”I don’t mind the wait.”

自校入試も山場。
推薦入試、一期試験とは別に、進学クラスの試験だけを独立して行っているのですが、それが火曜日に終了しました。
この後、公立高校の一般入試がありますが、その力試しとか試験慣れという狙いでの受験も歓迎しているので、各教科とも出題形式は公立高校の試験に近い形で作問しています。
英語に関しては、私を中心に英語科スタッフでの作問をしています。形式は公立の出題にできるだけ近いものにしていますが、出題の内容は意図的に「英語を学ぶ」「英語を使う」ということの根底にある「ことば」に関する大きなメッセージを含むものとしています。難易度は公立のものよりは高いのではないかと思います。
今週の土曜日に、「解説会」といって、受験生とその在籍中学校の教員を対象として、出題の狙い、問題への対処法や解答例、今後の学習の指針などを各教科担当から解説・講義をする機会が設けられています。今のところ受験生の6割以上の参加希望があるそうです。一人でも多くの方とのご縁があることを願っております。

  • 菅原克也 『英語と日本語のあいだ』 (講談社現代新書、2011年)

読了。心に響いた箇所を二カ所引いておく。

英語を「読む」授業が、正誤問題や四択問題に答えを出す場になるとすれば、生徒たちは、個々の単語や熟語の語義、さらには文やテキスト全体の意味を、自ら判断し、工夫し、表現する必要などなくなってしまう。先生の問いかけに対し、生徒たちはたんに「T」だとか「F」だとか、あるいは「a」だとか「b」だとかいった、記号を答えればよいことになる。その先に、どのようなことが待ち受けているか、予想するのは難しくない、生徒たちは、正誤問題や四択問題に答えられる範囲でしか、英語を読もうとしなくなるだろう。問題で問われている部分しか、読まなくなってしまうにちがいない。答えが出れば、それでおしまい。理解できない表現や文が残っていても、問題で問われなければ、気にすることなどない。 (中略) 極端な話、問題を与えられなければ、どのようにテキストを読めばよいかわからない、という生徒すら出現することになるだろう。こうして、テキストの内容理解を助けるはずの作業が、完全に変質を遂げることになる。(p.72、「第二章、英語で英語を教えることの是非」)

情報転移、マインドマップ、クラスタリングなどの流行の手法を用いることで、「読み」の何が深まっているのか、読んでいて、気にしなくてもよい部分であるなら、なぜその部分を筆者は必要としたのか。教室での「読み」、学習者個人の内なる「読み」をしっかりと捉えることが今まで以上に求められているのだと思う。

今日、高1のオーラルの授業で、そういった場面に出くわした。
まとまったニュース記事のディクテーションをした後のスクリプトの照合で、自分で気づいたこと、発見したことをホワイトボードに書き出していき、それを共有する、という活動をしたのだが、「このwhichは関係代名詞の非制限用法で…」とか、後出しじゃんけんでの理屈が多く見られた。まず、自分の頭はどのように働いたのか、どうして上手くいかずにゴールへと近づけなかったのか、そしてどのようなことに気づいておくべきで、そのギャップはどう埋めればいいのか、そういうまどろっこしい行きつ戻りつを許容する「教室」を実現し続けたいと思う。

『英語と日本語のあいだ』の本編ではないが、重く受け止めた箇所が、

新指導要領が示した、高等学校の英語の「授業は英語で行う」という方針には強い危惧を覚えたが、これに対して発言するのは私の能くするところではない、英語教育を専門に研究する方々が、然るべき議論をするのであろうと考えていた。
ところが、当然あるものと期待した議論はほとんどなかった。少なくとも、小学校への英語教育の導入が話題になった際のような、社会的議論の広がりはまったくなかった。日本の英語教育をいかにすべきかは、つねにマスコミ等の関心を呼ぶが、高等学校の英語の「授業は英語で行う」という方針の是非をめぐっては、不気味な無関心と奇妙な沈黙が支配しているように感じられた。 (p.229、「あとがき」)

「パブコメ」も含めて、無関心でも沈黙していたわけでもない英語教師を多く知っているので、英語教育に最も近いところにいる菅原氏に、そういった声が届いていないという現状をどう変えていくか、中高現場の声にどうやって力を与えるのか、権威に阿るのでなく、近しい者同士で群れるだけではなく、その群れを越えて個々が「連なる」ための方策を模索できればと思う。道は険しくとも、それこそが「なんです山脈」なり。

『英語教育』3月号を購入。
執筆関係者にメール。評価は人それぞれでしょう。ただ、こういうテーマだと普段よりも執筆者の顔が見えるのがよいところ。浅野先生のブログで指摘があったように、「退職者」「元教師」の視点がもう少し多くても良かったように思った。「離職者」の声に耳を傾けられるかは、私にもちょっと自信はないけれど。

本業はエルゴ。高強度UT。
付きっきりで見て声かけしていると、ミラーニューロンが活性化されるのか、自分は漕いでいないのに本当に筋肉痛。腹筋と肩胛骨周りがピキピキしています。

遅い帰宅で、遅い夕飯。
久しぶりに『相棒』。
ベテランの競演。
展開が最後まで予想できなかった。
ああ、久々の和泉監督。

本日の晩酌: 勝駒・純米・しぼりたて生・五百万石 (富山県)
本日のBGM: Pearly Gates (prefab Sprout)