『英語ニューハンドブック』との出会い

私の選んだ教材第二弾とでもいおうか、『英語ニューハンドブック』(長井氏晸編著、研究社刊)。選んだというよりは出会ったという感じ。
中学校3年の時はほとんど英語ができなかった。ある日一念発起して当時の英語の担任に「英語の手紙の書き方」の相談に行ったのだが、まともに対応してもらえず、憤慨して2年生のときの担当だったエルビス・コステロ似のY先生に泣きついた。Y先生が「これに載ってるから」と貸してくれたのが、この本だった。『ハンドブック』というだけあって、いろんな情報がそれこそ満載で読んでいて、「英語ができるようになるといいなあ」と何となく思ってしまった。本を返しに行ったときに、「英語の勉強をするなら、こういう本じゃなくてNHKのラジオ講座を聴きなさい」とその先生に薦められて、東後勝明先生の『NHKラジオ英語会話』テキストを書店で購入。後でわかったことだが、アドバイスをくれた先生は『続・基礎英語』(講師は安田一郎先生かな?)を意図していたのだが、私は『NHK』『ラジオ』というだけで、この一般社会人用のラジオ講座を聴いてしまったわけである。
はじめはソノシート(ぺなぺなのレコードみたいなのです)を使ったのだが、音が良くないので、朝テープに録音しながら、テキストと格闘。音読。学校から帰ってきたら、テープを聴いてテキストの復習。寝る前はテープをながしながらテキストを見ずにリピート。これを約1ヶ月、来る日も来る日も地道に続けた。
ある日突然、教科書、教師の説明も含め、授業中の英語が全てわかるようになった。この衝撃は今でも覚えている。『英語がわかる』、と気をよくして、高校入試の勉強へ移行。書店で、公立高校入試向けの、中学校3年間の文法事項や重要表現が一冊にまとまっている大判で書き込み式の参考書兼問題集をまず1冊買ってきた。左ページの解説を見ながら、右ページに解答を書き込んでいき、その後、音読筆写。1週間で一通り終わらせた。同じような文法項目別の問題集を今度は数冊まとめて買ってきて、同じ文法項目を一気に片づける。その後、有名私立高校や国立高校の問題を収録している問題集で力試し。熟語が弱いと思って、書店で選んだのが『試験に出る英熟語』(森一郎著)。大学入試用の熟語集だが、これは『試験に出る英単語』とは違って、テスト形式になっているので、中3の私にも楽しんで取り組むことができた。自分の中で『わかる』と『できる』の折り合いがついたような感触が生まれたのが、この高校入試前後だった。
あのとき『英語ニューハンドブック』を借りていなかったら、どんな英語学習者としての遍歴を辿っていたことだろうか?『先生はエライ!!』
「英字新聞を読んで見たいんですが」と相談に行ったときのエピソードは次回にでも。