「超ウルトラスーパーイントロ、ドンッ!」

今日も朝は5時から、高2の今月の歌ワークシート作成、「杉原千畝」用のハンドアウト作成。それが終わってから、高3ライティングのPersuasive passageの導入教案とワークシート作成。なんとか、授業が出来る目処がついた。その後、高2の中間考査表面の記号など単純な部分だけ採点。Customer reviewの出題は壊滅的な生徒が目立つ。少し扱いを工夫せねば。
午後は語研大会2日目。
協議会の「中学高校英語研究:授業比較」に参加。『プログレス21』を使った私立高校1年生の6月の同一教材の授業2つを比較。オーラルイントロダクションを中心に質疑応答と討議。私立の進学校でもオーラルイントロダクションを実践しているのがまず見所。協力体制を取れる同僚がいるというところが数多ある進学校との違いだろうか。
質問は2点。
一つは、教材の英文を教材研究で読むわけだが、その際に、高1の生徒にとって最も難しい箇所はどこだと想定して、オーラルイントロダクションを立案したか?というもの。
これに対しては、二人の先生とも、「世界史的・地理的な背景知識の理解を促す」ことを想定していたとのこと。私としては、2ページあるうちの2ページ目に難しい語彙・文構造があるので、諸活動の前提である「内容理解」のtrouble spotを答えてもらいたかったのだが、観点が異なったようだ。1ページ目の英文だけを鑑みても、「戦争での敵国・敵軍に対して」Lord Nelson was happy to see that the enemy was finally ready to attack.というのがオーラルイントロダクション後の一読で実感として理解できるかが気になった。この次に読むことになるであろう第4段落での分詞構文はドリルとして練習済みであっても、Skillfully making the enemy divide their strength, Nelson attacked them at their weakest point. でのいわゆる第五文型の分詞構文は理解しにくいと思われる。さらには、最終段落の Filled with sorrow in spite of their victory, Nelson’s men carried his body back to England. の過去分詞で始まる分詞構文は理由を表すつなぎ方の中に、前置詞句での譲歩・逆接があるので、一読での理解は難しいだろう。
二つ目は、新出語句の導入での「手応え」に関して。一人の先生は、

  • Having conquered the European Continent, Napoleon was now planning to invade England.

を生徒にリピートさせ、言わせるわけだが、一部の生徒はinvade以下を「モゴモゴ」読んでいたにもかかわらず、素通りだった。Backward buildingなどで確認できる部分だと感じた。
また、もう一人の先生は、パラフレーズしながらの導入で、conquerのところを、attacked/controlled/won the battleなどと立て続けに説明したあとで、in other wordsとして、conquerを「入れて」いた。「どの語句を言い換えたのか曖昧だな」と心配だったのだが、案の定、その後の invadeを引き出したい部分で指名された生徒が「conquerってどういう意味?」という反応を見せていた。分詞構文も新出事項、conquerもinvadeも新出語彙という状況を考えた場合に、もう少し配慮が必要だったのではないか。
小学校で英語を教えているという方からの質問・意見で「もっとパラフレーズを用いて、生徒のoutputに使える語彙を提供してはどうか」というのがあったのだが、「オーラルイントロダクション」はアウトプットのためにあるものなのか、を吟味するべきだろう。(「前提」といわれる内容理解、さらには、理解したことの確認が難しい、という問題に関しては『英語青年』10月号(研究社出版)の拙稿をご覧頂きたい)
この授業比較という企画は、英語教育系の学会の全国大会が数ある中でも、語研ならではの企画で、学ぶことの極めて多いものである。今後、より一層の発展を期待するものである。
二日目の締めくくりは「小学校英語」に関わる対談。これにはいろいろ考えるところがあるので、後日詳しく語りたい。対談者は久埜百合氏と新里眞男氏。途中、少し「荒れた」のだが、久埜氏の穏やかでいて骨のある言葉に終始フロアーは大きく頷いていた。「現在の小学校の授業・英語活動の中には正直『困ったなあ』というものが多々ある。どうしてそういう問題ある活動が行われているのか、誰が犯人なのか、とたどっていくと、児童英語教師が作っている教材にその問題のある活動が載っている」「児童英語教育の方にまかせるのではなく、英語教育の専門家が、教材の是非などを検証して意見を言っていかなければならない」と久埜氏の口から問題点が指摘されているのが印象深かった。
明日はテストあけの授業後、すぐに学校を出て帝京大でのスピーキングテストフォーラムに参加の予定。採点はいつ終わるのだろうか…。そうそう、来週11月5日はELEC同友会英語教育学会の全国大会です。よろしくお願いします。まだ資料が完成していないので、今宵も頑張ります。
本日のBGM: It’s too late (Carole King)