continued efforts & increased confidence

あっという間に9月も半ば過ぎ。
激動の日々でしたね。
英国では在位70年を祝ったばかりのエリザベス女王陛下が逝去。チャールズ新国王が即位。
桂冠詩人のSimon Armitageが捧げたDouble Acrosticがこちらのリンクから辿れます。是非お読み下さい。

そんな世界の動きを横目に、私の方もいくつかオンラインセミナーも終わりました。
コロナ禍になり3シーズン目のオンラインですが、受講者そのものも、受講後の受講者からのフィードバックも、年々減っている印象です。皆さん忙しいのでしょうね。それでも、セミナーの内容を講師として振り返り、より良いものとして次回以降に提供するためには、受講された皆さんからのフィードバックはとても有り難いものなのです。今からでも全然構いませんので、感想、ご意見、実施してみて/取り入れてみての感想などをメールでお寄せください。

配信時間帯の回線状況をテストするという趣旨で「無料」で開催した「英語ニュース」関連のセミナーでは、こんなフィードバックをいただきました。

  • 英語ニュースで養うことばを読む眼

貴重な機会と資料のご提供をありがとうございます。これまでTwitterやブログでとびとびに拝見していた内容の理解が、レースのカーテン越しから網戸越しくらいの解像度に上がったように思います。

特にすっきりと視界が開けた、というか立体的に体感できたと感じたのは次の点です
・asの前景・後景
・現在完了形の肝---達成・成果/被害・損失、波の拡がり方
・比較級含意の動詞、序数等時間の経過を含意する語句

語句、構文の選択、文と文のつながりがぐっと迫ってきて、思わず声が出てしまいました。細かい部分を意識せずなんとなくそのような意味合いで読んだ文が急にカラフルにくっきりと立ち上がってくるように感じます

ほかにも、進行状態ではなく結果・現状のwith O ~ing
情報を導入するthere is (名) ~ing
Bが前提ではなく単なる追加のA as well as B等々
そういえばそうだと腑に落ちることが多く、早く生徒たちにも知らせたくてうずうずしていますが、まずは教材を見直して、時期をみて導入していこうと思います

映画やテレビドラマを字幕で観るのが好きで、字幕と見比べて面白いとおもった表現を使ってみたことはありますが面白い、で終わっていました。「作文の目で読む」ことをブラッシュアップする機会は毎日の生活でたくさんありますので、ノートに書き留めるなどして意識的にやっていこうと思います
「意味がわかったらことばを」読む視力を上げたい、はたして自分一人でも同じように視ることができるや否や...

お役に立てて何よりです。大学入試の読解問題のような「難構文」と格闘するという類いの「読み」ではなく、twitterなどソーシャルメディアで流れてくる程度の分量で、一見易しく、与しやすく見える英文を素材として、「ここは気にならなかったですか?」「そこはそれで済ませていいですかね?」「その和訳だと、これこれこういった英文に対応することになりはしませんか?」といった、私が学生時代にK先生に薫陶を受けたようなアプローチで、「意味が読めたら、ことばを読め」ということを求めています。

  • 比較の基礎基本とその生息域を実感する

と題したセミナーの受講者からはこんなメールが。
以前も私のセミナーを受講してくれたことのある、所謂「受験指導をされる講師」の方からです。

松井先生の比較の講義を受講して最初に思ったのは自分は比較の何を知っていたのだろうか、ということでした。
自分が教えていた比較というのは入試の問題をうまく解く方法でしかなく、非常に狭い範囲でしか比較というものを捉えていないということでした。内容を詳しく書くとネタバレになるためよくないとは思いますが、松井先生が比較をどのように考えてきたのかが追体験できるような講義でした。
松井先生の学生時代や教員としての経験や参考文献をもとに多様な視点から語られ、英語の比較を学んでいるのに気がつくと英語や言語というものを考えるヒントを与えていただいているような刺激的な講義でした。
また、途中ではさまれる書物の話も参考になり、特に『ジュニア英文典』の話題の際に自分が読んでも全く気がつかなかった点を指摘されていたのが印象に残りました。話題となっている『ジュニア英文典』ですが、私を含め、その素晴らしさを理解している英語教員は少ないのではないか、と思います。
その意味でも英語教員の方にはぜひ受講していただきたい講義であると思いました。

こちらこそ、ご受講、ありがとうございました。
対象者は指導者に限らないセミナーでしたが、学習者に益のある視点や内容は、指導者にも参考になると思っています。比較のセミナーも次回があれば、改善しさらに良いものを届ける所存です。今後ともよろしくお願いします。

  • 時制」「助動詞」とその生息域を実感する

と題したセミナーの受講生から。

言語事実を知る上で適切な実例が目の前にあっても、思い込みがあると得るべきものが得られないことがある。という主旨のことばにハッとさせられました。指導者である以前にそもそも一学習者としてことばとどのように向き合うかという点で示唆に富む有意義なセミナーでした。
参加できて良かったです。ありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

別な方から。

昨日は助動詞の番付表の講座を開いてくださり、ありがとうございました。
ELECなどを含め、最近の英語教員向けの講座の多くが「英語そのもの」ではなく「教え方」が中心になっているこの時代に、先生の講座は本当に貴重なものだと思います。
教える側がそれぞれの表現の「生息域」を意識してこそ、生徒に効率的に、効果的に教えられるのだと思います。先生がくりかえしおっしゃる「(生徒が)ある程度実例に触れれば実感がもてるようになる」ということも、単に網羅的に扱うこととは全く違いますね。
とかく「教えたという既成事実」を重視し、教える喜びをつい忘れがちになってしまう日々ですが、先生の講座で勉強させていただくたびに、自分の不勉強に落ち込みつつ、希望の光を感じて「もう少し頑張ろう」と思えます。
これまで完了、助動詞を扱ってきたので、番付表を扱うのはここだ!と思い、夏休み前にアレンジして生徒に紹介し、生徒に例文を示し、ペアワークで下線をひかせました。そもそも教科書や文法書では「横綱」と「平幕」のみが助動詞として扱われているので、生徒にとって新鮮なようでした。
できる生徒はカテゴリーとして自然に理解してしまうことを体系化して示し、必要に応じて戻ってくるベースとするのは、本当に意味のあることだと思います。
診断テストも購入させていただきましたが、これからゆっくりじっくり読むつもりです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

入門期は扱える言語材料に制約がある中、ご活用いただけて何よりです。ありがとうございます。こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

8月の後半に行った「英文ライティングのフィードバックのあり方を考える」セミナーも好評でした。
指導歴の少ない若い世代の方、とだけお伝えしておきます。

今回のセミナーでも大変お世話になりました。他所とは一線を画する内容で、非常に濃密な時間を過ごすことができました。「明日からすぐ使える」メソッドの類が提示されるのではなく、これまで自分が積み重ねてきた間違った認識を改め、従来の授業設計を見直すための手がかりとなるような内容でした。

日本の教育現場でのライティング指導に問題があるということは、生徒側も薄々感じ取っているものだと思います。私の通っていた学校や予備校でも、教師や外部サービスによる添削は行われていましたが、若干の文法ミスや論理の不備を指摘される程度で、適切なフィードバックを得られているとは言い難い状況でした。いわゆる「書きっぱなし」の状態で生徒は自身の答案の改善点を掴めないまま困惑していました。
また、何を書けばいいのかわからないような、不適切なお題設定の設問も多々あり、多くの生徒が苦痛を感じていたと思います。そこで教師が授業でやることと言えば、出来合いの解答例を丸暗記するよう促すことくらいでした。これでは、丸暗記したテンプレートを吐き出して乱暴に繋げるやり方しか身に付かず、「英文のつながりとまとまり」などは到底意識できるはずも無かったと感じます。

このセミナーでは、その手の授業とは対極に位置するような授業設計の指針を、いくつも学び取ることができました。過去問演習はあくまで過去問演習であり、生徒に実力を身につけさせるには、教師が自分でお題設定・評価方法を吟味した問題を使う必要があること。課題に取り組ませるより前に、お題に関連する語彙や表現を与えるなどの下準備が必要であること。また、それらを可能にする圧倒的なライティング力を教師側が身につけておく必要があること。スマコレなどの外部サービスでは絶対に代替できないような、教室指導、集団指導ならではの授業設計を考えるヒントを頂けたと思います。

今回も素晴らしいご講演をありがとうございました。ほとんど指導経験の無い私には実感が湧きにくいテーマでしたが、頂いた資料を何度も読み直して、少しずつ消化していきたいと思います。また別のセミナーも受講させていただこうと思いますので、その際はよろしくお願いいたします。

長文のフィードバックありがとうございました。
「気づき」を実践に落とし込んでみての疑問点等は、またメール等でお寄せください。
「マネジメントの現実」はなかなか手強いですから。


以下、来月のセミナーの告知です。
指導者に限らず、英語学習に役立てたい方なら受講可能です。スケジュールの都合がつく方、是非、ご検討下さい。

10月1日(土曜日)英語学習・英語教育セミナー:「時制」「助動詞」とその生息域を実感する

passmarket.yahoo.co.jp

※こちらのセミナーは、テキストを別途 note のマガジンで準備して臨んでいただくことになりますので、ご注意下さい。

10月8日(土曜日)英語学習・英語教育セミナー:「比較」とその生息域を実感する

passmarket.yahoo.co.jp

※こちらのセミナーは、テキストを別途 note のマガジンで準備して臨んでいただくことになりますので、ご注意下さい。

10月30日(日曜日)英語学習・英語教育セミナー:「英語ニュース」で養う「ことば」を読む「眼」 
※今回は有料セミナーですのでご注意を!
高校段階レベルの英語力を前提としたセミナーです。以前の講座とほぼ同じ構成ですが、その後の新たなニュース記事も取り上げます

passmarket.yahoo.co.jp

※こちらには特定のテキストはありませんが、私がtwitterで行っている「英語ニュース引用RT140字紹介&詳解」を事前にお読みいただくことが重要になります。

twitter.com


本日のBGM: I’m trying (Slack Times)

what to hand down from generation to generation

LET61 のワークショップ、無事終了しました。司会の菅井先生、本当にお世話になりました。
参加された皆様、アサイチからお疲れさまでした。ありがとうございます。

ワークショップ開催時刻がちょうど 9:30-11:30でしたので、黙祷の時間はとれそうになかったので、冒頭で長崎の平和祈念像の背面をお見せしました。そのブロンズ碑の背面のさらに下の台座部分には、作者の北村西望氏の直筆メッセージが彫られている、という話しをさせていただきました。

