Your best is not good enough, though.

期末試験開始。
今日は二日目。
近年の “one of the best” と思える出来となった、昨日の高1の英語 I の作問だったのですが、答案を見て言葉を失う瞬間が…。
今年の高1は『ぜったい音読』の入門編を中間までに終え、期末の範囲は標準編の旧課程版ですから、今で言うと、中学4年生か高校0年生、中高の丁度間くらいの難易度の英文です。その素材文から、高校1年生レベルの問題を作るわけです。今回は相当気合いを入れて英文の加筆修正を行い、難易度の調整もしたのですが、それ以前の、テキスト通りの出題で壊滅的な生徒が若干名。
まあ、そんな問題が欲しいという人がおりましたら、例によって左のアンテナからメールでリクエストをどうぞ。
今日はオーラルでライブリスニング。
隣接の幼稚園のお遊戯の伴奏と思しき音楽が流れてきて慌てて窓を閉めました。スピーチ形式で約170語、約140語のモノローグ2題。朗読スピードは分速約120語くらいの穏当なもの (ライブなので、2回読むスピードをコントロールするのも慣れが必要です)。その分、既習の素材にこれでもかというくらい加筆修正が施されています。大まかな話題・内容が聞き取れた、その次の一歩をどうするか、を常に問い続けたいと思っています。
3時間目終了までの空き時間で、あまり興味を持てる記事のなくなってしまった『英語教育』 (大修館書店) の7月号を読む。特集は

  • 「表現する英語力」を育てる

というなんともちぐはぐな日本語。「新指導要領」をとっても気にしている模様。
で、その特集でこんなことを言っている大学の先生がいました。(松本茂「『授業ディベート』のすすめ 思考力と表現力の育成」)

  • たとえ、受験のみに焦点を当てたとしても、現状の訳読・文法指導は受験対策にすらなっていないように思える。数学の定期試験で、教科書に出ていた問題とまったく同じものを出している進学校はないはずである。しかし、英語に関しては、授業中にすでに扱った文章を材料として、しかも授業中に確認した通りの英文和訳問題や文法問題を出しているケースがほとんどである。これでは、受験で必要となる知識やスキルを活用する力を育成することは期待できない。(p.12)

全国のどのくらいの「進学校」を調査されたのだろうか?今時、「進学校」がその程度の指導で満足しているだろうか?私の学校のレベルでさえ、生徒にパラレルな素材文と格闘させているのだから、「進学校」では定期考査以外の学校独自の実力試験などで、国立大学の個別試験レベルの難易度の高い「初見」の英文読解を要求しているところが多いのでは?
この先生は、さらにこうも続けている。

  • さらに、国公立大学の試験におけるライティングの問題では、授業ディベートの活動として想定されているような「英文を読んだうえで、自分の意見を書く」とか、「ディベートの論題のような課題が提示され、賛成か反対かの立場をとってまとまった文章を書く」といった形式の出題が多い。/こういったことから考えても、「英語で行う授業」や「授業ディベートの活動」は、受験指導として不向きであるとは言えないはずである。/授業ディベートの導入には、まず教師が自分の考えを俯瞰し、偏見を取り除くことが必要だろう。(p.12)

「ライティング」という科目が新しい指導要領からは消えた (消した?) というのに、なぜ、ここでわざわざ「ライティング」の話しなのだろうか?。ライティング力よりも表現力が大事だから「英語表現」になったのでは?
私の記憶では、この先生が指導をしていた某セルハイは、オーラルに力を入れていて物凄く成果をあげていたとされているのだが、その一方で高3になってもGTECのライティングのスコアがほとんど伸びていなかったのではなかっただろうか?
この方の指摘される国公立大の「ライティング」の問題で求められるライティング力は、何も「授業ディベート」をやらなくとも、「ライティング」の授業を適切に行えば対応できるものであるし、そのライティングの授業を適切に行う際にも、「英語で行う授業」にこだわる必要はほとんどない。タスクがしっかりと構成されていて、教師に書く過程でのフィードバックを与える力量や生徒の書いたプロダクトを評価する力量さえあれば、授業自体は英語で進めようが日本語で行おうが、そう大した違いはないのである。ここで、「『ライティング』の出題にも対応できるのですよ」というサポートをすること自体が、「英語による授業」に魅力が乏しく、「授業ディベート」の効能が思いの外少ないことを露呈しているのではないのか、「英語で行う授業」に十分な魅力があれば、何もライティングのことを云々せずともそれでいいだろうし、「授業ディベート」の効能が素晴らしいのであれば、「授業ディベート」に邁進すればいいだろうに、という意地悪なコメントを敢えて残しておくことにする。この論点でディベートをする気はさらさらないので。
浅野博先生のブログでの記事の方が私の心には響きましたね。

残りの2つのテストも作問から印刷までを終え来週の準備万端。
高2の英語IIは『Viewpoint』から。私の出題では典型的な設問でそれほど量は多くありません。高3は『Upgrade』からの出題。私のやり方よりも反復練習の演習の方が好きなようなので、合計100問くらいの大量に片づけていく機械作業のような設問です。せっかくのテストで知性や学力を試す機会が、これではあまりに忙しいだろうに…。
後一つ、高2の英語Gは、文法・語法がメインなので、もう少し寝かせて一次発酵が済んで膨らんできたら、その段階で練りに練り直したいと思います。
帰りのHRで英検の結果と模試の結果を返却。検定も模試も結構ですが、本末転倒な学びとならぬよう気をつけて下さい。
午後から、巡視を終え、本業関連で一仕事。
生徒を着替えさせて整体に。腰に不安があると訴えていたのだが、せっかくの機会なので骨盤周りと肩胛骨から頸椎周りの調整をしてもらう。見るからによくなった。これで艇がまっすぐ進むと信じましょう。
学校に戻って生徒を帰し、自分のクラスの三者懇談。模試結果から各種資料を打ち出しての話しを、あれやこれや。終了は7時半くらい。明日の土曜日も午前午後を使って数名懇談予定。
帰宅して遅めの夕食。塩豚と隠元のチャーハンと玉葱と生姜の利いた鶏団子のスープ。疲労回復には格好のメニューで、ようやく生き返りました。多謝。

本日のBGM: Now that you’re alive (Steve Winwood)