Rebuilding Foundation

前回の「2017年本試験、第3問Bの1」に続いて、2017年追試から、第3問Bの3を解説してみます。

前回の解説でも、一つ一つ読み進めて、その都度判断し、全体像を構築、修正していましたが、今回もほぼ同じやり方です。ただ、前回は、個々の表現や所謂構文の日英比較で取り上げるべきところ、例えば「無生物(ことがら)主語が他動詞をとる文で、主語を条件設定と読み替え、副詞的に処理する」などということは、後回しにするつもりで言及していませんでしたが、今回は、必要なところには解説を多めに付け加えようと思います。

では問題文です。

Some people do not like to throw things away and may feel a sense of comfort by keeping them well ordered and ready for use.
When Kenta’s grandmother asked him to help clean her house before New Year’s Day, he found a lot of old stuff of no value to anyone else.

  • (1) She had kept all of the wrapping paper she had received, which was neatly folded, along with nice ribbons.
  • (2) There were pill containers stuffed with spare buttons as well as small pieces of thread and string wrapped around strips of paper.
  • (3) There were rare collector’s items that she was going to sell to make money for charity.
  • (4) All these things were well organized and made ready for use whenever she might need them.

However, she realized no one would use them, not even herself.
So, Kenta and his grandmother decided to throw them all away.

論説文や解説文よりも、エピソードに近いナラティブの色が濃い文章ですが、それは、この文章が読める人だからわかることです。それを裏返せば、

  • あ、今回の英文は何かエピソードを通じて主題を伝えようとしているんだな。

ということがわかった人はかなり英語のセンスがあるということです。

第1文

  • Some people do not like to throw things away and may feel a sense of comfort by keeping them well ordered and ready for use.

本当に分かっているか?を日本語訳で確かめるのが難しい、some+複数名詞とandでのペアの理解です。
ここでの some peopleは(X)「何人かの人」、(X)「数人」という意味ではなく、全体から漠然と部分を取り出す表現です。allに対するsome。「中には…な人もいます」というような日本語に相当します。英語のどこにも「いる、いない」という表現がないじゃないか、と思う人がいるかもしれません。
日本語では「数量表現は存在を表す文で右へ行くと安心する」ということをちょっとメモしておいて下さい。

Someという部分を取り出す表現で少し「絞られて」はいますが、とじカッコは “do not like” と平幕の助動詞 do が使われていますから、事実で断定です。
“throw away” は「不要なものを捨てる」。北海道の私の田舎では「投げる」といいます。

「好きではない人もいる」→  何を?「捨てること」を、という部分までは現在形で断言ですから反論は受け付けない、一般論での入り方です。でも、「捨てられない;捨てたくない」人にも、その背景にはいろいろあるでしょうから、同じ主語に続くandの並列で may feel と横綱の助動詞 mayが来ていることに注意が必要です。この2つを天秤ばかりに乗せて釣り合いをとる、というのは、ちょっと違うかな、という感じです。
“and may feel a sense of comfort”
の部分は、横綱の助動詞 may ですから筆者の主観です。

may = may not で表裏一体ですから、「その人たちは感じているかもしれませんし、感じていないかもしれません」と、その前の「断言」と違って一歩引いています。feelの目的語の “sense of comfort” は「安心感;心地よさ」でしょうか?「癒し;慰め」?それだとあまり積極的なプラスの価値が見いだせませんね。comfort という語は発音と強勢も要注意ですが、ここでは名詞であるということで、「品詞」を押さえておきましょう。英英辞典で定義を見ても、今一つピンとこないものです。

  • comfort = a pleasant feeling of being relaxed and free from pain (Cambridge)

不可算名詞として使われているくせに、英英辞典で定義を見ると、 a pleasant feeling で可算名詞のfeeling が使われていたりすると、全然 “a sense of comfort” を得られないような気もします。

World Book Dictionary で引いてみると、

1a. anything that makes trouble or sorrow easier to bear; consolation.
Ex. The news that their missing son was well brought great comfort to his parents.
b. the feeling of relief or consolation.

