Does that go against the grain with you?

たまには「英語」そのものの話を。

twitterのTLで見かけた表現が気になったので以前使っていた教材を振り返って見た。
そこでは、次のような英文を完成させる問題が出ていました。恐らく、大学入試の問題から引いたものでしょう。

  • Every time she drinks beer, she feels sick. Beer doesn't agree with her.

彼女はビールを飲むと決まって気分が悪くなる。ビールは彼女の体質に合わない。

かつては「入試頻出」とされていたようで、『クラウン受験英語辞典』(三省堂、2000年)では、
「意外な意味 agree with …『(食べ物、気候が)…に合う』も頻出」として、次の出題例を示している。(p.49, agreeの項)

Strange beds have rarely agreed with me. 普段と違うベッドはまず私に合わない。(早稲田大)
Life in the city has never agreed with me. 都会暮らしは決して私には合わない。(青山学院大)

日本の大学入試英語のデータベースとしての資料価値が高い上述の辞書も、刊行から既に20年以上経っています。

  • では、この表現は実際どのくらい使われるのか?

は気になるところ。

以下、各種辞書の定義・用例を引いて考えてみましょう。

COBUILDの句動詞辞典では、飲食物など口に入れるものを主語とする語義に対して次の定義と用例。

If a particular food or drink does not agree with you, it makes you feel ill. = upset
(COBUILD Phrasal Verbs, 2013年) 用例→ My milk didn’t agree with the baby.
否定の文脈のみで用いられることで、パラフレーズは upsetを示していることを確認。
句動詞辞典ではないCOBUILD (2018年)では次の定義と用例。

  • If some food that you eat does not agree with you, it makes you feel ill.
  • I don’t think the food here agrees with me.

同じCOBUILDでも句動詞辞典ではこの語義とは別に次の語義を立て、old-fashionedと注記を加えている。
If something agrees with you, it makes you feel healthy and contented. = suit

  • The sea air really agrees with her.     

肯定文の用例を確認

Cambridgeの句動詞辞典では

if a type of food or drink does not agree with you, it makes you feel slightly ill. (Cambridge Phrasal Verbs, 2006年)

  • I tend to avoid onions – they don’t agree with me.

この語義に対して、句動詞辞典ではなく、Cambridgeの上級学習者用辞書では、項目そのものをnot agree with sbで示している。定義は同じだが、用例はコンパクトなものに差し替え。

  • Those onions I ate didn’t agree with me.

この語義とは別に次の語義を項目立てして、肯定文の用例を示している。(オンライン版も同じ)
If a situation or new conditions agree with you, they make feel healthy and happy.

  • You look well---the mountain air must agree with you.

上述の句動詞辞典の方では、slightly old-fashioned という注記を加えた上で、次の定義と用例。
If new situations or conditions agree with you, they are right for you and make you feel happy.

  • The sea air seemed to agree with him---he looked fitter than he had in a long time.
  • It’s good to see you looking so well--- motherhood obviously agrees with you.


MW’s の学習用辞典では、先に引いた辞書のように語義を分けていない。

agree の項で+ withとして to be suitable for or pleasing to someone の定義を示しているだけ。
用例は肯定文と否定文が混在で、主語の制約など、特に語法注記はない。

  • The climate agrees with you. [=the climate suits you] ※パラフレーズは suit
  • Spicy food doesn’t agree with me. [=spicy food makes me feel unwell]

MW’s は初学者向けでない上級用辞書でも同じ語義と定義・用例を載せている。


Macmillan の句動詞辞典 (2005年) は追い込みが分かりにくいので、注意が必要。

agree with の項では、
if a situation or away of living agrees with you, you enjoy it and you feel happy and relaxed
という定義の下に、

  • I find that country life really agrees with me.

という用例を配置し、それと並べて、別な定義の語義を追い込んでいるので、実質語義を分けたもの。
if something such as food or drink does not agree with you, it makes you feel ill: Stop taking the medicine if it doesn’t agree with you.
disagree withの扱いは以下の通り。
if something you have eaten or drunk disagrees with you, it makes you feel ill ≠ agree with
agree withをこの語義で肯定文で使う頻度を考えると、この記号は誤解を招くのでは?
同じMacmillanでも上級学習者用辞書(オンライン版も同じ)では、次のように状況・環境と、口に入れるものとで分けている。2の語義では、肯定文の用例、3の語義では否定文の用例であることに注目。(とはいえ、3の定義は分かりにくいと思う)
2. if a situation or way of living agrees with you, you enjoy it and feel happy and relaxed

  • I find that country life really agrees with me.

3. (agree with someone) if something such as food or drink agrees with you, it does not make you feel ill

  • Stop taking the medicine if it doesn’t agree with you.

Longman の句動詞辞典 (1983年) では、agree with に対して次の定義 to suit the health of (someone)を与え受け身不可で時制は単純形という制約を示している。用例に「疑問文」もあり。

  • The onions did not agree with me, and have given me a pain.
  • Does the thin mountain air agree with you?

disagree with の定義には、 (of food, air, or weather) to harm the health of (someone) とあるが、weatherを主語とした用例はなし。 飲食物以外の主語では、City air disagrees with me. がある。
最新版のLDOCEでは disagree with を項目立てして次の定義と用例を示しているが、気候も含め状況・環境の例はなし。
if something such as food or weather disagree with you, it has a bad effect on you or makes you ill.

  • Seafood always disagree with me.

一方のagree with では、項目立てを not agree withとし、次の定義を与えている。気候や環境の意味は含まれず。用例も口にするもののみ。
if a type of food does not agree with you, it makes you feel ill

  • Green peppers don’t agree with me.

Oxfordの句動詞辞典 (1993年)では、disagree with に have a bad effect on (sb’s health etc) という定義を与え、主語には food, meal; fish, wine; heat, humidity と典型例を列挙している。

用例に気候の例あり。 

  • Hot climates disagree with her.

OALDの最新版ではdisagree with は定義のみで口にするものも含めて用例はなし。
if something, especially food, disagrees with you, it has a bad effect on you and makes you feel ill
agreeでは、句動詞 not agree with somebody を立て、主語に縛りを与えた (of food) to make you feel ill と定義づけし、次の用例を示している。

  • I love strawberries, but they don’t agree with me.

少し旧い米用法を反映していると思われる、Thorndike & Barnhart High School Dictionary (5th edition, Scott-Foresman, 1968年)では、語義の6. としてagree with を入れており、次の定義・用例を示している。 have a good effect on; suit:

  • This food does not agree with me; it makes me sick.

この定義・用例はその後のWorld Book Dictionary (私の所有するものは1987年版)では、句動詞の項目立てにはなったがそのまま引き継がれている。

こうして見てくると、肯定の文脈でも使われるとされる「気候や環境」が人に合う/心身に好影響を与える、という用法が現代でどの程度用いられるか、というあたりが悩みどころ。

「米」文脈をCOHAでざっくりと眺めてみると気候だけでなく1970年代以降は見当たらず。

NOW コーパスで現代のニュース英語を眺めてみると、気候などを主語にするのは、それほど頻度は多くない印象。



使用域は「英」文化圏とまでは断定できず。



肯定をざっくりと眺めてこの項目一段落。






出講日の朝の日課でもある 「英語ニュース引用RT140字紹介&詳解」での興味深いニュースがこちら。

学びどころ満載のツイートなんですけど、反応が殆どありませんでした。
もし「英語」に興味関心があって、私のアカウントをフォローしているのだったら、こういうのをチェックしないのなら意味がないと思うんですけどね。

ハッシュタグも付けている 「#asの前景後景」 も、今年になってから既に30本強投じています。
こちらが書き初め。

こちらが先週初めの投稿。ここまでで36本でした。

その中でも学び甲斐のあるツイートがこちら。

昨年度の高2にはよく読んでいた人がいましたね。続けているうちに、どんどん「眼」ができ、英語のセンスが豊かになっていきますので、まず始めること。始めたら続けることですかね。多くの人は始めるまでが大変で、しかも続かないから。

合う合わないは確かにありますけど、「テスト依存体質」を改善するだけで、いろんなものが吸収できるようになるものですよ。
本日はこの辺で。

本日のBGM: Temperamental (Everything But The Girl)

Arriving too late?

4月は全く更新できずに、5月も下旬。
学校教員の「師走」は12月じゃないね。

セミナーの告知から。

「ライティング」の指導法・評価法に関連して。
2022年6月18日(土曜日)

passmarket.yahoo.co.jp

今回も「フィードバック」に主眼をおくものですが、巷で嘯かれる、

  • clarification request

とか

  • elicitation

などの「ゆるふわ」なものではなく、また

  • metalinguistic feedback

などといわれる、記号によるものでもなく、明示的で言語的なフィードバックのあり方を示し、そういうFBが、なぜ今、有識者によって説かれるような「学習者の書く意欲を減退させる」とか「間違えてはいけないと萎縮させる」ことにつながらないのか、なぜ学習者は、さらに英語を書くことに取り組み、それぞれが習熟していくことが可能なのかを、受講者と一緒に考えたいと思います。

学会を覗いてみると、最新の研究、知見が紹介されたりするのですが、その研究者が中等教育段階でどの位の年月をかけて、どのくらいの人数の学習者に英語のライティングを教え、実際に自分で評価してきたのか、ということを考え合わせる必要があると思っています。


この分野の巨匠であるDana R. Ferris も、L2の教室に根ざした研究を続けているIcy Leeも、A. D. Cohenの昔の著作を踏まえているというのに、最近の日本の研究者の参考文献には、殆ど見当たらないですよね。あと、国内の先行研究で青木信之氏の著作も。


勿論、Cohen 氏は近年もPragmatics関連で精力的に論文・書籍を出されていますので、そちらも機会があれば。


高校では今年度から新課程で「論理・表現」という志の高い科目が始まりましたが、教科書がそれに見合っていないのか、新課程の学習指導要領のピントが外れているのか、教室現場は四苦八苦しているような印象を受けます。少なくとも「つながりとまとまりのある英文ライティング」に関しては、明らかに後退した教科書が増えた印象ですが、単なる憂いとか憤怒を超えた、ベテランならではの話をします。


「文字指導/handwriting指導法」セミナー、6月の回は初級です。
2022年6月19日(日曜日)

passmarket.yahoo.co.jp

GWを挟んで、初級編と中級編を開講しました。
「美しい文字を書こう(書けるようにしよう)!」というゴールではない指導法セミナーは稀有だと思います。

  • え?では何のため?