さて、そんな直筆 = handwriting に関わるネタを。

ソーシャルメディアでも話題のグテーレス国連事務総長の広島「直筆」メッセージ。
もう、お「読み」になりましたか?

https://twitter.com/UNIC_Tokyo/status/1555748495029522432
写真だけをとり出しました。

かなり癖の強いhandwritingですが、私は頑張って自力で「解読」して、結構疲れました。
まあ、「偉い人」の字は部下の人に読んでもらえるので、こんなに癖があってもなんとかなるわけで、国連広報センターのサイトには、この直筆メッセージでは何て書いてあるのかが書いてあることに、後で気づきました。

国連広報センターの該当ページがこちら。

www.unic.or.jp

ただ、このメッセージの最後の単語は (nuclear) weapons と複数形だと思うので注意が必要かと思います。handwritingに癖はあっても、語彙選択や構文選択はフォーマルで的確なのが国際的な公人のメッセージですから。

こちらのツイートでは "nuclear weapons" と複数形を2回使っています。もっとも、このツイートがご本人自らの入力かどうかまでは分かりませんが。

直筆メッセージの n の後にやや長めの右肩上がりのストロークが続き、最後に下向きのフックのようなものがあって s になる、と見るべきかな。

lessons
weapons

彼の手書きは、a / h / s / t などが独特なので、一文目の "from this sacred space" の sacred に時間が取られました。
あとは終わりの方の "on behalf of" に続く women and men は and のペアに入りそうな語句を実際に手書きしてみて、動きと長さから割り出しました。

私は sacred とのコロケーションだと迷わず名詞のplaceを使うのですが space だとどのくらいこなれた結びつきか、Ngram viewer で検索し確認しました。思い込みを排して調べてみるものです。あらためて言葉が生き物だと痛感しています。


sで始まる語でまず浮かんだのは serene ですが、それでは tragedy や victims を置き去りにするのと、アセンダーがないので即没。
次にアセンダーが入る subsided を検討しましたが、名詞で場所と結びつくことは稀で却下となりました。

手書きの字形に近いものとして serried も検討しました。形は結構近いのですが、いくら世界各地から参集しているとはいえ「人がぎっしり」では「悼む思い」が全く含まれないのと、二重子音字のr r が見て取れないので、これも却下。

ということで、"sacred" しかないだろうと思い直し、Ngram viewerを検索してみて、ああ、「今ではspaceも普通に使うんだ」ということに目を啓かされた次第。

women and men を割り出すまでに入れてみたペアの候補はこんなところから。
手こずった要因として、men and women の思い込みも多分にあったかと。


私が書き出したメッセージはこちら。

It is an honour to stand with the people of Hiroshima on this important day, from this sacred space. The lessons of Hiroshima and Nagasaki, and the memory of those who lost their lives on that terrible day 77 years ago, will never be forgotten. On behalf of the women and men of the United Nations, I pledge to keep their memory alive, and continue working towards a more peaceful world, free of nuclear weapons.


機会があれば、私の手書きも載せたいと思います。

今回のLETのワークショップでは、普段の「文字指導/handwriting 指導法セミナー」でいえば、初級を中心とした内容を扱い、近年の知見を少し盛り込みました。
※以下のセミナーは開講しないこととなりました。またの機会をご利用下さい。

その先の「中級編」を9月初旬に開講します。今回のワークショップの参加者は「初級編受講済み」に相当しますので、中級編を受講しても大丈夫だと思います。ご都合がつく方は、同僚の方を誘ってお申し込みください。

2022年9月4日(日) 午後 中級編
passmarket.yahoo.co.jp


本日はこの辺で。

本日のBGM: what time won't heal (Bill Lloyd)

2022年9月5日追記:KELESジャーナルの2022年号が公開されています。
昨年(2021年)のKELESのワークショップの振り返りです。
この最後につけた資料解説は、今年のLETのWSのものと概ね共通しています。
学術論文ではありませんが、文字指導/handwriting指導分野の研究に必須の情報は提供できているだろうと思いますのでご活用下さい。

(再)入門期に於ける英語の文字指導での基本的な考え方
www.jstage.jst.go.jp

生存確認、あるいは生存者バイアス

生きています。
気がつけば2ヶ月ぶりの更新。
これだけ空いたのはいつ以来だろう?

とにかく6月は心身ともに絶不調で、1日授業を休んだほど。
今学期で廃業しようか、とも思ったくらいの「底」「谷」から、何とか持ち直して1学期の授業も、成績出しも終えて、イマココ。
私を救ってくれたものをちょっと振り返り。

この2冊

haratomo様40周年記念

スペシャルドリンク


心身に歪みを来したのは、仕事でのストレスもあるけれども、何といってもコレ。

  • 「ESAT-J不受験者の仮結果推定の問題」

このシミュレーションをやっていて、本当に具合が悪くなったのです。
「この問題には、もう近寄らない方がいいのでは?」と自分でも思いましたが、大手の報道メディアも殆ど何も報じない問題点のあれやこれやは、表に出しておかねば、ということで、資料を作り、オンラインでの学習会も開催し、noteで資料も公開し、その後、動画もYouTubeで公開しました。

noteの資料はこちらのリンクから。

note.com

YouTube動画はこちらから。

youtu.be

資料をnoteで公開したのは6月26日。
動画を公開したのは7月9日。
私は「入試改革を考える会」の1月の記者会見でも、3月末の記者会見でも、素性を明かして実名で、できる限り具体的な例を挙げて批判してきたのですが、1名の記者を除いて、私に問い合わせや確認をしてきた報道メディアの人はいないんですよ。

そんなこんなで時間だけが無駄に過ぎていく中、「吃音(きつおん)」の人は申請が認められればESAT-Jの受験を「免除する」という都の方針がスクープされ話題になりました。「受験をしない」わけですから、「不受験者」とみなして、「学力検査の得点に基づく仮結果推定」という、解消のしようがない瑕疵がある制度に引きずり込むことになります。

私は再三、

  • 善意で舗装された地獄への道に受験生を乗せるのですか?

と、都教委、都立高教員、報道メディアにメッセージを送ってきましたが、とりわけ報道メディアが、この「不受験者の扱い」の問題点を具体的に報じないことには本当に驚き、憤っています。

本当に、時間を無駄にしている余裕はないのです。
英語教育に関わる「業界誌」の来月号の特集に、このESAT-Jが取り上げられるそうです。

私は、この数年で何度、「『英語教育』は死んだ」と呟いたかわからないくらい、この雑誌の近年のあり方には批判的ですが、これは酷い。

御用雑誌、極まれり、ですね。

来月の中旬には発売になるのでしょうが、それまでにESAT-Jを止められれば言うことはありませんが、そうならなくても、いかに破綻した制度設計で、無責任な実施が危惧されるのか、訴え続けていきます。

こちらに「入試改革を考える会」の大内代表の呼びかけがあります。よろしくお願いします。


最後は告知。
私の専門(自称!)である「英文ライティング」のフィードバックのあり方を考えるオンラインセミナーを開催します。
7月31日(日)、8月7日(日)、8月21日(日) と3回とも基本的に同じ内容です。
近年、スピーキング指導のフィードバックの流れで、ライティング指導でも「ゆるふわ」なフィードバックが推奨されていますが、「現実に書かれた言葉がそこにある」ライティングという活動の特質を踏まえて、フィードバックのあり方を考える2時間です。私の教室での高校生の英文ライティングに対するフィードバック例とその背景もお伝えします。多分、他のどのセミナーでも得られない内容だと思います。

7月31日
passmarket.yahoo.co.jp

8月7日
passmarket.yahoo.co.jp

8月21日
passmarket.yahoo.co.jp

上記日程で都合のつく回でお申し込みください。2学期以降、来年度以降のスムーズな取り組みには、同僚の方を誘っての受講がお薦めです。

もう一つは、指導者に限らない、英語学習に資するオンラインセミナー。
8月20日(土) 10:00-12:00
「時制」「助動詞」とその生息域を実感する

passmarket.yahoo.co.jp

テキストは、noteで既に公開しているマガジンを使います。まだお持ちでない方は、受講までにご購入し、準備して下さい。
note.com

本日はこの辺で。

本日のBGM: 守ってあげたい(原田知世)

Does that go against the grain with you?

たまには「英語」そのものの話を。

twitterのTLで見かけた表現が気になったので以前使っていた教材を振り返って見た。
そこでは、次のような英文を完成させる問題が出ていました。恐らく、大学入試の問題から引いたものでしょう。

  • Every time she drinks beer, she feels sick. Beer doesn't agree with her.

彼女はビールを飲むと決まって気分が悪くなる。ビールは彼女の体質に合わない。

かつては「入試頻出」とされていたようで、『クラウン受験英語辞典』(三省堂、2000年)では、
「意外な意味 agree with …『(食べ物、気候が)…に合う』も頻出」として、次の出題例を示している。(p.49, agreeの項)

Strange beds have rarely agreed with me. 普段と違うベッドはまず私に合わない。(早稲田大)
Life in the city has never agreed with me. 都会暮らしは決して私には合わない。(青山学院大)

日本の大学入試英語のデータベースとしての資料価値が高い上述の辞書も、刊行から既に20年以上経っています。

  • では、この表現は実際どのくらい使われるのか?

は気になるところ。

以下、各種辞書の定義・用例を引いて考えてみましょう。

COBUILDの句動詞辞典では、飲食物など口に入れるものを主語とする語義に対して次の定義と用例。

If a particular food or drink does not agree with you, it makes you feel ill. = upset
(COBUILD Phrasal Verbs, 2013年) 用例→ My milk didn’t agree with the baby.
否定の文脈のみで用いられることで、パラフレーズは upsetを示していることを確認。
句動詞辞典ではないCOBUILD (2018年)では次の定義と用例。

  • If some food that you eat does not agree with you, it makes you feel ill.
  • I don’t think the food here agrees with me.