と出ています。「安心感;心地よさ」で浮上する前に、どこか沈んでいる状況が必要だということですね。
では、どのようにして、その「沈んだあと浮き上がる安心感;心地よさ」を得るのか?
手段を表す前置詞の by+名詞のかたまり(ここではkeeping以下のワニ)です。ここでのkeepは日本語の「キープする」よりは、もう少し射程が広く、 “keep A + B” で、「AをBの状態にしておく」と、Bのところに何が来ているのか、まで気をつける必要があります。
でも、英語が苦手な人は、themの後がごちゃごちゃして「戦意喪失」のようなことが多々あるのでしょう。少なくとも、A = themまでをつかめれば、「捨てられないので、取っておくことで、心地よさ、安心感を得ているのかもしれません」という最低限の意味は理解できるでしょう。
Bに来ているのは、Aがどんな状態なのか?という情報ですから、“well ordered and ready for use” でのand の並列をきちんと読む必要があります。andは確かにペアを表すのですが、ここでは well ordered 「きちんと整理された」状態にあるからこそ、ready for use 「使用の備えができている」わけです。このような因果関係を含む and の使い方に注意して下さい。

“(well) ordered” の意味がすぐに実感できる高校生はあまり多くない(←これが「存在文での数量表現」ですよ)かもしれません。この語のもとになっている、基本語であり、多義でもあるorderの実感がつかめていないことが多いのかな、と思います。

類義語でのneatなどを確認してneat = tidy; with everything in its place (Cambridge)で分かる人は、もう既にかなり英語ができる人でしょう。
私の授業ではよく「反意語を援用した語義の理解」といいますが、

  • untidy = messy

ですから、not messy ≒ tidy ≒ orderedというように反意語・対義語を考えてみて、それをひっくり返して戻ってくると、もとのことばの立ち位置が少し見えてくる、という頭の働かせ方も語彙を定着させるための一手として覚えておいて欲しいと思っています。

ready for use での形容詞readyは物理的・心理的に準備ができている様子を表します。前置詞for は何に備えるのか?という目的です。ここでは文字通りの「用途・使途」である、 use という名詞が来ています。名詞のuseのs は濁点(゛)のつかない子音ですので間違えないように。

こうして読んでくると、comfortはそんなに大層なプラスの意味とも言えないな、という感じがしてきます。話題と主題を整理すると、「物を捨てるのが嫌だという人も実際にいる。捨てたくないから、きちんと整理してとっておいて、後々使えるようにしておくのだ、と『気休め』を得ているのかもしれない」とでもなるでしょうか。

ようやく第2文です。

  • When Kenta’s grandmother asked him to help clean her house before New Year’s Day, he found a lot of old stuff of no value to anyone else.

第1文の一般論に続いて、第2文では、個別のエピソードが出てきました。
筆者の用意した「主題」に照らして読み進めます。その主題を、このエピソードでどう示して、理解してもらおうとしているのかを理解できれば、この続きが読めたことになるでしょう。

「ケンタのおばあさんが物を捨てられない人で、その捨てられないのは、きちんと整理して、使用に備えることで気休めを得ているからかも」というような展開が予想されます。

A ask B to C(=原形) で「AがBに頼んでCしてもらう」ですから、「おばあちゃん(= A)がケンタ(= B)に手伝って(= C)くれと頼んだ」ことがわかります。では、to原形になっているCのhelp の語法で、目的語の部分に、動詞の原形(= clean) が来ているところに注意して下さい。helpの意味がまさに「助ける」なので、助動詞と同じように、原形をとることができます。英語があまり得意でない人にとっては、見慣れない、気持ち悪い単語の並び方だと思いますが、helpという動詞は特別なのだ、と思っておいて下さい。「家を掃除するのを手伝う;手伝って一緒に家の掃除をする」ということです。

D before E で、過去から現在、そして未来へと流れる時間の中で、どちらがより上流で、どちらがより下流に位置しているのか、日本語訳だけでなく、図示するなどして明確にしておきましょう。New Year’s Day は新年の日、つまり元日ですから、その前というと、大晦日以前になります。ですから、ここでのbefore New Year’s Day は「年末に;年の瀬に」ということになります。日本の大掃除は元日の前、大晦日までに終わらせますね?

大掃除の結果、he found 「ケンタは見つけた」とあります。a lot of old stuff of no value の、of …value は<前置詞+(抽象度の高い)名詞>で、形容詞の働きをするものです。四角化ドリル (その21) では集中的に扱っていましたね?