という指導者の方は「初級編」の受講をお薦めします。

巷に蔓延る次のような悪手の根絶を目指しています。

  • 悪手1:合格するまで居残りでテスト
  • 悪手2:宿題でノートの1行に文字や単語を何回も書かせる

え?ダメなの?
他にどうしろと?
という人は今すぐにでも申込を!
「文字指導/handwriting指導の基礎基本」とは何か?今まで見えなかった文字が、児童・生徒・学習者の書く姿が見えるようになる、2017年から継続してきたセミナーの最新アップデート版です。
是非、同僚の方をお誘い合わせの上、お申し込み下さい。
小学校、中学校段階の指導者だけではなく、高校や大学の指導者の方にも響く内容だと思います。できれば、大学の教職課程を担当されている方、自治体の指導主事の方、そして文科省の英語教育担当の方に受講していただきたいと思っています。


最後は、「入試改革を考える会」関連。
東京都立高入試でのスピーキングテスト(通称: ESAT-J) 導入の中止を求める緊急アピールです。

note.com

ついに、都内の現職教員への説明会が始まったようですが、質疑応答もないということで、疑問は全く解消していないと言っていいでしょう。
来月(6月)の都議会でどの程度取り上げられ審議されるか未だ見通せませんが、この「緊急アピール」をお読みいただき、問題意識を共有できた方は、声を上げて欲しいと思っています。
今、ここで止めないと、全国へと波及します。
よろしくお願いします。


本日のBGM: Drowining Witch (Frank Zalpa)

Whose victory?

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2022年3月30日(水) 文部科学省記者クラブにて開催された「入試改革を考える会」の記者会見第2弾にスピーカーとして参加してきました。

東京都立高校入試への英語スピーキングテスト導入の問題を論じるものです。

その時の資料をこちらに転載します。

当日の全体進行は、

  • 代表の大内裕和
  • 松井孝志
  • 鳥飼玖美子

の順に発言し、その後、代表の大内からの今後の動きの説明に続いてメディアからの質疑とその応答、となっています。
こちらの動画を是非ご覧下さい。

2022年3月30日 「入試改革を考える会」文科省記者会見
www.youtube.com

以下、松井分の資料です。


「入試改革を考える会」記者会見資料: ESAT-J導入の問題点

2022年3月30日(水) 於:文部科学省記者クラブ
英語講師 松井孝志 

1. ESAT-J の目的の羊頭狗肉

※都教委からの途中経過の報告はこちら

2022年2月17日の公開です。3月31日段階ではまだ読めるようです。
www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp

・学力検査入学者がもたらす情報の貧弱さ。推薦等の入学者での情報の欠落。
ESAT-J の結果を使うのは「学力検査」を課す入試選抜の枠組みでのみ。入学定員約4万人のうちの約4分の1に当たる入学者が高校に送る調査書にはESAT-Jのグレードもスコアも記載されていない。

・事業の目的で謳っている「英語指導に活かす」ことのできない情報量(内容)。
ESAT-Jの結果で調査書に記載されるのは「100点が上限のスコア」でさえなく、6段階のグレードのみ。テストの設問の4パターンのそれぞれで「タスクの達成度」も分からず、「使用できる語彙表現の多様性」も分からず、「音声の特徴や流暢さ」も分からない中で、どのように「スピーキング力」の指標として入学後の指導に活かせる?


2. 入試選抜の枠組み・制度上の不備、杜撰さ
・公平性が確保できない不受験者の扱いと「独自出題校」受験生の扱い。

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(表1)

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(表2)


3. 「似てるけど違う」?: 評価も含めた不透明さ、言語テストとしての妥当性
都教委はオンラインの説明会で、2021年に行った「プレテスト」の評価基準を取り上げている。

2022年3月23日に公開されたが、わずか1週間で削除されているので現在は見られない。
youtu.be

そのうち設問Cの「4コマのイラストの描写説明」の評価方法を考えてみたい。
4コマそれぞれのイラストの説明ができているか否か、という「達成度」は0か1かの2段階。
語彙・表現・文構造などの「言語使用の豊かさ」は0,1,2,3,4の5段階。
個々の発音、言いよどみ、言い直し、流暢さ等の「音声」は0,1,2,3 の4段階。
以下の表は、都教委が示したものではなく、松井が仮定した受験(受検)生の評価例である。

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(表3)

ここでまず確認したいのは「タスクの達成度」と「言語使用」「音声」との重みづけである。
全ての受験生が「観点別の素点合計」は同じ6点となっているが、この受験生の「スコア」が同じであるかどうかは分からない。
・A → 4コマの説明描写は全て不可だが、話している音声は英語らしさがあり、多様な表現を駆使している。
・E → 4コマ全て説明描写ができているが、話している音声は英語らしさが弱く、表現も簡単なものしか使えていない。 
・BとC は4コマの描写でできているのは半分で、かぶっていない。言語使用は2、音声は2なのに対して、Dは3コマ描写できていて、言語使用が1、音声が2。
・HとI の差は、4コマの描写のうち、2コマ目ができているか、3コマ目ができているかのみ。
次に確認したいのは、「言語使用」と「音声」とのバランス。仮に、音声は「発音・リズム・抑揚」「言い淀み」「言い直し」等の観点で母語話者に近いほど高い評価とした場合に、語彙表現、文構造と掛け合わせた優劣は

  • A<B
  • A<C
  • B<D

となるだろう。では、BとCはでどう優劣をつけるのか?その優劣をつける根拠は?

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(表4)

このような「観点別素点」は、ESAT-Jの実際の「スコアレポート」では明かされないことになっている。 「得点開示は成績票がすべて。これ以上のものを渡すことは難しい」(『AERA』 2022年2月21日号での都教委西貝氏の回答。)

dot.asahi.com

その一方で、都教委が「ESAT-Jと似ているけれども違う」と言うGTECが「高校生のための学びの基礎診断」というテスト事業で文科省に提出した資料には次のようなものがある。

2021年6月30日提出 
https://t.co/XHNEJH88D1
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同じ企業が関わる「テスト」である以上、ESAT-Jで「観点別素点」を明かせない理由が「企業秘密」とは言えないだろう。


4. 事故やミス対応への「プレテスト」事前事後の検証の有無が不明
  2021年度の「プレテスト」では、受験生は約64000人という「概数」しか報告されず、機器のトラブル、音声回収の不備、喪失などの「事故やミス」の報告がこれまでなされていない。2022年11月の「本番」に向けての対策をとるためにも、事故やミスの検証は不可欠ではないのか?

京都工芸繊維大の羽藤由美教授は、自身が開発・運営に携わるスピーキングテストでの「事故」「ミス」に関して、松井とのソーシャルメディアのやり取りで次のように記している。
「万全の対策をしても回答音声の回収トラブルは起こります。1回の受験者が800人程度の我々のテストでも以下のとおり。私達は1問分でも回収できない場合は受験者に連絡して再テストを受けてもらっていますが,そのあたりの対応はどうなっているのでしょう?」

https://twitter.com/KITspeakee/status/1508212829434052608

以下の表はJACET関西紀要 vol.23(2021), p.116より「トラブル一覧」を抜粋したもの。

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2021年のプレテスト受験者の64000人は、京都工芸繊維大の受験者の約80倍。「本番」のESAT-Jは約8万人と言われているので、約100倍の受験規模である。「ミスや事故が生じたときの対応」「被害を被った受験生の救済措置」など、未だ決まっていないのだとしたら、何のためのプレテストだったのか?


以上、記者会見資料の転載です。
会見でも強調しましたが、

  • 公立学校の入試選抜で使える公平性・公正性の担保された枠組み・制度にはなっていません。
  • このまま推し進めれば、単にスピーキングテストだけではなく、日本での「言語テストの信頼性」を著しく損なう恐れがあります。
  • そして、今、ここで止めなければ、他道府県へ拡大していく可能性があります。

東京ローカルの話題ではなく、日本の公教育の根幹に関わる問題として捉えてくれる人が一人でも増えることを切に願います。


本日のBGM: 
東京VICTORY (サザンオールスターズ)

2022年4月4日追記:
過去ログでの関連記事へのリンクを追加します。
併せてお読み下さい。
 
tmrowing.hatenablog.com

tmrowing.hatenablog.com

tmrowing.hatenablog.com

愉気

今年度出講先の授業・テスト・成績処理も全て終了。

前回のエントリーで、高2の「総括票」となるアンケートの抜粋を載せましたが、そこで多くの生徒が言及していた「ライティング課題」とその「フィードバック」に関して、補足を少々。

ソーシャルメディアの twitter では、既にいくつかつぶやいていました。

今年の某大の前期のライティングが、ベタな「お題」でびっくり。
語数の制約が異なると難易度は激変するけれど、高2でこの前やったものとほぼ同じお題。

私が授業で課題として扱う場合は、「お題」として適切なものに修正して課すようにしていますので、今回の高2の課題も、ここで取り上げた入試問題のような雑な設定にはしていません。

雑な扱いといえば、「制限語数と理由付けの個数」というのも、独特の入試文化の中で生き延びていますね。
日本の英語教育に対しては兎角「ガラパゴス」というような揶揄をする世間が、なぜこのような雑なお題での出題を放置しておくのか理解に苦しみます。私の解決策の提言は既に2006年の『英語青年』の特集でしていますが、改善の兆しは一部の大学だけで、他にはほとんど波及していませんね。

別の某大学は入試改革や高大接続の研究では最先端の筈なのに、英文ライティングでは●ソみたいなお題。表の情報から外れずに理由を3つあるのは良いけど、80語の制限では一つ一つの理由付の論理がスカスカになるでしょうに。その上個人的体験を盛り込め?大学が標準解答例を責任持って公開して下さい。

