2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

年度末雑感

昨日のブログで韓国とのTOEFLスコアの比較などを持ち出したが、カリキュラムなどの教育制度面やテストのスコアだけの比較考察では見えない部分に少し考えをめぐらせてみたい。(考えてばっかりだと疲れるけど…。) 『英語展望 2000年夏号』(ELEC)で、…

旧世代(?) TOEFL

閑話休題。たまには息抜きも。 今日は、新年度某私立大学のエクステンションセンターで担当する「TOEFL対策講座」のシラバス作成。 次世代TOEFLの導入が迫り、現行のCBTのうちに駆け込み寺ならぬ、駆け込み受験に対応する講座となるようだ。目標スコアはCBT1…

この木何の木? 気になる、気になる、木…

今日は、日本語に関連した話を。日本語では、数えられそうだけど英語では数えられない名詞としてよく引き合いに出されるのが『お金』と『紙』。 「moneyは数えられません。ですから「多くのお金」というときは、(X)many moneyではなく、(○)much moneyと…

アクションプランとアクションリサーチ

先日のフォーラムでいただいてきた様々な資料の中から、SELHi の調査委員の実地調査でどんなことが指摘されるかをご紹介したい。Inspection。王の目、王の耳とでも言おうか。彼らは水戸黄門のようにお忍びで世直しをするのではなく、来るとと分かっていて来…

コストパフォーマンスで語れること、語れないこと

昨日のブログでも言及した「日本人の英語力」と「学校英語の成果」に関して。「英語教師が集中的にトレーニングしたらTOEICのスコアが650点から850点へと1年足らずで向上した」という事例は、学校英語はEnglish for general purposeという観点では成…

英語が出来るとはどういうことなのだろうか?

『英語が使える日本人』フォーラム行ってきました。副題は「教室英語から世界で使える英語へ」 文科省主催は変わらないのに、壇上には「日の丸」が。昨日のSELHiとは気合いの入り方の違うオープニング。なんのことはない、中山文科相が来ているのである。 午…

Sustainable Energy and Life Hazard Index?

ビッグサイトまで、SELHi(スーパーイングリッシュランゲージハイスクール)のフォーラムに行ってきました。 「SELHi、いろいろ、成果もいろいろ。4月からは、今までの予算もつかないの…。」と茶化している場合ではない。 今回は、第一期指定校の成果報告会…

SELHi は何を超える学校なのか?

明日から2日間にわたって開かれるSELHiといわゆる「日本人構想」のフォーラムに備えて、自分の理解を整理するために文献を読み返した。SELHi(Super English Language High School)が独自性を打ち出せるとしたら、学外提携や課外補習などの付加価値か、他教…

健全な批評精神のために

私もブログで情報発信を始めて3ヶ月くらいになるが、英語教師、英語教育研究者のサイトやブログを覗いてみると、首をかしげたくなるものも散見される。ネチケット以前の、健全な議論や批評ができない人もいるらしいので、あまりトラックバックなどをしない…

テストについて

これまでに、公立、私立と4校で19年英語を教えてきたが、「テスト」の扱いは学校により千差万別である。 一般論として、学校全体の評価システムが整備されているところが増えてきただろうが、これは、「教務」のシステムが整備されているだけで、「教科」…

Principles of effective peer response

今日は、ライティングの発表があるというので、ホームグラウンドを離れ、英授研の月例会。筑駒へ。 実践発表は、大学に於けるライティング指導。Teacher Feedback(=教師→生徒フィードバック)、Peer Feedback(=生徒間(同輩者間)フィードバック)のアンケート…

いわゆる「発音記号」の話

教員に成り立てのころ、Univ. of Chicago Pressから出たばかりのPhonetic Symbol Guideを買った。ピンクといおうか薄い紫といおうか、冴えない色の表紙であった。IPA(International Phonetic Alphabet=国際音声字母)をもとにした音声記号が囲みで示され、そ…

英語の文字の話

大学の教科教育法でW教授は「活字体」と「筆記体」という紛らわしい呼称を止め、「楷書体」と「草書体」という比喩を提唱していた。慧眼だと思う。 私が英語の文字についてはっきりと意識し始めたのは、この先生の授業がきっかけである。 以前勤めていた学…

疑似分裂文、あるいは教材作成者の孤独

高校段階で必ず扱われる例文に以下のものがある。 Ted didn't want to play baseball. What he wanted to do was (to) play basketball. (水光雅則編著『ランドマーク高校総合英語』(啓林館、1994年刊;絶版) 現在、文科省の教科書検定では、この(to)は省…

基本的な文章とは?

