先日のフィギュアスケートのジャッジのインタビューを受けて、いよいよ、Soniaさん自ら意見表明。タイトルは皮肉を込めているのだろうが、どの程度のインパクトで受け止められているだろうか。
“The role of a judge now is as exciting as that of a cashier in a supermarket!”
http://tony-wheeler.blogspot.com/2010/03/sonia-bianchetti-role-of-judge-now-is.html
午前中は、米国大学バスケをLive Streamで観て、画面の前で応援。中山明日実選手、最後のシーズンをカンファレンス優勝 & MVPで飾りました。児玉中の頃から観てますが、全中、WCと最後は必ず勝って終わってるんですよね、彼女は。苦しんだシーズンだったと思うのですが、play-offのトーナメントに入り、試合の重要局面、ここぞという時の集中力は2005年のWCを思い出しました。あのときは、Best 5に選ばれませんでしたから、今回は本当に有終の美ですね。現役はこれで引退というのは残念ですが、おめでとう & お疲れ様でした、という言葉を贈り、偉業を讃えたいと思います。
日本にいる、シャンソンの中川選手、藤吉選手も負けていられませんよ。来シーズンは、暴れて下さい。
午後は、「同窓会」ならぬ、教室の大掃除で再結集。
私は、途中ホームセンターで、床用クリーナーとワックス、窓ガラスクリーナー、使い捨て手袋などを買ってから学校へ。まずは、床掃除。
進学クラスの棟の教室、床は木なのです。建築当初はニスなどで表面のコートがあったのでしょうが、今では無垢、というには年季が入った状態です。耐久性があり、かつ滑りにくくて、成分はシックハウス対策にもなる、環境に優しいクリーナーとワックスを選ぶのに時間がかかりました。ワックス掛けまで終えて、乾燥させる間、休憩。
その後、窓とサッシに取りかかり、2時間程度で、見違えるほど綺麗になりました。皆さん、ご苦労様でした。ありがとう。
さて、
国公立後期試験も一段落したところで、今年の大学入試問題のうち、ライティング・英作文に関わる、気になる出題をいくつかあげておきたい。(試験会場で、15分〜20分で解答を書くための注意ではなく、高2、高3の英語教室で「ライティング」の指導の際にどうするか、という視点ですので、誤解なきよう。)
- 静岡大・前期 → 印象に残った本・映画に関するライティング → このお題は『パラグラフ・ライティング指導入門 (以下『パラ入門』) 』の第4章、 2-3, (pp. 155-160) でしっかり扱っています。生徒作品例で示している英文が、この出題の指定語数の120語ということで、まさにドンピシャですね。
- 岡山大・前期→ 曖昧 (性) に関するライティング →これは出題形式に注目。序論に当たる部分が英語で与えられ、例証を自分で論ずる形式となっています。長く書かせれば書かせるほど、入試での採点は大変になりますから、この形式は出題者も、受験生も、そして英語教育的にも皆満足のいくものとなっているのではないでしょうか。2006年4月に『英語青年』の特集で、訴えていたこと (Wordファイルのダウンロードはこちら→[file:tmrowing:英語青年200604松井]) ではありますが、4年もたつと、徐々にではありますが、大学入試も改善がみられるということでしょう。指導に当たっては『パラ入門』 2-6 のStep 1 の手順が使えますね。解答は12行が目安ですから、1行8語で100語前後と考えていいのではないでしょうか。
- 金沢大・前期 →現代社会の利便性に関する論述→トピックセンテンスの和文英訳と例証でのライティングという組み合わせです。ハイブリッドで折衷案のようですが、これも出題者側の思惑と、受験生の心理とのバランスがとれた、お互いに健康的な出題形式でしょう。「旧帝大」系にありがちな、「和文英訳」で一つの大問、「(いわゆる) 自由英作文」で別の一つの大問、とするより、英語力の差が出る良い問題だと思います。これも、『パラ入門』 2-6 のstep通りに取り組めば問題ないですね。解答の語数は、例証部分で50-60語です。
- 広島大・前期 → 自分及び配偶者の海外勤務に関する意識調査 → グラフ復活!グラフの描写プラス自分の意見、というライティング問題では定番中の定番です。『パラ入門』では、最後の大学入試編で、広島大・07年のグラフ問題を扱っています(pp.264-266) ので、そこで示されている注意点を踏まえた指導をお願いします。グラフでの数量・比較・割合・増減などの定型表現は、GTEC Writing Training (ベネッセ) のグラフ描写問題を扱うコラムと、例題で集中的に示しています。是非一度目を通して下さい。