まあ、「ウ」を入れるか、「ク」を入れるかはご自由に。

私の基本的なシラバスは次の通り。

私の場合、高2段階ではテクストタイプ別に100−150語程度でつながりとまとまりのある英文を書けることを目指し、高3段階では語彙構文を成熟させ80語程度の英文にまとめる、データなども含めさらにサポートを充実させて300語程度の英文に展開する、というのが指導の基本ですね。高1はチャンクで英作文!

https://twitter.com/tmrowing/status/1497508249989365762

この基本は、1990年代の終わりからそれほど変わっていません。ただ、そこに至る「お膳立て」としての、高1、高2での活動と教材・学習材の整備・精選には手間ひまかけてきました。

それが形になったのが、『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)です。学校採択教材ですので、中高現場の先生方、多くの高校生の手元に届くよう、ご検討よろしくお願いします。

『チャンクで積み上げ英作文!』(三省堂)
をベイシック&スタンダード編までやっておけば、大学入試でよく見られる「お題型」の英文ライティングの出題に取り組むレディネス「も」充分できますよ。

「英語表現」という科目を弔うこともせず、「論理・表現」という科目が始まろうとしていますが、「シラバス」の中に writing という技能を位置づけるのであれば、まずはこれをお読みいただき、その上で、超えていって下さい。 2008年の本ですのでね、。

古いことは古いですが、中高の指導者向けではこれを超えるものはいまのところないかな。

ということで、振り出しの課題にもどって再考。

生徒が理由付けで「コミュニケーション能力」と「感情」を取り上げたい気持ちは分かるが、論理が甘い次のようなものは書き直しが必要。
This type of work involves empathizing with people. However, computers cannot communicate with empathy. So they will not be able to replace counselors.

https://twitter.com/tmrowing/status/1505808685452333065

生徒作品をそのまま出すわけにも行かないので、あくまでも、生徒が書いてきたものからの一般化・最大公約数のような英文にして示していますが、問題点は十分露見しています。

毎回ライティングのフィードバックは個別に書いているが、今回は次のような文言を書く機会が多かった。

主題のサポートにダイレクトに入るべし。XXX という職業に求められる特有の資質を限定的に述べるのは楽。その資質を人は備えているが、AIには欠落していることを例証するところが腕の見せ所。

https://twitter.com/tmrowing/status/1505816702130409473

ホントに、「ズバッと!」書くには練習が必要なんですよ。

そして、重要な指摘。

あと、十数年前には見なかった書き方が
I believe that XXX will never be replaced by AI. First, SV1. Also, SV2 接 SV3. Second, SV4. Moreover, SV5.
のような、何の最初の情報なのか?に全く配慮のない「いきなり序数」と「添加マーカー天国」のような展開。どっかで教わってるんだろうなぁ…。

この「いきなり序数」は I have two reasons to support my view. One is that SV1. The other is .... というような「ナンバリング」から、「レーベリング」に進む、「紋切り型の稚拙な構成」に取って代わるものとして示されているのだとしたら要再考。何の順序なのか読めば分かるって言われてもね。

詳しいことは、私の高2、または高3の授業か、オンラインのセミナーで!

https://twitter.com/tmrowing/status/1505811911245373442


ということで、4月からは、高2、高3は「英語表現」、新高1は「論理・表現」という科目が並行して走ることになるわけですが、 writing をするのであれば、「エイブン」ではなく」「英文」ができ上がるような授業を心がけたいものです。

新年度のセミナー等、ご縁がありましたらよろしくお願いします。
現時点で、生業の「英語教育」関連で予定しているのは、

2022年 3月30日(水曜日) 13:00ー14:00 「入試改革を考える会」主催記者会見。 於:文部科学省記者クラブ

「東京都立高校入試での英語スピーキングテスト (= ESAT-J)」に関わるものです。
スピーカーは、代表の大内裕和、私 (松井孝志)、そして鳥飼玖美子氏の三名です。
ネットでの中継も計画されているようです。問題山積のまま進む、この事業に関心のある方、スケジュールを空けておいて下さい。


以下は、オンラインセミナー。初級、中級の日時をお間違えのないように。

2022年4月2日(土曜日)
文字指導/handwriting 指導法セミナー・中級編

passmarket.yahoo.co.jp

2022年4月30日(土曜日)
文字指導/handwriting 指導法セミナー・初級編

passmarket.yahoo.co.jp

2022年5月7日(土曜日)
文字指導/handwriting 指導法セミナー・中級編

passmarket.yahoo.co.jp


本日はこの辺で。


本日のBGM: I'm cured (Aimee Mann)

「丸覚えのススメ」

今年度出講している某高校のレギュラー授業が終了しました。
昨年度も大体この時期にアップしていた、高校2年生の「授業評価」と「自己評価」「後輩へのアドバイス」を今年も書いてもらいました。

昨年度のものはこちらから。

tmrowing.hatenablog.com

全て「記名」のアンケートで、私にとっては「通信簿」のようなものですが、共通して「あるある」のものを中心に抜粋でお届けします。
毎回言っていますが、「人は自分の苦労を高く評価したい生き物」ですので、話半分か三分の一くらいに割り引いてお読み下さるのがよろしいかと。

  • 松井の授業に対する評価、改善要望など

・ここまでたくさん例文を覚えたりしたことがなかったので、最初はすごく大変でした。でも、先生の例文の下の方に書いてあるコメントなどはすごく有益なものでした。改善要望は特にないです。1年間ありがとうございました。
・授業は細かいところまで分かりやすく解説されていた。本当に分かりやすかった。特に、実際に使われている表現を教えていただけるため、安心して覚えることが出来た。また、英語圏の人と話すときも、安心して活用できる英語を学べた。
・授業で使うプリントがとても充実していて良かったです。時々iPadで映像や写真、記事なども見せて下さり、とても興味深く授業が受けられました。コロナ禍の状況で難しい点であると思いますが、グループワークなどもあったら良かったなとも思います。
・話が面白くて分かりやすかったです。ニュース記事や動画を用いている授業は特に興味が持てました。後ろの方の席はスクリーンが見づらく、書き込みが見えないことがありました。
・先生はみんなが分からないような英語の例文を、根拠やユーモアを混ぜながら教えて下さったので、とても充実した授業だったです。一年間ありがとうございました。
・松井先生の授業は twitterを使って最新の時事問題を取り扱ってくれるので、分かりやすく、英語を身近に感じられました。
・(オリジナルの)ファイルに載っている解説をしっかり読むと、「なんでここにこういう表現を使っていたのか?」という英語の根本を学べた気がした。日々のニュースで使われているものを授業で出してたりして、「こういう感情が伝わってくるよねー」と言われるのが結構楽しかったし、実感が湧きやすくて、私には良かったと思う。高1は松井先生じゃなかったので、記号/印の意味が最初分かんなかったので、「イントロどどいつ」とか、少しでもいいから最初に説明して欲しかったかもしれないです。
・ただ英語の文法を教えるのではなく、世界の情勢なども交えながら授業をしてくれるので、とても興味深かったです。英語を外国でも活用できるような教え方だったので良かったです。
・松井先生、2年間、私に英語を教えて下さり、ありがとうございました。授業もそうですが、スケートについての話や、英語のニュースリツイートを元にした世界の出来事を紹介して下さったりと、とても面白かったです。私も一応スケートが好きなので、共感できるところが多々ありました。記号付けはまだ完全に使いこなせていないので、もう少し最初に説明を詳しく説明して下さったら良かったと思いました。
・ライティング課題を1つ1つ丁寧に添削してもらえるのが有り難かった。先生の「英文は英単語の意味はわからなくても、文構造は理解できる」という言葉が自分の中ではとても響いている。
・細かく現代の英語にふさわしいかなども教えて下さりとても勉強になりました。
・先生の授業は、今まで私が受けてきたどの英語の授業にもなかった視点を与えてくれました。私の英語力もとても上がったように感じました。1年間、ありがとうございました。
・現代英語のコーパスに基づいた授業は非常に勉強になりました。英語は生き物なのだと感じました。先生の説明で最近凄く納得したのが、 Reading is to the mind …. の説明でした。すごく腑に落ちる説明をして下さるので、定着します。Writing課題は他の人の作文とそのフィードバックも読めて勉強になります。
・英文法についての具体的な説明や、細かなニュアンスの違い、また実際にその英語が海外で通用するのかどうかというところまで詳しく説明してもらえたので、すごく勉強になりました。
・モニターに教材を映して、それに書き込みながらの説明だったので分かりやすかったです。
・画面が小さくて見にくかったときがあった。が、概して分かりやすかったし、たまに来るヴィカ様の小話が好きだった。
・現代英語で使われる頻度と受験英語を区別してはっきり教えて下さるので、これから英語を使って世界とつながりたいと考える人にとって、非常に有意義だったと思います。普段は講義形式で、定期テストがあるごとに大きな一つのライティング課題というのも、私にとって丁度良かったです。
・10段階で9をつけさせていただきます。授業の内容のレベルは高く、ライティング課題やファイル等の質は高く、添削などの時間もオーバーワークなほどだと思います。さらに、多くの時事問題なども知ることができました。
・松井先生は英語の本質を見定めて授業をして下さったのが印象的でした。たしかにあと1年足らずで大学受験。受験英語を把握すべきではありますが、たかだかあと1年の話であって、私は大学進学後も英語の学習を続けようと考えているので、進学後のその先の世界を垣間見ることができてとても楽しかったです。ありがとうございました。
・ライティング課題に細かくコメントをして下さったことが嬉しかったし、モチベーションになりました。また、他の人が書いた文章も読むことができ、自分の足りないものを知るためのヒントになりました。大事なポイントが「グリグリ」と強調されていて、とても分かりやすかったです。1年間ありがとうございました。
・この1年を通して、4択で空欄を補充するというものではなく、文全体を見ることの大切さを学ぶことができました。私は元々時制が苦手だったのですが、時制を「川の上流から〜」というように喩えた表現が分かりやすかったです。また、ライティング課題でライティングのコツを知ることができ、返却されたフィードバックにどこをどう直したら良いかやヒントが書かれていて、とても参考になりました。モニターを使った授業も、授業効率が良くて、良かったです。
・先生が話すという形がどうしても多くなってしまうためとても眠くなります。もう少し途中で休憩を挟むとか、先生の声のトーンを変えてみるとか、授業中に変化が欲しいなと思いました。文法は頻出問題集のテキストを中心に、僕たちが必要としている英語レベルを徹底的に解説してくださったのでとてもタメになりました。先生がツイッターでつぶやくような時事問題はとても興味があり、面白かったです。モニターの近くの席だと首がとっても痛くなるので、席替えはこまめにして欲しかったです。
・(英語)ネイティブが実際に使う正しい英語を教えて下さるので、毎回質の良い学習ができる。実際に英語のニュースで用法を確認したり、どの表現がよく使われるのか数値で提示して下さるのが良かった。モニターでの授業のため、座席によっては見づらいことがあったので改善していただけたらよいと思う。
・他の先生とは違う独特な授業でとても楽しかったです。英語のスキルが高い松井先生だからこそ持っている知識を教えて下さるため、非常に役立ちました。ありがとうございました。
・問題集で問題を解くだけではなく、オリジナルプリントの説明がとても良かったし、出ている文章の他に、この語法を使う用例を辞書から引用して示してくれるところも、ためになりました。「良い英語だけに触れ続けて吸収することが大事」と1年間言われ続けてきましたが、去年の自分と比べると少しは身についた気がします。改善して欲しいところは、問題集の資料を紙でもらうよりも、オリジナルのファイルの方を紙でも欲しいと思っていました。1年間ありがとうございました。
・最初は記号付けで何が何を指すのかすら分かっていなかいところもあったから、説明が理解しにくいところも正直あったし、日本語の時点で、こんな表現、日本語でも使わないよみたいなのがあって、難しいなと思っていた部分がありました。でも、授業を聞いた後に、他の問題集を解く時、先生の説明を思い出すと解けるものが多く、ためになったと思います。プリントは自分たちでも印刷できるけど、毎回いただけたら嬉しいです。デバイスにメモったりするのは大変で、目が痛くなることもありました。授業で沢山の英文に触れられて良かったです。私は英語は苦手だし、このクラスの中でも下の方だと思うけど、自分の中では分かる英語が増えた気がします。ありがとうございました。
・参考書にあまり書いてないような細かなことまで説明して下さって良かったです。プリントは2学期までと同様に印刷して配って下さると勉強しやすいと感じました。
・writingを定期的にやっていただいて、塾でできないようなwritingを経験できたのでとても良かった。例文が英検、GTEC、塾の勉強など色々なところで使えました。
・先生がファイルのデータにiPadで書き込んでいるものを、画面共有で教室にいる生徒も手元のデバイスで見られるようにすると、後ろの席の人も見やすくなり、よりスムーズに授業を受けられるかな、と思います。

