忘れたら思い出せばいいんですよ

今年も残すところ半月を切りました。
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先月のセミナーは少人数でしたが充実したものとなりました。受講された皆さんに感謝いたします。ご自身の教室で還元していただければ何よりです。

期末テストも終わり、残るは成績処理だけ、という段になって、「長年」愛用してきたMBPがご臨終となり、本当に大変でした。iCloud にデータやファイルがあるので、最悪の事態は免れましたが、急遽、ほぼXamを使うためだけに使っていた窓機の「レッツノート」で入力。ライティングのフィードバックをまとめるだけでも、キーボードが打ちにくくて疲れました。そんな逆境・逆風の中、今回の「ことわざ」編のフィードバックでは、80語から150語までの生徒作品2クラス分に対して、一人平均9分台という偉業を達成。自画自賛です。いや、ほんとに凄いことですよ。

さて、今月、そして新年もセミナーを予定しています。
年末も年末ですが、指導者に限定しない英語関連講座を開講します。

2021年12月30日(木)
英語学習・英語教育セミナー:「英語ニュース」で養う「ことば」を読む「眼」 

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近年「英文解釈」や「英文法」に関わる書籍・教則本・学習参考書が注目を集めています。文学作品や古典を一字一句おろそかにせず、構造をとらえて読むことの価値は十分認めた上で、それだけが「精読」ではないよ、ということを伝えたいと思っています。

「今使われている英語」「仲間内だけで通用するのではない英語」「市井の英語」を情報処理のために読むだけではなく、「きちんと読む」「意味が分かったら、ことばそのものを読む」ということに意識を向けるセミナーです。

講師の松井がソーシャルメディアのtwitterで過去2年続けている「英文ニュース140字紹介&詳解」(https://twitter.com/tmrowing
をどのように行っているか?どのような着眼点で記事を取り上げ、どのうような語句・表現に解説を加えていくか?辞書やオンラインコーパスの活用なども含めて、受講者の方と共有したいと思います。時間が許せば、受講者の皆さんで、リアルタイムでの「紹介&詳解」を即興で行うことも考えています。

申し込み時点で未成年の方は、保護者の同意を得ていることを確認させていただきます。申し込みフォームでの記入をお願いします。

こちらは指導者対象です。
直近の12月19日(日)の「チャンク」に関連したセミナーのシリーズになりますが、内容は若干異なります。

英語指導者対象セミナー:名詞句を中心とした「チャンク」の捉え方・教え方と「四角化ドリル」 2022年1月/16(日)
チャンクの指導法に加え新刊『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)作成の理念も解説。新刊のpdfでの配布はありません。
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※2022年元日追記:
12月の講座を受講してくれた方がご自身のブログでレポートをしてくれています。
受講検討の参考にしてください。アリシマ先生、ありがとうございます。

arishima.hatenadiary.jp

文字指導/handwriting指導法セミナーの「初級」は年内の26日が最後です。

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年明けの講座の「中級」編は希望者がいないため開講しないことになりました。初級編受講者が対象ですので、まだ初級を受講されていない方は、この機会に初級編と併せてお申し込みください。

2022年1月9日(日)
文字指導/handwriting指導法セミナー・中級
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講座内容:小学校の英語教科化や新学習指導要領で、「文字指導」のニーズは小学校段階に移ってくる、などと言われますが、そもそも「中学校」段階で、きちんとした文字指導、handwritingの指導はどのくらい行われてきたでしょうか?また、高等学校段階で、文字を書くことにどの程度配慮がなされているでしょうか?
この講座は、実際に「手で書くこと」= handwriting の指導法をきちんと扱い、その指導体系を考えるワークショップです。
欧文書体のhandwritingの指導体系を持つ、英国などのカリキュラム、シラバス、教材を踏まえ、日本の学習者にとって、より適切な「文字指導/handwritingの指導法」を共有します。

・欧文書体・フォントの基礎知識
・「フォニクス」ではない、handwritingとしての文字指導
・四線など補助線の意義
・シラバスデザインと文字導入の順序
・筆記用具の持ち方・握り方、姿勢への配慮
・筆記補助具、ワークシートの活用法

続いて、昨年、一昨年と好評だった、「英文ライティングのフィードバック」に関わるセミナーです。「共通テスト明け」で添削に汲汲とする前に、この講座で「眼」を養い「腕」を磨いてください。

2022年1月15日(土)
「英文ライティング指導法セミナー:適切な「フィードバック」のあり方・方法を考える
共通テスト後の「過去問演習」での添削・フィードバックも見据えて、英文ライティングの指導法を共有するセミナーです