同じCOBUILDでも句動詞辞典ではこの語義とは別に次の語義を立て、old-fashionedと注記を加えている。
If something agrees with you, it makes you feel healthy and contented. = suit

  • The sea air really agrees with her.     

肯定文の用例を確認

Cambridgeの句動詞辞典では

if a type of food or drink does not agree with you, it makes you feel slightly ill. (Cambridge Phrasal Verbs, 2006年)

  • I tend to avoid onions – they don’t agree with me.

この語義に対して、句動詞辞典ではなく、Cambridgeの上級学習者用辞書では、項目そのものをnot agree with sbで示している。定義は同じだが、用例はコンパクトなものに差し替え。

  • Those onions I ate didn’t agree with me.

この語義とは別に次の語義を項目立てして、肯定文の用例を示している。(オンライン版も同じ)
If a situation or new conditions agree with you, they make feel healthy and happy.

  • You look well---the mountain air must agree with you.

上述の句動詞辞典の方では、slightly old-fashioned という注記を加えた上で、次の定義と用例。
If new situations or conditions agree with you, they are right for you and make you feel happy.

  • The sea air seemed to agree with him---he looked fitter than he had in a long time.
  • It’s good to see you looking so well--- motherhood obviously agrees with you.


MW’s の学習用辞典では、先に引いた辞書のように語義を分けていない。

agree の項で+ withとして to be suitable for or pleasing to someone の定義を示しているだけ。
用例は肯定文と否定文が混在で、主語の制約など、特に語法注記はない。

  • The climate agrees with you. [=the climate suits you] ※パラフレーズは suit
  • Spicy food doesn’t agree with me. [=spicy food makes me feel unwell]

MW’s は初学者向けでない上級用辞書でも同じ語義と定義・用例を載せている。


Macmillan の句動詞辞典 (2005年) は追い込みが分かりにくいので、注意が必要。

agree with の項では、
if a situation or away of living agrees with you, you enjoy it and you feel happy and relaxed
という定義の下に、

  • I find that country life really agrees with me.

という用例を配置し、それと並べて、別な定義の語義を追い込んでいるので、実質語義を分けたもの。
if something such as food or drink does not agree with you, it makes you feel ill: Stop taking the medicine if it doesn’t agree with you.
disagree withの扱いは以下の通り。
if something you have eaten or drunk disagrees with you, it makes you feel ill ≠ agree with
agree withをこの語義で肯定文で使う頻度を考えると、この記号は誤解を招くのでは?
同じMacmillanでも上級学習者用辞書(オンライン版も同じ)では、次のように状況・環境と、口に入れるものとで分けている。2の語義では、肯定文の用例、3の語義では否定文の用例であることに注目。(とはいえ、3の定義は分かりにくいと思う)
2. if a situation or way of living agrees with you, you enjoy it and feel happy and relaxed

  • I find that country life really agrees with me.

3. (agree with someone) if something such as food or drink agrees with you, it does not make you feel ill

  • Stop taking the medicine if it doesn’t agree with you.

Longman の句動詞辞典 (1983年) では、agree with に対して次の定義 to suit the health of (someone)を与え受け身不可で時制は単純形という制約を示している。用例に「疑問文」もあり。

  • The onions did not agree with me, and have given me a pain.
  • Does the thin mountain air agree with you?

disagree with の定義には、 (of food, air, or weather) to harm the health of (someone) とあるが、weatherを主語とした用例はなし。 飲食物以外の主語では、City air disagrees with me. がある。
最新版のLDOCEでは disagree with を項目立てして次の定義と用例を示しているが、気候も含め状況・環境の例はなし。
if something such as food or weather disagree with you, it has a bad effect on you or makes you ill.

  • Seafood always disagree with me.

一方のagree with では、項目立てを not agree withとし、次の定義を与えている。気候や環境の意味は含まれず。用例も口にするもののみ。
if a type of food does not agree with you, it makes you feel ill

  • Green peppers don’t agree with me.

Oxfordの句動詞辞典 (1993年)では、disagree with に have a bad effect on (sb’s health etc) という定義を与え、主語には food, meal; fish, wine; heat, humidity と典型例を列挙している。

用例に気候の例あり。 

  • Hot climates disagree with her.

OALDの最新版ではdisagree with は定義のみで口にするものも含めて用例はなし。
if something, especially food, disagrees with you, it has a bad effect on you and makes you feel ill
agreeでは、句動詞 not agree with somebody を立て、主語に縛りを与えた (of food) to make you feel ill と定義づけし、次の用例を示している。

  • I love strawberries, but they don’t agree with me.

少し旧い米用法を反映していると思われる、Thorndike & Barnhart High School Dictionary (5th edition, Scott-Foresman, 1968年)では、語義の6. としてagree with を入れており、次の定義・用例を示している。 have a good effect on; suit:

  • This food does not agree with me; it makes me sick.

この定義・用例はその後のWorld Book Dictionary (私の所有するものは1987年版)では、句動詞の項目立てにはなったがそのまま引き継がれている。

こうして見てくると、肯定の文脈でも使われるとされる「気候や環境」が人に合う/心身に好影響を与える、という用法が現代でどの程度用いられるか、というあたりが悩みどころ。

「米」文脈をCOHAでざっくりと眺めてみると気候だけでなく1970年代以降は見当たらず。

NOW コーパスで現代のニュース英語を眺めてみると、気候などを主語にするのは、それほど頻度は多くない印象。



使用域は「英」文化圏とまでは断定できず。



肯定をざっくりと眺めてこの項目一段落。






出講日の朝の日課でもある 「英語ニュース引用RT140字紹介&詳解」での興味深いニュースがこちら。

学びどころ満載のツイートなんですけど、反応が殆どありませんでした。
もし「英語」に興味関心があって、私のアカウントをフォローしているのだったら、こういうのをチェックしないのなら意味がないと思うんですけどね。

ハッシュタグも付けている 「#asの前景後景」 も、今年になってから既に30本強投じています。
こちらが書き初め。

こちらが先週初めの投稿。ここまでで36本でした。

その中でも学び甲斐のあるツイートがこちら。

昨年度の高2にはよく読んでいた人がいましたね。続けているうちに、どんどん「眼」ができ、英語のセンスが豊かになっていきますので、まず始めること。始めたら続けることですかね。多くの人は始めるまでが大変で、しかも続かないから。

合う合わないは確かにありますけど、「テスト依存体質」を改善するだけで、いろんなものが吸収できるようになるものですよ。
本日はこの辺で。

本日のBGM: Temperamental (Everything But The Girl)

Arriving too late?

4月は全く更新できずに、5月も下旬。
学校教員の「師走」は12月じゃないね。

セミナーの告知から。

「ライティング」の指導法・評価法に関連して。
2022年6月18日(土曜日)

passmarket.yahoo.co.jp

今回も「フィードバック」に主眼をおくものですが、巷で嘯かれる、

  • clarification request

とか

  • elicitation

などの「ゆるふわ」なものではなく、また

  • metalinguistic feedback

などといわれる、記号によるものでもなく、明示的で言語的なフィードバックのあり方を示し、そういうFBが、なぜ今、有識者によって説かれるような「学習者の書く意欲を減退させる」とか「間違えてはいけないと萎縮させる」ことにつながらないのか、なぜ学習者は、さらに英語を書くことに取り組み、それぞれが習熟していくことが可能なのかを、受講者と一緒に考えたいと思います。

学会を覗いてみると、最新の研究、知見が紹介されたりするのですが、その研究者が中等教育段階でどの位の年月をかけて、どのくらいの人数の学習者に英語のライティングを教え、実際に自分で評価してきたのか、ということを考え合わせる必要があると思っています。


この分野の巨匠であるDana R. Ferris も、L2の教室に根ざした研究を続けているIcy Leeも、A. D. Cohenの昔の著作を踏まえているというのに、最近の日本の研究者の参考文献には、殆ど見当たらないですよね。あと、国内の先行研究で青木信之氏の著作も。


勿論、Cohen 氏は近年もPragmatics関連で精力的に論文・書籍を出されていますので、そちらも機会があれば。


高校では今年度から新課程で「論理・表現」という志の高い科目が始まりましたが、教科書がそれに見合っていないのか、新課程の学習指導要領のピントが外れているのか、教室現場は四苦八苦しているような印象を受けます。少なくとも「つながりとまとまりのある英文ライティング」に関しては、明らかに後退した教科書が増えた印象ですが、単なる憂いとか憤怒を超えた、ベテランならではの話をします。


「文字指導/handwriting指導法」セミナー、6月の回は初級です。
2022年6月19日(日曜日)

passmarket.yahoo.co.jp

GWを挟んで、初級編と中級編を開講しました。
「美しい文字を書こう(書けるようにしよう)!」というゴールではない指導法セミナーは稀有だと思います。

  • え?では何のため?

