二枚貝の追憶

冷たい雨の中出校。
授業は普通科2年の再入門講座と、進学クラス2年の課題学習。
普通科は、いわゆる第4文型のおさらい。相変わらず、答えを書き写しているものの、答えに辿り着くための頭の働かせ方に無頓着な者多し。間違いから学ぶには、まず、「なぜ自分ではそう考えたのか」を自分で冷静に認識できなければならない。それができるくらいなら…、というスパイラルに陥らないためにはどうしたものか。

進学クラスは、教科書に関連した投げ込みの課題。
児童労働と児童虐待に関しては、UNICEFのサイトから短い記事を抜粋。このクラスでは、既に「今月の歌」で、スザンヌ・ベガの『ルカ』もやっているので、自分で世界を繋げること。
脳の機能に関しては、TED Talkからスクリプトを取り出して、音源とともに。

ショックだったのは、私の愛機PowerBook G4 12 のようなPower PCでは、streamingのswfの現行のバージョンを認識できないこと。インテル、入ってない…。仕方なしに、本業で使っているVAIOのノートを教室に持ち込み、印刷したスクリプトを見せながら、該当箇所を繰り返し頭出しして音声のみを聞かせる。無線LANは使えるので、自分の手元では、interactive transcriptが動くのが救い。輝度の高いプロジェクターがあれば、教室でinteractive transcriptの機能が最大限に発揮されるのだろうけれども、所詮無いものねだり。停電の日でもできる授業をまずは確立でしょ、と自分を納得させる。

入試答案の分析を経て、解説会の準備。他教科の担当と情報交換。放課後は選考会議。

本業はエルゴで高強度UT。ようやくUTと言えるような漕ぎになってきました。継続こそが命。続いて、片足スクワットとホリゾンタルプルのローテーションで3セット。その後、動けなくなるまでボックスジャンプ。まだまだ動きを覚えた段階に過ぎません。ここからがトレーニングだと覚悟すべし。

本降りの中帰宅。
ノートを開いてみてびっくり。
firecatさんのブログに、Rafu ShimpoのHisaye Yamamotoの訃報が。(http://bit.ly/fZl9iM)
謹んで哀悼の意を捧げます。もっと教材で取り上げておくんだったなと思う。だったらどうだということはないのだろうけれど…。最初の出会いとなった、The Brown Houseを読み返しておこう。(http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20101125)

しばし、自分の思索の時間。
糸井重里氏とのコラボで高橋源一郎氏が連続tweets (「午前0時の小説ラジオ」) をしているのがかなり話題にはなっているようです。興味を持った人は是非とも、「本」も読んで欲しいと思います。最近のものでは、次の2冊から。

  • 『13日間で「名文」を書けるようになる方法』 (朝日新聞出版、2009年)
  • 『大人にはわからない日本文学史』 (岩波書店、2009年)

どちらも高1の学級文庫に入れてあります。今回の、連続tweetsへの理解も深まろうというものです。
前回の「…小説ラジオ」では鶴見俊輔氏について愛情溢れる引用をされていたので、これを機会に鶴見詣でをしてくれる人が増えると嬉しいのですが。
今夜は、「べてるの家」が取り上げられる模様。興味を持たれた方は柳瀬先生のブログで紹介されている書籍にも手を伸ばしてみては。(http://yanaseyosuke.blogspot.com/2009/11/5.html)

「英語で英語を」の流れで、『英語展望』 No.118、2010年冬号を読む。
例によって、困った時の座談会で、

  • 「英語の授業は英語で行うことを基本とする---高校英語が目指すもの」 (pp.49-56)

司会は東京学芸大の金谷憲先生。ところどころ金谷先生らしい振り方をしているのだが、本当に答えるべき内容は返ってきていないように思った。高校現場を預かる英語教師が考えておくべき視点を引いておく。

たとえば割と学力の低い生徒に、いろいろ使わせながらチャンネルを変えるようにパッパッと活動させると、5分しかもたない授業でも15分も持たせることができる、という話をする人が少なからずいます。その一方で学力の低いところなどで「英語で」教えると、生徒が不安に思ったり、理解が出来なかったりして嫌がります。やはり文法はともかく和訳をしてあげたり、日本語でやって、対照させていかないと楽しめずにかえって英語は難しくて分からないというふうに思ってしまう、という意見が大きなカテゴリーとしてありますよね。対立するこのような話を聞いていると、これは結局どっちが真実なのだろうか、どうしてこの違いが出てくるのかと思うわけですが、英語で教えること、或いは英語を教えることの長所短所というものが、全然同じ接点について話をしているのに全く違う意見に分かれるのはどうしてだと思いますか。(p.51)

このような点からしても、「高校の」とひとくくりにして考えると、この方式に対してネガティブな人も、反対にとても積極的な人も出てくるという、ややこしい話になってきてしまいます。先生だけが英語を使うということを楽しんでいて、生徒が全然楽しんでいないという授業もあると、積極的だからいいのかどうかも判りません。ところで、進学校では英語で授業をやったほうが本当に喜ばれますか。(p.52)

それぞれに参加者がどう答えたかは、実際にこの雑誌をお読みいただくのがよいでしょう。

夕飯はリクエストで牡蠣フライ。辺見庸の「星座」からの連想です。

生まれ変わったらビスマルクのような食欲を持ちたい。覇王とか覇権には興味はないけれど。

本日のBGM: 新しい航海〜ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 (佐野元春)

2月18日追記: 今日あらためて自宅でTEDにアクセスしたら動画の同期も出来ていた。職場のネット環境でmacだけダメというのはip割り当てとかfirewallの関係なのだろうか?要調査。