  • 自分の取り組みを振り返って、一番成長したことなどの自己評価

・英文内の、句、節がどこまでか、すぐにパッと分かるようになりました。長文を書くことに対しても、前よりも抵抗がなくなり、また、より論理的に書けるようになりました。
・twitterの英語の記事を授業中に見せて下さったことで、英語の記事は難しいという思い込みがなくなり、より情報の早い海外のツイートを見るようになりました(ウクライナ情勢などは特に)。ツイート見出しなどは短く分かりやすいので読みやすく、成長したと思います。
・ライティングを書く機会が増えたので自分の中では去年より伸びた気がします。やり直すなら、よりもっと精度の高いライティングにするためのフレーズとかを覚えたらよかった。
・ライティング課題はフィードバックをいつもよく見ていました。英語のライティングは苦手なのですが、GTECや英検では以前よりも高い評価をもらえたので、少し成長したと思います。
・先生の授業とプリントからは参考書の解説では得られない多くの大切な情報を得ることができました。問題の善し悪しを気にしたり、参考書の解説を全て正しいと思い込まず、疑いの眼も持つこと、などは今までは意識していなかったことでした。
・英語で文を組み立てるとき、上手く文法を使えるようになった。単語だけで覚えていたものも、テスト対策などで大量に関連の文(特に副詞)を覚えるため、どうやって使うかなど、を身に付けられた。一年前に比べたら、スピーキングやライティングにおいて、英語の出てくるスピードは確実に上がった。
・僕はあまり英語を勉強する習慣がなかったですが、松井先生の授業を通して、勉強する習慣を得ることができました。また、ライティングも苦手だったのですが、英検1級に合格することができ、良かったです。
・ライティング課題に真剣に取り組んだことで、英語力を向上させることが出来たと思う。また良い例文を丸覚えすることなどはスピーキング力の向上にもつなげられたと思う。
・個人的にはwritingの学びが一番あったと思います。Writing課題は毎回、学んできた文法を使ってみたり、英語の表現をどういう場面でどのように使うのか、ということをじっくり考えさせられます。テキストの方の例文とかでも、「ここでこの表現を使う利点」みたいなところも一緒に理解すると、実際に自分が使うときに意識できると思います。
・自分ではリーディングの方が得意で、ライティングは何を書いたら良いか分からなかったのですが、この前の英検では、ライティングのスコアの方が高くなっていて驚きました。前の自分より成長できた証だと思っています。
・私は元々、英語が大の苦手で、学校のテストはもちろん、予備校主催の模試などでも、英語が悪かったんです。しかし、この1年間、塾に通わないで、学校の授業に向き合ったところ、英語の成績が伸びました。「えっ??」っていうくらい伸びました。
・もっとしっかり例文を覚えて書けるようにしておけば良かった。
・ライティング力が上がりました。
・年度初めは、文法がとても苦手だったため、Readingでもしばしば読み間違いをしていたのですが、必死にテキストの例文や松井先生特製ファイルの例文を覚えるうちに、正しい英語の文法やセンスが前よりついたと思います。
・先生がニュース記事を毎日リツイートされているのに影響され、私もニュース(NHK World JapanやBBC) を読むようになりました。はじめは全く読めなかったのが、今では難しい単語を調べれば大体読めるようになりました。先生のご指導のおかけです。本当にありがとうございます。そして何より、先生が教えて下さったWisdomがとても役立っています。まだ全然ダメですが、継続して頑張ります。
・よくやったと思う。ファイルやプリントを丁寧に読み込み、先生の解説を聞いた。この1年で英語力が伸びたと思う。ニュース (ABCなど) を聞いていて、先生の教材で扱ったものが出てきて、聞き取れてうれしかった。
・ただ参考書を暗記するのではなく、松井先生に教わったことを知識として定着させようと取り組んだので、英語に触れる時の態度が変わりました。
・ライティング課題は、なるべく簡単で自分の書ける範囲だけではなく、もっと難しいモノにチャレンジすべきだと思った。文法は英文の暗記をロジカルにできて良かった。
・私はこの一年、語彙と熟語表現の守備範囲を大幅に拡げました。以前よりも格段に長文や英語の新聞記事を読み進められるようになったので、残り高校3年生の一年間で、より細部に磨きをかけられると良いと思います。
・先生のオリジナルファイルに収録されている例文をまるごと暗記するように心がけたことが良かったと思います。まるごと覚えることで、表現、語彙、文法の全てを網羅できました。一方でライティング課題はしめ切りギリギリになってから取り組むことが多く、熟考しきれなかった部分もあるのが心残りです。
・ライティング課題はしめ切りよりもずっと前から準備した。ライティング課題を続けることにより進歩したと思う。4択ではなく、文全体をみることを心がけるようになれて良かった。
・テスト前の取り組みは普通に良かったと思いますが、授業中の取り組み姿勢はもう少し改善できたかなと思いました。具体的には、しっかりと例文全体に目を通すことです。文全体に目を通すことが、先生が解説する箇所の注意点をスムーズに頭に入れる近道だったと思います。
・ライティング課題に毎回時間をかけて取り組んだので、細かいミスも見つけて直せるようになったと思う。ライティングのフィードバックによって、何を改善すべきかが明確にされていたので、ライティング力が上がった。また、プリント(四角化ドリル)で表現力が増えた。
・writingの定期テスト毎の課題はとても参考になった。長文の書き方を身につけて、英検やGTECのライティングにも学んだことを元にして書けた。
・ライティングの「書くポイント」を詳しく教えて下さる授業に加えて、ライティング課題が定期的に出されるため、ライティング力を伸ばすことができました。文の構造も理解でき、英文が以前より読みやすくなったと感じます。
・この授業を受けてから一番変わったと感じたことは、ライティングについてです。高1のときはライティングはほぼやっていなかったので、初めはかなり悩みましたが、自分のものだけでなく、他の人の文章やそのフィードバックもオンラインのアーカイブで見ることもでき、ライティングを頑張った一年だったと思います。
・英文を覚えるのがテスト前だけだと、テストが終わった後、すぐに抜けてしまっていると思うから、無駄にしないよう繰り返すようにしなければいけないと思った。予習をした方が分かりやすかったから、来年度は必ず予習をして臨みたいと思う。
・例文をまるごと覚えることで、自分の表現を増やすことができました。「コミュ英」の方の授業で似たような例文が出てきた時、皆口をそろえて「英表の授業で見たことがある」と言っていて、形で覚えられているのだと感じました。
・例文で色々なことが学べた。単語もある程度のインプットができた。Writingでも多く学びがあり、自分で書けたものを覚えたのも良かったと思う。文法は感覚でやっていた部分があったので、ここで固められて良かった。
・ネイティブでなあなあ(感覚?)で文法をやってきた者としてはとてもハイレベルで難しいところもありましたが、頑張れたと思います。