という指導者の方は「初級編」の受講をお薦めします。

巷に蔓延る次のような悪手の根絶を目指しています。

  • 悪手1:合格するまで居残りでテスト
  • 悪手2:宿題でノートの1行に文字や単語を何回も書かせる

え?ダメなの?
他にどうしろと?
という人は今すぐにでも申込を!
「文字指導/handwriting指導の基礎基本」とは何か?今まで見えなかった文字が、児童・生徒・学習者の書く姿が見えるようになる、2017年から継続してきたセミナーの最新アップデート版です。
是非、同僚の方をお誘い合わせの上、お申し込み下さい。
小学校、中学校段階の指導者だけではなく、高校や大学の指導者の方にも響く内容だと思います。できれば、大学の教職課程を担当されている方、自治体の指導主事の方、そして文科省の英語教育担当の方に受講していただきたいと思っています。


最後は、「入試改革を考える会」関連。
東京都立高入試でのスピーキングテスト(通称: ESAT-J) 導入の中止を求める緊急アピールです。

note.com

ついに、都内の現職教員への説明会が始まったようですが、質疑応答もないということで、疑問は全く解消していないと言っていいでしょう。
来月(6月)の都議会でどの程度取り上げられ審議されるか未だ見通せませんが、この「緊急アピール」をお読みいただき、問題意識を共有できた方は、声を上げて欲しいと思っています。
今、ここで止めないと、全国へと波及します。
よろしくお願いします。


本日のBGM: Drowining Witch (Frank Zalpa)

Whose victory?

f:id:tmrowing:20220331142205p:plain

2022年3月30日(水) 文部科学省記者クラブにて開催された「入試改革を考える会」の記者会見第2弾にスピーカーとして参加してきました。

東京都立高校入試への英語スピーキングテスト導入の問題を論じるものです。

その時の資料をこちらに転載します。

当日の全体進行は、

  • 代表の大内裕和
  • 松井孝志
  • 鳥飼玖美子

の順に発言し、その後、代表の大内からの今後の動きの説明に続いてメディアからの質疑とその応答、となっています。
こちらの動画を是非ご覧下さい。

2022年3月30日 「入試改革を考える会」文科省記者会見
www.youtube.com

以下、松井分の資料です。


「入試改革を考える会」記者会見資料: ESAT-J導入の問題点

2022年3月30日(水) 於:文部科学省記者クラブ
英語講師 松井孝志 

1. ESAT-J の目的の羊頭狗肉

※都教委からの途中経過の報告はこちら

2022年2月17日の公開です。3月31日段階ではまだ読めるようです。
www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp

・学力検査入学者がもたらす情報の貧弱さ。推薦等の入学者での情報の欠落。
ESAT-J の結果を使うのは「学力検査」を課す入試選抜の枠組みでのみ。入学定員約4万人のうちの約4分の1に当たる入学者が高校に送る調査書にはESAT-Jのグレードもスコアも記載されていない。

・事業の目的で謳っている「英語指導に活かす」ことのできない情報量(内容)。
ESAT-Jの結果で調査書に記載されるのは「100点が上限のスコア」でさえなく、6段階のグレードのみ。テストの設問の4パターンのそれぞれで「タスクの達成度」も分からず、「使用できる語彙表現の多様性」も分からず、「音声の特徴や流暢さ」も分からない中で、どのように「スピーキング力」の指標として入学後の指導に活かせる?


2. 入試選抜の枠組み・制度上の不備、杜撰さ
・公平性が確保できない不受験者の扱いと「独自出題校」受験生の扱い。

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(表1)

f:id:tmrowing:20220331133427j:plain
(表2)


3. 「似てるけど違う」?: 評価も含めた不透明さ、言語テストとしての妥当性
都教委はオンラインの説明会で、2021年に行った「プレテスト」の評価基準を取り上げている。

2022年3月23日に公開されたが、わずか1週間で削除されているので現在は見られない。
youtu.be

そのうち設問Cの「4コマのイラストの描写説明」の評価方法を考えてみたい。
4コマそれぞれのイラストの説明ができているか否か、という「達成度」は0か1かの2段階。
語彙・表現・文構造などの「言語使用の豊かさ」は0,1,2,3,4の5段階。
個々の発音、言いよどみ、言い直し、流暢さ等の「音声」は0,1,2,3 の4段階。
以下の表は、都教委が示したものではなく、松井が仮定した受験(受検)生の評価例である。

f:id:tmrowing:20220331133643j:plain
(表3)

ここでまず確認したいのは「タスクの達成度」と「言語使用」「音声」との重みづけである。
全ての受験生が「観点別の素点合計」は同じ6点となっているが、この受験生の「スコア」が同じであるかどうかは分からない。
・A → 4コマの説明描写は全て不可だが、話している音声は英語らしさがあり、多様な表現を駆使している。
・E → 4コマ全て説明描写ができているが、話している音声は英語らしさが弱く、表現も簡単なものしか使えていない。 
・BとC は4コマの描写でできているのは半分で、かぶっていない。言語使用は2、音声は2なのに対して、Dは3コマ描写できていて、言語使用が1、音声が2。
・HとI の差は、4コマの描写のうち、2コマ目ができているか、3コマ目ができているかのみ。
次に確認したいのは、「言語使用」と「音声」とのバランス。仮に、音声は「発音・リズム・抑揚」「言い淀み」「言い直し」等の観点で母語話者に近いほど高い評価とした場合に、語彙表現、文構造と掛け合わせた優劣は

  • A<B
  • A<C
  • B<D

となるだろう。では、BとCはでどう優劣をつけるのか?その優劣をつける根拠は?

f:id:tmrowing:20220331133725j:plain
(表4)

このような「観点別素点」は、ESAT-Jの実際の「スコアレポート」では明かされないことになっている。 「得点開示は成績票がすべて。これ以上のものを渡すことは難しい」(『AERA』 2022年2月21日号での都教委西貝氏の回答。)

dot.asahi.com

その一方で、都教委が「ESAT-Jと似ているけれども違う」と言うGTECが「高校生のための学びの基礎診断」というテスト事業で文科省に提出した資料には次のようなものがある。

2021年6月30日提出 
https://t.co/XHNEJH88D1
f:id:tmrowing:20220331133951j:plain

同じ企業が関わる「テスト」である以上、ESAT-Jで「観点別素点」を明かせない理由が「企業秘密」とは言えないだろう。


4. 事故やミス対応への「プレテスト」事前事後の検証の有無が不明
  2021年度の「プレテスト」では、受験生は約64000人という「概数」しか報告されず、機器のトラブル、音声回収の不備、喪失などの「事故やミス」の報告がこれまでなされていない。2022年11月の「本番」に向けての対策をとるためにも、事故やミスの検証は不可欠ではないのか?

京都工芸繊維大の羽藤由美教授は、自身が開発・運営に携わるスピーキングテストでの「事故」「ミス」に関して、松井とのソーシャルメディアのやり取りで次のように記している。
「万全の対策をしても回答音声の回収トラブルは起こります。1回の受験者が800人程度の我々のテストでも以下のとおり。私達は1問分でも回収できない場合は受験者に連絡して再テストを受けてもらっていますが,そのあたりの対応はどうなっているのでしょう?」

https://twitter.com/KITspeakee/status/1508212829434052608

以下の表はJACET関西紀要 vol.23(2021), p.116より「トラブル一覧」を抜粋したもの。

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2021年のプレテスト受験者の64000人は、京都工芸繊維大の受験者の約80倍。「本番」のESAT-Jは約8万人と言われているので、約100倍の受験規模である。「ミスや事故が生じたときの対応」「被害を被った受験生の救済措置」など、未だ決まっていないのだとしたら、何のためのプレテストだったのか?


以上、記者会見資料の転載です。
会見でも強調しましたが、

  • 公立学校の入試選抜で使える公平性・公正性の担保された枠組み・制度にはなっていません。
  • このまま推し進めれば、単にスピーキングテストだけではなく、日本での「言語テストの信頼性」を著しく損なう恐れがあります。
  • そして、今、ここで止めなければ、他道府県へ拡大していく可能性があります。

東京ローカルの話題ではなく、日本の公教育の根幹に関わる問題として捉えてくれる人が一人でも増えることを切に願います。


本日のBGM: 
東京VICTORY (サザンオールスターズ)

2022年4月4日追記:
過去ログでの関連記事へのリンクを追加します。
併せてお読み下さい。
 
tmrowing.hatenablog.com

tmrowing.hatenablog.com

tmrowing.hatenablog.com

愉気

今年度出講先の授業・テスト・成績処理も全て終了。

前回のエントリーで、高2の「総括票」となるアンケートの抜粋を載せましたが、そこで多くの生徒が言及していた「ライティング課題」とその「フィードバック」に関して、補足を少々。

ソーシャルメディアの twitter では、既にいくつかつぶやいていました。

今年の某大の前期のライティングが、ベタな「お題」でびっくり。
語数の制約が異なると難易度は激変するけれど、高2でこの前やったものとほぼ同じお題。

私が授業で課題として扱う場合は、「お題」として適切なものに修正して課すようにしていますので、今回の高2の課題も、ここで取り上げた入試問題のような雑な設定にはしていません。

雑な扱いといえば、「制限語数と理由付けの個数」というのも、独特の入試文化の中で生き延びていますね。
日本の英語教育に対しては兎角「ガラパゴス」というような揶揄をする世間が、なぜこのような雑なお題での出題を放置しておくのか理解に苦しみます。私の解決策の提言は既に2006年の『英語青年』の特集でしていますが、改善の兆しは一部の大学だけで、他にはほとんど波及していませんね。

別の某大学は入試改革や高大接続の研究では最先端の筈なのに、英文ライティングでは●ソみたいなお題。表の情報から外れずに理由を3つあるのは良いけど、80語の制限では一つ一つの理由付の論理がスカスカになるでしょうに。その上個人的体験を盛り込め?大学が標準解答例を責任持って公開して下さい。

まあ、「ウ」を入れるか、「ク」を入れるかはご自由に。

私の基本的なシラバスは次の通り。

私の場合、高2段階ではテクストタイプ別に100−150語程度でつながりとまとまりのある英文を書けることを目指し、高3段階では語彙構文を成熟させ80語程度の英文にまとめる、データなども含めさらにサポートを充実させて300語程度の英文に展開する、というのが指導の基本ですね。高1はチャンクで英作文!

https://twitter.com/tmrowing/status/1497508249989365762

この基本は、1990年代の終わりからそれほど変わっていません。ただ、そこに至る「お膳立て」としての、高1、高2での活動と教材・学習材の整備・精選には手間ひまかけてきました。

それが形になったのが、『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)です。学校採択教材ですので、中高現場の先生方、多くの高校生の手元に届くよう、ご検討よろしくお願いします。

『チャンクで積み上げ英作文!』(三省堂)
をベイシック&スタンダード編までやっておけば、大学入試でよく見られる「お題型」の英文ライティングの出題に取り組むレディネス「も」充分できますよ。

「英語表現」という科目を弔うこともせず、「論理・表現」という科目が始まろうとしていますが、「シラバス」の中に writing という技能を位置づけるのであれば、まずはこれをお読みいただき、その上で、超えていって下さい。 2008年の本ですのでね、。

古いことは古いですが、中高の指導者向けではこれを超えるものはいまのところないかな。

ということで、振り出しの課題にもどって再考。

生徒が理由付けで「コミュニケーション能力」と「感情」を取り上げたい気持ちは分かるが、論理が甘い次のようなものは書き直しが必要。
This type of work involves empathizing with people. However, computers cannot communicate with empathy. So they will not be able to replace counselors.

