”there should be laughter after pain”

高2はAcrosticの発表がスタート。第1ラウンドのグループは、各詩人の朗読の後にそれぞれ評価をする時間を充分確保できていないので、恐らく得点にばらつきが出るだろう。「だったら教師が最初から指示するべき」という考えが最近は主流なのだろうが、こういうことも試行錯誤。思いっきり失敗して初めて、思いっきり学ぶものだ。
「今月の歌」もいよいよシーズンの最後の曲。”I love every little thing about you”。一部で評価の高いアルバム Music of my mind (1972年) の中でも、それほど批評家に取り上げられることのない曲だが、聴けば分かるはず。歌詞確定の際に、”I’m here to say”というフレーズの説明をしたのだが、ちゃんとポイントを聞いていない何人かは、せっかくの解説のうち、間違った解釈例の部分のみを聞いているので、正反対の理解にとどまってしまう。これには「お手上げ」。ここでも、思いっきり間違えたことにショックを受けてもらわないと…。最後の方に出てくる、

  • You saved all the pain the world’s put on me.

という部分をきちんと理解できている者が少なかった。接触節の理解よりもむしろ、saveという動詞の「語感」が実感として理解できていないのではないだろうか。
コメント集から抜粋、

  • I suppose that many sweets that appear in the last part are symbols of every little thing about “you”.
  • I found a lot of informal expressions in this song. I think that some sweets in the last part are compared to “you.”
  • There is a lot of happiness around this singer. His tender voice introduces me into the song naturally.
  • As I listened to this song again and again, I became happier. I think the songwriter had a girlfriend when he wrote this song.
  • It is clear that the singer’s love is a very strong emotion, strong enough to cover up all the pain he faces. It’s strange but fascinating how he could be saved from pain just by loving her, not by being loved by her. She must be a brilliant girl. J
  • My interpretation remains unchanged. It is a sweet song full of love, in which he expresses his love for the woman who has been with him all his life. It’s the kind of song you’d like to hear at a wedding.

今回の曲とは直接関係はないのだが、こんなコメントは教師冥利に尽きよう。

  • I feel happy because I have listened to a lot of English songs in my English class and many of them have taught me something about life. Thank you very much!!

今シーズンは合計で15曲を扱い、コメントの総語数は約18000語といったところだろうか。1学期の分(7000語程度か?)がハードディスクのクラッシュで飛んでしまったのが惜しまれる。コメント自体は3分程度のTimed writingでしゃべらせる代わりに書かせているという感じなのだが、第二言語習得の観点から何が理に適っていて効果的なのか、などということは聞かないで欲しい。面白いからやっているだけです。私個人は特に実証的なリサーチをする積もりもないので、もし興味のある方がいれば、テキストファイルをお貸ししますからメールでも下さいな。
英授研やELEC同友会でも活躍中の本多敏幸先生が最近取り組んでいる「コンポノート」という実践を見て、自分のやってきた『表現ノート』などのライティング指導と相通ずる要素を感じた。とにかく、書き続けることが大事なのだ。トピックセンテンスやアウトラインなど、パラグラフをきちんと組み上げ整える指導の前に、書くことへの抵抗感を減じ、たくさん書けるようにしてあげることが優先する。おそらく、生徒が実際に書いた英文に誤りが見られると、高校の教師などは素通りできないのではないかと思われる。私もよく年長の同僚から「誤りの垂れ流しのような英語を書かせてどうするのか!」というボヤキを聞いた。が、所詮、そのレベルの英語力しか自分の授業でつけてあげられていないのだから、そこからスタートなのだ。教師には辛いその事実を受け入れることが本当のスタートラインである。進学校の先生も文法指導がそんなに大好きなら、どんどんライティングをやるといい。文法について本当に身につけようという意識になってくれるから。くれぐれも大学入試の過去問をそのままやらせるような愚行は慎まれんことを。
さて、先日告知した『NHK英語講座公式ガイド』ですが、以下のアドレスで英語力測定テストができます。是非、現在発売中のムック本を購入の上お試し下さい。年齢構成別正答率などの各種統計からはいろいろなことが窺い知れるのではないかと思います。
http://www.mailservice.jp/nhk_book/guide2007/index.html

私事でいろいろあり、しばらく更新が滞るやも知れません。悪しからず。
本日のBGM: Why Worry (Art Garfunkel, originally written by Mark Knopfler)