”a” is pronounced the same as ”I” here

まずは告知から。
第4回山口県英語教育フォーラム、11月19日、今週の土曜日に開催です。
今年で早、4回目となります。これまでの講師陣は、以下の通り (敬称略)。

2008年 第1回 松井孝志、久保野雅史、阿野幸一、田尻悟郎
2009年 第2回 永末温子、久保野りえ、今井康人
2010年 第3回 柳瀬和明、大津由紀雄、加藤京子

そして今年、2011年は? 
組田幸一郎、佐藤綾子、萩原一郎
の三人です。講師の人選の基準というわけではないのですが、こうして振り返ってみると、私が今、一番話しをしたい人、話しを聞きたい人、という点では共通しているようです。自分が直面している課題から逃げずに、目の前の生徒ととことん付き合って、生徒の英語を育ててきた人達から何を学ぶか。「明日の授業で即使えるコツ」とか「指導技術」「クラスマネジメント」を用意して、参加者に「お土産」や「付録」を持って帰ってもらう講座ではなく、英語教師としての根っ子や土台の部分というか、理念や哲学というか、そこから揺すぶるような、このフォーラムでこそできる講座を準備しよう、ということは、第2回の講師でお招きした、久保野りえさんの講座を会場で実際に「体験」して、あらためて感じたことでした。
今日、「呟き」を眺めていたら、埼玉大学の靜哲人先生のブログ (Kyle's Kingdom) が更新された通知が入ったので、読み入っていました。「命がけの愛情」と題された、靜先生の元教え子からのメールが引かれています。

  • 指導方法の議論より大事なことってあるんじゃないですか?

そんな思いを持った人にも是非、足を運んで、耳を傾けて、自分自身を揺すぶって帰ってもらえるフォーラムだと思います。
詳しくは、こちらを→ http://cho-shu-elt-2011.g.hatena.ne.jp/tmrowing/20110927

実作は、高3ライティングから。argumentation の続き。
今日も、しつこく、本論での「理由付け」。語句の選択とその論証責任。詳しくは2006年度の過去ログを読んで下さい。このクラスの生徒のうち、国公立の個別試験で、まとまった量のライティングを課す大学を志望しているものは1,2名。入試対策としてしか考えていない者にとっては、苦痛の連続に思えるかも知れないが、書くことを吟味することによって、それまで読み落としていた様々なこと、ものが、初めて見えてくるようになるので、やはり自分の頭で考えて、自分の手で書かないとダメなのですよ。その結果、ライティングの力はそれほど向上していなくても、読む力が格段に伸びていることだってあるのですから。その意味では、「視写」というのも、「自分でその英文を生き直し」ながらやっていれば、良いトレーニングになるわけです。
昔の生徒の感想がここにあります (http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060216) が、この生徒は必修の英語 I, II、リーディング、ライティングと全て私の講座をとっていました。当時のライティングのシラバスが発展し、2000年代の冬の時代を経て、2005年、2006年のライティングの授業へと昇華していき、『GTEC Writing Training』という形になりました。『パラグラフ・ライティング指導入門』では、その中から掻い摘んで活動例・指導例を記したものです。ライティングに特化したシラバスへとどう繋げていくのか、という試行錯誤は、こちらのアンケート (http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20070306) に記された高2生の声から想像してみて下さい。自分の苦労をマイナス評価したいと思う人はいませんから、これらの声の響きも割り引いて聞くことを忘れずに。

進学クラス高1はホワイトボードに転記された珠玉の例文を生き直す作業。解説は日本語で、適宜英語でパラフレーズや類例を提示。訳語に置き換えてわかったつもりになってはダメ。
その典型例は、

  • Happiness is finding someone you like at the front door.

この例文を抜き出して転記した本人がfindの実感を伴っていなかった。私の解説では、「うに」を始めて食べた人の感想、というパラレルな場面、「食べてみたら、美味しかった」という時の実感を引き合いに出して、もう一度例文へ。そこで本人も大きく頷いたので、

  • 今、感じたよね。英語が本当にわかっている人と、わかっていない人には、これだけの差、ギャップがある。いつもしつこく、自分で例文を生き直すこと、といっているのは、その差を埋めて、英語を自分の言葉にするため。

という指導。上述の例でのhappinessは、私の実感というか頭の中では、a pleasant surpriseとでもパラフレーズされているのだろうが、それを提示して同じ「気づき」が得られるだろうか?<happiness = 幸せ、幸福>というラベルの張り替えでは不十分どころか、害になることさえあるのは確かだが、初学者に次のようなパラフレーズをしてどの程度「効き目」があるだろうか?

  • pleasure; contentment; sense of trust and confidence; satisfaction; willingness to do something

まずは、実例の野山を駆けめぐることから。happinessに続いて、securityとloveの用例へ。

商業科高1、普通科3年再入門講座のレポートは、またの機会に。
放課後は久々の本業。陸トレ中心です。
エルゴで低レートで20分漕いでから、体幹種目。姿勢、アラインメントをしっかりと見て、動作の癖、効率の悪い予備動作とその原因を探る。
トータルでも1時間半で終了。人についてもらっての陸トレは楽なモンです。要は、自分で追い込めるかですから。現任校は、私の目から見ても、グラウンドでも体育館でも、どのクラブでも「良いトレーニング種目」を採用しているなぁ、と実感します。でも、成果が上がる選手と、そうではない選手が出てくる。その差は何か?そのトレーニングの「ポイント」を押さえて実効しているか否かです。後輩が先輩達を見て、そのことに気づくか?そして、気づいた時どちらについていくか?チーム作りの難しさは、授業作りと同じものだと感じています。

昨日のエントリーにあった、不定詞の用法での疑問と向き合っていました。
学習参考書レベルでも、この項目から逃げずにしっかりと取り組んでいるものがあります。

  • 澤井康佑 『よくわかる英語の基本 基本文型・文と文の結びつき』 (開拓社、2010年)

では、<to V句 [to不定詞句] の形容詞的用法> (pp.315 -324) でこの項目に丁寧な解説を与えていますが、まず<同格・関係副詞のthat節との関連でとらえる>ものから説明を始めているのが類書との大きな違いでしょう。
澤井氏は、<節→句>という大きな見取り図を持って、記述をしているので、この項目も、

  • 形容詞節を形成する従属接続詞 (pp.188-235)

と併せ読む必要があります。

大人向けの参考書、という言い方も一寸変ですが、

  • 大野照男 『‘社会人’ のための英文法のはなし』 (東京図書出版会、2009年)

では、<5.1 準動詞は、ことばの「経済」の担い手>と題して、いわゆる準動詞、「小節 (Small Clause)」 が扱われています (pp120-135)。例文は映画のセリフなどからとられたもので、せっかく節と句の関係を丁寧に解きほぐす好機なのですが、この形容詞的用法の説明そのものは不十分で、消化不良という感じで、残念です。

帰宅したら、

  • 佐藤久美子 『ひとりで基礎から学べる 上手な英語の伸ばし方』 (ライオン社、2003年)

が届いていた。文法から、読解への橋渡し教材として、学級文庫に入れることを検討中。既に『カリフォルニア留学物語』は学級文庫に入っているし、「オーラル・コミュニケーション」の教科書は大修館のDepartureを使っているので、著者のスタンスにも馴染みはあろうかと。この参考書もかつてのNHKラジオ「基礎英語3」そのままに丁寧な語り口で書かれている。まずは、私がじっくりと読んでおきますか。

本日のBGM: Love gets dangerous (Billy Bragg)