https://twitter.com/tmrowing/status/1505808685452333065

生徒作品をそのまま出すわけにも行かないので、あくまでも、生徒が書いてきたものからの一般化・最大公約数のような英文にして示していますが、問題点は十分露見しています。

毎回ライティングのフィードバックは個別に書いているが、今回は次のような文言を書く機会が多かった。

主題のサポートにダイレクトに入るべし。XXX という職業に求められる特有の資質を限定的に述べるのは楽。その資質を人は備えているが、AIには欠落していることを例証するところが腕の見せ所。

https://twitter.com/tmrowing/status/1505816702130409473

ホントに、「ズバッと!」書くには練習が必要なんですよ。

そして、重要な指摘。

あと、十数年前には見なかった書き方が
I believe that XXX will never be replaced by AI. First, SV1. Also, SV2 接 SV3. Second, SV4. Moreover, SV5.
のような、何の最初の情報なのか?に全く配慮のない「いきなり序数」と「添加マーカー天国」のような展開。どっかで教わってるんだろうなぁ…。

この「いきなり序数」は I have two reasons to support my view. One is that SV1. The other is .... というような「ナンバリング」から、「レーベリング」に進む、「紋切り型の稚拙な構成」に取って代わるものとして示されているのだとしたら要再考。何の順序なのか読めば分かるって言われてもね。

詳しいことは、私の高2、または高3の授業か、オンラインのセミナーで!

https://twitter.com/tmrowing/status/1505811911245373442


ということで、4月からは、高2、高3は「英語表現」、新高1は「論理・表現」という科目が並行して走ることになるわけですが、 writing をするのであれば、「エイブン」ではなく」「英文」ができ上がるような授業を心がけたいものです。

新年度のセミナー等、ご縁がありましたらよろしくお願いします。
現時点で、生業の「英語教育」関連で予定しているのは、

2022年 3月30日(水曜日) 13:00ー14:00 「入試改革を考える会」主催記者会見。 於:文部科学省記者クラブ

「東京都立高校入試での英語スピーキングテスト (= ESAT-J)」に関わるものです。
スピーカーは、代表の大内裕和、私 (松井孝志)、そして鳥飼玖美子氏の三名です。
ネットでの中継も計画されているようです。問題山積のまま進む、この事業に関心のある方、スケジュールを空けておいて下さい。


以下は、オンラインセミナー。初級、中級の日時をお間違えのないように。

2022年4月2日(土曜日)
文字指導/handwriting 指導法セミナー・中級編

passmarket.yahoo.co.jp

2022年4月30日(土曜日)
文字指導/handwriting 指導法セミナー・初級編

passmarket.yahoo.co.jp

2022年5月7日(土曜日)
文字指導/handwriting 指導法セミナー・中級編

passmarket.yahoo.co.jp


本日はこの辺で。


本日のBGM: I'm cured (Aimee Mann)

「丸覚えのススメ」

今年度出講している某高校のレギュラー授業が終了しました。
昨年度も大体この時期にアップしていた、高校2年生の「授業評価」と「自己評価」「後輩へのアドバイス」を今年も書いてもらいました。

昨年度のものはこちらから。

tmrowing.hatenablog.com

全て「記名」のアンケートで、私にとっては「通信簿」のようなものですが、共通して「あるある」のものを中心に抜粋でお届けします。
毎回言っていますが、「人は自分の苦労を高く評価したい生き物」ですので、話半分か三分の一くらいに割り引いてお読み下さるのがよろしいかと。

  • 松井の授業に対する評価、改善要望など

・ここまでたくさん例文を覚えたりしたことがなかったので、最初はすごく大変でした。でも、先生の例文の下の方に書いてあるコメントなどはすごく有益なものでした。改善要望は特にないです。1年間ありがとうございました。
・授業は細かいところまで分かりやすく解説されていた。本当に分かりやすかった。特に、実際に使われている表現を教えていただけるため、安心して覚えることが出来た。また、英語圏の人と話すときも、安心して活用できる英語を学べた。
・授業で使うプリントがとても充実していて良かったです。時々iPadで映像や写真、記事なども見せて下さり、とても興味深く授業が受けられました。コロナ禍の状況で難しい点であると思いますが、グループワークなどもあったら良かったなとも思います。
・話が面白くて分かりやすかったです。ニュース記事や動画を用いている授業は特に興味が持てました。後ろの方の席はスクリーンが見づらく、書き込みが見えないことがありました。
・先生はみんなが分からないような英語の例文を、根拠やユーモアを混ぜながら教えて下さったので、とても充実した授業だったです。一年間ありがとうございました。
・松井先生の授業は twitterを使って最新の時事問題を取り扱ってくれるので、分かりやすく、英語を身近に感じられました。
・(オリジナルの)ファイルに載っている解説をしっかり読むと、「なんでここにこういう表現を使っていたのか?」という英語の根本を学べた気がした。日々のニュースで使われているものを授業で出してたりして、「こういう感情が伝わってくるよねー」と言われるのが結構楽しかったし、実感が湧きやすくて、私には良かったと思う。高1は松井先生じゃなかったので、記号/印の意味が最初分かんなかったので、「イントロどどいつ」とか、少しでもいいから最初に説明して欲しかったかもしれないです。
・ただ英語の文法を教えるのではなく、世界の情勢なども交えながら授業をしてくれるので、とても興味深かったです。英語を外国でも活用できるような教え方だったので良かったです。
・松井先生、2年間、私に英語を教えて下さり、ありがとうございました。授業もそうですが、スケートについての話や、英語のニュースリツイートを元にした世界の出来事を紹介して下さったりと、とても面白かったです。私も一応スケートが好きなので、共感できるところが多々ありました。記号付けはまだ完全に使いこなせていないので、もう少し最初に説明を詳しく説明して下さったら良かったと思いました。
・ライティング課題を1つ1つ丁寧に添削してもらえるのが有り難かった。先生の「英文は英単語の意味はわからなくても、文構造は理解できる」という言葉が自分の中ではとても響いている。
・細かく現代の英語にふさわしいかなども教えて下さりとても勉強になりました。
・先生の授業は、今まで私が受けてきたどの英語の授業にもなかった視点を与えてくれました。私の英語力もとても上がったように感じました。1年間、ありがとうございました。
・現代英語のコーパスに基づいた授業は非常に勉強になりました。英語は生き物なのだと感じました。先生の説明で最近凄く納得したのが、 Reading is to the mind …. の説明でした。すごく腑に落ちる説明をして下さるので、定着します。Writing課題は他の人の作文とそのフィードバックも読めて勉強になります。
・英文法についての具体的な説明や、細かなニュアンスの違い、また実際にその英語が海外で通用するのかどうかというところまで詳しく説明してもらえたので、すごく勉強になりました。
・モニターに教材を映して、それに書き込みながらの説明だったので分かりやすかったです。
・画面が小さくて見にくかったときがあった。が、概して分かりやすかったし、たまに来るヴィカ様の小話が好きだった。
・現代英語で使われる頻度と受験英語を区別してはっきり教えて下さるので、これから英語を使って世界とつながりたいと考える人にとって、非常に有意義だったと思います。普段は講義形式で、定期テストがあるごとに大きな一つのライティング課題というのも、私にとって丁度良かったです。
・10段階で9をつけさせていただきます。授業の内容のレベルは高く、ライティング課題やファイル等の質は高く、添削などの時間もオーバーワークなほどだと思います。さらに、多くの時事問題なども知ることができました。
・松井先生は英語の本質を見定めて授業をして下さったのが印象的でした。たしかにあと1年足らずで大学受験。受験英語を把握すべきではありますが、たかだかあと1年の話であって、私は大学進学後も英語の学習を続けようと考えているので、進学後のその先の世界を垣間見ることができてとても楽しかったです。ありがとうございました。
・ライティング課題に細かくコメントをして下さったことが嬉しかったし、モチベーションになりました。また、他の人が書いた文章も読むことができ、自分の足りないものを知るためのヒントになりました。大事なポイントが「グリグリ」と強調されていて、とても分かりやすかったです。1年間ありがとうございました。
・この1年を通して、4択で空欄を補充するというものではなく、文全体を見ることの大切さを学ぶことができました。私は元々時制が苦手だったのですが、時制を「川の上流から〜」というように喩えた表現が分かりやすかったです。また、ライティング課題でライティングのコツを知ることができ、返却されたフィードバックにどこをどう直したら良いかやヒントが書かれていて、とても参考になりました。モニターを使った授業も、授業効率が良くて、良かったです。
・先生が話すという形がどうしても多くなってしまうためとても眠くなります。もう少し途中で休憩を挟むとか、先生の声のトーンを変えてみるとか、授業中に変化が欲しいなと思いました。文法は頻出問題集のテキストを中心に、僕たちが必要としている英語レベルを徹底的に解説してくださったのでとてもタメになりました。先生がツイッターでつぶやくような時事問題はとても興味があり、面白かったです。モニターの近くの席だと首がとっても痛くなるので、席替えはこまめにして欲しかったです。
・(英語)ネイティブが実際に使う正しい英語を教えて下さるので、毎回質の良い学習ができる。実際に英語のニュースで用法を確認したり、どの表現がよく使われるのか数値で提示して下さるのが良かった。モニターでの授業のため、座席によっては見づらいことがあったので改善していただけたらよいと思う。
・他の先生とは違う独特な授業でとても楽しかったです。英語のスキルが高い松井先生だからこそ持っている知識を教えて下さるため、非常に役立ちました。ありがとうございました。
・問題集で問題を解くだけではなく、オリジナルプリントの説明がとても良かったし、出ている文章の他に、この語法を使う用例を辞書から引用して示してくれるところも、ためになりました。「良い英語だけに触れ続けて吸収することが大事」と1年間言われ続けてきましたが、去年の自分と比べると少しは身についた気がします。改善して欲しいところは、問題集の資料を紙でもらうよりも、オリジナルのファイルの方を紙でも欲しいと思っていました。1年間ありがとうございました。
・最初は記号付けで何が何を指すのかすら分かっていなかいところもあったから、説明が理解しにくいところも正直あったし、日本語の時点で、こんな表現、日本語でも使わないよみたいなのがあって、難しいなと思っていた部分がありました。でも、授業を聞いた後に、他の問題集を解く時、先生の説明を思い出すと解けるものが多く、ためになったと思います。プリントは自分たちでも印刷できるけど、毎回いただけたら嬉しいです。デバイスにメモったりするのは大変で、目が痛くなることもありました。授業で沢山の英文に触れられて良かったです。私は英語は苦手だし、このクラスの中でも下の方だと思うけど、自分の中では分かる英語が増えた気がします。ありがとうございました。
・参考書にあまり書いてないような細かなことまで説明して下さって良かったです。プリントは2学期までと同様に印刷して配って下さると勉強しやすいと感じました。
・writingを定期的にやっていただいて、塾でできないようなwritingを経験できたのでとても良かった。例文が英検、GTEC、塾の勉強など色々なところで使えました。
・先生がファイルのデータにiPadで書き込んでいるものを、画面共有で教室にいる生徒も手元のデバイスで見られるようにすると、後ろの席の人も見やすくなり、よりスムーズに授業を受けられるかな、と思います。

