What classes DID your children have on Thursday?

木曜日はライティングの日。
学校も文化祭という最大のイベント直前なので、浮ついた雰囲気。企画運営は高2が中心なのだろうが、3年生は3年生で最後のイベントだという想いがあるのだろう。進度の早いほうのクラスは、私の高校3年の時の文化祭にまつわる雑談。その後、予告通り『はじめての…』からレッスンを抜粋して、小学生になったつもりで「反復練習」してもらった。時間割を英語で言う練習では、児童英語・小学校英語では「定番」の「等時性」を強調した答え方。音楽のリズムに合わせて、たとえば I have math, home economics, arts and crafts and Japanese on Thursday. と読み上げるわけである。数名が等時性リズムに乗れない。(「等時性リズム」に関しての私の考え方はこちら→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060302
Home economicsと arts and craftsで手間取り、 arts and crafts のand とJapaneseの前のandでさらにもたつく。小学生は恐らく、数回やれば文字を読み上げるのではなく、音とリズムで歌のように覚えられるのだろう。現実に自分のクラスの時間割を使えば、それなりに有意義な活動になる。もっとも、その時間割を英語で誰に話すのか?という現実の使用場面には疑問は残るが。高3のクラスで最初に指摘したのは、タイトルの「月曜日の授業は?」という漢字にすべてルビが振ってあること。この程度の漢字が読めない子どもに英語を教えてどうするのだ!と文部科学大臣は言ってくれるだろうか?
続いて、懸案の「日本文化紹介」。難易度の高い七夕から。タイトルは「たなばた」。ここはものすごく重要ですよ。なぜ「七夕」に「たなばた」というルビを振らなかったのか?ことばの教材としては明らかに「逃げ」でしょう。さて、「ひとつひとつのことばの意味をしっかりおぼえよう」というのだが、行き当たりばったりではないのか?star festivalの説明。「”star”は星、”festival”はお祭りという意味を表し、両方を合わせて”星のお祭り”、つまり「たなばた」ということになります。」という。引用符の使い方にも問題があるが、この調子で、この教材の全ての語句の説明をしていたら、いくら時間があっても足りないでしょう?だから中学校ではオーラルイントロダクションやフラッシュカードなど、新出事項の導入にあれだけ苦労しているんですよ。意味とことばを結びつけるのはそんなに簡単ではないのだ。”a bamboo branch” が「笹(ささ)の枝」、”the Milky Way”が「天の川」というときに、なぜ日本語では「天の川」なのに英語ではmilky とかwayっていうのか、不思議に思わないと考えているのか?リズムに乗せて、意味や文法を考えなくてもすらすら出来るのが反復練習だったのではないのか?
最後は「お正月」。当然、ルビが振ってあります。
The New Year is important for Japanese. の部分は先日のブログでも紹介したが、その続き。

  • Lots of people go to shrines to pray. We call it Hatsumode. We like the New Year because we get money called otoshidama. We don’t have school during the New Year holiday.

この部分の小見出しにはこうある。「お正月は好きかな?その理由も説明してみよう」。「お金がもらえるから正月がすき」。これでクラス30人の正月好きの理由が説明できるわけがない。では、30人それぞれに理由を考えさせるか?英語でなんと言えばいいのか悩むだろう。先生はどう手当をするのだ?アルクに訊けば教えてくれるのか?
でも、正直なところ、好きなことに理由はいらないのである。それよりは、なぜ初詣というのか、なぜ初詣では神社に行く人もいれば、寺にも行く人もいるのか、など関連した説明が出来ることが本当の日本文化紹介だろう。
「そんなことは小学生の英語力では無理だ」
というのなら、やらなければいい。
今回、反復練習をやってもらった高校3年生クラスのある男子生徒は、このお正月の課の最後の文を読み終えた直後一言こういった。
「ひっでぇ〜」
昼休みは、高3の生徒の志望理由書の英文添削。TOEICは900点くらいの生徒だが、やはりエッセイとなるとかなり手を入れなければならない。ただ、こちらの指摘がスムーズに受け入れられるのは資質の高さ。こうして、どんどんことばが成熟していくのだなぁ、と実感。修正候補を示し、繰り返しや言い換え、語彙選択などの注意を与えた。
夕方からは、FTCでお茶の水へ。かつての同僚W先生の発表。生徒と共に悩みながらも、のびのびと授業している印象。以前の苦労を知っているだけに、本当によかったと思う。
高校生のリーディングの授業。語彙を大切に扱い、フラッシュカードもちゃんとフラッシュさせているのが良い。カードを水平にしたまま反転、また反転、というのは練習が必要なのだ。若い先生方にもまねして欲しいです。今はとかく、IT活用、ということでパワポやフラッシュメディアを使えば、そんなレトロな教具はいらない、と考えている人が増えている。教育技術を退化させている気がしてならない。
一番印象に残ったのが、歌の使い方。1番とサビメロまでやって一区切り、というのが一週間、帯で10分間取り入れる際に効果的だと思った。
終了後、発表者のW先生を囲み、近くのイタリアンで懇親会。始まってすぐに、昼休みに指導した生徒から、質問のメールが来たので、中座して電話で確認。帰宅後、詳しくメールすることに。
歓談して散会。帰宅後、エッセイの最終チェック。日付も変わっていたので「顔」と「熱」が少し見えるような方向付けをしてメールで返信。私に出来るのはこの辺まで。うまくいくことを祈るのみ。
さあ、私もこの週末で原稿を書き上げねば。本業もあるので、更新はしばし滞ります。

本日の失われたBGM: All ‘n all (Al Green)