『完璧な虹』

高2「英詩…」収録第3ラウンド。今日は、10人と8人。ビリー・コリンズの4つのアドバイスに付け加える5つ目の助言のドラフトを前回集めておいたので、2クラス10グループ分の英文をハンドアウトに起こし、その英文の誤りなどに対して私がフィードバックを与えたのを印刷して配布。グループで、自分たちの以外の9グループ分を読んで訂正・加筆修正するのが課題。良くできたグループのものはすぐに完成度が増し、出来の悪いグループの英文に多くの英知が注がれ、改善されていく、というシナリオを描いたのだが、どうなることやら。
高3ライティングは、一クラスだけ。シラブルを確認しながら意味を考え、表現を選んだり、言い換えたりする練習。べからず集ということで、「過度の説明」「文にすることにこだわる」「あからさまな感情表現」を指摘。複数の形容詞を用いる際の形容詞の並べ方、について『レベルアップ英文法』10月号、久保野先生のコーナーを見るように指示。ラジオ講座本編は「不定詞・動名詞ほか」がターゲット。高校生でも英語に苦手意識を持つ生徒は、10月の放送を聞くべし!
さて、今日もしつこく、『子ども英語』から。
Q2. Do people visit their ancestors’ grave on Halloween in the United States?

  • A2. No. However, some people believe Halloween is the time of year when the worlds of the living and ghosts make contact? --- that’s spooky! On the traditional calendar, Halloween has always been a time related to ghosts or spirits. This dates back to the people living Ireland a long, long time ago. Halloween was called Samhain, and spirits came out on this night. People left food and drink to please the spirits. Isn’t this a little like Obon in japan?

だそうです。子どもたちの目は輝いていますか?
この雑誌を発行しているのはアルクなので、各種教材の広告が満載。そのうちの一つ、リスニング教材のコピーにはこうある。

  • 子どもは言葉の意味がわからなくても、音やリズムが面白いと、聞いて覚えてそのまま口に出すのです。児童英語教師の役割は重大。

こういう理屈で児童英語を教えているから、イベント依存体質になってしまうのだろう。意味が分からなくても覚えてしまう、まではいい。では「意味を分からせる段階はどう指導するのだ?意味が分かるようになったら、その後はどうするつもりなのだ?」
どこかで誰かが取り組んでいたが、日本の小学生にキング牧師のスピーチを暗誦させるのも、同じく考え直した方が良い。
怒りの矛先を今度は『英語でしゃべらナイト』に。雑誌が創刊2周年だそうだ。
特集は大西泰斗氏の「『体感』でわかる中学英語!」大型付録が「脳科学者が考えた暗記しやすいフレーズ集」。今気づいたのだが、この番組(雑誌)の英語タイトルが “Speak English now!” なのね。むーん。
大西氏のアプローチは、基本動詞や前置詞のコアミーニングには非常に有効なのだろうが、中学レベルの文法事項の全てをこのスキームでやろうっていうのは無理がある。いい加減、視聴者も「ウロコの貯金」はなくなった頃なのでは?
「フリルの体感」「並べると説明」っていうんだけどさぁ…。
He came here running.を came here とrunningに分けて、「came hereの様子をrunningが説明する関係となっているんですよ。さ、並べる、並べる。」ってのはナイーブすぎるでしょ。
なぜ、came + here runningとはならないの?チャンキングに関する本質的な理解やintuitionがない人にとっては後知恵でしかないのでは?キンクスのヒット曲のタイトル、 Come dancing! やスタイルカウンシルのヒット曲のタイトル、Walls come tumbling down なんてどう理解すればいいのよ。
The man sleeping on the sofa is my dad.はなぜ、*The man on the sofa sleeping is my dad. にはならないの?
?The sleeping man on the sofa is my dad. や、?The man on the sofa is my sleeping dad. ではなぜおかしいの?
こういうことが体感できるように、並べ方のルールもあわせて教えてください!
英語を教える者として「-ingは-ing。いつだって躍動感を表しているだけなんですよ。」ってのは看過できないなぁ。
分詞ってけっこう難しいよ。
そろそろみんな気づこうよ、「体感」だの「ハト感」だの言っているけど、実は「言葉で説明できる図解を使っている」だけなんだってこと。なぜ、視聴者は目から鱗が落ちるのか、っていったら、このアプローチは学校で教わった英文法や語彙の知識があることを前提として、それを批判しながら利用しているから。結局、良く整備された言葉の説明によって文法の仕組みが理解できるようになっていて、その理解に到達した人だけが、今度は図解によって記憶を定着させているのだ。
でも、同じ言葉の説明を聞くのなら、私なら迷わず『レベルアップ英文法』を聞くけどなあ。

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本日のBGM: 「デジャブ☆カレー」 タイライクヤ(2002年)