「地球は青かった」

2学期授業開始。体育祭の日程が急遽早まった関係で、午後は授業カットで体育祭準備。時間割変更もあり、けっこう慌ただしい。
今日は1年進学クラスで、学習合宿の続き。Marco Poloの復習から。案の定、最初の一文だけしか再現できないのだなぁ。前回と違うグループ割りにして記憶を頼りに復元作業3分間。その後、内容に関わる質問を3つ与えて、Q&Aの形で英文を引き出し、repeating。根比べですな。
今日、新たに扱ったのはYuri Gagarin。5文で1段落。少し1文が長くなり、最後の文は高1では結構大変。Howeverを安易に利用したグループは、最終文を落ち着けられずに、撃沈!
英文は以下の通り。

  1. It is over thirty-five years since man’s first flight into space.
  2. This was performed by the Russian, Yuri Gagarin, a farmer’s son and father of two.
  3. Gagarin became a folk hero not only to his own people but also throughout the world.
  4. His life was cut short in a tragic plane crash in 1968.
  5. However, his name is kept alive in the many streets and parks that were named in his honor around the world, the world he was the first to see from so far above. (87 words)

最終的に流れを確認した後で、質問して答えを引き出しながら、解説を加える。生徒のレベルやレディネスに応じていくらでも仕掛けは作れる。一例を示す。

  • 第1文で話題提供。現在時制に着目させる。
  • 第2文で主題に入る。Thisはman’s first flight into spaceを受けるのであって、flightだけを抜き出しても理解したことにはならないことを強調。その読みができていれば、performedの受け身のパラフレーズは、doneでもachievedでも幅が広がる。日本語のイメージであれば「遂行」という字句の持つイメージに近い。本文から離れ動力初飛行は誰?と問うてライト兄弟を引き出し対比させる。過去時制のwasに着目させる。同格の名詞句を、新たな登場人物だと思わないのはandの使い方と冠詞であることに触れる。特に、a farmer’s son and father of twoでaが一つだけであることに着目。
  • 第3文は「成果・達成・変化」を表すのだが、その目印は?と問うて、becameを引き出す。A folk heroの部分は「四角化で視覚化」でheroを確認した上で辞書でfolkを引かせて、「大衆・庶民」のイメージはその前のどの語句のイメージを受けているかを問う。その上で、「偉業」であることを強調するしかけはどこに表されているか、と問い、not only A but also Bを引き出すが、これは公式で覚えるのではなく、AとBの関係性・論理的なレベルの差を把握することの重要性を指摘。ここでは、Aには「人・対象」Bには「範囲・舞台」という名詞の枠組みの段階でズレがあるので、Aをto the Russiansとパラフレーズするだけでなく、 in Russiaとしても同じ論理展開になることに着目させる。
  • 第4文のHis lifeを「彼の人生」と済ませるのではなく、「世界的なヒーローとなったガガーリンの人生」という前文までの文脈を踏まえた理解をすることの重要性を説く。その上で、was cut shortの受け身、さらにtragicという語がそれぞれ、本人も望まないネガティブな結果、つまりdeathとのコントラストを生んでいることに着目させる。
  • 最終文はその「悲劇的な死」とでもいうべきものを述べる前文との対比で、howeverが用いられている。では、何が対比されているのか?と問い、aliveに着目させ、「彼の死後も残るもの」=「名誉」を引き出す。彼の名を残し、忘れないため、ならなぜin his memoryではなく、in his honorなのか?と問い、「偉業」という伏線に戻る。最後のthe worldの同格での接触節は不定詞句を含む勘所なので足跡を確認するため板書し文構造を確認。この同格で用いられているthe worldは一語で言い換えると何になるか?と問い the earthを引き出す。その上で、ではなぜ、筆者はthe earthではなく、同格でthe worldと言っているのか、という「劇的効果」を解説。最終文で現在時制になっていることを再確認。
  • 全体と部分との縦糸・横糸を踏まえた上で、グループで全文の音読。

一応教材研究の段階では、上記を全部準備しておきますが、これを全部やっていたら、1時間なんてすぐ経ってしまいます。生徒の反応を見つつやることとやらないことを見極め、次の活動・作業へ進んで、また時々戻ってというサジ加減です。でも、最後に英語を残すためにはどうすればよいか、いろんなやり方があってしかるべきでしょう。私の指導の力点は「書き手の視点」から再度英文を読む、という英作文的読書にあるので、こういう一見重箱の隅をつつくかに見える読みも年間を通じて一定回数取り入れています。
明日は高2オーラルと高3のセンター対策。まずは、学習合宿の復習から。上級生の成長に(かすかに)期待。
夕飯はチゲ鍋。最後はうどんで〆。夏バテ解消となるか。

本日の晩酌:京の春 大吟醸 あらばしり斗瓶囲い・徳島県阿波特A地区全量山田錦
本日のBGM: Bluer than midnight (The The)