四角化ドリル 21
前置詞+名詞=形容詞.png 直

of value で「価値がある」。ここでは、no がついていますからで「ゼロの価値がある」、つまり「価値がない」ということです。形容詞のvaluelessとほぼ同じ意味ですが、名詞に対して後置修飾ができる、という利点があります。
誰にとっての価値か?というところが重要です。
“anyone else” と、“else” がついています。誰を基準に「他の誰にも価値がない」と言っているのでしょうか?そう、ケンタのおばあちゃんですね。


下線部1を読んでみましょう。

  • (1) She had kept all of the wrapping paper she had received, which was neatly folded, along with nice ribbons.

Sheは当然、ケンタのおばあちゃんです。大関の過去形のhad と-ed/en形の付き人でkeptと過去完了になっています。このエピソードの基準時は、「年末(たぶん大晦日)の大掃除」で過去形ですから、それ以前。過去の基準から更に上流へとさかのぼるので過去完了です。
“all of the wrapping paper” のallに意味があります。「例外なく全部」ということです。どのような「包装紙」かというと、the (wrapping) paper she had receivedの部分が、<名詞1(=paper)+名詞2(=she)+とじかっこ(=had received)+足跡>の名詞のかたまり(=接触節)で、「おばあちゃんがそれまでにもらっていた紙」となります。ここでのwrapping は動名詞で「用途・目的・機能」などを表すものであって、所謂「現在分詞」ではありません。日本語でも既にカタカナ語で「ラッピングペーパー」として使われているでしょう。
was folded だけでなく、neatlyというどどいつ(=副詞)が使われていることが重要です。このneatlyがあることで、「雑な保存の仕方ではなく、きちんときれいに折りたたまれて保存されていた」という、おばあちゃんの “well ordered” 具合の支持がなされているわけです。
文型至上主義の指導者に「副詞は取り除いて骨組みをつかまえろ」と教わった人がいるかもしれませんが、副詞は文の福祉係でもあるのです。きめ細かく、きちんと世話を焼いてくれていたりするので、副詞の存在と役割に感謝こそすれ、乱暴に扱うのはオススメしません。

, which は関係代名詞で「継続用法」とか「非制限用法」などと呼ばれることがありますが、その前の四角化された名詞を代入して右へと引っ張っていく、というのが普段の授業で教えている手順です。悩みどころとしては、その四角化され、代入すべき名詞が、「人」か「もの」か「ことがら」か?というのは意味がよりよく整合するかどうかで決まるということです。

この文の最後は、, に続く、“along with nice ribbons” です。along with …は「…と一緒に」という意味で、2語合わせて前置詞の働きをしている、と考えていいでしょう。問題は、「何とnice ribbonsが一緒なのか?」がすぐにつかめたか、です。niceというプラス評価の形容詞と相性のいい「プラス評価のことば」、ribbon(s)という名詞と相性のいい「もの」を探せば、「きれいに折り畳まれた包装紙」であることがわかりますね。なぜ、包装紙だけでなく、リボンと一緒にとってあるのでしょう? もう一つのキーワード、ready for use「用途」を考えてみて下さい。リボンはどういうときに使いますか?そう、「貰い物」を裏返せば、「贈り物」ですから、「すぐ使えるように取っておく」という主題に合致していますね。

この文の過去完了形は、進行形との合体ではなく、大関単独での単純な完了形でした。単純形は、基本が「成果・積み重ね・繰り返し」の「ドヤ顔」ですから、おばあちゃん本人から見れば、「ドヤっ!こんなにきれいに、きちんと折りたたんで、全部とってあるよ!包装紙だけじゃなく、その包みにかけてあったリボンもあるんだよ!」というところ。「ドヤ顔」はしている者本人には快感なのでしょう?sense of comfort のバリエーションの表現と考えられなくもないですね。

下線部2へ進みます。

  • (2) There were pill containers stuffed with spare buttons as well as small pieces of thread and string wrapped around strips of paper.

