Moonlighters

高2、高1はセンター試験解説編。
まだまだ当事者意識は希薄。でも、正答が得られることが目的の解説ではないので、(現任校の) 高1の学力と英語力でも、ここまではできるでしょ?という部分をしつこく要求。その頭の働かせ方が身に付いているか、頭が動く速度で、手が動くか、なのです。
月末に予備校で解説があるらしいので、このブログで書いたような「気になること」を担当の講師の方に質問してみなさい、といっておきました。どなたに当たるのか分かりませんが、よろしくお願いします。
私の生徒が躓くのはたとえば、

  • He wanted to realize his dream of ….

の錯乱肢となっていた、「ドリカム」の整理。ディクテーションで、

  • His dream has come true. のcomeは?現在形、原形、それとも?

という問いに思考が停止したりします。
ということで、

  • He has made his dream come true. でのcomeは?

というのを考えさせて、自動詞と他動詞という概念、動詞の活用形という概念を形成していくわけです。
他には、

  • Going through all the steps to adjust the brightness of my computer screen is a real nuisance.

での長い主語の処理と未修語の nuisance でお手上げとなるようです。高1、高2でも息継ぎが長い生徒は左から右と進めば、isを見た瞬間に頭が働くからいいのだけれど、そうじゃない生徒には、「be動詞、時制が決まれば、とじかっこ」という合い言葉で、先に述語動詞の処理をしておいて、一番左まで戻って核になる名詞を「四角化で視覚化」。この場合は、goingで動名詞の固まりを確認し、「ワニの口」始まり。isの前で「ワニのしっぽ」を見極め、goingに戻って、「ワニの口」閉じる。ワニの生態や形態が得意な人は動名詞句全体の意味処理。そうでない人は、「goすること」という「こと (がら)」ということを押さえ意味の核だけ処理。isの右側は補語なのだから、名詞か形容詞。aを見た瞬間に核になる名詞の予想を立て、アンダーライン開始で、nuisanceが名詞に違いないということで、四角化で視覚化。当然、主語が「こと」対応だったのだから、この名詞も「こと」ではないか?という心の準備をしてから辞書を引く。そうすれば、辞書の訳語のうち、

  • 迷惑な人 [行為、もの]、やっかい [めんどう] なこと (『ロイヤル英和』 旺文社)

とあっても、「こと」を選べるという次第。(ちなみに、『岩波英和』だと「不快の種」などという訳語が与えられています。)
「未知語は文脈で推測」、などとしたり顔で説く気はさらさら無いし、「品詞分解で逐語処理をするなどというまどろっこしい解法ではなく、『センターレベル』の単語をちゃんと覚えておけ」、などと普通の高校生の現実と乖離した「べき論」で済ませたりはしていません。もっとも、教えている「現場」によって、「普通」というのが一番難しいのですけれど。
二年生でも、nuisanceは見たことはあっても、覚えてはいないので、辞書を引く前に、次の話者の、

  • Why don’t you do it the easy way?

の “easy” に着目させ、「easyは『好都合』なのだからでプラス評価。じゃあ、さっきの nuisanceはeasyと同じか?」と振っておいてから辞書を引く作業に。「牛乳を飲む習慣のない人に、練乳を飲ませる作業」 (= inspired by ownricefieldさん) はこうして進むわけです。
「教科書」なら、教材の難易度を下げれば済みますが、入試の難易度は下げてはもらえないので、変なコンプレックスを持たず、それでいて、覚えるべきことは覚えていこうと、真摯に英語を学ぶことに向き合うことができる生徒を作るのは骨が折れます。
高2では、

  • She really does seem to have a penchant for vintage jeans.

の、述部がまどろっこしいので、主観的推測なら、

  • She must have ….

といえば済むこと、として、その代わりに、

  • have an eye for art
  • have an ear for music

などの補足をして、基本的な身体部位を用いた英語のコロケーションを整理。明日は、類例として、

  • have a head for

を追加の予定。
ディスカッションもどきの問題では、

  • statement, judgment, observation, consideration など、一般名詞を使ったそれまでの内容の折りたたみに敏感になること。
  • 話者の心的態度を表す助動詞に着目して、事実と意見・価値判断とを区別すること。

を徹底。「張出横綱」で、have to とought to の確認。助動詞と同じような働きをする形容詞の確認。今回は、文修飾の副詞はなかったので、それは今後のお楽しみ。
いくら「目のつけどころ」を鍛えたとしても、高1、高2では今回の出題程度のグラフ・図表問題の英文がそもそも読めない生徒が多々いますので、地道に普段の授業で、「語彙・文法」、「読解・音読・聞き取り・作文」の精度を上げていくしかありません。
高1はセンター解説をいったん終了し、明日、ようやく「いわゆる」第5文型で用いられる動詞の語順と形合わせの整理です。

本業でエルゴの指示を出して、19時から予備校までセンター試験自己採点のレポートを聞きに。データを受け取り、悲喜交々。何人か知っている先生にご挨拶。県立の重点高校は今日、進路協議会のようなものがあったとか。大変ですね。詳細なレポートを聞き、終了は20時。
晩飯は回転寿司で済ませる。

移動の車中でラジオから阿部真央の新譜が流れていたのだが、曲が終わった後、DJ (?) が、

  • これ、カラオケで歌ったらヤバイよね?男子落ちるよね。うまく歌えたらの話しだけど…。

などというような内容のコメントをしていて、耳を疑った。私は別に阿部真央のファンではないけれど、なぜ、楽曲や歌詞そのものや歌い手その人をとりあげないのか?「天才」などと持ち上げたり、ヨイショしたりする必要などないけれど、アーチストへのリスペクトは?楽曲は消費財か?aiko、大塚愛、絢香以降の女性ボーカリスト受難の時代をこのような形で感じるとは思ってもいなかった。

帰宅して、ふと見上げれば、満天の星。
せっかくリクエストしておいたのに、「元春Radio Show」を聴くのを忘れた。

本日のBGM: 三日月サンセット (サカナクション)