  • 来年度の高2生に対して、先輩としての親身のアドバイス

・とにかく量が多いので大変だと思います。ライティングの課題もどんどん難しくなるので頑張って下さい。テスト前日に詰め込む勉強だと良い点数はとれないと思います。日頃から覚えたりした方がテスト前に慌てる必要がなくなると思います。
・定期テストは例文の暗記が全てです。量がかなりあるので、授業の時から少しずつ覚えないと間に合わない気がします。頑張って下さい。
・ライティング課題は前日にやるのではなく、早めに一度書いて、提出日前日にもう一度読み返すといいと思います。時間を空けたら、気付かなかったミスに気付けることが多いです。
・良い例文を出来るだけ多く丸覚えする、というのが非常に重要になってくると思います。ライティング課題は時間をかけてやるとよいと思います。
・正直、一年経っても松井先生のテスト準備はかなりきついです。全然慣れません。けど、覚えれば勝ちです!!多分言われたことを本当に全部やれば(これが凄い難しいけど)、成績セットでしっかりした英語力が身に付きます!「どうせすぐに忘れるだろうし…」とか思っていても、意外と自分のものになっているなと感じることはあとあとで出てくると思います。「他教科もあるのになんで?」って思っている人、本当にたくさんいると思いますが、もう逃げ道はありません!とりあえず、早めに試験勉強するくらいしか方法はないのです。頑張って下さい!
・グリグリは要注意!絶対に憶えて損はない。ライティング課題は遅れずに出そう!
・英語が苦手な人にはとことんきつい科目ですが、松井先生の授業ではしっかりした言葉で説明してくれるので苦手じゃなくなっていくと思います。お互い頑張りましょう。
・松井先生が使う文構造等を理解するための印/記号付けは、理解すると、文がすらすら読めるようにもなるし、大量の英文も少し楽に覚えられると思います。テスト対策は「テキスト」と先生のオリジナルのプリントに重点を置いて、覚えるなら完璧に覚える方がいいと思います。
・ただ教科書をなぞるような授業ではないので、他と比べると面白い授業です。テストは易しくしてくれます。絶対力が伸びます!!
・基礎大事!英語も数学もとりあえず基礎を!
・松井先生のテストは覚えれば高得点を取れる。暗記することが苦手だった僕でも松井先生のテストは暗記した方が早いことに気がついた。正直このクラスは帰国子女かどうかなど、もともとのポテンシャルは余り関係なく、いかに覚える努力をしたかがそのまま点数に現れるテストだと思う。そして、特に帰国子女の子など、英語を必死に勉強しなくても英語ができて、暗記などあまり好きでない人もいると思う。自分もその生徒の一人だったが、そういう人たちは「素直に覚えた方がいい」と気付けたらいいと思う。
・先生の言っていることを覚えていれば役に立ちます。帰国生でも、余裕だと思っていたら、テストで点は取れません。
・先生のオリジナルの例文はすべて覚えてしまうくらいの心意気でかかるべきです。というかすべて丸暗記してください。とても役に立ちますし、大きな力になります。もちろん、文法への深い理解も忘れずに。
・初めは心が折れそうになりますが、くじけずに何度も先生のファイルを読み、説明を聞くと、先生のおっしゃる意味が分かるようになってくると思います。頑張って下さい。
・先生の授業はきちんと聞いてメモを取るべき。たまに英語ニュースやヴィカ様についても自分の知識や能力が上がるので聞くべき。
・(オリジナルの)ファイルは本当に重宝すべし。オンラインのアーカイブにアップロードされた通知が来た瞬間に印刷して、読み込む。テストにも出るし、自分の英語力を高めるために有益。
・高2になる皆さんへ。初めて松井先生の授業を受ける人にとっては、「ワニ」「横綱」など特殊な言葉が出てきて意味が分からず、授業を投げ出してしまうかもしれません。しかし必死に松井先生のおっしゃっていることを理解していく内に、「英語を使いこなせるようになりたい!」という気持ちも出てくるでしょうし、何より「参考書に書いてあることが全てではない」ということが分かるでしょう。受験というものに重圧をかけられてくる学年だと思います。その限られた時間の中でこれほど「現代英語」に触れられる環境はかなりのチャンスだと思います。頑張って下さい。
・この授業では、おそらくある程度基礎の固まっているレベルが求められていて、それがあれば先生の抽象的な言葉も理解しやすいと思います。しかし、それが無いのならば、具体的な例文を一つ一つかみ砕いて、基礎と英語のセンスを身につけ、松井ワールドに飛び込んでいくしかないのです。そのために、例文暗記は必要だと思います。何も考えずにこの授業を受けても得られるものは少ないでしょう。Nothing comes of nothing.です。
・ 単語と熟語さえ知っていれば解ける問題が急激に増えるはず。何か新しくやろうという心意気なら、登下校、休み時間などを活用して、語彙を増やすところから始めるといいと思います。
・オリジナルファイルをマジメに読みましょう。参考書にはあまり載っていないことが書いてあり、勉強になると思います。あとは、文章を丸ごと覚える努力をしましょう。私の場合は本当に力がついたと思います。1年間頑張って下さい。
・オンラインのアーカイブに入っている資料は、スマホで見ようと思うと書き込むのが困難だし、他のアプリをいじりたくなるから、家でちゃんとコピーして、紙で授業を受けるべし。独特の表現が難しいところもあるけれど、ちゃんと聞くべきだと思う。
・松井先生の授業は受験で問われるような文法問題を解けるようにすることではなく、将来的かつ実用的な英語力を身に付けることができると感じると思います。テキストだけでなく、様々な英文に触れることが重要です。
・テキストを頑張って下さい。例文全体を暗記することが必要です。これをテストのために、と思ってやっていたら、意外といつまでも頭から離れないで、その後の英語学習にとても役立ちます。英語能力を上げたいのであれば、松井先生のテストをただのテストだと思わない方がいいと思います。ライティング課題は、出された1週間以内に書き始めることをおすすめします。締め切り日に出そうとするととても辛いと思います。自分も1年前に先輩の言葉を聞いて、その時は辛いなと思って全然実行してきませんでしたが、2学期くらいに地獄を見ました。なので、早めに実行に移した方がいいと思います。ぜひ、僕たちのアドバイスに忠実になって頑張って下さい。
・授業中に使用するプリントを教科書よりも大切に勉強するべき。間違った表現やあまりメジャーでない表現をさけることができる。ライティング課題もまじめに取り組んで、フィードバックをしっかりと読んで、次にライティング課題を書くときに気をつけよう。そうすることで質の良い英語力が身につくと思う。
・この授業では他の授業のような、定期テストや入試対策をするものとは異なり(ライティング課題は大学入試向けだが)、社会に出た後や、実際に世界に出て英語を見聞き、話すことができるようになることを目指しているから、先生の解説を聞いて、テストには出ないならあまり聞かなくていいか、という考えは持たない方が良い。一つ一つを丁寧に学べば、必ず君たちの英語力もぐんと伸ばすことができる!!
・先生の授業をきちんと聞き、ポイントをおさえ、課題をきちんとこなせば必ず英語の力は伸びます!!頑張って下さい。先生の雑談もとても面白くて好きです。楽しんで下さい!!
・学期ごとに扱う単元・範囲は違いますが、やった部分はしっかりと定着させられるような覚え方をするのが良いと思います。項目ごとに詳しく説明してもらったり、学習できるのは高2が最後だと思うので、授業時間や学習時間を無駄にしないような過ごしかたをしてほしいです。
・テスト前に覚える英文の量は尋常じゃないけど、文構造とかは理解した上で覚えた後は、分かるものが増えたから、覚えるべきものはちゃんと覚えた方が良いと思う。先生が言う「足跡」とか記号付けの意味が分からないとキツイから、分からなければすぐ聞くといいと思う。プリントが配られないときは、ファイルを印刷した方が書き込めるし、スマホからも離れられるから、印刷した方がいいと思います。
・私は高1、高2の2年間、英語が松井先生でした。他の先生方の授業を受けたことがないのでよく分かりませんが、初めは慣れない授業スタイルで戸惑うこともあると思います。けど、まず話を聞いておけば、だんだんと慣れてくるので大丈夫です、例文を沢山扱って下さり、私はまるごと覚えて自分の表現を増やしました。皆さんも、自分なりにたくさん出てくる例文を、上手く活用して下さい。一緒に頑張りましょう。
・良質な例文を丸暗記して、それの内容を変えたりしただけで、writingやら自由英作文でかなり良い点がとれるので(覚えたものなので、文法ミスで点が引かれることはない)、ぜひあまりふれることのできない良質な例文をストックに持っておくとよいと思う。他の人や自分がライティング課題で書いた表現を覚えるのもアリ。英語は経験値がモノを言う科目なので、できるだけ多くの英語を自分に取り込むと強いと思う。教科書とかからもコロケーションなど、こういう表現があるのか、と学びが多いので、英語において無駄はあまりないと思う。

イヤー、面白いですね。
兎角「丸暗記」は忌避され、糾弾され、前時代の遺物のように言われますが、今年の2年生の年間の授業総括と後輩への親身のアドバイスでは多くの生徒が「用例・例文を丸ごと覚えること」の効用を訴えているのが興味深かったです。

  • 「これまでこんなに沢山の英文を覚えたことがない」

と多くの生徒が答えていたのもまた興味深い。

  • ではなぜ「丸ごと」覚えられるのか?

やはり

  • チャンクを捉えて四角化の記号付をした上で、文全体を見るから!
  • パラグラフレベルの分量で、つながりとまとまりのあるライティングを経験しているから。

というのが大きいと思いますよ。
文未満の要素を成り立たせるしくみも「文法」ですし、一文を超えた文のつながりやまとまりをつくるのもまた「文法」なのです。

そして、その「丸覚え」を支えるもう一つ大きな要因は学習材のクオリティでしょう。
指定の「テキスト」を補う「オリジナルの教材の用例」の質と量。

NOW コーパスと GLOWBEが一番多かったと思いますが、現代英語のオンラインコーパス等をフル活用し、精選され適切に配置され、「確かなことばで」解説されているからというのが大きいと思います。

高3になっても、そして卒業後も、テストに支配されず、テストに依存せず、自分の学びを拡げ高めて行って下さい。
こちらこそ、1年間、ありがとうございました。


本日のBGM: はなればなれ (クラムボン)

だってなんだか、だってだってなんだもん!

