Venn Diagram

ベン図は小学校くらいからおなじみの図だろう。二つ(以上)の集合の重なり具合を視覚的に把握するのに有効であることから、idea generationにも応用されることが多い。その場合には、一つの集合がある特定の概念を表すことになるのだが、これがくせ者である。
たとえば、「実用に足りる英語運用力」と、「資格試験や入試に対応する英語力」という二つの構成概念をベン図を用いて説明するときに、「ベン図の重なる領域のように両方に共通する部分を学ぶことによって、実用にも、試験にも対応出来る英語力が養成出来る」という人には要注意である。それぞれの構成概念において、コアと周辺というのは確実に存在するはずなのであるから、安易に概念を領域として図式してしまうと、重なっている領域は「実用にとっても周辺であり、マイナーな要素」であり、「資格試験や入試にとっても周辺でマイナーな要素」が分布する領域となり、その「周辺同士が重なった」要素を先に身につけたところで、どちらの「コアとなる」能力も大して向上していない、という可能性があるのだ、ということに気が付かない。比喩はことほど左様に扱いの難しい問題なのである。
もし、重なった領域が、どちらの構成概念でもマイナーで周辺的な要素なのだとしたら、無理に共通部分等を気にするのではなく、まずはどちらかの「コア」の部分を集中的にやっつけてしまう、というのはとても理に適った方法論なのである。