Welcome to the beautiful south!

高2の9月の歌第二弾は The Beautiful Southの ”Prettiest Eyes” に。前回のLazy Eyeからの「目」つながり、かな?
Paul Heatonの書く曲はちょっとひねったものが多く、この曲も、老人が出会いからこれまでの夫婦生活を述懐するもの。まず教科書ではお目にかからない話形だけに、歌詞の空欄を書き取れても全体の「絵」が見えてこない生徒が多い。
歌詞は http://www.lyricsfreak.com/b/beautiful+south/prettiest+eyes_20015225.html などでご覧下さい。
理解度は様々、というかバラバラ。歌詞の答え合わせはせず、ワークシート回収。
自分の書き取った歌詞に基づいた感想・コメントから抜粋。

  • カラスに向けて歌った歌だと思った/死んだ友達へ/親から子へ/赤ちゃんが生まれた話?/Parents wrote this song for their baby who has prettiest eyes./老夫婦で一人が死んじゃった/The crow’s feet are the wrinkles people make near their eyes when they laugh or smile. That’s why they sit on the eyes. I felt this song was made for the singer’s wife because the lyrics mention that they’ve spent sixty years together. / I thought it was a sweet song, reminiscing about the old times. Reading between lines, (not literally!) we can guess that the old couple are still very much in love, and are happy together.

来週もう一度聴いたときにどの程度輪郭が見えてくるか。授業中に投げかけた質問は、

  • these crow’s feet とは何のことか?
  • 次の行のsitting on …とどのようにつながるのか?
  • なぜ、25th of Decembersと4th of Julysは複数形?
  • なぜ、60と59で数が一つ違うの?

Lineの意味の含み・幅がわかれば、”I only write them down…” のthemがわかると思うので、一気に理解は深まるでしょう。「内容理解はどうでもいい」というような教材ではなく、何回も聴いて、声に出して、読んで、感じて、書いて、また読んで、と繰り返しに耐えるものを教材として使っていきたい。
高3ライティングはThings Japaneseのクイズで使った英文の暗唱につなげる活動。ペアワークの後、ランダムにペアを選び教室の前でデモ。続いて、講談社の新書から拝借した、やや長い文での空所補充。「落語」「柔道」「血液型占い」。空所に入るべき英語の意味と前後を見ての形合わせの両方が問われる作業。解答確認後、呪文にならないように音読。

  • Rakugo, an art form originating in the Edo period, is performed by a single rakugoka who sits on a cushion in the middle of the stage and tells entertaining stories.

という部分を読む際に、意味のまとまりごとにスラッシュを入れるかのように順番に読むだけではなく、

  • rakugo is performed by a single rakugoka
  • rakugo, an art form originating in the Edo period
  • a rakugoka who sits on a cushion
  • sits on a cushion in the middle of the stage
  • a rakugoka who tells entertaining stories
  • sits in the middle of the stage and tells entertaining stories

のように、まとまりを揺すぶるコーラスリピートもさせている。
さらには、

  • an art form dating back to the Edo period

などのパラフレーズや、

  • Does a rakugoka move up and down on the stage?

などのQ&Aも取り入れることが出来るので、一口に「音読」とは言っても奥が深いです。
明日はライティングのみの What a lucky day!
『パックン英検』と『反復練習』の話を授業でしたので、高3に実物を見せてあげようと思います。英語の先生でも「英語は勉強になるととたんに嫌いになるので、勉強だと思わせないことが大事」などという人がいるけれど、勉強になったから嫌いなんじゃないと思うんだよなぁ。(このあたりは、「英語教育にもの申す」の倫太郎さんのブログへどうぞ!)
小学生の「先進的な」英語教育実践を見た上で、cubingの練習から「七五三」と「福袋」の説明へ進む予定。
本当なら、大村はま氏のように、生徒の数を超えた事物を選び取るところから教材研究を行う「単元学習」が望ましいのだろう。英語科でも、そういう実践をされている先生が沢山いると思うので、是非、情報交換をお願いします。

  • 子どもにまったく自由にということは、無理だと思います。子どもにことばとして指示するときは、「自由に」と言ってもいいのですが、教師はひそかに、いつでも助力できるものを持っていることが大切なのです。子どもたち全員に課題が出せる用意ができたという教師だけが、子どもその自由を持たせることができるのではないでしょうか。困っていたり、思いつかない子にすぐ新しいものや替えを出して、「これをやってみたらどうか」「こんなのはどうか」と、出せるようでないと困ります。(「身をもって教える」『日本の教師に伝えたいこと』ちくま学芸文庫、2006年)

教育課程部会外国語専門部会 「小学校における英語教育について(外国語専門部会における審議の状況)」に対する意見の概要がようやく公開された。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/004/06090504/007.htm

パブリックコメントの集計は5月初旬で終わっているのに、ここまで明らかにされていないのは、小学校への必修化導入ありき、という動きなのだろう。ここまでにすでに3回以上審議は進んでいるのだ。今回のパブリックコメントは、4月の時点で児童英語/小学校英語でポピュラーな掲示板等で情報提供されたためか、職業による分類では「塾講師等」が非常に多くなっていることに注目すべきである。小中高の教育に携わる「教職員」の声が反映されていないのは、このパブリックコメント自体の存在を知らなかった、または、パブリックコメントをしても無駄だと思っているからだろうか?「日本の教師が伝えたいこと」はたくさんあるだろう。

本日の失われたBGM: The people who grinned themselves to death (The Housemartins)