如月といえばハニー。
ロジック不要、不問の魅力があれば Life is good. それはもう、申し分ないものですが、一般人にはそうも言っていられない様々な事情があります。

「『都立高校入試スピーキング試験』の導入問題」です。
記事第一弾はこちら

tmrowing.hatenablog.com

本日は前回の「都立高校入試スピーキング試験」の第二弾の記事で指摘した「開示請求」に関連して補足をば。

tmrowing.hatenablog.com

「学力検査」の枠組みでの開示請求は手順と開示情報の範囲・内容が示されています。

以下は「令和4年度入試」。つまり今春の入試に関わるものです。

www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp
令和4年度東京都立高等学校入学者選抜においては、学力検査や面接・作文などの得点及び学力検査の答案の開示を請求することができます。
開示を請求したい場合は、以下のとおり手続を行ってください。
開示を請求できる内容
1 学力検査等得点表(学力検査の得点及び面接、作文、実技検査等の得点)
2 学力検査における答案の写し
※ 推薦に基づく選抜では、答案の写しを開示請求することはできません。学力検査等得点表のみ開示ができます。

ここで重要なのは、「スピーキングテスト」の成績が合否に反映されるのは「学力検査」を行う入試区分だということ。そして、スピーキングテストは「学力検査」ではないので、「答案」に当たる音声データとその採点評価の「写し」はこの請求の対象とはなっていないということです。

ですから、「スコアに納得が行かない」「あの問題は絶対に設問の要求も満たしていて、Can-do statements にも合致しているはず」という疑義が生じ、それが合否を左右したのではないか、と疑わしい場合にも、「学力検査」の情報開示の対象とはならないわけです。

今回予定されている「選抜」の枠組みでは、「調査書点」に外付けでスピーキングテストのグレード(ランク)を評価するだけです。高校側はそのグレードを20点満点の数値に換算します。

スピーキングテストの受験者には、このグレードとそのグレードを判定するための「スコア」、そして極めておおまかな「出来不出来」をテンプレートのパッチワークで示した「個人宛のフィードバック」の記述文が示されます。

スピーキングテストの設問は全部で大きく分けて4つのパートに分けられています。

Part A音読
Part B Q&A
Part C 描写・説明
Part D 意見・コメント

それぞれの設問の採点基準での満点を足していくと

Part A 音声3x2=6
Part B A3+Q1 = 4
Part C 音声3+達成度1+言語使用4=8
Part D 音声3+達成度1+言語使用4=8

となります。
各設問に与えられた満点を得たとしても、その合計は26にしかならない計算です。
それを「IRT処理」なるものを経て、上限が100のスコアで評価している、というのが彼らの流儀です。

例えば、こんな形で、上限が100、下限が0のレベル分けがなされます。

f:id:tmrowing:20220205111235p:plain

ここで気をつけることは、「100点満点」と素点で単純に考えてはいけないということです。
スコアの上限が100というだけで、「単純に20点刻み」のランク分けではありません。
Aの区分は21点分の幅があるのに対して、BからDの区分は15点分、Eの区分は35点分の幅を持っているということで、素人にも玄人にも分かりにくいものになっています。
そして最終的に入試の合否に反映されるのは、A〜Fのグレードなのです。
A=20, B=16 以下、4点刻みで、Fはゼロとなります。
受験生にとって大きな意味を持つのは、スコアでは80点と79点の差が1ポイントだったのに、ランク換算された後の「得点」では4点差になる、またスコアで64点の受験生と、35点の受験生では29ポイントの差があるにも関わらず、ランク換算された後の「得点」では4点差になる、というところでしょう。

では、どうすれば、自分のスピーキングテストでのそれぞれの設問の出来具合を知ることができるのか?
「調査書開示請求」をしただけでは、前回の「第二弾」の記事で書いたように、グレードが分かるだけですから、その情報は既に受験者本人は知っているわけです。
問題は、そのグレードの中身、根拠はどうすれば分かるのか、です。

今回、この事業を請け負っているのはベネッセですから、ベネッセの金の卵を産む鵞鳥、GTECのスコアを横目で見てみると、

https://www.benesse.co.jp/gtec/select.html
f:id:tmrowing:20220205111338p:plain

となっていて、中学卒業程度の英語力を測定するとされるCoreのスコア上限は「四技能」合わせて840点となっています。これを単純に技能数の4で割った210が各技能の上限スコアとなっています。
(因に、大学入試での「民間四技能試験」導入を決める段階の2015年では、Coreの試験にはスピーキングはなかったんですよ。そして、その頃のGTECでは技能ごとに上限スコアは違っていたのです!)

以下、当時のものを示します。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2015/03/25/1356122_04.pdf
f:id:tmrowing:20220205111419p:plain

上限が210であれ、170であれ、100であれ、どのような処理過程を経て、そのスコアとなっているのかが「ブラックボックス」です。
冒頭でハニーの話をした意図が分かってもらえるでしょうか?

私が「返却される個人票に記されるスコアとそのスコアが設問の出来具合をどう反映しているのかが伺える情報が記されているか」にこだわるのは、「個人票が本人に返却されている以上、開示請求をして明らかにできる情報は既に本人が持っていますよ」と言わせずに、もしもの時にその中身を明らかにできる「策」を講じる必要があるからです。

「向こう側」としては「そのスコアが個々の設問の出来具合にどう基づくのか」は商品価値の根幹ですから、恐らく明らかにはしたくないのだろうとは思います。

今回の大枠の設計では、「調査書点で反映する。しかも外付けで。」ということに大きな意味があるのだろうとも思います。
「向こう側」としては「調査書点」の各教科分は「通知表」という形で既に本人は知らせているので、それ以上に知らせることはない、という理屈なのではないかと。

「調査書点」には5段階と観点別評価とが使われ、推薦に基づく入試などでは都立高校側が「5段階」と「観点別」のどちらを使うのかを決めていますが、そのそれぞれの情報は既に「通知表」で生徒個人に知らせてある、という理屈です。その5段階の評価と一緒に示される「観点別評価」の根拠まで詳細に知らされることは通例ないのではないかと思います。

「私の美術が4で、保健体育が3だったのはどうしてか?」というのは観点別評価のABCのつき方から推測しかできませんが、それでも一応示しているという理屈でしょう。この先の「中身」で「なぜ観点別でBやCだったのか?」という根拠までは開示させることは難しいのではないかと考えています(先行事例や裁判での判例までは調べていません)。

スピーキングテストもこれと同様に、「スコアとランク表示、さらにはレポートの記述文で出来具合は個人に知らせているので、調査書の5段階と観点別評価を知らせているのと同じ」ということで済ませようとしているのだというのが現時点での私の推測です。

ただ、今回、とある筋からプレテストの「個人票」を見せていただく機会を得ましたが、肝心な個々の設問(上述の26点分)でのパフォーマンスの評価は示されてはいません。これは、GTECのCoreや高校生用の上位版などでも同じかと思います。

一方、大学生や社会人向けのGTEC (いや、あるんですって。ベルリッツもベネッセ傘下なんですから)の個人票は、もう少し分析的な評価のレポートをしてくれています。
こちらにサンプルがありますので、お目通しを。

www.benesse.co.jp

大学生、社会人向けの個人票では、それぞれの設問での観点別評価が得点で表されていることがわかります。少しだけ分析的で、自分の出来を推測できるようにはなっています。

では、なぜ、同じ企業体が行う「言語テスト」であるにもかかわらず、この「都立高入試スピーキングテスト」では、設問ごとの分析的な振り返りが敢えてできないような仕組みとなっているのでしょうか?

まだまだ、分からないことだらけです。
今月から来月にかけては都議会の文教委員会が開かれます。公的な場でのやりとりと情報の公開を求めていくことが必要だと思います。

最近は更新されていない、羽藤由美先生のブログのタイトルが「確信的に躍らされるにしても…」というものでした。

yumihato.wordpress.com

羽藤先生はソーシャルメディアでも、この「都立高入試スピーキングテスト」について、比較的早い段階からいくつかコメントをされていました。今、この段階での問題の解決されなさ過ぎな状況にはなんとおっしゃるでしょうか?

私は既に、都立高教員でもなく、受験生の親でもありませんが、今回の「都立高入試スピーキングテスト」の枠組みのようなお粗末なリズムでは、とても踊れないし、踊りたくありません。

本日のBGM: 踊り子 (Vaundy)

Your decision to make

1月の英文ライティング指導法セミナーも終了しました。
受講者の皆様、お疲れさまでした。ありがとうございます。

講座は「適切なフィードバックのあり方」を考えるものですが、対面セミナーからかれこれ3シーズン目となりますので、セミナー内容も充実してきたと思っています。主として高校段階の実践に基づいていますが、1988年くらいから、実践を積み重ねた tried & true methodともいえる「英文ライティング」の指導法として体系化されたものがまずあり、その過程でフィードバックの経験知を蓄積してきているので、「基礎基本」「原理原則」として理解を深め、実践にあたっては頼りがいのあるベンチマークとして活用できるでしょう。2010年代に行っていたセミナーと、根はつながっていますが、その頃よりも遥かに良いものになっていると確信しています。予備校主催の講座ではなかなか得られない、私が若年英語教師であれば、お願いしてでも受講したいと思う内容と水準にしているつもりです。現実に、予備校に籍を置く方も受講されていますから。

受講者の声をいくつか匿名でご紹介。

教師側の絶対的な力量があってこそ適切なフィードバックができるんだという気迫に圧倒されました。数点共有していただいた生徒さんの作品は、力のある先生のもとで学ぶとこんな作品がかけるのかと驚きました。
お手軽テンプレートのようなものを超えた文を書かせることができるよう、自分のライティングスキルをもっと磨いていきたいです。

今回のセミナーも大変お世話になりました。
今回の講座では以前、対面で受けたときよりもさらに情報が追加されていてライティング課題を適切に評価・フィードバックするためにはお題の設定(出題者の評価基準の設定と提示)と、そのお題に取り組むに当たって最低限押さえておかなければならないチャンクの仕込みを緻密にやらなければならないということがよく分かりました。
お題・評価基準の設定から、書くための表現の仕込みまでやっておくと生徒のプロダクトの質が上がるだけで無く、それを評価しフィードバックする教員側も細かな部分の修正に追われなくなり、よりクリティカルな部分(文章のつながり、まとまり等)の指導にフォーカスできるという好循環が生まれるようですので、そうなるように精進いたします。

