英作文添削者の孤独

連休も後半戦。本業も佳境というか崖っぷちだな。
さて、3月末の語研の春期講習会のレポートが『語研だより』(203号)で紹介されていた。

「数多くある参考書の中でも、文法・語法関連のものにはすべて目を通しておられる」という部分は不正確。『文法・語法オタク、参考書オタクですから、英作文、ライティング関連の市販の教材にはほぼ全て目を通して入試問題の解答例の英文をチェックしています』という主旨のコメントをしたまでです。「生徒の感想をもとに自己評価とシラバスデザインをし、定期考査で出題されたものは、すべて解答例として生徒にわたす」というところも意味不明ではないのか?『生徒に年度末に自己評価と授業評価を書かせ、それに基づいて毎年シラバスをデザインし直す』『定期考査で出題する課題には、賛否なら賛否のそれぞれについて必ず解答例を作成し、答案返却時にそれを配布する』ということです。賛否を問う問題が「3問から1問選択して解答しなさい」という出題だった場合には、解答例は最低6つ作る、というだけのことです。このレポートでは結局、最も肝心な、「テクストタイプへの配慮」「モデル文の分量」という2点が完全に抜け落ちてしまっている。まあ、私の講演ではその程度しか伝えられなかったということですね。今度の英授研にこの教訓を生かしましょう。
高2の今月の歌コメント集を打ち込んでいて、以下の文をどう直したものか思案。

  • This song is Dan's memory.

初めは、This song is about Dan's memory.とするか、 This song was written from Dan's memory.とするかで迷っていたのだが、 a song of Dan's memory about his father などという内容が下敷きになっているはずなのだからと考え、This song is of Dan's memory about his father.としてみた。だが、少々自信がない。これに似たofを含む英文は以前K先生との語法談義で良く出てきたなあ、と思いだしたので、金子稔『現代英語・語法ノート II』(教育出版;1997年)になら何かあるかな、と調べてみると、「My earliest memory is of ... のofについて」(pp. 36-40)に詳しく書かれていた。流石だ。ここでの記述に照らして考えてみると、

  • This is a song of ego consciousness.

という英文が容認されるのであるから、

  • This song is of ego consciousness.

も容認されるのではないかと考えられるのではないだろうか?
a song of ... の類例を示す。

  • This is a song of wry celebration.
  • This is a song of self-empowerment, and of mystical achievement.
  • This is a song of denied dreams that always just barely seem to fail.
  • This is a song of hope to every girl who ever wanted to know that there are guys out there who love you for more than your pretty blue eyes or other physical attributes.

以下 song is of ... の例。

  • his song is of heros and fallen kings
  • His song is of happiness going away "like drunkeness."
  • His song is of the death of Maya, emergence from the Fiery Wheel and hypostatic union with Buddha in Nirvana.
  • His song is of dark waters, twilit lands bathed in the luminance of stars, where bright eyes and brighter spirits dance unshod on the grass of the forest.

こうしてみてくると、上述の判断基準で良さそうな気がする。
とまあ、こんな風に、普段のライティングのチェックは行われているわけです。
語法上の誤りがあればお知らせ下さい。