ここでは、A as well as Bの添加を読み取れたか、が重要です。
There were と始まったので、複数の名詞が続くことはわかるでしょう。まずは、pill containers 「薬の錠剤入れ;容器」が無冠詞複数形で。A contain B で「AはBを含む」という意味となるcontainに-erをつけて名詞化したものです。日本語のカタカナ語の「コンテナー」とは発音も強勢の位置も違うので気をつけて下さい。
containersに続く、stuffed はstuffという動詞の-ed/ed形です。containersから下線延長の後置修飾の目印で「詰め込まれた容器」となります。では、何が詰められているのか?素材・材料を表す前置詞のwithの後には、spare buttons (=予備のボタン)とあります。
次のas well as が考えどころです。“small pieces of thread and string” を、「錠剤入れ」に入れてしまって、(X)「糸や紐と同様に予備のボタンも詰められた錠剤入れ」と読むのは完全な誤読、間違った読みです。そういう読みをしてしまう人は、stuffedを完全に無視しています。

  • stuff = fill something until it is full

ですから、pill containersは予備ボタンで既にfullな状態になっていて、他のものを入れる余地はありません。
ここでのA as well as B の添加は、

  • A= 錠剤入れ(複数形)
  • B= 糸と紐の束(複数形)

となります。
後半のBを詳しく見ておきましょう。small pieces of thread and string では、threadもstring も不可算名詞扱いで、「素材」として捉えていることがわかります。計量化の単位とでもいう数量詞が、pieceです。とはいえ、形状は細長いものですから、small は「短い」という日本語の方がわかりやすいでしょう。
thread and string という名詞から、下線延長での後置修飾でwrapped という-ed/en形が続いています。保存のために、後々に使うために「…に巻きつけられた」ということですから、strips of paper というのは、「巻き付けやすくて、使うときに取り外しやすい」形状をしていると考えられます。正方形よりは長方形に近いもので、肉や野菜の「千切り」までいかなくてもいいのですが、「短冊」のようなイメージでしょうか。ここでも、おばあちゃんの “well ordered” な様子が見て取れます。

下線部3を見てみましょう。

  • (3) There were rare collector’s items that she was going to sell to make money for charity.

下線部2と同様に、There were で始まる文です。しかしながら、情報の添加を示す tooとかalsoとかの表現はありません。単純な並列とするには、今度は「レア物」があったというのですが、

  • rare = not seen or found very often ( LDOCE)

ですから、これまでに述べられた、包装紙やリボン、ボタンや糸や紐などの日用品とのギャップを示す表現が何かほしいところです。collector’s items「コレクターズアイテム」はもう、カタカナ語でかなり使われていますね。「(そのジャンルの収集家が)収集する価値のある高価な品物」です。このcollector’s items という名詞の意味に既に「高価な」という意味が含まれていることに注意して下さい。TV番組の『…鑑定団』を見たことのある人は、少し実感が増すかもしれません。
thatは関係代名詞で、後置修飾。items that she was going to sellで、「おばあちゃんが売ろうと思っていた品物」。原形のsellの直後が足跡です。
最後のto make money for charity のto make(= 原形) は、「『どうして』売ろうと思っていたのか?」「売って『どうしよう』と思っていたのか?」という「どどいつ」で、理由や目的を表すと考えればいいでしょう。
make moneyは「お金を作る;お金を稼ぐ」という意味です。造幣局で仕事をしたり、偽造したりするわけではないので注意して下さい。
ということで、この文の意味は、「おばあちゃんが慈善のために使うお金を稼ぐために後々は売ろうと思っていたレア物の高価な収集品もありました」となります。

では、この文の主題との合致はどうでしょうか?
「お宝」は、他のものとは場所を分けてとっておくものでしょうから、ある意味、おばあちゃんの “well ordered” さの一端と言えるかもしれませんが、「慈善のためにお金を出す」ために、「レアで高価な収集品を売りに出す」という行為に備えることが “ready for use” に当たるか、というと微妙でしょう。限りなく黒に近いです。そもそも、「出品して売れるお宝」であるなら、冒頭の "old stuff of no value to anyone else" という記述に矛盾します。


最後の下線部4で確認です。下線部3が微妙だとすると、この下線部4は、下線部2と密接につながり、さらに、この次の文とつながることになります。

  • (4) All these things were well organized and made ready for use whenever she might need them.

