授業開き前夜

今日は授業準備のため自宅で仕事。合間に青山南(2000)『アメリカ短編小説興亡史』(筑摩書房)をパラパラと。脚注が面白い。
磐崎弘貞(2005)『意味重視・量重視・総合的指導の3指導法が高校生ライティングに及ぼす影響』のレジュメに目を通す。
昨年の「英語コーパス学会第26回大会」での発表で、最も気になるものであった。私は資料をZokkonさん(http://d.hatena.ne.jp/zokkon/)より送って頂き、どのような研究であったかを考察の途中である。英語教育プロパーの学会や雑誌でこの発表が取りざたされていないことも大きな問題だと思うが、今風の指導実践をしている人から見ればかなりショッキングな内容であろうと推察する。私見では「ライティングはライティングとしてきちんと指導すること」の重要性を示唆しているように思う。その場合の「きちんと」という部分を具体化するための1つの指標となる研究だろう。昨今のSELHiなど、すぐに技能統合でdebateをやりたがる風潮に対する警鐘となるものだろうと考えている。今年度のライティング部会でこの内容をきちんと扱っていきたい。
この磐崎の研究でも先行研究として取り上げられている平林輝男(1993)「書く能力を何で測るか:高校生の自由英作文におけるcohesionとcoherence」STEP Bulletin 6、は再評価されて良い論文だと思う。とかく、海外の論文に目を奪われがちな若手研究者には是非、このくらいは消化した上でオリジナルなものを書いて欲しいと思う。
新学期授業に備えて、座席表の作成、pre-testの作成、「今月の歌」の選曲とワークシートづくり、昨年度の生徒アンケートから「後輩へのアドバイス」ハンドアウト作成、『表現ノート』サンプル選定、期末試験答案サンプル選定など一通り印刷物が完成。
今月の歌。高2は昨年同様 Carole KingのChild of Mineで行くことにした。ワークシートは昨年の実践をもとに改良。アマゾンのカスタマーレビューだけでなく、昨年度の生徒のコメント集も踏まえて仕掛けを作る。さてさてどうなることやら。今年度は昨年と違い40人クラスなのでグループ分けや発表活動のサイクルなど多少変更しなければならないかもしれない。
高3ライティングは昨年と異なり、30人と34人の中規模クラス。昨年が40人クラスだったのと比べれば、トータルで10人以上少ないので楽である。授業開きは、昨年度生の「後輩へのアドバイス」と、答案サンプルなどを見た上で、どんな取り組みを期待されているのかを実感してもらう予定。あとは、文構造と日本語の干渉に関わる小テスト実施して終わりかな。
『朝日ニッケ英文エッセーコンテスト 高校生優秀作品集』(日本毛織)から数篇を読む。随分お世話になったコンテストなので、終わってしまったのは寂しいなぁ。18年続いたので、私の教師生活とかなり重なっているのだ。こうして冊子として眺めると、日本の高校生のライティングコンテストとして極めて大きな功績を残したことがわかる。これに代わる良質のコンテストが現在ないだけに残念である。この冊子は英文とともに対訳もついたので教材としても活用できるだろう。全英連のものよりも英文が生き生きしているように感じる。
K先生からお借りしたEnjoy English Writing Teacher's Manual (教育出版)。旧課程の英語IICの教師用指導書だが、この時代にWritingを標榜するだけあって極めて良くできている。著者代表は金子稔氏。永久保存版かな、K先生しばらく返却できそうにありません。ご容赦を。