  • 自分の取り組みを振り返って、一番成長したことなどの自己評価

・英文内の、句、節がどこまでか、すぐにパッと分かるようになりました。長文を書くことに対しても、前よりも抵抗がなくなり、また、より論理的に書けるようになりました。
・twitterの英語の記事を授業中に見せて下さったことで、英語の記事は難しいという思い込みがなくなり、より情報の早い海外のツイートを見るようになりました(ウクライナ情勢などは特に)。ツイート見出しなどは短く分かりやすいので読みやすく、成長したと思います。
・ライティングを書く機会が増えたので自分の中では去年より伸びた気がします。やり直すなら、よりもっと精度の高いライティングにするためのフレーズとかを覚えたらよかった。
・ライティング課題はフィードバックをいつもよく見ていました。英語のライティングは苦手なのですが、GTECや英検では以前よりも高い評価をもらえたので、少し成長したと思います。
・先生の授業とプリントからは参考書の解説では得られない多くの大切な情報を得ることができました。問題の善し悪しを気にしたり、参考書の解説を全て正しいと思い込まず、疑いの眼も持つこと、などは今までは意識していなかったことでした。
・英語で文を組み立てるとき、上手く文法を使えるようになった。単語だけで覚えていたものも、テスト対策などで大量に関連の文(特に副詞)を覚えるため、どうやって使うかなど、を身に付けられた。一年前に比べたら、スピーキングやライティングにおいて、英語の出てくるスピードは確実に上がった。
・僕はあまり英語を勉強する習慣がなかったですが、松井先生の授業を通して、勉強する習慣を得ることができました。また、ライティングも苦手だったのですが、英検1級に合格することができ、良かったです。
・ライティング課題に真剣に取り組んだことで、英語力を向上させることが出来たと思う。また良い例文を丸覚えすることなどはスピーキング力の向上にもつなげられたと思う。
・個人的にはwritingの学びが一番あったと思います。Writing課題は毎回、学んできた文法を使ってみたり、英語の表現をどういう場面でどのように使うのか、ということをじっくり考えさせられます。テキストの方の例文とかでも、「ここでこの表現を使う利点」みたいなところも一緒に理解すると、実際に自分が使うときに意識できると思います。
・自分ではリーディングの方が得意で、ライティングは何を書いたら良いか分からなかったのですが、この前の英検では、ライティングのスコアの方が高くなっていて驚きました。前の自分より成長できた証だと思っています。
・私は元々、英語が大の苦手で、学校のテストはもちろん、予備校主催の模試などでも、英語が悪かったんです。しかし、この1年間、塾に通わないで、学校の授業に向き合ったところ、英語の成績が伸びました。「えっ??」っていうくらい伸びました。
・もっとしっかり例文を覚えて書けるようにしておけば良かった。
・ライティング力が上がりました。
・年度初めは、文法がとても苦手だったため、Readingでもしばしば読み間違いをしていたのですが、必死にテキストの例文や松井先生特製ファイルの例文を覚えるうちに、正しい英語の文法やセンスが前よりついたと思います。
・先生がニュース記事を毎日リツイートされているのに影響され、私もニュース(NHK World JapanやBBC) を読むようになりました。はじめは全く読めなかったのが、今では難しい単語を調べれば大体読めるようになりました。先生のご指導のおかけです。本当にありがとうございます。そして何より、先生が教えて下さったWisdomがとても役立っています。まだ全然ダメですが、継続して頑張ります。
・よくやったと思う。ファイルやプリントを丁寧に読み込み、先生の解説を聞いた。この1年で英語力が伸びたと思う。ニュース (ABCなど) を聞いていて、先生の教材で扱ったものが出てきて、聞き取れてうれしかった。
・ただ参考書を暗記するのではなく、松井先生に教わったことを知識として定着させようと取り組んだので、英語に触れる時の態度が変わりました。
・ライティング課題は、なるべく簡単で自分の書ける範囲だけではなく、もっと難しいモノにチャレンジすべきだと思った。文法は英文の暗記をロジカルにできて良かった。
・私はこの一年、語彙と熟語表現の守備範囲を大幅に拡げました。以前よりも格段に長文や英語の新聞記事を読み進められるようになったので、残り高校3年生の一年間で、より細部に磨きをかけられると良いと思います。
・先生のオリジナルファイルに収録されている例文をまるごと暗記するように心がけたことが良かったと思います。まるごと覚えることで、表現、語彙、文法の全てを網羅できました。一方でライティング課題はしめ切りギリギリになってから取り組むことが多く、熟考しきれなかった部分もあるのが心残りです。
・ライティング課題はしめ切りよりもずっと前から準備した。ライティング課題を続けることにより進歩したと思う。4択ではなく、文全体をみることを心がけるようになれて良かった。
・テスト前の取り組みは普通に良かったと思いますが、授業中の取り組み姿勢はもう少し改善できたかなと思いました。具体的には、しっかりと例文全体に目を通すことです。文全体に目を通すことが、先生が解説する箇所の注意点をスムーズに頭に入れる近道だったと思います。
・ライティング課題に毎回時間をかけて取り組んだので、細かいミスも見つけて直せるようになったと思う。ライティングのフィードバックによって、何を改善すべきかが明確にされていたので、ライティング力が上がった。また、プリント(四角化ドリル)で表現力が増えた。
・writingの定期テスト毎の課題はとても参考になった。長文の書き方を身につけて、英検やGTECのライティングにも学んだことを元にして書けた。
・ライティングの「書くポイント」を詳しく教えて下さる授業に加えて、ライティング課題が定期的に出されるため、ライティング力を伸ばすことができました。文の構造も理解でき、英文が以前より読みやすくなったと感じます。
・この授業を受けてから一番変わったと感じたことは、ライティングについてです。高1のときはライティングはほぼやっていなかったので、初めはかなり悩みましたが、自分のものだけでなく、他の人の文章やそのフィードバックもオンラインのアーカイブで見ることもでき、ライティングを頑張った一年だったと思います。
・英文を覚えるのがテスト前だけだと、テストが終わった後、すぐに抜けてしまっていると思うから、無駄にしないよう繰り返すようにしなければいけないと思った。予習をした方が分かりやすかったから、来年度は必ず予習をして臨みたいと思う。
・例文をまるごと覚えることで、自分の表現を増やすことができました。「コミュ英」の方の授業で似たような例文が出てきた時、皆口をそろえて「英表の授業で見たことがある」と言っていて、形で覚えられているのだと感じました。
・例文で色々なことが学べた。単語もある程度のインプットができた。Writingでも多く学びがあり、自分で書けたものを覚えたのも良かったと思う。文法は感覚でやっていた部分があったので、ここで固められて良かった。
・ネイティブでなあなあ(感覚?)で文法をやってきた者としてはとてもハイレベルで難しいところもありましたが、頑張れたと思います。

