第2回山口県英語教育フォーラムを終えて (その1)

11月22日に、県内外より約90名の参加を得まして、無事フォーラムが終了いたしました。
講師として来て頂いた永末温子先生、久保野りえ先生、今井康人先生、本当にありがとうございました。
協賛の現任校、ベネッセにもお世話になり、感謝のことばもありません。参加された方全員のお名前を上げていくことはできませんが、この場を借りて御礼申し上げます。県内は、高校が8割、中学が2割弱。高校はいわゆる進学校から専門学科、定時制課程まで、多様な学校種からの参加。その他、高専、教育行政などなど。今回は、塾関係者にも私の方から告知をしていましたし、現任校での塾を対象とした入試説明会の席上でもアナウンスをお願いしてありました。
また、現任校での卒業生で教職志望の県立大の学生も友人と共に参加してくれましたし、ギリギリになってからも地元の国立大の学生が、

  • 『英語教育』を読んで、フォーラムのことを知りました、高校英語での教職志望です。

ということで、参加をしてくれました。参加者の年齢層も幅が広がったと思います。
県外からわざわざ足を運んでくれた方の中には、関東より、倫太郎さん、anfieldroadさんが。兵庫からはManics Maniac同志のO先生。(O先生は先日の「ナラティブシンポ」にも来てくれていました。深謝。)
大分のA先生は若手も含め最多人数の軍団を率いてのツアー。四国から今井先生のケンブリッジ研修繋がり、広島からはセルハイの繋がりなどなど、ちょっとそこまで、というわけには行かない場所からも来てくれて感激です。昨夜から何通ものメールが届き、嬉しさ一杯になりながら返信していました。諸般の事情で参加できなかった方からは、概況を知らせて欲しい旨のメールも寄せられ、有り難い限り。開会直前で、本当にあたふたしているときに、私の携帯に転送されてきたある方からのメッセージで本当に自分を取り戻せました。感謝の気持ちを込めて、一部を引かせて頂きます。

  • おはようございます。 いよいよ今日これからとなりました山口英語教育フォーラム、素晴らしい力量の先生方の講演と、先生のコーデイネイト、是非お聞きしたかった・・・と、遠く思いを馳せております。 (日本全国、今そういう思いを抱えてる先生方もたくさんいらっしゃると思います) 人との出会い・つながりは人生の大きな財産、今回のこの先生の思い・ご尽力が、これからの日本の英語教育の大切な礎となりますように・・・。

今回のフォーラムに先立って私が尊敬してやまないU先生にいろいろとお願いをしていたのですが、シンポジウムへの布石、切り口となる長文のメールを頂いていました。シンポジウムの最後に、少しだけ紹介させて頂きましたが、ここでも改めてお礼申し上げます。ちょっと長いですが、これでもまだほんの一部です。

  • 中学の検定教科書を使っていて一番もどかしいのは、量が少ないことによる「中身の浅さ」です。え?Beatrix Potterの生涯、これで終わり? Mongoliaの生活これだけ?みたいな。高校みたいに難しくなくていいけど、易しい英語で、でも文法や語彙を越えて「そうだったのかー」と内容でひっぱれるだけの力が中学教科書本文にはあまりない!(それを先生の力で補って授業をここまでおもしろくできる!というのがりえ様の十八番ですね…いつもながらスゴイ) 私が中学生だったのは既に大昔ですが、当時のA Mujinaの怪談や、巻末のAfter twenty yearsを読んだときのインパクトはいまだ健在。現行の教科書が今の中学生の心に10年後、20年後まで残り続けうるのか?でも、いわゆる「先取り」は、小学校でも中学校でも大してしなくていいように思います。焦って先に行くよりも、4技能や文法の理解・習得などをスパイラルに深める方が大切だと思います。「したくない」のは、「高校(小学校)の先生たちは…」と自分じゃない学校の先生たちのせいにすること!中学の先生は今教えていることが高校のどんなことにつながっているのか、高校の先生は今教えていることが中学のどんなことからつながっているのか、を意識して教えねばということです。そのためにも互いの授業や教科書を知らねば、と。これからは小←→中というのも加わってくるのですが…。

「先取りをする必要はない」ということばは、U先生の口から出るからこそ、大きな説得力を持つわけですが、私も、「互いの授業や教科書を知る」努力を惜しまずに行こうと思います。

