Is hunger the best sauce?

昨日は、某社企画のスタジオ収録。K先生、A先生はさすがに、落ち着いて録音完了。私もネイティブスピーカーを交えた録音でのdirectionはうまくいったと思うのだが、私が単独で解説する部分を録音する際にお腹が鳴って度重なるNG。さらには英語・日本語交じりの文をきちんと読むのは大変だということを痛感。無事収録が終わり、英語教育界おしどり夫婦でも著名なK先生宅へ。打ち上げもかねて忘年会。奥様の勤務校の方も見えており、にぎやかな宴となった。HDDでお宝映像を堪能し、お腹も満たされたところで、お宅拝見ということで、K先生の仕事部屋へ。書棚に目をやると、ここにもお宝の山。脱帽です。そんな中から一冊、

  • 毛利可信『生涯英語教師』(海川企画)

をお借りしてきた。深謝。
今朝は5時半から本業。朝食後いったん帰宅して、午後から再度本業でタイムトライアル。低調。帰る前に少しweight trainingをしてきた。Snatchも40kgで2セットやるのが精一杯。衰えたなあ…。
さて、教育再生会議なるものが、教員評価の制度化を提唱しているそうなのだが、全国紙もプレスリリースを流すばかりでいいのだろうか?自紙社説等で、この委員たちが雑誌などの大衆メディアで語っている教育観を吟味して、世論を問う役割もあるだろうに。
生徒・保護者に授業を評価させることそのものは良いだろう。ただ、もしそれを一律に制度化したとして、その結果をどう活かすというのか?数値化して、向上しなければ給与や昇進、配置などの人事に反映させるつもりなのか?私も、もう10年以上、自分の授業の評価を生徒にさせている。実名記名での自由記述で、教師も生徒もお互いに何を書いたかが分かる総括表である。
(昨年度などの例は、
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20040904
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20040902
にもあるので参照されたし。)
このような生徒による授業評価で気をつけなければならないのは、「同じ教員による同じ授業が、生徒によって全く異なる印象評価として残る可能性がある」、ということである。4段階評価で数値化して平均値を取るだけでは見えてこないものがあるのだ。
たとえば、今年度の高3ライティングの総括では、以下のような私への評価が下されている。

  • 本当はどういうつもりなのかわかりませんが、先生は帰国子女を批判します。「純ジャパが」とか「帰国は」というやつは確かに自分もムッとしました。ちやほやされてきた英語力を否定されるのは有り難いのですが、そこは改めて欲しいです。そもそも帰国子女は親の仕事の関係で海外に引っ張っていかれたので、そのことでそんな風に言われるのは理不尽に感じるのです。
  • 今までの先生は「あなたは帰国だから…」とか言ってた。でも先生はそんなの関係なく、平等に扱って下さったのが嬉しかったです。三年間先生に習ってたら、きっともっと自分の英語力を磨けたんだろうなぁ、なんて思ってます。(お世辞とかではなく)まぁその辺は自分が頑張ればいいんですけど、先生にああやって勉強法とか教えてもらえたら全然違ったんだろうなぁって思いました。何気に先生の高校時代の話面白かったです。短い期間でしたがありがとうございました。

この二人は同じクラスの生徒。そして、二人ともいわゆる帰国子女。それでいて、こんなにも授業の印象は異なるわけです。
その他の生徒の評価も抜粋。

  • 初めの頃先生の授業はためになるのかなあと少し半信半疑で受けていたのですが、今学期、やっと自分に少しだけ力がついてきたように思えました。疑ってごめんなさい。先生の授業ははっきり言って楽しくて好きでした。終わった時ちょっと悲しかったです。高3で英語を受け持ってもらったのが先生で良かったと心から思います。今までどうもありがとうございました。
  • 1限の授業が多くて辛かったです。でも高校に入って初めて、実力につながる活動が出来た気がします。今までは授業を受けながらも、”何をやっているんだろう?”といった課題が多くて、学校の英語は好きじゃなかったけれど、先生の授業を受けて真剣に英語を学ぶことが出来て良かったです。ありがとうございました。

