stroke and strife あるいは ”cup” men

tmrowing2011-01-30

普通科2年の授業は一進一退。
第5文型といわれることの多い動詞型を扱った。例示で用いた動詞は、makeとcall。
2クラスのうち、一つは大成功、一つは大失敗。「対面リピート」の手順、授業内での位置づけについてあらためて考えさせられた。策士策に溺れる、といったところか。「体面」リピートになってはいかんね。
進学クラスは、テキストの英文に対応した日本語フレーズ訳からの英語フレーズ復元。疑問点をそのままにして漫然と音読を繰り返していてはダメということに気づいたことでしょう。英文復元がただの答え合わせにならないように。

  • 正しい素振りを繰り返すだけ。

という遠藤師範の言葉を反芻。

授業を終え、選抜大会の関係書類を送付。
Faxで送るっていうのは前からあるけれど、今や、メールで選手の写真ファイルを貼付する時代なのだなぁ。
放課後はエルゴと自重での筋トレ。
プル系のトレーニングの見通しがついたのが何より。ベンチプルのように胸郭を固定・圧迫する種目は疲労骨折の誘因となりかねないので避けたかったのと、ケーブルでのロープーリーロウのように、フィニッシュポジションで肩胛骨の位置が必要以上に寄せられてしまう種目は背中が堅くなり腹が緩むような気がしたので、今回苦肉の策で選んだ斜め懸垂のような裏返しでの自重でのプルが最適のように思う。
片足スクワットの深く畳んだポジションで股関節に乗る姿勢をチェック。
自分でお手本を示すというより、そのポジションを確認していたのだが、これを書いている今、殿筋が物凄い筋肉痛。大腿四頭筋には痛みはないので、良いポジションだったということですね。

土曜日は高2進学クラスの課外講座。朝から12時まで。
教科書の新たな課のテクストと和訳例、英語のサマリーを配布し、私が普段作っているワークシートと同じものを各自で自作する課題。語義の理解、文構造の把握といった精読から意味処理の自動化、さらには要約までのトレーニングをどのように機能させるか、私の頭の働かせ方を模倣してもらうことから。和訳が渡されても、なぜそのような意味になるのか、自分できちんと読まなければ身にはつかない。お膳立てされチャンクに切られたものでは逐次意味処理ができても、文、そして段落となると意味の保持が崩れてしまうところこそが、その学習者の「文法」の勘所なので、出来上がっていくワークシートをひたすら観察。途中まで出来上がったワークシートをいったん回収。次回までにどの程度下調べの地道な作業をしてくるかが鍵。出来上がったら、生徒同士でワークシートを交換してのトレーニングの予定。そこが終わったら、flip & writeと最終文書き取りあたりをやってさっさと次の課へ。
お昼ご飯は、そそくさとカップ焼そばで済ませて、午後からは本業で湖へ。
夕方まで天候が持つかな、と期待していたのだが、途中からは吹雪。水面は白波までは立っていなかったので、安定性も鑑み、ブレーキをつけてのパワーロウを9km。ブレーキを外してのDPSトレーニングを6km、ダウンでone by oneを1km、合計16km。日暮れまでに終えることができました。この日は陸上でのアップで大学艇庫のエルゴを借りて漕いだのですが、きちんとしたアップをするかしないか、というか、きちんとやるかやらないかで水上のパフォーマンスが天と地ほど変わってくることに気づいてもらえたのが収穫でしょうか。
日曜日はエルゴの20分測定の指示。
一面雪が舞う中、保護者に迎えに来てもらって終了。
私も安全運転で帰宅。
夕飯後、仮眠をとってアジアカップを観戦。
松井大輔がいないので、一時は興味が冷めかけていた大会だけれども、崖っぷちのような苦境からしっかりと這い上がってくる選手、チームを見て、多分にW杯以上の感情移入をして準決勝、決勝を見ていました。競技やレベルは大きく異なるけれども、試合展開と「監督」の動きに注目。松井に加えて、香川が骨折で離脱、といった背水の陣。試したことが余り無いのでは、というような布陣での前半が機能しにくかったと見るや、岩政の投入で、岡崎を活かす布陣へとシフトさせたことで、素人目にもリズムが生まれ、動きが繋がったように映りました。ゴール前の高さと強さを補ったことで、サイドが動きやすくなったのか、内田を画面で見る時間が増えたような印象。延長の後半、長友からのクロスを李の左足のボレーシュートで均衡を破り、逃げ切り。本当に絶妙なセンタリングに、芸術的なシュートでした。執拗に執拗に上げては落として詰めてくる豪州に再三ゴールを脅かされましたが、最後までゴールを許さなかった川島の働きも賞賛されるべきでしょう。

