1学期終了

『英語青年』の8月号を遅ればせながら入手。特集は「村上春樹のアメリカ」。タイムリーな特集だとも思うのだが、執筆依頼を断った人が多かったのだろうか?4編の掲載。インパクトは少し弱いか。編集後記を併せ読むと狙いが見えるのだが。加島祥造特集を今企画したとするなら、「英語」の枠組みでアピールするだろうか?『タオ』は3年ほど前、まだ高校3年の担任をしているときに、保護者会のクラス懇談の際に「今、こんな本を読んでいます」と紹介したら、そのうちのお一方が早速購入して読まれて、丁寧な読後評と感謝のお便りをいただいたのをよく覚えている。その方の当時の家庭の事情をよく知っていただけに感慨深かった。古今東西を問わず、ある程度の人生経験を積んで初めて見えてくるものがあるということなのだろう。
今月号のEIGO CLUB (pp.56-57)では、中村敬氏が、齋藤一氏の『帝国日本の英文学』(人文書院)に関して異論を唱えていた。本編の寄稿で扱っても良さそうな中野好夫論である。中村氏の中野好夫論は、奇しくも、先日のブログのコメント欄で私自身が言及したばかりだったので興味深く読んだ。
先月号に載っていた靜氏の反論に対する柳田氏の再反論は掲載されていなかった。このまま沈静化するにはもったいないテーマなのだが、大学人は静観を構えたままなのだろうか?そろそろ『英語教育』も8月号が出ると思うのだが、これで誰からも反論が出ないとなると、日本の英語教育界は随分底が浅い集団になってしまったという気になるなあ…。
高校の方は今日で答案返却と成績提出を終え、非常勤講師としての務めも一段落。
放課後は、中間考査で最も成績の振るわなかった生徒と面談。今回の期末では、個別指導の甲斐もあり成績はやや上昇。夏休みの宿題「英詩と過ごす夏2006」に向けて、すでに図書館で書籍を借りる予約を入れているとのことで、やる気も上昇している様で何より。高3生では最近の夏の相談はたいてい、AO入試のお手伝いである。早稲田の国際教養と上智の国際教養(比較文化)・外国語学部、さらには慶応の法・SFCといったところが多い。英語の学力からいけば、十分に東大、一橋、筑波や外語に合格する力があるのだが、早くAOで決めたいのだろう。講師としては進路の決定まではなんとも言えないので、できる限りの相談に乗っている。早稲田の国際教養は、以前担任をしていた学年が一期生で丁度留学から帰ってきた頃であり、メールアドレスの変更通知などが舞い込んでくる。月日の経つのは早いモノだと思う。留学から何を学んだか?中途半端にバランスのとれた人間に収まるよりは、思いっきり傾いだくらいが若さの発露と言えるかもしれない。
いよいよ今週末は福岡入り。担当者からいただいた事前資料の参加校リストを見ると、福岡、修猷館、筑紫丘、佐賀西、弘学館、長崎西、青雲、熊本、鶴丸、ラサールなどという、九州地区の名門進学校と言われるところが軒並み名を連ねている。今回は私も含めてライティングに関わる実践例や大学入試問題分析が中心なのだが、こういう高校の先生方に、「精読」とか「和訳」に関わる本音を聞いてみたい気がする。懇親会で少し探ってみようかしら。週末、連休とまた更新が滞るやもしれませんがご容赦を。