脱ガラパゴス

日中も寒い中、今でストーブをつけてWFH。
今日が祝日だということにさっき気づきました。

さて、ツイッター(今はX)で以前、こんなエピソードを呟いていました。

私が高校生だった頃の実話。
当時の英検1級は日本語の記事や随想・コラムみたいな文章を150語の英語で要約させる問題が出ていた。私が受験していた教室で前の席に小学生がいたのだが、その問題の漢字か熟語が分からなかった模様で、手を挙げて監督者に訊いたけど却下されて泣き出したのを思い出した。
https://twitter.com/tmrowing/status/1752966400170508449

日本の英語教育を批判する人たちの多くが使う常套句が、「英語は英語で」で、「日本語を介在させた学習や指導では、結局ガラパゴスのまま」という形容がよくなされます。

でも、私は、この「日本文に基づく英文での要約」って、その人の英語のライティング力を見るのに、物凄く良いと思っているんです。
大学入試に限っても、この日本文に基づく英文要約って、かれこれ20年近くお茶の水女子大が出題し続けてきましたよね。

私は、2000年代の自分の授業でも、このお茶大の問題は使っていましたし、今は無き『英語青年』(研究社)の2006年4月号で、もっと注目して然るべきですよね?と訴えていました。(因に、その雑誌で原稿を書くことになったきっかけが、このブログの過去のエントリーです。
そろそろふた昔前ですね。

そして、誰も批判しなくなった?
tmrowing.hatenablog.com

こちらに当時の雑誌の写しを貼っておきます。





雑誌掲載の一年後の大学入試を眺めての雑感がこちら。

tmrowing.hatenablog.com

受験産業は女子大軽視なのか、入試の解答速報でもお茶大を取り上げません。もっとも、お茶大そのものが、公式サイトで、過去3年分の問題と解答例を公表するようになったので、大学側が公式に表明している英文解答例の存在は大きいですね。お茶大の問題&解答例公表直後は、著作権の関係なのか、英作文の素材文である、日本語の文章が掲載されていないことがありますが、時期が来ると、日本文に関しては掲載後のファイルに差し替えられるようです。根気強くアクセスして確認して下さい。

www.ao.ocha.ac.jp

話を戻して、

  • 「いやー、いいとこずくめじゃないですか!」

と絶賛に値する、この日本文に基づく英文要約の出題ですが、冒頭で引いたエピソードの、過去の英検1級に関しては、完全に私の記憶違いでした。
実際はこういうもの。

先ツイで150語の英語と書きましたが、私の記憶違いでした。
正しくは60語の英語でした。
大違いで、大変失礼しました。

私の受けた回の問題がこちら。
https://twitter.com/tmrowing/status/1760180299038855215

  • 日本文に基づき、英語での要約

は正しかったのですが、分量が全然違いました。150語の英語ではなく、約60語の英語でした。それでも、効能は変わらず。

ということで、新体制の「英検」では、「要約」が出題されることになる、と業界では話題のようですが、昔の英検1級のお題設定の効能を見直すのが先でしょう。

・主題とその支持の必要最低限のことは書かなければいけない。
・英語で何というかが分からない時に、書かずに済ませる、という回避ストラテジーを使えない。
・語数の制約があるので、日本語と等価の的確な語彙・表現が思いつかない時に、それを自分の使いこなせる範囲の英語表現で書くとしても、冗長なものになってはいけない。

どうでしょう、日本語を母語とする学習者が受けるテストであれば、最良・最善の選択肢のひとつでは?
という話しでした。

国公立の個別試験前期まで秒読み。
受験生は、安全&健康第一で。
私の受験生講座を取っていて、東京外国語大学の対策を全てやり終えた、という人は、楽しいことを考えてポジティブに、だらけず、緊張し過ぎず、アルデンテのようなhealthy tensionを持って過ごすのが良いと思います。
もし、まだ最後に飛躍を、という人、または、入試に関係なく英語力を伸ばしたい、という人は、新たなレクチャーもどきの素材を作りましたから、そちらに取り組んでみて下さい。
635語で、4分弱のレクチャーです。200語要約するなら、約1/3の分量。良い按排かと。


こちらがメモ取り用ワークシート。

こちらが音源です。

www.dropbox.com

レクチャーのスクリプトは、明日にでもこのブログか、ツイッターで公開しようと思っています。

既に公開済みの、"Boyfriend Style" に関するレクチャーもどきの音源はこちらからどうぞ。

tmrowing.hatenablog.com

本日はこの辺で。

本日のBGM: together (Maggie Rogers)

open.spotify.com