「糞でも喰うさ」

週明け、月曜日の授業へ。4:45起床。睡眠不足。途中駅内の売店でおにぎりとどら焼きを買い、朝食。高3のライティングは欠席がチラホラ。朝のはじめの授業で自分の前や周りの座席に空席があると、そういう「何か欠けた・抜けた」雰囲気・空気になり、授業のレベルが上がらず、そのクラスで本気で勉強しようと思っている人も足を引っ張られるから、お互いに気をつけた方がいいよ、という指摘をしておいた。高3の2学期は、生徒によっては出席していても完全に内職の時間だったり、登校せず朝から予備校の自習室に籠もっていたりなどということになりかねないのだが、それではいかんのだなぁ。AOに続き、来月には推薦入試も始まり、「自己推薦書」「申告書」の下書きを内職しているものはまだ可愛い方で、中には教科学習そっちのけで「小論文」「面接の受け応え」の下書きと添削で1ヶ月が終わってしまうなどという生徒が出てくる。この1ヶ月の学習のブランクが大きい。推薦の結果が出るまでにはさらに時間がかかるので、その間に学力は停滞するどころか衰退・下降するのである。不合格が決まってから、一般入試に向けてスイッチを切り替えられるような生徒は、最初から一般入試に向けて勉強しているものだ。受験に右往左往せず、高校では真っ正面から学力・英語力をつける授業をすればいいだけのことなのだが、世間はそれをなかなか受け入れてくれないようだ。学校教育受難の時代はまだまだ続くのだろう。
お受験モードにどっぷり浸かっている生徒も結構いるので、今日は有名私大・国立大のライティング出題を紹介し、何が要求されているのかという「ライティング力」と「実際の試験での解答形式・分量」の矛盾について解説。また、予備校のサイトで紹介されている解答例のひどさも指摘しておいた。今日のクラスの生徒が興味を示したのが、06年の広島大の出題と、06年の旭川医科大の出題。「英語で言えそうもない内容は言わずに済ます」という逃げのストラテジーに頼れない良い課題です。11月5日のELEC大会では、そういうことも含めて、高校英語ライティング授業の新たな可能性を示すことが出来るかもしれません。
その後、persuasive passageのidea generation導入まで。
高2は、駆け込み10月の歌。Elvis Costelloを何年ぶりかで使用。オリジナルのNick Loweの歌声も聴かせた。例によって、まったく曲の主題を勘違いしているものも多い。対比の構造にどれだけ意識を向けられるかがポイント。後半は明日の『ビザと美徳』ビデオ鑑賞に備えてQ&Asのハンドアウトやインタビューの抜粋などを配布。Q&Asは去年の2年生がグループ課題で作ったものの再利用。何人かは刺激を受けるでしょう。後はグループでの作業で本日授業は終了。
学校を出て大学正門前からタクシーを拾い急いで駅まで。電車を乗り継ぎ滑り込むように帝京大での「スピーキングテストフォーラム」に参加。今回のプレゼンはモデレータを清泉女子大の長沼君主先生が務めるのでどうさばくかが楽しみでもある。日本で受験できるさまざまなスピーキングテストの実施母体である業者・企業によるプレゼンを聞き

  • 能力概念の記述/能力レベルの設計
  • 信頼性/ 妥当性/ 現実性

などを比較検討し、

  • 受験者への診断情報や今後の学習へのアドバイスの提供

がどの程度進んでいるのかを考えるいいチャンスをもらった。Can-do listの整備に関してはどの社も完全に流れに乗ってきた感じ。ここからどのように差異化を図るか見物である。
ある社のテストスコア資料で興味深かったのが、大学生の英語力と企業が即戦力として要求する英語力とのギャップを数値化したもの。イニシアルになってはいるものの、ほぼ大学が特定できるのだ。それによると、大学入試で速読を要求されるイメージのある、K大学、J大学、W大学よりも、英文和訳しかないKY大学の方が総合・リーディング・リスニングともスコアが高いのだ。(もっともKY大のスコアでもまったく即戦力とは言えないのだが)テスティングを専門にしている大学の先生方は、このような結果を見て「それはそのテストの構成概念妥当性が低いのだ」と言えるだろうか?
懇親会まで出て情報交換したかったのだが、採点があるのでそそくさと帰宅。時間がもったいないので、途中、駅の立ち食いそばで夕食。忙しい時はこんなものだ。そばを食べているときに思い出したのが、『現代と保育』2006年3月号(ひとなる書房)の特集「脳科学は万能か?」。

  • 昔は生活が苦しい家庭の子であっても、せめて給食だけ食べておけばどうにかなりますよ、というのがあったでしょ。それでもその子たちはちゃんと育ったわけでしょ。だからお母さんを責める前に、「お母さん、朝ご飯が大変だったら、いいよ、ちゃんと保育園で面倒見るから」といっておいしい給食をたくさん食べさせてあげればいいじゃない。なんでそこで親を責めるのか。一食、二食抜かしたって、今の子どもたちはほとんど問題は出てこない。よほどひどくないかぎりはね。人間、一日三回飯を食べなければならない、なんていう理屈はどこにもないわけですよね。(小西行郎)

立ち食いそばのおかげで、なんとか高2の表面の採点は全て終了。あとはDylan Thomasのパラフレーズと英詩朗読のアドバイスのライティング。明日で何とかなるだろう。でもまだ高3のライティングが待っている。「いくら待ってても、無駄だよ」というわけにはいかないのだ…。
本日のBGM: こっちをお向きよソフィア(山下久美子)