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とかく「志望校の過去問を解かせて添削」に追われがちですが、適切なお題の選択・解答に求められる必須の要素と着眼点を踏まえたうえで、適切で効果的なフィードバックを与えることが重要な意味を持ちます。

以下の観点に留意して、主として高校生や大学受験生の指導者を対象とした、適切で効果的な「英文ライティング」の指導法を学びます。

・フィードバックの観点と実例
・好ましいFB、避けたいFB
・テクストタイプと英文の「つながり」「まとまり」
・テクストタイプの観点から見た「効果的な過去問」の見方と扱い方
・実際の高校生の書いた「英文」へのFB実習


そして受験生限定の講座。
2022年1月23日(日)午後 大学受験生対象「英文ライティング」オンラインセミナー
A講座: 国公立大(東大・一橋・外語・お茶大等)、難関私大の過去問を踏まえたオンラインセミナー
※受講対象者は2022年2月〜3月の大学受験生に限ります。高校2年次以下の生徒さんは対象としていませんのでご注意下さい。

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これまでに、過去問を解いて添削してもらい、その英文を暗記して乗り切ってきた受験生には「英文ライティング」の原理原則を学んでもらい、既に塾や予備校で「(自由)英作文」の講座を取ってきた人には「セカンドオピニオン」の場を与え、そして既にかなり「英語が得意だ」という人には、「群を抜くための着眼点」に気付いてもらうことを主眼としています。

過去問は使用しますが、解答が「エイブン」ではなく「英文」になっていることを目指す講座ですので、お茶の水女子大のような「和文英文」要約問題には対応しますが、京大・阪大などの和文英訳は扱いません。

この A 講座は、東大、一橋大、お茶の水女子大、東外大、早大等の出題類型を踏まえた過去問を使ってのガイダンスに基づき、お題を一題選択し、解答をメールで提出。講師からのフィードバックを受けて書き直し(リバイズ)して再提出。その解答に対する講評と、今後へのアドバイスまでが指導内容となります。

最後に、三省堂からの新刊 『チャンクで積み上げ英作文』の宣伝告知。
この記事の冒頭に写真を貼りましたが、この新刊『チャンクで積み上げ英作文』には、4択空所補充もバラバラの語の整序完成の問題も一切ありません。
「四角化ドリル」は基本的に「整序」とは全く対極にある理解・認識の強化作業だと思います。完成形の全体像に内在する構造を可視化するのが一連の四角化の記号付です。

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https://twitter.com/TNK_KNCH/status/1094387087556526080

Basic編、Standard編ともに、文から名詞句をくくり出して、「意味の濃い」「密度の高い」名詞句のチャンクを作ることで、接触節や主格の関係詞節に習熟する練習問題を多数収録しています。
かれこれ四半世紀、私の授業で使っているこんなワークシートが元になっています。

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文補充による談話完成問題(Discourse Completion Task) とそれに準じた和文英訳形式の練習問題で「つながり」と「まとまり」の意識を高めます。Standard編では、語句・表現のレベルが上がるので和訳付きDCTから始めています。元々は私が部長をしていた某学会のライティング部会でも提唱していたもの。
これまでに使用した教科書等では、こんな加工をして練習していました。

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Standard編には副詞節への習熟を図る「マッチング」の練習問題も収録。これは接続詞を補充する文完成ではなく、接続詞の前後に、適切に「主節」と「従属節」を配置できるかを問うもの。節そのものは主節も従属節も入り混じった「選択肢」から適切に選んで配置します。授業ではこんなハンドアウトです。

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『チャンクで積み上げ英作文』Standard編の36ドリル中
・同格のthat節をとれる名詞
・同格のthatは取れないので伝達動詞の-ingの後置修飾からthat節につなげる名詞
・同格のof + 動名詞(意味上の主語付きも含む)となる名詞
・そして関係副詞を使う名詞界隈
で4つのドリルを配置しています。

また、どちらかというと「難しい」とされる関係代名詞のwhatでの連鎖や、前置詞+whatのバリエーションも多数収録しています。

このように英語らしいチャンクを一息で出し入れするドリルを経て、

  • 次に出会った時に、それだ、とわかる眼

を養うことが可能です。言い古された「インプット」ということばですが、肝心な「眼」がなければ気づくことさえままならないので。
高等学校や中学校で見本本がまだ届いていないという場合には、こちらから。
tb.sanseido-publ.co.jp

よろしくご検討ください。


本日のBGM: I See You (Aimee Mann)