私の選んだ教材(読解編1)

教師としてではなく、学習者としてどのような教材を選んできたかを紹介する第1回目は、これ。
The Reading Skills Test
高校3年の夏休みだろうか、札幌の丸善で購入。1400円也。正式書名はBarron's How to Prepare for the High School Equivalency Examination (GED) (1980年刊)
日本にある『大検』に近い制度だと考えるのが一番分かりやすいだろうが、米国で高校卒業と同等の資格を認めるための試験をGeneral Educational Development Tests という。その中に、国語(つまり英語)の読解力の試験がある。(その他には作文、社会、科学、数学がある) 試験は、日本のセンター試験(その前身の共通一次試験)と同じく多肢選択、いわゆるマークシート式。
出題分野・項目は以下の通り。

  • Practical Reading 15%(求人・求職、広告文など現実の生活に密着した題材)
  • General Reading 35%(新聞、雑誌の記事、評論文、論説文、社会科や理科の教科内容なども含む題材)
  • Prose Literature 35% (エッセイ、小説・物語)
  • Poetry 10%(いわゆる詩)
  • Drama 5%(戯曲)

特徴的なのは、多肢選択の選択肢が5つあること。(教員に成り立ての頃、この設問の作り方にはずいぶんお世話になった)
The title that most accurately represents this passage would be

  1. How a Bill Becomes a Law
  2. Key Committees in Congress
  3. Problems of the Committees System
  4. Congressional Committees
  5. Congressional Committees --- Center of Work and Power

などという主題に関わる設問や語義に関わる設問など 200-300words程度の英文に5から6題の設問がついている。
設問は主として、

  • Knowledge and comprehension questions
  • Inference questions (Inference questions はさらに Meaning(文脈から語義を類推する) Cause or result(因果関係)に分かれている。)
  • Application questions
  • Evaluation questions

という英語の主立った論理パターンに沿っている。
このようなテキストを高校3年の8月、9月、10月と進めてきて、劇的に読解力が向上した。9月最初の代ゼミや河合塾の全国模試では偏差値が70台をうろうろしていたが、11月の代ゼミ慶応大模試、上智大模試では両方とも英語は全国1位だった。(偏差値は88くらいだったと記憶している)
当時は、TOEFLなどはほとんど知らなかったので、英語力の目標として、『アメリカ人の同じ18歳ってどのくらい英語が読めるものなんだろう?』という素朴な疑問から、このGED対策書を見つけてきたのだが、これが良かったのだと思う。誰に強要されたわけでなく、自ら、米国人が高校卒業時にL1で求められる最低線の力を目指すということが、L2離乳食教材からの脱皮に効果があったようである。適切な教材を、適切なタイミングでこなすことが大切であるという格好のサンプルとなるのではないだろうか。

※2013年7月8日追記:
内容の一部を写した画像が、
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110210 
の終わりの方にあります。

こちらのエントリーでは、設問の形式を引いています。
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110301