第2回山口県英語教育フォーラムを終えて (その2)

朝の生徒指導に続いて、授業は高3、高2、高1。
高3は、前日のグラフ・図表問題の解答を配って、試験範囲終了。目の前に、適切に用いられた英語がある、というところから何ができるかが、自分の学習、という講話。
高2は、少年探偵のワークシートで、語彙。語義と向き合う。”clink” っていう動詞は試験には出ないけれど、「何が」または「何を」 clinkするのか、で我々日本語を母語としている者に聞こえる音と同じ音を聞いていると思えないと困るので、かなり時間をとる。チャイムなら「キンコンカンコン」、鈴なら「チリンチリン」、グラスなら「チーン」とか「カチャカチャ」って感じでしょうが、「カランコロン」だと、ゲゲゲの鬼太郎の下駄の音にもなってしまいますから。 “grin” のところで時間切れになったので、学級文庫の辞書全てで、語義と用例とを見て、「どのような笑い方なのか」を調べておく宿題。担任の先生が教室に行ったら、後ろの棚・テーブルに辞書の同じページが開いてあって驚いた、不気味だね、との感想。時間があれば、シャトルランなんですがね。
高1は今月の歌の歌詞確定の続きから、発展的活動で、コピーグロスもどきへと移行する目論見が、自宅学習で辞書引きを怠った生徒のために、いったんストップ。大きな流れが立ち消えになり、学びがshrink。一向に成長しないなぁ…。やはり、学習の道具を家に持ち帰らないような行動様式を放置していてはダメということ。
歌詞に出てくる画家のVan Goghの伝記・略歴を、私が中3から高1レベルの英語に書き直してチャンク毎に印刷。まずは1パラグラフのみで、コピーグロス。当然、しどろもどろなので、手がかり、足がかり。まずは導入です。その後、Flip & Writeで確認。

放課後は授業担当者会議で、本業にはつけず。その後も生徒指導で時間をとられて本日終了。

水曜日は『相棒』。いつもなら、犯罪や「悪」そのものに対する「怒り」をあらわにするような箇所がちらり、と現れるのに、今日は少年犯罪ということもあってか扱いの「暖かさ」が少々気になった。

山口県英語教育フォーラムに関しての振り返り。
永末温子先生の研究実践に関しては、このブログでも何度も言及してきたのだが、今回、多くの方に「なぜ、あれほど生徒の英語力が伸びるのか?」がわかって頂けたと思う。私自身、ライティングを専門、などといっているが、あれほど高校生のライティング力が伸びるのは見たことがない。本当に、度肝を抜かれます。この実践を見て「今風の技能統合・連関でしょ?」などと簡単に済ませられないのは、どれだけ緻密に、生徒からのフィードバックを得て到達度指標とタスクを作り上げていったかを、共同研究者である長沼君主先生 (ELEC同友会ライティング研究部会の副部長もしてもらっている) に聞いて知っているから。圧倒的なパワーを持つ永末先生が「ガメラ」なら、それに臆することなく次々と研究課題を突きつけて経験知を稼がせる長沼先生はさしずめ「ゴジラ」か。
講演の最後に参加者で実際に、「速精読タスク」を体験したが、かなり負荷の高い活動である。難易度を上げ下げしながら長期間にわたって課すことに意味があると得心。3分30秒という時間設定を問題を解くまでの時間だと思って焦りました。もっとも全部正解で面目は保てましたが…。
「コピーグロス」も、私が長沼先生との雑談の中で示した活動例から発展・進化して、全く別物といっても良い、とっても良い「タスク」へと結実していて、唸らされた。「速精読」タスクも含めて、一連のタスクのモジュール化は、永末&長沼コンビのように優れた実践者と、優れた研究者の長期にわたるコラボレーションの賜。新課程での懸念である、到達目標・到達度指標に関して、授業中の学習活動と言語活動に落とし込んだCDSがある、というのは本当に強みであって、多くの高校にとって参考となるものであるし、そうしなければならないだろう。「数値目標を設定することで教師も生徒も縛られる」と評価するのか、「生徒の英語力の発達・伸張を可視化することで学習・運用の両面で新たなる動機付けができ、指導の軌道修正の指針となる」とうけとるのか、後発・後進の英語教師の視点・立脚点にかかってくると思う。
週末はまた香住丘の英語劇DVDを見て楽しみたい。

以下、告知を。

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本日のBGM: ゴジラ〜組曲/OST (The City of Prague Philharmonic Orchestra)