Rabbit or hare?

学習合宿講座無事終了。高1には厳しい課題だったかも知れないが、各グループとも良くやってくれました.
それでもやはりいちばん大変だったのは自学自習タイムか?保護者の方々が夕飯を作ってくれたりと、暖かいサポートを感じました。教員生活22年目ですが、こういうのは初めてです。

私の講座で扱ったnarrative passageを書く課題で、文法の(準)教科書を目次通りに学習していては決して想起しないであろう疑問が出てきた。いいところで悩むようになってきたなぁ。健全、健全。
「帽子の入った籠」という内容に該当する英語はどれが適切なのか?

  1. a basket of hats (?)
  2. a basket with hats in it (?)
  3. a basket full of hats
  4. a basket filled with hats
  5. a basket that has hats in it
  6. a basket that holds hats (?)
  7. a basket to carry hats
  8. hats in a basket

英語が苦手な学習者にとって「机の上の本」が
(X) a desk on the book 
ではなく
(○) a book on the desk
であることはなかなかに理解しがたいことである。
「名詞は四角化で視覚化」は日本語の名詞句の処理に際してもある程度のヒントを与えてくれる。ここでは「本」が核となる名詞であるから、英語ではまず、a book と核になる名詞を述べ、その本はどこにあるのか?という場所・位置関係を表す言葉として、onを示す、という手順が考えられる。そして、 A on B の関係を図式でもして、類例を示しAとBを逆にすると、もの凄く大きく意味が変わり、時にはナンセンスになることを教えてあげるくらいが、今の私の授業での限界。
10年ほど前、オーラルの教科書を書いていた時、空間・位置関係の表現に習熟するための「忘れ物をしたので、家の人に電話で探してもらう」なんていうタスクを考えたことがあったけど、「日本の高校生が家に電話を掛けて英語を話す必然性はないな」と思い直し、会議に諮るまえに没にしたことを思い出した。当時はまだ、現実の使用場面、という概念の「まやかし」に縛られていたのだなぁ。「どんな場面だろうが、目標言語を使用すればそれが現実なのだ」、という極論はさておき、「学習者」にとって最も切実な現実の場面は「学習」なのだから、学習のために英語を使うことこそが「現実の使用場面」を意識した言語活動であり、運用なのだ。最近の英検での調査を見ればそれがよくわかる。

さて、今回の課題の「帽子の入った籠」で言えば、
a basket of hats に対比させる項目として、 a basket of bambooと two baskets of hats を提示し、さらには a lot of hatsを考えさせた。「A of Bを侮るな」ということである。
With+名詞+前置詞(副詞・不変化詞)と関係代名詞+haveなどの動詞+名詞+前置詞(副詞・不変化詞)は相互に入れ替え可能な場合( a man with a hat on と a man who has a hat on など)もあれば、そうでない場合もある。今回の例ではどうか?と問うてみた。
full of とfilled withではコロケーションの問題を、have とholdではコアミーニングの問題を、不定詞の形容詞的用法では、なんでもかんでも形容詞として後置修飾できるわけではないことを示した。
最後の例は、今回の講義では示さなかったもの。夏休み最後の学習合宿で復習時に扱う予定。
文法項目を目次的・網羅的に扱うことが必ずしも習得の容易さを意味しないことを理解してくれれば、と思う。
本業は台風5号接近の中、午前のみ湖で乗艇。大学生は関西選手権直前なので艇庫はオールやリガーなど荷作りをして出発の準備ができていた。60分ターン時以外はノンストップで漕ぎ続ける。ようやく、少し力を出して漕げるようにはなってきたようだ。明日の午前は様子見で、午後乗艇。
ELEC協議会に研修会の資料を送付し、メールで印刷の確認。台風の影響で、速達の航空便が欠航で、到着はギリギリになりそうです。準備がより大変になりますが、よろしくお願いいたします。
仕事で上京する妻を駅まで送り、一人で夕食。夜も更け、風が強さを増す。

本日のBGM: Better Be Home Soon (綿内克幸;home rehearsal ver.)