セミナーでは大変お世話になりました。自分が最も痛烈に感じたことは、自身の英語力をもっと鍛えなければならないということでした。良い英文にもっと多く触れ、自らの中の英語を質の良いものにしなければフィードバックを行うことなどできようはずもありません。
素材はインターネット等のおかげで様々なものに簡単にアクセスできますので鍛錬を続けていきたいと思います。
次に、テクストタイプというものをもっと重視すべきだと考えるようになりました。
WritingというとArgumentativeなものを書くことを求めがちですが、まずは、その下積みとして、説明文や物語文を書かせる練習の必要性を強く感じました。
現在も他の教員とALTとで1年生のWritingの授業をすることになっているのですが、お題を与えて書かせるだけになってしまい、生徒に悪いことをしているという気持ちになります。
そもそも現在使用中の教科書(※コミュ英)のテクストタイプを見てみると10レッスンのうち9つが説明文で意見文にしっかりと触れたこともないような生徒に意見文を書かせるのは無理があると思います。
ちょうど1週間ほど前に英検のサンプルテストを行いましたが、Writingでは意見を意見でサポートしようとするもの、そもそもお題に答えていないものが散見されました。身の回りのできることから始めていこうと思います。
今回も至れり尽くせりの資料・講義ありがとうございました。率直に言うと5000円という金額が本当に安く思える内容でした。また別の講座も受講させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。

新たな地平が開けて、今まで見えなかったものにも気付くようになったのではないかと思います。
次はあなたの番です。
2月の回をまだ受け付けています。よろしくご検討ください。

passmarket.yahoo.co.jp

受験生対象の講座も募集しています。
1月のB講座は既に募集を終えていますが、2月のB講座はまだ間に合います。1月は東大志望者のみで開催しますが、2月は受講者の希望を見て調整可能です。
「砂漠の中のオアシス」となる答案を目指して、このセミナーで最後の飛躍を是非。

passmarket.yahoo.co.jp


本日のBGM: 選択(寺尾沙穂)

"In the name of God, go."

「都立高校入試への拙速なスピーキングテストの導入に反対する」続報です。

tmrowing.hatenablog.com
この記事で紹介した1月13日の記者会見以降も、いくつかつぶやいていました。

東京都のスピーキングテストって、1020点のうちの20点分。合否を分けるに足るよね?
高校入試の合否を左右しかねない「スピーキングテスト」の採点にミスがあったときに対処できる準備を都はしていますかね?
企業の利益優先で情報が明かされない可能性があるんじゃないの?

都立高でも少し前に採点ミスからの追加合格出ましたよね?
東京都立高校入試の採点ミス・追加合格者、48校の学校名を公表 | リセマム

こういう対応ができるのは、手元に採点の記録たる答案が残っているから。
では、フィリピンに持っていった音声データとその採点記録は、いざというときにいつでも開示できるように「誰の」手元にあるの?
ミスはないに越したことはないけど、万が一大きな事故があったら「選抜」そのものをやり直しできるもの?
今は5年間の都の共同事業者を入札で決めてるけど、大きなミスで5年待たずに事業から取り消しになった後に、代わって入ってくる事業者の使う「テスト」ってまたプレテストやれるの?間に合うの?
https://twitter.com/tmrowing/status/1484123936925184003


そんなツイートをしてからしばらくして、京都工芸繊維大の羽藤由美先生のツイートで気付いたのですが、今回の事業で「スピーキングテスト」の得点を何故「調査書」への記載なのに、「得点」として外付けしているのか、が分かりました。

昨年の11月に、都からこういう通知がなされています。
www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp

開示を請求できる内容
1 学力検査等得点表(学力検査の得点及び面接、作文、実技検査等の得点)
2 学力検査における答案の写し
※ 推薦に基づく選抜では、答案の写しを開示請求することはできません。学力検査等得点表のみ開示ができます。

受付期間
合格者と不合格者とで受付期間が異なります。

1 合格者
全ての募集 令和4年5月2日(月曜日)から令和4年8月31日(水曜日)まで
※ 5月2日より前に合格者の方が申請しても、申請は無効となりますので、5月2日以降に改めて申請してください。
2 不合格者
(1)推薦に基づく選抜及び第一次募集・分割前期募集 令和4年3月3日(木曜日)から令和4年8月31日(水曜日)まで
(2)分割後期募集・第二次募集 令和4年3月17日(木曜日)から令和4年8月31日(水曜日)まで
(3)定時制第二次募集以降の募集 当該募集の合格発表日から令和4年8月31日(水曜日)まで
※ 上記の期間以外に開示を請求する場合は、東京都個人情報の保護に関する条例に基づいて請求する必要があります。

「調査書」記載事項は学力検査の枠外におくことで、「入試選抜」に当たっての情報開示の対象からは外しているわけです。

「入試選抜」以外の情報開示請求をするなら、こちらの制度に基づくことになります。
www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp

しかしながら、こちらの制度に基づいて開示請求をして、たとえ調査書が「開示」されたとしても、そこで出てくるのはAからFまでの6段階の記号だけ。
そして、生徒個人には「個票」が返却済み、という建前なので、情報を開示する側から「むしろあなたの方が詳しいのでは?」と言われるようなもの。
結局「採点の適否」は闇の中。

採点の公平性、公正性をどう保証するのかは、どうあっても、明らかにしたくないということでしょうか?

そもそも、「中学生に返却される個人票」にも、「スピーキングテスト」のどの問題への解答がどのように採点されたのかはわからないのです。出ているのは、スコアとランクと最大公約数的なCan-doの記述文抜粋。

2019年の個票は、星見都議が示したもので目にしたけれど、この時は210点がmaxのスコアのGTECもどき版。

https://twitter.com/Rhein2011/status/1239506772387221505
f:id:tmrowing:20220121152031j:plain

100点がmaxという、昨年のプレテストでの個票の実物はどうなっているのか?


この事業、とにかく早急に明らかにしなければならないことがまだまだあります。
「理」のない「利」の追求は今止めないと、大変なことになりますよ。

※追記:関連記事の第三弾を後日書き加えました。こちらから是非。

tmrowing.hatenablog.com


本日のBGM: Stop in the name of love (The Supremes)

www.youtube.com

「入試改革を考える会」記者会見に参加しました

2022年1月13日
於:文部科学省記者クラブ

「入試改革を考える会」(代表: 大内裕和/中京大学教授) が以下の論点について記者会見を行いました。

1. 大学入学共通テスト実施直前の 1月11日付けの文科省通知について
2. 大学入学共通テストへの新教科「情報」の導入について
3. 都立高校入試への」英語スピーキングテストの導入について

詳しくは、以下の動画をご覧下さい。
youtu.be


私、松井は、「入試改革を考える会」のメンバーの一人として、英語講師の立場から、上記の3. を担当しましたので、その資料をこちらに再掲します。
この機会に、より広く、この問題を知っていただき、より多くの方に議論していただきたいと思っています。

「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」のキャンペーンに賛同します
2022年1月13日
入試改革を考える会 松井孝志 (英語講師)
※上記キャンペーンサイト

www.change.org


上記キャンペーンで指摘されている問題点。
・公平な採点はできるのか
・評価の信頼性への疑問
・授業と英語教育への波及の問題
・個人情報漏洩(ろうえい)の危険性
・入試配点上のバランス
・家庭の経済格差が学力格差を生む

これらを踏まえて、現時点までに分かっている問題点、今後検証考慮すべきことを以下に示す。

1. 当該試験自体の「スピーキング能力」測定に関わる妥当性

→プレテストで示された問題サンプルが「スピーキング」のどのような力をどのように測っているのか、テストとして妥当であるか、という点で疑問がある。ルーブリックで示されている「技能」を課されたタスクが適切に測っているかの第三者の検証が必要である。

令和3年度プレテスト動画
www.youtube.com

令和3年度プレテストのスクリプト
https://www.tokyo-portal-edu.metro.tokyo.lg.jp/pdf/speaking_script03.pdf

実施・運用においての問題点/疑問点

→ 「不受検者」の取り扱いで「学力検査の得点から仮のスピーキングテストスコアを算出し、総合点に加算する」とあるが、筆記とリスニングからスピーキング能力が算出できるのなら、そもそも実施する必要はない。段階評価をスコア換算するというのは「アセスメント」の発想であって、選抜のための仕組みとしては機能しない。

段階評価をするA とB の境界線は実質なんらかのタスクの成否に基づく以上、得点/スコアがついているはずで、それが例えば1 点の差だったとしても、段階評価になってしまうとそれが「4 点」の差となって現れることになる。
内申点への外付け加算に関しては、「英語」のもつ重みが
分割前期では約183/1020 約17.94%
分割後期では約170/1020 約16.7%
であり何らかの意図で換算の係数を変えて前期後期を変えていたはずなのにスピーキングを外付けにすることできわめて分かりにくいものになっている。特に前期であれば、換算後の内申点で英国数理社各教科の換算点がそれぞれ約23 点なのに対して、外付けのスピーキングテストが20 点となる。英語という1 教科に限っても、「平常の取り組み」の成果が23 点で、事業者によるテストの結果が20 点となる。これは国語、数学など他教科とのバランスを著しく欠き、「調査書点」というものの存在意義を損なうだけでなく、英語という教科だけに限っても平常の指導の重み/意義が極めて薄いものとなる危険性を持つものである。

2. 信頼性/公平性

都議会レベルでも、疑義が呈されているが都の見解は回答とはなっていない。
2021年第2回定例会に提出された文書質問とその回答(2021.07.01)

www.jcptogidan.gr.jp
提出者 星見てい子 質問事項一 東京都中学校英語スピーキングテスト事業について

事業を請け負う「学力評価研究機構」の実態が不明。
都の回答は「運営体制、問題作成、採点業務等については、テストの公正・公平な運営上の機密事項に当たるため、公表することはできません。」というもの。

採点をフィリピン側のどこが請け負うのか? →情報は不開示

誰が採点するのか? →現地での調査はコロナ禍にあって不十分

受験生8万人の分配は?ミスの検証は?ミスがあったときの対応は?→不明/不開示

都からの回答
「組織名と経営形態、雇用人数については、テストの公正・公平な運営上の機密事項に当たるため、公表できません。採点は、スピーキングテスト採点に習熟した常勤の専任スタッフが、フィリピンで行います。専任スタッフは、高度な英語力を有しており、TESOL 等英語指導の専門的な知識を身に付けていることを示す国際的な資格を取得しています。加えて、採点業務に関する研修を受講し、修了テストに合格した場合のみ、採点業務に従事することとしています。」