英語教師はとかく、「国語教育で書き方の指導をしていないから、英語で書くことさえ覚束無いのだ」「国語の作文指導がいつまでも『徒然なるままに…』のままだから、英語で論理的な文章を書くことが出来ないのだ」などと考えがちである。では、教わらなければ…

もっとライティングを!!

今日は、ライティングの研究会。O先生の紹介で新メンバーM先生からのプレゼンをもとにディスカッション。盛りだくさんで刺激的なテーマ。「ここにもライティングに魅せられた人が!!」と実感。現在の研究部会の最大テーマである「ライティング力の構成概念…

『FENニュース聞き取り60分』

(金星堂;1978年刊;カセットテープ60分1巻) 文字通り、FEN(現AFN)の定時ニュースを集めたもの。高1の冬休みかな。当時の教科担当M先生にまずテープをお借りして、コピー。ひたすらディクテーションと音読をしていた。当時、ソニーのLL対応カセッ…

『誰も教えてくれなかった英文解釈のテクニック』

倉谷直臣著、朝日イブニングニュース社1981年刊。教材シリーズ第5弾。 『朝日ウイークリー』の連載をまとめ加筆訂正したもの。はしがきにはこうある。「こんなに熱心に英語に対していながら、そしてまた能力的にも決して劣っていないわが同胞が、なぜここの…

『アメリカ英語の語法』

教材シリーズ第4弾。 高校時代の英語の先生で最もお世話になったのはM先生。高1と高3で教わった。今思い返すと、英語力と教授力とのバランス感覚の良い先生だった。定年退職された現在でも、社会人に対してディベートの講座を開いている。とりわけ、高3…

英字新聞との格闘

教材シリーズ第3弾。 私立高校入試も終わり、英語の先生のところにお礼にいって、「英字新聞っていうのを読んでみたいんですが」と切り出した。先生曰く、「うーん、毎日出るやつは読み切れないから、週刊の新聞がいいよ。いろいろあるけどStudent Times っ…

『英語ニューハンドブック』との出会い

私の選んだ教材第二弾とでもいおうか、『英語ニューハンドブック』(長井氏晸編著、研究社刊)。選んだというよりは出会ったという感じ。 中学校3年の時はほとんど英語ができなかった。ある日一念発起して当時の英語の担任に「英語の手紙の書き方」の相談に…

私の選んだ教材(読解編1)

教師としてではなく、学習者としてどのような教材を選んできたかを紹介する第1回目は、これ。 The Reading Skills Test 高校3年の夏休みだろうか、札幌の丸善で購入。1400円也。正式書名はBarron's How to Prepare for the High School Equivalency Ex…

英語『脳』より英語『能』

英語の学習方法で最近、音読が流行りである。シャドウイングという用語も認知されてきた。音読筆写という言い方もかなり広まっている。英語学習教材や雑誌で、「英語脳を作る」とか「英語耳を作る」などというコピーも目につくようになってきた。音読の効果…

「地図は現地ではない」

大学時代のW先生の言葉。大修館から出ている『これからの英語教師』の中にも、このタイトルで持論が展開されていた。『これから…』を読んでから、20年が経とうとして、ようやく、師の言わんとすることが実感できた、というか自分の中でバランスが取れるよ…

「学校英語」の可能性

相変わらず、いわゆる「学校英語」への風当たりは強い。文科省、地方自治体を主導とする教員研修も加速している。残念ながら、今のままの官制教員研修を続けていたところで、「なぜ、生徒の英語力はきちんと伸びていかないのか?」には答えられないだろう。…

英学の徒としての中村 敬

今の20代の英語教師の何%が中村敬という人物を知っているだろうか?30代の英語教師はどのくらい中村敬氏のことを知っているだろうか?そして40代にさしかかった我々の世代は、中村敬氏が一貫して主張してきたメッセージをどれほどしっかりと受け止め…

『英文読解のプロセスの指導』

田鍋薫著、渓水社2000年刊。現在絶版である。副題は『談話の結束性と読解』。文レベルの読解のプロセスからきちんとbottom-upの方法論を吟味した上で、文レベルを超えた読みに求められる情報構造の理解、談話文法の視点を訴え、文法的結束性、語彙的結束性を…