”I tried to make it work.”

過去ログのエントリーに寄せられた加藤京子先生のコメントを読み返していた。

That's just what I'm doing!
「A friend is someone who …. の練習。抜き出した例文を下敷・・」の件
中学校で習う文法も空所補充や2文連結などの操作ばかりしていては理解も進まず、ましてや表現の道具として使いこなせません。

  • Giving shade is part of our purpose in life.
  • Making people happy is a good reason for living. (以上ニューホライズン3年 The Fall of Freddie the Leafより)

の動名詞主語を自分の人生にあてはめて変える作文をさせます。次の文のfriends を変えても面白い文ができます。

  • Good friends stay in our minds forever. (同上2年E.T.より)

練習するだけでなく、作文や日記にも時にはこういう決めの1文を使うよう生徒に教えています。

今日はもともと本業はオフの月曜日。
今日の高1進学クラスは、動名詞を用いた心に響く用例をホワイトボードに書き出す作業が不十分でやり直し。4冊あるので、少なくとも、一人4文は書いていないとね。「お粗末な準備で授業を迎えてはいけない」、というのは教師も生徒も同じです。
高2のライティングは、後置修飾それぞれの得意不得意、持ち味、効き目について。
<time to 原形><way to原形>などでの名詞と不定詞の関係を、「同格」という用語でひとくくりにして説明するのは、本当に適切なのかを考えていた。
ちなみに、安藤貞雄 『現代英文法講義』 (開拓社、2005年) では、

  • 14.2.4 to 不定詞が関係副詞節の働きをしている場合 (pp. 209-210)

として、time, way, place の例をあげているが、

  • 14.2.5 to 不定詞が先行詞と同格的に働く場合 (p.210)

として別項目で立てた例の中には、occasion, rightという名詞が含まれている。もう少し、実例と構造を深く考えてみたい。

高3再入門講座も、ちょうど文から接触節となるように名詞句を括り出す練習。
まずは日本語から英語という提示順で例文の四角化、とじかっこ、波線の処理。

  • I like the musician best.
  • I have just received a letter from Canada.
  • My father bought me a new cell phone on my birthday.
  • I can turn to a lot of friends in times of trouble.

構造が確実にわかったところで斉唱で音読、Read & Look up。新出事項が何もないこの程度の例文でも、相当手こずる者がいます。所詮は既習事項の合体ロボ攻撃なのだから、弱音を吐かせてはダメ。3年生は卒業までもう時間が限られているのだから、今までこなしてきたワークシート、ハンドアウトをゴミにするか、宝の地図とするか、宝の持ち腐れとするか、一人ひとりに迫らないと。
この英文から括りだした<接触節・名詞の大きな固まり>を観察して、

  • the musician I like * best
  • a letter from Canada I have just received *
  • a new cell phone my father bought me * on my birthday
  • a lot of friends I can turn to * in times of trouble

と、<足跡 = * >の位置を確認する。
そこまでやってから斉唱で音読、続いてRead & Look up。頭の中に、「人」、「もの」のイメージが浮かぶかと問い、音読を繰り返す。

  • 四角 (= 名詞) と四角が並んだら、そこには何かあるぞ、と匂いを感じること。
  • 波線 (= 前置詞) と波線 が並んだら、そこには何かあるぞ、と匂いを感じること。

という展開ですから、高2の進学クラスのライティングと高3普通科の再入門講座とでは、やっていることはそんなに変わりません。深みというか、厚みというか、奥行きというか、見通しが若干異なるだけですね。
これをお手本にして、練習問題で、例文をさらに10個用意しています。ここでは、これまでに既習の例文を意図的に使い回しています。

大きい方の職員室に戻ると、先日、学校に営業に来て頂いた出版社の方から、サイドリーダーのサンプルが届いていた。深謝。
要所要所にルビが振ってあるシリーズと側注・傍注のシリーズと。日本の高校生向けに日本の出版社が編集し、英語ネイティブがrewriteしたものをもう少し見直し、読み直ししておきたいと思う。取り急ぎ、O. Henryの短編集と『チップス先生さようなら』を速読。
物語の出だしだけは、いつも作者に成り代わりではないが、手書きで語彙・表現・構文選択の検証をしているのだが、今シーズンの多読を準備するにあたっては、自分で朗読してみる、ということも始めてみた。
先日、「てつがくのみち」さんで、古書にて買い求めた、

  • The Story of Heidi, Usborne Young Reading: Series Two

はCD付きなので、自分でも一緒になって音読してみたのだが、描写に使われる言葉の選択が、音の響きを良く捉えているなぁ、と実感した。何でもない食事の一場面を紹介。

Heidi watched Grandfather blow onto the embers of the fire, making the flames blaze. Fetching a bowl, he filled it to the brim with rich, creamy milk.
“Here you are,” he said.
Then He toasted bread and cheese over the fire until they were a glorious golden brown.
Delicious smells filled the hut and Heidi realized how hungry she was. She licked up oozing drips of cheese, crunched the toast and drank the milk to the last drop.

基本的にBrEでの朗読だが、大人が読んでも楽しめるのはもちろん、英検の準2級くらいの生徒なら、それよりも易しいバージョンともう少し難しいバージョンとの比較も楽しんで取り組めるのではないかと思います。自分でこのレベルの英語を「耳で書く」のを目標に精進したいと思います。

郵便局で振り込みを済ませてから帰宅。
夕飯を食べ、『水戸黄門』。
諸国漫遊記そのものが創作である以上、ご当地ものでの場面設定、時代考証もご愛敬で済ませてもらうしかないのだろうが、「劇」として「物語」として、人物設定とか、登場人物のセリフが、「語り」として、もう成立していないのではないかと感じられるレベル。俳優の所作のひどさは、このシリーズでは初回から諦めていたが、「桃太郎」と「浦島太郎」との区別はどうでもいい、とでも言うかのような物語性のなさは見ていて「悲しい」。里見浩太朗が自分で終わらせることを受け入れた以上は、時代劇を見る者として、ここは押して忍ぶしかないのでしょうね。このシリーズは、歴史に残る作品としてではなく、歴史を終わらせた作品として後世に語り継がれるのかもしれませんが…。

気持ちよく酔えずに早めの就寝。
明け方に教材研究の予定。

本日のBGM: Say Hello, Wave Goodbye (Marc Almond)