この採点の体制が明らかにならないと、公平性、公正性の点でゴーサインは出せないだろう。約8 万人の音声解答に対して誰がどのように信頼性のある評価を下し、その評価が正確で適切であるかを誰がどのようにチェックするのかは明らかにされるべき内容/情報である。

英語スピーキングテストに詳しい京都工芸繊維大学の羽藤由美教授は「民間だからいけないとは言えないが、業者の仕事内容を都教委がチェックする必要がある」と指摘。「解答の一部を都教委が採点して業者の採点と一致するかを点検したり、ダミーの解答を紛れ込ませて採点の質を確認したりするなどの方法が考えられる。入試という重大な局面だけに、採点などを業者に丸投げしたのでは、受験生や保護者が納得しないだろう」と話している。

www.tokyo-np.co.jp
東京新聞2019年11月19日 02時00分

スコア以外の何が受験者と中学校にレポートされるのか?
→都は、「テスト終了後には、スコアや到達度、学習アドバイスが記載された結果帳票を受験した生徒一人一人に返却し、結果を全て開示。また、生徒が採点結果の妥当性を確認できるよう、採点基準や複数の解答例を公表」としている。
一方、高等学校側に伝わるのはグレードとスコアだけで、スピーキングのどのような力があるのか、どのようなタスクはこなせて、どのようなタスクで躓いているのか、どのようなタスクは「白紙」なのかは不明。

これは、他の学力検査項目と著しく釣り合いが取れていない。現行の一次/分割前期であれば、英作文(ライティング)で16点分の採点基準が「各高校の裁量」に任されている。丸投げされた各高校は、詳細な採点基準を都教委に報告することにはなるが、ある程度の学力をもった受験生が集まる高校側には、受験生(入学候補者)の英語力の「プロファイル」が残ることにもなる。今回のスピーキングテストでは、高校側はブラックボックスを通過したスコアをもらうだけで、入学後の指導に活かせるメリットはほとんどない。

3. 「スピーキングテストの受検料負担と都の予算」に関して

→ 都と事業者(現在はベネッセ)による共同事業であり、都内の公立中在籍者に関しては都からの予算で受験料を負担していることになる。(ただし、その場合の予算計上の具体的な資料は都のサイトにも、教育庁のページにも見つからない。2019年当時の都議会での動議で出された資料では、「スピーキングテストを中止し1 億5 千700 万を削減するように」という内容であったが、これは、実際の入試に
反映される8万人規模の事業の予算なのか、プレテストの予算なのかがよく分からない。)当然、私立、国立の中学に在籍しているものが都立高を受験しようと思えば、受験料を個人負担して受験することになるので、「無料」ではない。他道府県から転居等で都立高を受験するものでも同じ問題が生じる。

4. 「受検のしやすさ,地域による格差」に関して

→本番のスピーキングテストの受験会場は外部会場を設けるとされているのに対して、プレテストの段階では会場に中学校を使用しているので、実際の試験会場がどこなのか、そこまでのアクセス、交通機関等の利用も含めて、現時点で何のシミュレーションもなされていない。また「テスト当日には事業者がスタッフを派遣し、準備・監督、資材の梱包等を行います。」という見解が都から示されているが、過去の事業案が示していた「全会場において授業日に実施」とあるのはプレテストのことであり、公立中学校の授業日に、「試験監督」を外部の「事業者」が行うというのは良識を疑うものである。

板橋区立板橋三中公式サイトより
https://www.ita.ed.jp/weblog/index.php?id=1320127&type=2&category_id=7956&date=20211016&optiondate=202110
https://www.ita.ed.jp/weblog/index.php?id=1320132&type=1&column_id=107693&category_id=6459

5. 個人情報漏洩の危険性ついて

→ プレテストの受験のため、ウェブ上で生徒情報を登録する際、生徒の顔写真をアップロードすることを求められたという。来年度以降、公立中学校に通う生徒と都立入試受検予定者すべての名前と顔写真の情報、テスト結果という「個人情報」が一私企業に渡るということを当該の受験生や保護者だけでなく、都民は受け入れているのか?
今回はベネッセとその関連事業体が請け負っているが、ベネッセの個人情報漏洩が問題となったことは記憶に新しい。また関連事業体である「学力評価研究機構」の実態に関しては不透明な部分が多く、大量の個人データを本当に安全に適切に管理できるという根拠を示す必要があろう。

6. 「格差」の問題

→ 現行の入試でさえ、その対応/対策は盛んであり、塾に通える家庭の子と通えない家庭の子の間では格差が生じている。懸案のスピーキングテストは「タブレットを操作して録音する」という形式のテストであり、普段より、タブレット操作に慣れている生徒、塾に通ったり、e-learning で試験を模した教材を購入し対策をしている生徒に有利となることは十分に考えられる。
都は、「試験問題を作成する団体が,そのための教材出版や受検指導を行うことの利益相反がないように毎年チェックをする」といっている。事業体とその関連企業の利益相反がないことはもちろんだが、一度試験が行われれば、その対策商品が作られ、市場ができることは明らかである。既に、「スピーキングテスト対策」を謡った商品も作られており、格差の助長は「不安」「懸念」ではなく実害である。

7.大学入試での「英語民間試験」利用とは異なり試験は1種類で,種類間の比較の必要はないことに関して

→ 裏返せば一社独占の事業であることが問題。5 年ごとに事業締結を見直すようだが、その途中で、大きな事故や問題が生じた場合に事業を取り消せば済む、というわけにはいかない。また、もし新しい事業体と契約して事業を続けるとした場合に、その新しい事業体が作る試験と、現行の試験との整合性はどうとるのか?


以下、参考資料

「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」事業
令和元年度における実施協定の締結及びプレテストの実施について(2019年10月31日 教育庁)

www.metro.tokyo.lg.jp

予算に関して明記されているもの

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/02/14/documents/12_04.pdf

東京都スピーキングテストポータルサイト

www.tokyo-portal-edu.metro.tokyo.lg.jp

スピーキングテスト事業案概要 (2021年9月24日 教育庁)

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2021/files/release20210924_03/bessi.pdf

都議会でのやり取り
令和2年3月13日 付託議案など

www.gikai.metro.tokyo.jp

会の代表、大内裕和から次のようなお願いもあります。

「入試改革を考える会」はオンライン署名「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求めます!」の賛同団体となることを表明しました。これから「入試改革を考える会」としてこの署名に全力で協力します。皆さん、この署名を一人でも多くの周囲の皆さんに拡散してください。どうぞよろしくお願いいたします。

以上、記者会見関連の情報をまとめました。

※追記:その後分かったこと、更なる疑問点などを後日の別記事でまとめています。是非併せてお読みください。

第二弾
tmrowing.hatenablog.com

第三弾
tmrowing.hatenablog.com

朗報

あけましておめでとうございます。
生き延びられて、こうしてブログを更新できることに感謝します。
昨年下半期はつらい出来事が多かったのですが、ドラマで癒されたり、音楽で救われたりしました。ありがとうございます。

2022年は新刊の『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)ともどもよろしくお願いします。
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新刊の『チャンクで積み上げ英作文』は学校採択専売品。書店等での購入は不可。学校の教員以外の方が出版社に見本本を請求することも不可。ただ、書籍オプションで「音源」があり、「フラッシュカード(ドリルの英チャンクのみ)」は三省堂の「ことまなS」のアプリで入手可能。

tb.sanseido-publ.co.jp

新刊は「英作文・英文ライティング」を下支えする「ドリル」を主眼としたものですので、テキストで「四角化」の記号付での意味と構造の擦り合わせ、「日→英」のドリルを踏まえた音声化と記憶の定着のためのフラッシュカードだということをご理解ください。こちらのフォントはSassoonではありません。

※以下の写真は単に画面のスクショを載せただけですので、アイコンをクリックしても音声は出ません。ご注意下さい。
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学校教員の方の見本請求などはこちらから。

tb.sanseido-publ.co.jp

以下、セミナー告知です。

1月9日(日曜日)英語学習・英語教育セミナー:「英語ニュース」で養う「ことば」を読む「眼」 
高校段階レベルの英語力を前提としたセミナーです。12月の講座と同内容です。

passmarket.yahoo.co.jp

こちらの過去ログが予告編になっています。
https://tmrowing.hatenablog.com/entry/2021/12/21/121501

また、12月のセミナーの受講者がこんなコメントをSNSで残してくれています。ご参考までに。

2022年1月15日(土)
「英文ライティング指導法セミナー:適切な「フィードバック」のあり方・方法を考える
共通テスト後の「過去問演習」での添削・フィードバックも見据えて、英文ライティングの指導法を共有するセミナーです
passmarket.yahoo.co.jp


2022年1月16(日)
英語指導者対象セミナー:名詞句を中心とした「チャンク」の捉え方・教え方と「四角化ドリル」 
チャンクの指導法に加え新刊『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)作成の理念も解説。新刊のpdfでの配布はありません。

passmarket.yahoo.co.jp

12月の講座を受講してくれた方がご自身のブログでレポートをしてくれています。
受講検討の参考にしてください。アリシマ先生、ありがとうございます。

arishima.hatenadiary.jp

以下は受験生対象のセミナーです。
お知り合いの方にオススメ下さると幸いです。本当に必要な人のもとに、本当に有益な講座が届きますよう。

2022年1月23日(日)午後
A 講座 大学受験生対象「英文ライティング」オンラインセミナー
国公立大(東大・一橋・外語・お茶大等)、難関私大の過去問を踏まえたオンラインセミナー
passmarket.yahoo.co.jp


2022年1月29日(土)午後
B 講座 大学受験生対象「英文ライティング」オンラインセミナー
国立大(東大・一橋・外語・お茶大等)の過去問を踏まえたオンラインセミナー

passmarket.yahoo.co.jp


2022年1月30日(日)午後
C 講座 受験生対象「グラフ/図表の英文ライティング」オンラインセミナー
いわゆる「自由英作文」でグラフや図表に基づく英文ライティングを課す大学を志望している受験生を対象とします。

passmarket.yahoo.co.jp


ご縁がありますように。

本日のBGM: それは白くて柔らかい (森山直太朗)