  • 来年度の高2生に対して、先輩としての親身のアドバイス

・とにかく量が多いので大変だと思います。ライティングの課題もどんどん難しくなるので頑張って下さい。テスト前日に詰め込む勉強だと良い点数はとれないと思います。日頃から覚えたりした方がテスト前に慌てる必要がなくなると思います。
・定期テストは例文の暗記が全てです。量がかなりあるので、授業の時から少しずつ覚えないと間に合わない気がします。頑張って下さい。
・ライティング課題は前日にやるのではなく、早めに一度書いて、提出日前日にもう一度読み返すといいと思います。時間を空けたら、気付かなかったミスに気付けることが多いです。
・良い例文を出来るだけ多く丸覚えする、というのが非常に重要になってくると思います。ライティング課題は時間をかけてやるとよいと思います。
・正直、一年経っても松井先生のテスト準備はかなりきついです。全然慣れません。けど、覚えれば勝ちです!!多分言われたことを本当に全部やれば(これが凄い難しいけど)、成績セットでしっかりした英語力が身に付きます!「どうせすぐに忘れるだろうし…」とか思っていても、意外と自分のものになっているなと感じることはあとあとで出てくると思います。「他教科もあるのになんで?」って思っている人、本当にたくさんいると思いますが、もう逃げ道はありません!とりあえず、早めに試験勉強するくらいしか方法はないのです。頑張って下さい!
・グリグリは要注意!絶対に憶えて損はない。ライティング課題は遅れずに出そう!
・英語が苦手な人にはとことんきつい科目ですが、松井先生の授業ではしっかりした言葉で説明してくれるので苦手じゃなくなっていくと思います。お互い頑張りましょう。
・松井先生が使う文構造等を理解するための印/記号付けは、理解すると、文がすらすら読めるようにもなるし、大量の英文も少し楽に覚えられると思います。テスト対策は「テキスト」と先生のオリジナルのプリントに重点を置いて、覚えるなら完璧に覚える方がいいと思います。
・ただ教科書をなぞるような授業ではないので、他と比べると面白い授業です。テストは易しくしてくれます。絶対力が伸びます!!
・基礎大事!英語も数学もとりあえず基礎を!
・松井先生のテストは覚えれば高得点を取れる。暗記することが苦手だった僕でも松井先生のテストは暗記した方が早いことに気がついた。正直このクラスは帰国子女かどうかなど、もともとのポテンシャルは余り関係なく、いかに覚える努力をしたかがそのまま点数に現れるテストだと思う。そして、特に帰国子女の子など、英語を必死に勉強しなくても英語ができて、暗記などあまり好きでない人もいると思う。自分もその生徒の一人だったが、そういう人たちは「素直に覚えた方がいい」と気付けたらいいと思う。
・先生の言っていることを覚えていれば役に立ちます。帰国生でも、余裕だと思っていたら、テストで点は取れません。
・先生のオリジナルの例文はすべて覚えてしまうくらいの心意気でかかるべきです。というかすべて丸暗記してください。とても役に立ちますし、大きな力になります。もちろん、文法への深い理解も忘れずに。
・初めは心が折れそうになりますが、くじけずに何度も先生のファイルを読み、説明を聞くと、先生のおっしゃる意味が分かるようになってくると思います。頑張って下さい。
・先生の授業はきちんと聞いてメモを取るべき。たまに英語ニュースやヴィカ様についても自分の知識や能力が上がるので聞くべき。
・(オリジナルの)ファイルは本当に重宝すべし。オンラインのアーカイブにアップロードされた通知が来た瞬間に印刷して、読み込む。テストにも出るし、自分の英語力を高めるために有益。
・高2になる皆さんへ。初めて松井先生の授業を受ける人にとっては、「ワニ」「横綱」など特殊な言葉が出てきて意味が分からず、授業を投げ出してしまうかもしれません。しかし必死に松井先生のおっしゃっていることを理解していく内に、「英語を使いこなせるようになりたい!」という気持ちも出てくるでしょうし、何より「参考書に書いてあることが全てではない」ということが分かるでしょう。受験というものに重圧をかけられてくる学年だと思います。その限られた時間の中でこれほど「現代英語」に触れられる環境はかなりのチャンスだと思います。頑張って下さい。
・この授業では、おそらくある程度基礎の固まっているレベルが求められていて、それがあれば先生の抽象的な言葉も理解しやすいと思います。しかし、それが無いのならば、具体的な例文を一つ一つかみ砕いて、基礎と英語のセンスを身につけ、松井ワールドに飛び込んでいくしかないのです。そのために、例文暗記は必要だと思います。何も考えずにこの授業を受けても得られるものは少ないでしょう。Nothing comes of nothing.です。
・ 単語と熟語さえ知っていれば解ける問題が急激に増えるはず。何か新しくやろうという心意気なら、登下校、休み時間などを活用して、語彙を増やすところから始めるといいと思います。
・オリジナルファイルをマジメに読みましょう。参考書にはあまり載っていないことが書いてあり、勉強になると思います。あとは、文章を丸ごと覚える努力をしましょう。私の場合は本当に力がついたと思います。1年間頑張って下さい。
・オンラインのアーカイブに入っている資料は、スマホで見ようと思うと書き込むのが困難だし、他のアプリをいじりたくなるから、家でちゃんとコピーして、紙で授業を受けるべし。独特の表現が難しいところもあるけれど、ちゃんと聞くべきだと思う。
・松井先生の授業は受験で問われるような文法問題を解けるようにすることではなく、将来的かつ実用的な英語力を身に付けることができると感じると思います。テキストだけでなく、様々な英文に触れることが重要です。
・テキストを頑張って下さい。例文全体を暗記することが必要です。これをテストのために、と思ってやっていたら、意外といつまでも頭から離れないで、その後の英語学習にとても役立ちます。英語能力を上げたいのであれば、松井先生のテストをただのテストだと思わない方がいいと思います。ライティング課題は、出された1週間以内に書き始めることをおすすめします。締め切り日に出そうとするととても辛いと思います。自分も1年前に先輩の言葉を聞いて、その時は辛いなと思って全然実行してきませんでしたが、2学期くらいに地獄を見ました。なので、早めに実行に移した方がいいと思います。ぜひ、僕たちのアドバイスに忠実になって頑張って下さい。
・授業中に使用するプリントを教科書よりも大切に勉強するべき。間違った表現やあまりメジャーでない表現をさけることができる。ライティング課題もまじめに取り組んで、フィードバックをしっかりと読んで、次にライティング課題を書くときに気をつけよう。そうすることで質の良い英語力が身につくと思う。
・この授業では他の授業のような、定期テストや入試対策をするものとは異なり(ライティング課題は大学入試向けだが)、社会に出た後や、実際に世界に出て英語を見聞き、話すことができるようになることを目指しているから、先生の解説を聞いて、テストには出ないならあまり聞かなくていいか、という考えは持たない方が良い。一つ一つを丁寧に学べば、必ず君たちの英語力もぐんと伸ばすことができる!!
・先生の授業をきちんと聞き、ポイントをおさえ、課題をきちんとこなせば必ず英語の力は伸びます!!頑張って下さい。先生の雑談もとても面白くて好きです。楽しんで下さい!!
・学期ごとに扱う単元・範囲は違いますが、やった部分はしっかりと定着させられるような覚え方をするのが良いと思います。項目ごとに詳しく説明してもらったり、学習できるのは高2が最後だと思うので、授業時間や学習時間を無駄にしないような過ごしかたをしてほしいです。
・テスト前に覚える英文の量は尋常じゃないけど、文構造とかは理解した上で覚えた後は、分かるものが増えたから、覚えるべきものはちゃんと覚えた方が良いと思う。先生が言う「足跡」とか記号付けの意味が分からないとキツイから、分からなければすぐ聞くといいと思う。プリントが配られないときは、ファイルを印刷した方が書き込めるし、スマホからも離れられるから、印刷した方がいいと思います。
・私は高1、高2の2年間、英語が松井先生でした。他の先生方の授業を受けたことがないのでよく分かりませんが、初めは慣れない授業スタイルで戸惑うこともあると思います。けど、まず話を聞いておけば、だんだんと慣れてくるので大丈夫です、例文を沢山扱って下さり、私はまるごと覚えて自分の表現を増やしました。皆さんも、自分なりにたくさん出てくる例文を、上手く活用して下さい。一緒に頑張りましょう。
・良質な例文を丸暗記して、それの内容を変えたりしただけで、writingやら自由英作文でかなり良い点がとれるので(覚えたものなので、文法ミスで点が引かれることはない)、ぜひあまりふれることのできない良質な例文をストックに持っておくとよいと思う。他の人や自分がライティング課題で書いた表現を覚えるのもアリ。英語は経験値がモノを言う科目なので、できるだけ多くの英語を自分に取り込むと強いと思う。教科書とかからもコロケーションなど、こういう表現があるのか、と学びが多いので、英語において無駄はあまりないと思う。

イヤー、面白いですね。
兎角「丸暗記」は忌避され、糾弾され、前時代の遺物のように言われますが、今年の2年生の年間の授業総括と後輩への親身のアドバイスでは多くの生徒が「用例・例文を丸ごと覚えること」の効用を訴えているのが興味深かったです。

  • 「これまでこんなに沢山の英文を覚えたことがない」

と多くの生徒が答えていたのもまた興味深い。

  • ではなぜ「丸ごと」覚えられるのか?

やはり

  • チャンクを捉えて四角化の記号付をした上で、文全体を見るから!
  • パラグラフレベルの分量で、つながりとまとまりのあるライティングを経験しているから。

というのが大きいと思いますよ。
文未満の要素を成り立たせるしくみも「文法」ですし、一文を超えた文のつながりやまとまりをつくるのもまた「文法」なのです。

そして、その「丸覚え」を支えるもう一つ大きな要因は学習材のクオリティでしょう。
指定の「テキスト」を補う「オリジナルの教材の用例」の質と量。

NOW コーパスと GLOWBEが一番多かったと思いますが、現代英語のオンラインコーパス等をフル活用し、精選され適切に配置され、「確かなことばで」解説されているからというのが大きいと思います。

高3になっても、そして卒業後も、テストに支配されず、テストに依存せず、自分の学びを拡げ高めて行って下さい。
こちらこそ、1年間、ありがとうございました。


本日のBGM: はなればなれ (クラムボン)

だってなんだか、だってだってなんだもん!

如月といえばハニー。
ロジック不要、不問の魅力があれば Life is good. それはもう、申し分ないものですが、一般人にはそうも言っていられない様々な事情があります。

「『都立高校入試スピーキング試験』の導入問題」です。
記事第一弾はこちら

tmrowing.hatenablog.com

本日は前回の「都立高校入試スピーキング試験」の第二弾の記事で指摘した「開示請求」に関連して補足をば。

tmrowing.hatenablog.com

「学力検査」の枠組みでの開示請求は手順と開示情報の範囲・内容が示されています。

以下は「令和4年度入試」。つまり今春の入試に関わるものです。

www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp
令和4年度東京都立高等学校入学者選抜においては、学力検査や面接・作文などの得点及び学力検査の答案の開示を請求することができます。
開示を請求したい場合は、以下のとおり手続を行ってください。
開示を請求できる内容
1 学力検査等得点表(学力検査の得点及び面接、作文、実技検査等の得点)
2 学力検査における答案の写し
※ 推薦に基づく選抜では、答案の写しを開示請求することはできません。学力検査等得点表のみ開示ができます。

ここで重要なのは、「スピーキングテスト」の成績が合否に反映されるのは「学力検査」を行う入試区分だということ。そして、スピーキングテストは「学力検査」ではないので、「答案」に当たる音声データとその採点評価の「写し」はこの請求の対象とはなっていないということです。

ですから、「スコアに納得が行かない」「あの問題は絶対に設問の要求も満たしていて、Can-do statements にも合致しているはず」という疑義が生じ、それが合否を左右したのではないか、と疑わしい場合にも、「学力検査」の情報開示の対象とはならないわけです。

今回予定されている「選抜」の枠組みでは、「調査書点」に外付けでスピーキングテストのグレード(ランク)を評価するだけです。高校側はそのグレードを20点満点の数値に換算します。

スピーキングテストの受験者には、このグレードとそのグレードを判定するための「スコア」、そして極めておおまかな「出来不出来」をテンプレートのパッチワークで示した「個人宛のフィードバック」の記述文が示されます。