  • 勝って良かった。

と実感。監督の顔が一瞬、石橋凌に見えました。これで、コンフェデ杯出場権獲得、世界の強豪と相まみえることに。岡田前監督がW杯前にやりたくてもできなかった、格上や強豪との真剣勝負。各選手はこれから所属チームに帰って、そこでの自らの役割を担うわけですが、次に集まる時には万全のコンディションでまた素晴らしいパフォーマンスを魅せて欲しいと思いました。
今大会では解説の松木安太郎氏の発言にネット上でも注目が集まっているようなのですが、私の妻が東京生まれ東京育ちで昔から実家の鰻屋さんを知っているらしく、我が家では「うなぎ屋 (の息子)」と呼ばれ、親しまれ、愛されています。

今日は家で留守番。
同僚の数学の先生からの質問でいわゆる「アルファベット」の筆順を調べています。
山口に来る時に持ってきた資料が限られているので以下のような書籍を読み返しているところ。中学校や、高校でも私のところのように再入門 (期) 指導を行っているような学校の先生には参考になるかも知れないので、以下記しておきます。

  • 田中美輝夫 『英語アルファベット発達史---文字と音価---』 (開文社出版、1970年)
  • ローラン・プリューゴープト 『アルファベットの事典』 (創元社、2007年)

前者は、英語学の研究者による図版・写真が豊富な専門書。著者は山口県出身。東大卒業後、山口大学の教授を経て梅光学院大へ移られた模様。梅光学院大のアーカイブには語源考などの紀要に収録されていた論文が一部公開されています。
後者はカリグラファー、文字デザイナーの手による「文字そのもの」の本。起源や歴史を文字を核・軸にまとめたもの。時代と地域によって様々に変化した「文字」を豊富な実例・図版入りで A to Z で紹介している。

実際の教室での指導における「筆順」は?となるとこれはなかなかに難しい。教室で困った時の何とやらでいつも繙く、

  • 宮田幸一 『教壇の英文法』 (研究社)

では、項目数の多かった旧版 (初版、1961年) の第247項 (pp.516-519) では「画順」が扱われていたのだが、精選された改訂版 (1970年) では割愛となっている。もっとも、同窓で元同僚のK氏によれば、初版とか改訂版といっても、著者の宮田氏のこだわりで増刷の折りに記述は細かく変わっているのだとか。旧版には、251「F---この文字の印刷対と筆記体の比較---」, 252「TおよびF---その筆記体の画順---」, 253「横棒と点」、254「What---これを筆記体でどう書くか---」など、参考になる項目が含まれているので、これも機会があれば、旧版を是非。
“handwriting” と言って、私が直ぐに思いつくのは、

  • Rosemary Sassoon & G SE Briem, Teach Yourself Better Handwriting, Teach Yourself

私が好んで用いるフォントの名前でもお馴染みの著者Sassoonによる自習書です。日常の使用頻度が最も高い小文字の筆順が丁寧に示されています。私の所有しているのは1984年の初版ではなく、図版の補充された1993年版と改訂の2003年版。最近、改訂3版が出ているようです。教育書や指導書ではなく、一般書ということを考えるとよく売れているということでしょうか。
handwritingをもう少し詳しく研究したい人は、同じ著者による、

  • The Art and Science of Handwriting, Intellect

が2000年に出ていますので、そちらを見るのがよいかと。slant, proportion, ascenders, descenders, crossbar, entry, exit, archesなどストロークの各部分を何と読んでいるのか、とか英語でhandwritingを語る時に必要な用語を確かめることもできます。

国内のものでは、

  • 『クエスチョンボックスシリーズ XIII 英語一般』 (大修館書店、1960年)

