process and procedure

高2、高3ライティングとも期末考査答案が出てきた。これから採点天国…。週末に本業が控えているのと、某社の原稿執筆が重なっているので、とにかく時間が足りない。とりあえず、高2から片付け、精神衛生が良好な頃合いを見計らって、高3ライティングに取りかかるつもり。
今回は高3ライティングの採点にあたって、どのように採点にとりかかるかというビデオを撮って8月のELEC協議会の夏期研修会で使おうと画策しているので、個人情報保護の観点で配慮しなければならないことが山積。マネジメントでもっとも苦心苦慮するのが採点と評価なので、協議会の研修会ではここを正面切って扱っておきたいのである。
以前 (2003年春か?) シラバスデザインとタスクデザインという切り口で協議会の研修会講師をしたときには、検定教科書に見られるライティング活動をランダムに示し、それぞれの活動の事前事後の指導に用いる下位タスク・上位タスクを設計してくださいというワークショップを行った。積極的に考えてくれる教員も多い一方で、「下位タスクってどういうことですか?」という質問が出たり、「何年生のどの時期に行わせるのかを限定してくれないとタスクが作れない、講師の側での課題設定が不十分だ!」というような感想(文句?)が噴出した。私としては、「シラバスとは教科書の進度表を詳しく書いたものではない」、「学校が違えば生徒層も違うし、目標も異なるので、まず『シラバス』を考え、『到達させたいライティング力』を規定することから始めなければ、個々の『タスク』は設計できないので、何年生のどの時期という限定など意味を持たないのです。」ということを伝えたかったのだが、空振りに終わった。「教科書の活動を見たときに、それがどのようなライティング力によって支えられているのかをしっかりと見据え、必要なガイダンスを考えることで事前のタスクを設計し、本題のライティング活動にスムーズに入っていけるように配慮し、そのライティング活動に対して与えるフィードバックが、その先のライティング活動につながるような事後のタスクを設計する、というサイクルでシラバスへとつながっていくことが望ましい。したがって、個々のprocedureは全体のprocessの中にどう位置づけられれば生きてくるのか、を見極める資質がライティング教師に求められるのである。」ということがなかなか理解してもらえなかった。
それから3年。日本の英語教育界が成熟していることを期待しています。今回は下世話なマネジメントのネタを考えています。教材研究や指導法研究に使った(使える)資料・書籍、教材研究にどのくらいまで時間を割くのか、ハンドアウト・ワークシート作成の実態、印刷に要する労力と時間、生徒の提出した作品のコピー、スキャン、管理、同僚との情報交換、そして一枚の答案の評価にどのくらいの時間を割くのか、一人の教師が持てる生徒数の上限とは?などなど。休憩を入れても、ワークショップで2時間半はあるので、たっぷり汗をかいてもらえるでしょう。
たとえば週3時間のライティングの授業で、一週間に一回エッセイ(らしき)課題を書かせ、提出させる、という指導を考えた場合に、

  • 1週目の第一時間、課題の導入 (15分)、pre-writingの活動 (20分)、語彙の指導 (15分)
  • 1週目の第二時間、draft writing (20分) とpeer response (15分)、peer responseを受けてのrevise (15分)、自宅でrewriteして提出
  • 1週目の第三時間、提出されたrewriteをもとにした講評(25分)とmistake log作成(25分)

などといった絵に描いた餅のような指導手順を取ることは不可能なのですね。第二時間から第三時間までの間はいったいどのくらい空いているのか?生徒の持ち時間と教員の持ち時間、という物理的な制約があるわけです。また、書かせたものをどのように返却、講評するか、そのためにはどのような評価を教師が下して提示するか、どの段階までは生徒個人で取り組ませ、どの段階で生徒間での共同作業や相互批評を取り入れ、どの段階は教師による指導評価を入れるのか、というようなことをしっかりと現実的に考えることが「マネジメント」の第一歩なのです。
もっとも、こういう考察を踏まえてなお、Criterionを採用している学校の先生には何も言うことはないんですけれど…。