私の授業評価での典型例をいくつか。

  • 正直、最初は、こわくてこわくてしょうがなかったです。(苦笑)でも、やるべきことをやっていれば、先生も献身的に英語のことを教えてくれて、3年の英語を先生に教えてもらえて良かったです。英語は苦手で好きじゃなかったけど、前よりは英文を書くのが好きになりました。
  • 一学期の初めの方では、生きるのに必死でした。だけど後半から慣れてきて、むしろ楽しかったです。今までの英語の授業の中で一番力がついたと思います。Persuasive passageでは時事問題を扱ったので英語だけでなく、国語の力にもなりました。高3最後の英語が先生で良かったなと思っています。これからも授業に熱く、英語に熱く、生徒に熱くがんばって下さい。
  • みんなそうだと思うんですけど、初めはほんとやばいなって思いました。でも先生はけっこうお茶目でした。こんなに真剣に取り組んだ授業は初めてだったし、実力がついてきたのが分かりました。先生にお会いできて良かったです。入試まで英作見て下さい…。
  • 初めの方は本当にどうしようかと思うくらい恐怖と緊張で一杯でした。私は3年生になるまで本当に英語が苦手で一番上のクラスにいることがとても苦痛でした。しかもなおさら先生となると泣きそうでした。けど、授業を受ければ受けるほどライティングに対する恐怖感とかがなくなっていき、自然に先生の面白い話に笑えるくらい余裕が出て来ました。今まで学校の英語の授業でこんなに充実感を感じるものはありませんでした。本当にお世話になりました。先生の高校時代の生徒会の話大好きでした(笑)。

この典型例で言及される「授業に漂う緊張感」なども生徒によって感じ方が異なることがある。

  • 2学期間ありがとうございました。3年になって英語が先生って知ったときに、友達とかが「かわいそうだね」とか「まじ、がんばってね」とか言うので何でだろうってすごく思っていました。そして最初の授業が始まって、今までに出会ったことのない感じの空気が流れる授業で、驚きました。ライティングが楽しく思えるようになるまでは、正直本当に精神的に辛い授業でした。けど、今思うのは、“もっと早く先生に出会っていればなぁ”ということです。そうしたらもっともっと多くのことを学んで、英語がもっと好きになっていたかもしれません。この2学期間だけで、ライティングが好きになったのは本当に奇跡だとおもうくらい、自分ではビックリしています。この1年間を無駄にしないで、もっともっと成長していきたいと思います。本当にありがとうございました。

という生徒もいれば、

  • 先生の授業は教室の空気が透き通るような感じで良かったです。他の授業で、クラス中がざわついている中にいるとイライラします。先生が良い人だって、にじみ出ているので厳しい授業も嫌ではなかったです。1年間(2学期間)ありがとうございました。受験がんばります。

という生徒もいるわけである。
最後にもう一例。

  • 1年間本当にお世話になりました!4月に時間割が配布され、英語の担当が先生とわかった時、正直びっくりしました。ずっと前評判で「怖い」「厳しい」と聞いていたので初めての授業の日は朝から緊張していました…。でも実際はとても面白く(時々怖かったけど)すごく私達を引っ張ってくれる先生なんだと感じました。高1、高2の時の授業と内容が全然違っていて戸惑ったけれど、先生の御指導のおかけで、授業の内容をしっかり吸収できたと思います。先生の授業を聞きたい、この授業に遅れないように頑張ろうと思って私達は授業に参加しています。だから体調が悪くても無理をして教室に来る人もいるんです。そういう人の意志も、もっと尊重してあげて下さい。最後に、年間を通しての接続詞(and, but, becauseなど)の使い方や論理の組み立て方など、今後英語で文章を書く上でとても役に立つと強く思いました。厳しい課題に耐えた(笑)1年を忘れないようにしたいと思います。1年間、本当にありがとうございました!!

いったいどんな授業をしているんだ、という疑問を持たれた方は、高3のライティングはもう授業がないので、1月20日に行われる英授研の月例会にお越し下さい。

本日のBGM: バビロン(Bo Gumbos)