スピーキングテストの設問は全部で大きく分けて4つのパートに分けられています。

Part A音読
Part B Q&A
Part C 描写・説明
Part D 意見・コメント

それぞれの設問の採点基準での満点を足していくと

Part A 音声3x2=6
Part B A3+Q1 = 4
Part C 音声3+達成度1+言語使用4=8
Part D 音声3+達成度1+言語使用4=8

となります。
各設問に与えられた満点を得たとしても、その合計は26にしかならない計算です。
それを「IRT処理」なるものを経て、上限が100のスコアで評価している、というのが彼らの流儀です。

例えば、こんな形で、上限が100、下限が0のレベル分けがなされます。

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ここで気をつけることは、「100点満点」と素点で単純に考えてはいけないということです。
スコアの上限が100というだけで、「単純に20点刻み」のランク分けではありません。
Aの区分は21点分の幅があるのに対して、BからDの区分は15点分、Eの区分は35点分の幅を持っているということで、素人にも玄人にも分かりにくいものになっています。
そして最終的に入試の合否に反映されるのは、A〜Fのグレードなのです。
A=20, B=16 以下、4点刻みで、Fはゼロとなります。
受験生にとって大きな意味を持つのは、スコアでは80点と79点の差が1ポイントだったのに、ランク換算された後の「得点」では4点差になる、またスコアで64点の受験生と、35点の受験生では29ポイントの差があるにも関わらず、ランク換算された後の「得点」では4点差になる、というところでしょう。

では、どうすれば、自分のスピーキングテストでのそれぞれの設問の出来具合を知ることができるのか?
「調査書開示請求」をしただけでは、前回の「第二弾」の記事で書いたように、グレードが分かるだけですから、その情報は既に受験者本人は知っているわけです。
問題は、そのグレードの中身、根拠はどうすれば分かるのか、です。

今回、この事業を請け負っているのはベネッセですから、ベネッセの金の卵を産む鵞鳥、GTECのスコアを横目で見てみると、

https://www.benesse.co.jp/gtec/select.html
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となっていて、中学卒業程度の英語力を測定するとされるCoreのスコア上限は「四技能」合わせて840点となっています。これを単純に技能数の4で割った210が各技能の上限スコアとなっています。
(因に、大学入試での「民間四技能試験」導入を決める段階の2015年では、Coreの試験にはスピーキングはなかったんですよ。そして、その頃のGTECでは技能ごとに上限スコアは違っていたのです!)

以下、当時のものを示します。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2015/03/25/1356122_04.pdf
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上限が210であれ、170であれ、100であれ、どのような処理過程を経て、そのスコアとなっているのかが「ブラックボックス」です。
冒頭でハニーの話をした意図が分かってもらえるでしょうか?

私が「返却される個人票に記されるスコアとそのスコアが設問の出来具合をどう反映しているのかが伺える情報が記されているか」にこだわるのは、「個人票が本人に返却されている以上、開示請求をして明らかにできる情報は既に本人が持っていますよ」と言わせずに、もしもの時にその中身を明らかにできる「策」を講じる必要があるからです。

「向こう側」としては「そのスコアが個々の設問の出来具合にどう基づくのか」は商品価値の根幹ですから、恐らく明らかにはしたくないのだろうとは思います。

今回の大枠の設計では、「調査書点で反映する。しかも外付けで。」ということに大きな意味があるのだろうとも思います。
「向こう側」としては「調査書点」の各教科分は「通知表」という形で既に本人は知らせているので、それ以上に知らせることはない、という理屈なのではないかと。

「調査書点」には5段階と観点別評価とが使われ、推薦に基づく入試などでは都立高校側が「5段階」と「観点別」のどちらを使うのかを決めていますが、そのそれぞれの情報は既に「通知表」で生徒個人に知らせてある、という理屈です。その5段階の評価と一緒に示される「観点別評価」の根拠まで詳細に知らされることは通例ないのではないかと思います。

「私の美術が4で、保健体育が3だったのはどうしてか?」というのは観点別評価のABCのつき方から推測しかできませんが、それでも一応示しているという理屈でしょう。この先の「中身」で「なぜ観点別でBやCだったのか?」という根拠までは開示させることは難しいのではないかと考えています(先行事例や裁判での判例までは調べていません)。

スピーキングテストもこれと同様に、「スコアとランク表示、さらにはレポートの記述文で出来具合は個人に知らせているので、調査書の5段階と観点別評価を知らせているのと同じ」ということで済ませようとしているのだというのが現時点での私の推測です。

ただ、今回、とある筋からプレテストの「個人票」を見せていただく機会を得ましたが、肝心な個々の設問(上述の26点分)でのパフォーマンスの評価は示されてはいません。これは、GTECのCoreや高校生用の上位版などでも同じかと思います。

一方、大学生や社会人向けのGTEC (いや、あるんですって。ベルリッツもベネッセ傘下なんですから)の個人票は、もう少し分析的な評価のレポートをしてくれています。
こちらにサンプルがありますので、お目通しを。

www.benesse.co.jp

大学生、社会人向けの個人票では、それぞれの設問での観点別評価が得点で表されていることがわかります。少しだけ分析的で、自分の出来を推測できるようにはなっています。

では、なぜ、同じ企業体が行う「言語テスト」であるにもかかわらず、この「都立高入試スピーキングテスト」では、設問ごとの分析的な振り返りが敢えてできないような仕組みとなっているのでしょうか?

まだまだ、分からないことだらけです。
今月から来月にかけては都議会の文教委員会が開かれます。公的な場でのやりとりと情報の公開を求めていくことが必要だと思います。

最近は更新されていない、羽藤由美先生のブログのタイトルが「確信的に躍らされるにしても…」というものでした。

yumihato.wordpress.com

羽藤先生はソーシャルメディアでも、この「都立高入試スピーキングテスト」について、比較的早い段階からいくつかコメントをされていました。今、この段階での問題の解決されなさ過ぎな状況にはなんとおっしゃるでしょうか?

私は既に、都立高教員でもなく、受験生の親でもありませんが、今回の「都立高入試スピーキングテスト」の枠組みのようなお粗末なリズムでは、とても踊れないし、踊りたくありません。

本日のBGM: 踊り子 (Vaundy)

Your decision to make

1月の英文ライティング指導法セミナーも終了しました。
受講者の皆様、お疲れさまでした。ありがとうございます。

講座は「適切なフィードバックのあり方」を考えるものですが、対面セミナーからかれこれ3シーズン目となりますので、セミナー内容も充実してきたと思っています。主として高校段階の実践に基づいていますが、1988年くらいから、実践を積み重ねた tried & true methodともいえる「英文ライティング」の指導法として体系化されたものがまずあり、その過程でフィードバックの経験知を蓄積してきているので、「基礎基本」「原理原則」として理解を深め、実践にあたっては頼りがいのあるベンチマークとして活用できるでしょう。2010年代に行っていたセミナーと、根はつながっていますが、その頃よりも遥かに良いものになっていると確信しています。予備校主催の講座ではなかなか得られない、私が若年英語教師であれば、お願いしてでも受講したいと思う内容と水準にしているつもりです。現実に、予備校に籍を置く方も受講されていますから。

受講者の声をいくつか匿名でご紹介。

教師側の絶対的な力量があってこそ適切なフィードバックができるんだという気迫に圧倒されました。数点共有していただいた生徒さんの作品は、力のある先生のもとで学ぶとこんな作品がかけるのかと驚きました。
お手軽テンプレートのようなものを超えた文を書かせることができるよう、自分のライティングスキルをもっと磨いていきたいです。

今回のセミナーも大変お世話になりました。
今回の講座では以前、対面で受けたときよりもさらに情報が追加されていてライティング課題を適切に評価・フィードバックするためにはお題の設定(出題者の評価基準の設定と提示)と、そのお題に取り組むに当たって最低限押さえておかなければならないチャンクの仕込みを緻密にやらなければならないということがよく分かりました。
お題・評価基準の設定から、書くための表現の仕込みまでやっておくと生徒のプロダクトの質が上がるだけで無く、それを評価しフィードバックする教員側も細かな部分の修正に追われなくなり、よりクリティカルな部分(文章のつながり、まとまり等)の指導にフォーカスできるという好循環が生まれるようですので、そうなるように精進いたします。

セミナーでは大変お世話になりました。自分が最も痛烈に感じたことは、自身の英語力をもっと鍛えなければならないということでした。良い英文にもっと多く触れ、自らの中の英語を質の良いものにしなければフィードバックを行うことなどできようはずもありません。
素材はインターネット等のおかげで様々なものに簡単にアクセスできますので鍛錬を続けていきたいと思います。
次に、テクストタイプというものをもっと重視すべきだと考えるようになりました。
WritingというとArgumentativeなものを書くことを求めがちですが、まずは、その下積みとして、説明文や物語文を書かせる練習の必要性を強く感じました。
現在も他の教員とALTとで1年生のWritingの授業をすることになっているのですが、お題を与えて書かせるだけになってしまい、生徒に悪いことをしているという気持ちになります。
そもそも現在使用中の教科書(※コミュ英)のテクストタイプを見てみると10レッスンのうち9つが説明文で意見文にしっかりと触れたこともないような生徒に意見文を書かせるのは無理があると思います。
ちょうど1週間ほど前に英検のサンプルテストを行いましたが、Writingでは意見を意見でサポートしようとするもの、そもそもお題に答えていないものが散見されました。身の回りのできることから始めていこうと思います。
今回も至れり尽くせりの資料・講義ありがとうございました。率直に言うと5000円という金額が本当に安く思える内容でした。また別の講座も受講させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。

新たな地平が開けて、今まで見えなかったものにも気付くようになったのではないかと思います。
次はあなたの番です。
2月の回をまだ受け付けています。よろしくご検討ください。

passmarket.yahoo.co.jp

受験生対象の講座も募集しています。
1月のB講座は既に募集を終えていますが、2月のB講座はまだ間に合います。1月は東大志望者のみで開催しますが、2月は受講者の希望を見て調整可能です。
「砂漠の中のオアシス」となる答案を目指して、このセミナーで最後の飛躍を是非。

passmarket.yahoo.co.jp


本日のBGM: 選択(寺尾沙穂)