Do you mean business?

大阪府知事の愚行がまたメディアにでている。
藤原某を顧問に据えているあたりで、この知事の度量が窺い知れるが、メディアもメディアで、ある時は知事を叩き、ある時は教育委員会を叩きで、ニュースを垂れ流すのではなく、くだらない政策のお披露目では、いっそのこと、記者会見ボイコットとか、黙殺してみてはどうなのか?
報道が正確なら、「このザマはなんだ」といって酷評されているのは、当事者である。つまり、教育委員会の更に先にある、「学力の定着していない小中学生」。教師は教室で毎日直接生徒と関わり合っていても、酷評するには勇気や覚悟が要る。この府知事はどうなのだろうか?彼は、この小中学生に対して、

  • 君たちの学力はあまりにもひどいけれども、ひどいのは先生や教育委員会のせいだから、めげずに勉強してね。

とか言う気なのだろうか?
「教員の意識改革」の結果、公立小学校の取り組みがうまくいったとして、その子たちは公立の中学校に進んでくれるのだろうか?よしんば公立の中学校に進んだとして、その先、公立の高校に進んでくれるのだろうか?
「成功例」とか「成果」といったことばが端々に出てくるのだが、そもそも、何をもって学校教育の成果としているのか?
たとえば、ある都道府県と地方自治体が連携して高校改革を進めた結果、突出して「成果」を出した高校が公立に生まれた。国公立大学合格者数でも、高校入試の偏差値ランキングでもトップレベルに上昇し、「奇跡」などと形容されたりもした。しかし、その高校は、それまでの(言い方は悪いが)くすぶっていた頃に入学していた学力水準の生徒を、その「奇跡」のレベルまで引き上げたのではなく、成果が上げられるレベルの生徒を集めて入学させ、ある程度の「成果」を出したと言われている。その「成果」をもとに、今まで以上の学力水準の生徒を入学させる。そして、その「成果」をさらに伸ばして「成果」を増やしていったという「評価」をする人がいるわけである。この評価が妥当なものかどうか、改革以前のその高校の入学最低点や塾などで行われる模試の偏差値と現在の数値を比べてみたり、高校で受験する模擬試験の偏差値分布を入学時から高3まで比べてみれば一目瞭然であろう。高校入試の偏差値ランキングや高校入学時の模試偏差値が改革以前と依然として変わらないレベルで、その成果を出しているのであれば、それこそ「奇跡」と言えるだろうけれど…。
百歩譲って、この高校の取り組みを成果とみなすとした場合、今までは入学してくれていたはずの有望な受験生が減ったそれまでの進学校はどうなったのだろうか?競争原理が働いて、その学校も成果を伸ばしていくことになったのだろうか?そんなことはないだろう。パイが限られている以上、制度改革のあおりを食らうのは常に公立の二番手校であるのだから。

過去ログでも書いたが、東大、京大、「旧帝大」など世間が高く評価する(と信じ込まれている)大学の入学定員が大幅に変わるということはないのであるから、「合格者数」という限られたパイを争奪するタイプの成果を教育現場が競っても意味はないのだ、ということに早く気づいて欲しい。

今日は高1のみの授業。
事務方の暖かいご支援で、年度途中にもかかわらずホワイトボード購入が認められ、教室に配置されたので、活用法を説明するために、オーラルイントロダクション。もちろん英語でですよ。私だってやる時はやります。英検3級レベルの英語で、10分程度のインタラクション。
4月から続けてきてもらった『短単』の小テスト、まとめテストが来週にも終わるので、その後の学習教材のガイダンス。当然『P単』ですよ。
村上憲郎『村上式シンプル英語勉強法』(ダイヤモンド社)
を見せ、『英単語ピーナツほどおいしいものはない』(南雲堂)にまつわるさまざまなエピソードを紹介。
90年代のはじめ、この『P単』(旧版)をはじめて学年で一括採択した時には、女子生徒が、表紙の「ピー君」のイラストや、タイトルのエキセントリックさを嫌ったのか、カバーを裏返して、真っ白い状態にして登下校のバスや地下鉄で勉強していました。同僚の中にも、現物をはじめて見て露骨に嫌そうな顔をした人が複数いたものです。時代は変われば変わるものですね。
以下、私が2年生のクラスで発行している学級通信『宜候(Yosoro)』からの抜粋を。

  • この通称『P単』、アマゾンのベストセラーリストで、全書籍を通じて30〜40位に位置しています。(この原稿執筆時、語学部門で堂々の1位!)初版発行以来十数年この教材を使い続け、生前の清水先生とも親交のあった私から言わせれば、なぜ今頃?と思ったら、こんな本で紹介されていたのでした。『村上式シンプル英語勉強法―使える英語を、本気で身につける』(ダイヤモンド社)。著者はあの米国のグーグル副社長である村上 憲郎氏。寄らば大樹の陰、というか、大物に言われてはじめて価値を認めるのがいかにも日本人的といえるかも知れません。とまれ、信頼が置ける教材であるというお墨付きを得たと思って、1日も早く『P単』を終わらせて欲しいと思います。

後半は、『短単』例文音読。10分間で、何例文読めるかを実際にやってもらう。今回は、後ろから前へ。
最低で66例文、最高で131例文。これだけの個人差がある学習集団です。一番早い生徒は、20分あれば、『短単』が一冊読み終わるということですから、毎日の起床時とかにラジオ体操代わりに音読、といってもそんなに苦にならないでしょう。遅い生徒でも、20分を2セットと考えればそれほど無茶な復習の仕方とも言えないでしょう。脳が疲れる前に一気に片づけるネタ、を持っておくことは学習を進める上で自信にもなると思います。
最後に、教科書の新教材導入。
『村上式…』を紹介したついでに、後戻りせず、息継ぎのために止まらずに段落を読み切る、という実践にもトライ。後戻りしたくなるところは、リテンションが出来ていないところ、息継ぎしたくなるところは語彙と構文が守備範囲に入っていないところ、という二点を確認。
与えられたチャンクで意味を取ることができるようになったら、普通に文を読む中でも、大きなまとまりで内容を保持しながら進むことを目標に、音読筆写。3学期には、区分けが与えられていない英文から自力でチャンクを見いだせるような構文把握力、語法に習熟することを目指したい。それまでは、語彙力の養成で先行し、地道に読んだ英文から、内容理解の設問を自分で作る練習と、パラフレーズの準備に力を入れようと思う。
夕方帰宅して、娘の散歩。
雨が来そうだったので、車で河川敷まで。
追いかけっこでスピードが出たところで心配した私の方が雨で滑って転倒。捻挫。若くないなぁ、と実感。まあ、頭をうたなかっただけでも不幸中の幸いと思いましょう。散歩もそこそこに車で自宅へと戻り、アイシング。キネシオテープを自分で貼り、上から湿布。こういうときに、一連のコーチ研修やトレーナー研修で培ったスキルが活きる。もっとも、活かさないのが一番なんだが…。
平井コーチでも見てから明日の教材研究をば。
本日はこの辺で。

本日のBGM: ラクに行こう(原田知世)