のpp.23-43 で「文字・記号など」がまとめて扱われています。このシリーズは英語科の蔵書として備えてあるところが多かったと思いますので、勤務校の書庫や倉庫に眠っていないか見てみるのも手かと。回答の多くは増田貢氏によるものです。

次にあげるものは、先日の関係詞whomの際にも引用しました。いかんせん、個人で持っている人は少ないだろうから、ここで取り上げてもなかなか参照することが難しいとは思うのですが、

  • 『中学英語事典』 (三省堂、1966年)

では、pp.776 -788 まで、堀口俊一氏によるpenmanshipの詳細な指導手順が示されているので、若い英語教師は年配の同僚の方や英語教師OBの方に所有の有無を尋ねてみて一度目を通してみるのがいいかと。
次も今では入手が難しいかも知れませんが、私が文字指導の拠り所とするものの一つです。

  • 篠田治夫 「英習字」 (『新英語教育講座 第三巻』 収録、研究社、1948年)

pp. 180-183で筆順の例を、その後、pp.183-190で、ストロークや連結の練習・指導の手順を詳細に示しています。広島高師の系譜に連なるものかと。文字指導に興味のある方は是非一読を。

さて、
国公立の出願が始まり、受験シーズン真っ只中という雰囲気ですが、今年も「ライティング再現答案プロジェクト」を引き続きやろうと思います。来年以降は、自分の所属する研究会で大々的に取り組めればと思っていますが、まずは細々としていても続けることから。

再現答案をアーカイブ化する、「ライティング問題再現答案プロジェクト」に協力して頂ける方を募集しています。

これは、受験産業等、web上、商業誌上で示される速報的な大学入試ライティング問題の模範解答の不備を補うべく、「英語教室の教師と生徒による」、「英語教室の教師と生徒のために」企画された、「英語教室の教師と生徒のもの」、としての再現答案アーカイブの構築を目指すものです。
いわゆる偏差値の高い国立大学の出題の模範解答は大手予備校のサイトなどweb上で見ることが可能ですが、必ずしも英文として自然でなかったり、出題の求めに充分には応えていなかったりするものも多く見受けられます。母集団の大きな伝統的進学校であれば、先輩たちの指導資料・学習資料が残っていることが多くとも、新設校や、進学者のそれほど多くない高校の生徒は、「お手本」や「参考」になる英語ライティングの実例をあまりにも知らないばかりか、指導する側にも経験が不足している場合がままあります。このような状況下で少しでも建設的な、健全な英語学習・英語指導を行うため役立てようというプロジェクトであります。
当面は、高等学校や予備校・塾に勤務する英語教師の方にご協力を呼びかけます。大まかな流れは以下のようになります。
• ご自身の受け持つ受験生に、実際に受験したライティング問題の再現答案を書いてもらう。
• 再現答案のうち、合格者の答案を集めて、大学・学部ごとにアーカイブ化する。
• 再現答案アーカイブには氏名・イニシャル・出身校・担当教師などの個人情報に関わる情報は示さない。
• アーカイブは一定の手続きを経て、無料で誰もが閲覧でき、その後の教師による指導や受験生による学習に利用することができるよう保存・管理・公開する。
将来的に、英文としての適否・評価・助言などを加えていくことや、コーパス化して語彙リストやコンコーダンスラインを抽出するなどの発展もできるかとは思いますが、このアーカイブから、書籍化して商品化、教材化したりなどの「営利」に関することは一切考えておりません。その気になった時に、誰でも無料で使えるということを主眼としております。
母語話者に限らず、プロの英文ライターの方、日英語双方に堪能な方のご協力が得られればさらに心強いと考えております。

昨年も多くの先生、さらには受験生の方のご理解とご協力を得て少しずつではありますが、答案が集まってきております。ご協力頂ける方、ご質問のある方、詳しく知りたい方は、左のアンテナの「プロフィール」から、メールでtmrowingまでお問い合わせ下さい。

週末の晩酌: 義侠・無濾過生原酒・槽口直詰め・兵庫県特A地区東条町産山田錦60%精米 (愛知県)
本日のBGM: Division Day (Elliot Smith)