今は、正直、ほっとしたところで、総括も何もできておりませんので、アンケートの集計などが済み次第、少しずつこのブログで反映させていきたいと思います。
倫太郎さん、anfieldroadさんなど、ご自身のブログをお持ちの方もいますから、そちらでも何か情報発信があるかも知れません。ヨイショ記事で自己満足するのではなく、いいことも悪いことも含めて、本当に感じたこと、思ったことがどんどん発信されて、共鳴、反響しあった、その先に生まれるものがあるといいなぁ、とナイーブに思っています。そのつらなりこそが、「『…なんです。』山脈」になるのだと。それに、アウトプットの媒体を持っている方の、インプット、インテイクはやはりひと味違うと、最近強く思うようになりましたから。そういった人の感性とでもいうものを信じています。

今回のフォーラムの最大の収穫は、自分が自分がと前に出なくても、本物を準備すれば上手くいくのだということ。前回 (http://choshu-elt-2008.g.hatena.ne.jp/tmrowing/20080708; http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20080921) は、自分で前座を務めましたが、その分、一人一人の時間が削られてしまっていたという反省がありました。今回は、たっぷりと時間をとり、午前の部で登壇された永末先生にも、最後のシンポジウムで再登場してもらうことで、フォーラム全体の繋がりと広がりを狙ってみました。
昨年に続いて、今年も人選の基準は、いたってシンプル。

  • 私が、今、一番授業を見たい人、自分の授業を見て揺すぶってもらいたい人、そして、本音で英語教育について話すことのできる人。

です。
来年以降、どうなるかわかりませんが、県内から発信していくことができるように、長州英語指導研究会の会員の獲得、普及に努めたいと思います。

  長州英語指導研究会新規会員募集はこちら→ http://cho-shu-forum09.g.hatena.ne.jp/tmrowing/20091124

連休明けの今日は、朝の生徒指導から。
6時40分に出校し、学校長にフォーラムのお礼をして、7時からは生徒と共に自分を見つめる一時。今週末まで、しっかりと指導に当たりたいと思います。
授業は、4コマ。高2の2コマ連続、高1、高3。
高2は、連休前に指示してあった、模試の復習の確認から。noneとnothing の使い分けで、noneは先行する不可算名詞を受けることができる、というところが上位生徒にはちょっと不満だったらしく、類例を確認。インド料理屋でのやりとり、
A: すみません、ナンのお代わりありますか?
B: すみませんが、まったくありません。
の例を披露。以下、淡々と。
高1は、今月の歌のラスト。
高2でTodd Rundgrenを扱ったので、思い出したように、Utopia の “There goes my inspiration” を選んだ。空所を7カ所設定したが、まずは書き取らせず、1曲通して聞いて、主人公の男性に関する質問。

  • What does he do? How can you tell?

という問いを利用して、その回答の根拠となるキーワードに下線。
その後、さらにもう一度通して聞いて、

  • Where is he?

という質問とキーワード下線。
固有名詞は情報量が多いので、聴解・読解ともに主題に対しての大きな手がかりを与えてくれるということを学ぶ。最後に、2回聞いて初めて空所補充。
という展開です。

高3は数量表現、グラフの説明文の復習をしつこく。
マーク模試の問題文を流用して、その空所補充。論理的整合性の検証と品詞の確定ができれば、1問を除いて瞬殺。その1問も、丁寧に読み込めば、解決するもの。ドマドマ人、まごまご者用に、キーワードの「もと」を板書。動詞・形容詞は活用形、派生名詞への転換も含めて意味と形の正しい理解をみるために、原形で提示。
一度やっているにもかかわらず、設問が解ければ、ことばはもう読まなくていい、というような態度で学びが表面をなぞっている生徒がまだまだいるのが悲しい。センター対策でも、生きたことばのやりとりと地続きなのだ、と実感させる手だてがないものだろうかというのが、この時期の悩み。
フォーラムは、やはり、自分にとって最も必要なことを伝えてくれていたのだと再認識。

職員室では、英語科の先生たちが、フォーラムの成果を自分の授業に取り入れようと試行錯誤。進度だけではなく、指導法に関する議論ができるのは嬉しいことです。
現場の悩みは尽きないけれど、行きつ戻りつ、力を出し、力をつけて「生き」ましょう。

本日のBGM: Everything Must Go (Manic Street Preachers)