『しかし時制はない』

本業で締めくくる筈の日曜日。
朝は7時半に自宅を出発。
高速は完全に通行止め。スタッドレスで雪道。轍を越える際など、ところどころABSが発動していた模様。峠越を無事済ませ、どんどん道路脇に積まれる雪が高くなる中、なんとか湖に到着したまでは良かったのだが、艇庫へと入っていくための道路の真ん中に、恐らく前日の夜からであろうタクシーが乗り捨てられていて、先に進めず。その奥も除雪されておらず侵入を断念。

  • なんだい、こりゃ今日もエルゴだな。

などと選手に伝え、迂回して帰路を、と考えながらバックしたところで後輪が轍を越え雪の中へ。中途半端に雪が解けているので空転。前にも後ろにも進めず。毛布を噛ませて、近くを通りかかったバスの運転手さんに手伝って貰い、なんとか脱出に成功。1時間半で来た道を慎重に引き返しましたとさ。
中原中也賞の選考を終えて帰路につく高橋源一郎氏の心配をしている場合じゃなかったね。
でも、中也賞は辺見庸氏で本当に良かった。順当、真っ当。帰路に立ち寄ったレストランで中国新聞を見ていたら、辺見さんの言葉が引かれていた。

  • 言祝(ことほ)ぎ、言祝がれるのをきっぱりこばんだはずの詩集『生首』が言祝がれるとは、まことにこの世は面妖であります。 (中国新聞、2011年2月13日)

選考委員から高い評価を受けたと思しき、この行き詰まりの世界で息が詰まるような詩文集の中で私が一番好きなのは「星座」。氷に閉ざされた海で海豹が呼吸に浮上する穴のような小品。諧謔の風味に、ちょっと安久昭男さんを思い出した。

帰宅して、Otsuka Forumなどを読み返す。
英語で内容を理解するということに関して、何か適切な英文素材でも、と探していたのだが、いいものがすぐには見つからず。昔の教材のワークシートが出てきたので、自分の書き込んだ稚拙な字を眺めていた。
英文速読左頁.pdf 直
英文速読右頁.pdf 直
1990年代の後半かな。「英文速読」という高2・高3の選択の講座。もともとの教材自体はどこかに行ったのだけれど、キーワードを「自分で選択する聴き取り」から始める読解の授業で、基本的に英語の発問で頭を働かせ読み進める授業となっていた。 (過去ログのこちらで書いたことを主眼とする授業であった。http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050727) 「dictoglossもどき」へと繋がっていく過渡期と言えるだろうか。今思い返しても、自分がこれまでやってきた中では、結構好きな授業だった。今、同じことをやろうとは思わないけれど。今の方が、もう少し自分の英語も上手くなっているしね。
さて、以下、告知。

再現答案をアーカイブ化する、「ライティング問題再現答案プロジェクト」に協力して頂ける方を募集しています。

これは、受験産業等、web上、商業誌上で示される速報的な大学入試ライティング問題の模範解答の不備を補うべく、「英語教室の教師と生徒による」、「英語教室の教師と生徒のために」企画された、「英語教室の教師と生徒のもの」、としての再現答案アーカイブの構築を目指すものです。

いわゆる偏差値の高い国立大学の出題の模範解答は大手予備校のサイトなどweb上で見ることが可能ですが、必ずしも英文として自然でなかったり、出題の求めに充分には応えていなかったりするものも多く見受けられます。母集団の大きな伝統的進学校であれば、先輩たちの指導資料・学習資料が残っていることが多くとも、新設校や、進学者のそれほど多くない高校の生徒は、「お手本」や「参考」になる英語ライティングの実例をあまりにも知らないばかりか、指導する側にも経験が不足している場合がままあります。このような状況下で少しでも建設的な、健全な英語学習・英語指導を行うため役立てようというプロジェクトであります。

当面は、高等学校や予備校・塾に勤務する英語教師の方にご協力を呼びかけます。大まかな流れは以下のようになります。

• ご自身の受け持つ受験生に、実際に受験したライティング問題の再現答案を書いてもらう。

• 再現答案のうち、合格者の答案を集めて、大学・学部ごとにアーカイブ化する。

• 再現答案アーカイブには氏名・イニシャル・出身校・担当教師などの個人情報に関わる情報は示さない。

• アーカイブは一定の手続きを経て、無料で誰もが閲覧でき、その後の教師による指導や受験生による学習に利用することができるよう保存・管理・公開する。

将来的に、英文としての適否・評価・助言などを加えていくことや、コーパス化して語彙リストやコンコーダンスラインを抽出するなどの発展もできるかとは思いますが、このアーカイブから、書籍化して商品化、教材化したりなどの「営利」に関することは一切考えておりません。その気になった時に、誰でも無料で使えるということを主眼としております。

母語話者に限らず、プロの英文ライターの方、日英語双方に堪能な方のご協力が得られればさらに心強いと考えております。

昨年は、受験生で答案を再現してくれた方が、大学生として「山口県英語教育フォーラム」へと遙々足を運んでくれたりという嬉しい出来事もありました。今年も早速、地元の進学校の方からご協力いただけるという連絡があり、有り難く思っています。
ご協力頂ける方、ご質問のある方、詳しく知りたい方は、左のアンテナの「プロフィール」から、メールでtmrowingまでお問い合わせ下さい。

本日のBGM: からまわる世界 (Carnation)