- 東北大学・後期 → 日本の人口増減・年齢層別・増加率など→後期でグラフが出ましたか。グラフの描写とそこから読み取れる問題・課題の論述。この後半の部分がセットになっているのが、今年のポイントですね。
- 北大・前期 → かつてほどの剛速球ではないが、読解と絡めての論述。主題の要約・反論の確認・自分の意見という流れで、出題の形式に沿って考えれば自分の意見立論に繋がる非常に親切な出題。こういう問題を、過去問対策として、ただ時間を計って解くだけではなく、高2、高3の英語授業の中で語彙の整理・拡充、アイデアジェネレーションからの書くプロセスのガイダンスとフィードバック、というように、教師が指導理論を踏まえて、自信を持って扱って欲しいと思う。
- 千葉大・前期 → 教育・英語では直球勝負の出題ですが、一般的な学部では、グラフ描写の問題が出ています。全文を書かせるのではなく、語句整序による文完成の問題ですので、グラフでの数量や比較・増減を表すための基本表現に習熟する格好の練習となるでしょう。
- 東大・前期 → 主題は「逆バベルの塔」ですかね?相変わらず、writingに関してはつまらない出題が続いていますね。「もう、ライティングに時間をかけなくて良いんですよ」というメッセージにさえ聞こえてきます。書き出しに続けて50-60語の論述。仮定法を正しく使えなければ、即、ゲームオーバー!ということでしょう。
- 一橋大・前期 →すっかり定着した120-150語という秀逸な指定語数。定番の与えられた3題のうち一つを選択解答。今回はみな、argumentという方向性ですね。うち一つは、「幼年期から外国語教育を始めることは良い考えである」という命題。お題が決まっている以上、このまま肯定でサポートをしないとダメですからね。
私大でも、
- 早稲田大・法 → 容姿を変えることに関する意見論述 →3つの立場から一つを選んでサポート。1パラなので、80語程度が無難。
- 早稲田大・国際教養 → 成功の要因と運→賛否を決めての論述。理由付けは少なくとも1つ。100語以内を目標に。
- 早稲田大・政経 → 五輪廃止論 →賛否を決めての論述。80-100語程度。
あたりは、定着してきたようです。ダラダラと書いてしまうと解答欄をはみ出してしまうので、いかにコンパクトにまとめつつ、例証の部分を厚くするかが鍵でしょう。
早稲田の場合は、悪名高い、「1文要約」で、ライティング・作文の力を求められる学部がありますが、あちらは、まず、英文が読めないことには、にっちもさっちも…なのでね。
このような出題に対する、再現答案をアーカイブ化する、「ライティング問題再現答案プロジェクト」に協力して頂ける方を募集しています。
これは、受験産業等、web上、商業誌上で示される速報的な大学入試ライティング問題の模範解答の不備を補うべく、「英語教室の教師と生徒に よる」、「英語教室の教師と生徒のために」企画された、「英語教室の教師と生徒のもの」、としての再現答案アーカイブの構築を目指すものです。当面は、高 等学校や予備校・塾に勤務する英語教師の方にご協力を呼びかけます。大まかな流れは以下のようになります。
• ご自身の受け持つ受験生に、実際に受験したライティング問題の再現答案を書いてもらう。
• 再現答案のうち、合格者の答案を集めて、大学・学部ごとにアーカイブ化する。
• 再現答案アーカイブには氏名・イニシャル・出身校・担当教師などの個人情報に関わる情報は示さない。
• アーカイブは一定の手続きを経て、無料で誰もが閲覧でき、その後の指導や学習に利用することができるよう保存・管理・公開する。
将来的に、英文としての適否・評価・助言などを加えていくこともできるかとは思いますが、このアーカイブから、書籍化したり、商品化したりと いうことは一切考えておりません。母語話者に限らず、プロの英文ライターの方、日英語双方に堪能な方のご協力が得られればさらに心強いと考えております。
ご協力頂ける方、ご質問のある方、詳しく知りたい方は、左のアンテナの「プロフィール」から、メールでtmrowingまでお問い合わせ下さい。
オランダ、ハーグで行われていた、フィギュアスケートの世界ジュニア選手権、羽生選手、村上選手のアベック優勝。どちらも2位とは大差。チヤホヤするのではなく、期待で押しつぶすのでもなく、大切に、そして、逞しく育てていって欲しいと思います。
来週は、Thin Ice。荒川・ランビエール組の活躍を祈りましょう。
本日のBGM: REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜 (KAN)