく頑張…

部分の記述と統一した文脈

日本の英語学習者は『速読』という言葉に弱い。聴き取りに於いては『速聴』、また、近年では『シャドウイング』『音読』のブームの中で、ひたすら音読するようになったのはいいが、内容理解、文構造の理解、語彙(品詞・活用・コロケーション)の定着という…

英語教師 表と裏

以前、公立の高校で外国語(英語)教育を重視した学校に勤務している際に、「3年間でサイドリーダーを20冊読破」、「英語I,IIでは検定教科書を2冊使用して、インタラクティブに行う」「1年からライティングを重視し、スピーチ指導を並行して行う。2年…

本当に揺れに揺れた週末

土曜日は、英授研の月例会へ。最初のセッションは、田尻悟郎氏の『ティーチャーズ・スタジオ』という新企画。盛況であった。明日の授業ですぐ役立つアイデアをお披露目するセッションとは対極にある、駆け出し教員の頃のご苦労や、teacher's beliefsを共有す…

「揺すぶり読み」に揺すぶられた午後

お昼を挟んで、英語ライティングに関わる企画の打ち合わせ。また忙しくなりそうだが、これまで私が研究・実践してきたノウハウは一般の書籍では教材化しにくいので具体化していくには良い契機かなと思う。自分のアイデアをもっと鮮明にして、骨太にしておい…

「国際語である英語」の習熟に寄与する弁論大会に思う

高松宮杯全日本中学校英語弁論大会という荘厳な響きの催しがある。今年で57回目を迎える全国規模の英語弁論大会で最も歴史(と権威?)のある大会である(1999年からは「高円宮杯」)。その中に、参加資格についての規定がある。( http://www.jnsafund.org…

洒落者は伊太利亜を目指す?

土曜日のTOEFL講座が終了。最終日は、TOEFL-ITP受験。約120分の試験監督を一人でやっているのでトイレに行けないのはちょっとつらい。この人数だったら、1教室に集めて、監督も分担する方が良いだろう。 夏のTOEFL講座は、初日がcomputer basedの模擬試…

世間の中心で、『否』と叫ぶ

『英語教育 8月号』(大修館書店)を読んだ。自分がどんどん世間から取り残されている気がする。私の持論で「『英語教育』の記事や連載は、最終段落で指摘だけされる「今後の課題」を読んで、自分のこれまでの実践・研究に、その課題を解決するヒントがある…

gallantryという語で私は「利家とまつ」を連想する

1学期終了! 中間から期末までの授業が少ないので、出題も苦労した。成績提出も無事に済ませ後は夏休み。今までの勤務校だと、夏のサイドリーダーなどが指定されるのだが、ここでは「何冊か読んでみてはどうでしょうか?読んだらレポートをして下さい。」と…

『ことばのために』

英語教育は言葉の教育、ということで『ことば』に関するネタを。 岩波書店から表題にあげた評論のシリーズが出た。どの程度評判になっているのかはよく分からない。『僕が批評家になったわけ』加藤典洋 著(2005年)を今読んでいる。このシリーズには加…

There’s more than meets the eye.

自宅で採点の日々。高2はおおむね授業中の重点が反映された感じだが、高3ライティングの答案は困りものである。絵をもとにしたnarrative passage の問題で、ダイアローグの連続を書いてしまう者、 形容詞fairのつもりで、 fearとか fareと書いている者、単…

Martinet, plodder, guru, and expert

教師を類型化する規準として、1.専門領域に関する最新の知識が十分にあるか、2.新たな知識を吸収しようとする意欲・柔軟性があるか、の二つの軸を想定したマトリクスを考えると、 a. martinet = lack of knowledge but less ambitious b. plodder = lack of …

コーパス花盛りに思う

NHKの語学講座の影響もあるのだろう。コーパスを利用した英語教材、講座が花盛りである。私自身がLOBコーパスの成果をもとに、run into, run across, come acrossや、free from , free ofなどの使用頻度を確認し、前置詞・不変化詞、句動詞の用例集をちまち…

「英語ができる」日本人とは?

現在の勤務校には、1/3から1/4くらいの割合で、いわゆる帰国子女の生徒がいる。高2、高3は習熟度クラスで編成されているので、いきおい、上のクラスは帰国子女ばかりといった印象を受ける。では、彼らの英語力は?というと、発話の音声、淀みのなさ…

ストラテジー改善指導の功罪

『英語教育』2004年10月号(大修館書店)に「学習ストラテジー」の特集があった。その中の記事 「学習ストラテジー指導は5段階アプローチで」(明治大学教授 尾関直子)が以下のサイトに再録されている。http://www.eigokyoikunews.com/eigokyoiku/essay/…

Venn Diagram

ベン図は小学校くらいからおなじみの図だろう。二つ(以上)の集合の重なり具合を視覚的に把握するのに有効であることから、idea generationにも応用されることが多い。その場合には、一つの集合がある特定の概念を表すことになるのだが、これがくせ者である…

語学学習に王道はあるか?

先日、授業の合間に研究室で他の先生方と話をしていたときに、国立の附属の小中学校では、先進的な授業実践には熱心でいいのだが、きちんとした知識の伝達・定着を図ってはくれないので、塾へ行ったり、家庭で補うなどしてやらないと結局は子供が損をすると…