「これらのものはすべてきちんと整理されおばあちゃんがそれらを必要とするかも知れいときにはいつでも使えるように用意されていた」

この文章(段落)の冒頭にあった、

  • keeping them well ordered and ready for use

という表現の、orderedがorganizedに代わり、wheneverで「使途」が明確に述べられているという違いがありますが、主題の個別化という点では合致しているようにも思えます。基準時は大掃除にとりかかった過去の時点ですから、この文の時制の過去形も問題ありません。でも、何かひっかかりますね。


この下線部4に続く文の内容とのつながりです。ここから先の記述は、全て正しい、主題を支持するのに必要不可欠な情報です。

  • However, she realized no one would use them, not even herself.

Howeverの譲歩・対照で、その前とのコントラストを示すわけですが、
“she realized” 「おばあちゃんは気がついた」と、「ワニ使い動詞」のrealizeが使われていますから、この後、「大掃除を終えてのおばあちゃんの気付き」の内容が「文」の形で述べられます。

“no one would use them” 「誰もそれらを使わないだろう」という表現は、第2文にあった、

  • a lot of old stuff of no value to anyone else

に対応しているように思えますが、先程の文の続きにある、“not even herself” 「お婆ちゃん自身でさえ(使わ)ない」という部分に注意して下さい。

とすると、「おばあちゃん自身が、流石に自分でも使わないだろう」といっているのですから、下線部4の記述で、“were made ready for use whenever she might need them” という部分と矛盾しないのでしょうか?

下線部4では、助動詞のmight が使われていたことを確認して下さい。
そうです。mayであっても、mightであっても、might or might not の表裏一体は同じです。「(必要ないかも知れないけど)必要になるかも知れないから」という気持ちの表れです。

そうすると、先程の文の、Howeverは何と何のコントラストなのでしょう?
“might vs. would” で、可能性に対しての断定です。“However, she realized no one would use them, not even herself.” での、realizedの過去形は「分かっている」という状態ではなく、「分かった」という「変化」を表すものと読むべきだったことになります。

「使うかも知れないと思っていたけど、あらためて見てみると、ぜったい使わないだろう(と気付いた)」ということで、より正確に言えば、

  • However, she came to realize (that) no one would

とでもなるでしょう。

このようにして読めば、下線部4が残り、下線部3は消えることになります。

最後の文で締めくくりです。

  • So, Kenta and his grandmother decided to throw them all away.

「それで、ケンタとおばあちゃんは、それらを全部/すっかり捨ててしまうことにした」

“decide to 原形” は、自分に選択・判断・決定できる内容に使うので気をつけて下さい。「その気になればできること」とでも覚えておくといいでしょう。
でも、ケンタのおばあちゃんの場合は、一大決心ですね。

throw them all away のall は悩ましい語です。
代名詞で目的語のthemと同格と考えるか、副詞でawayの強調と考えるか。
「駅で南口の改札から出ても、東口の改札から出ても、国道に面した大通りに出られるので、結果オーライ」ということもありますが、全く反対側の出口にでることもありますので。

でも、

  • 「いつ悩むの?後でしょ!」

で、あとで辞書を引いて確認しておくことにしましょう。

さあ、これで、下線部3を除いた英文が完成したことになります。

段落形式で、全文通しての読み直しです。

Some people do not like to throw things away and may feel a sense of comfort by keeping them well ordered and ready for use. When Kenta’s grandmother asked him to help clean her house before New Year’s Day, he found a lot of old stuff of no value to anyone else. She had kept all of the wrapping paper she had received, which was neatly folded, along with nice ribbons. There were pill containers stuffed with spare buttons as well as small pieces of thread and string wrapped around strips of paper. All these things were well organized and made ready for use whenever she might need them. However, she realized no one would use them, not even herself. So, Kenta and his grandmother decided to throw them all away. (131 words)

私の授業用のノートには、各種記号がそれぞれの文の、あれにもこれにも、「これでもか!」というくらいについています。当然、私が自分で英文を読むときには、記号づけはしていません。授業の準備のために書き込むわけですが、記号づけの前の段階で、手書きで本文を写しています。

学習者が、この英文を読むときに、どこでわからなくなっているのか?どこを読み落とすのか?読み飛ばすのか?どこを読み間違えるのか?また、どの部分の読みを間違っていないと思い続けてどんどん、違う道を進んでしまうのか?

最初は、そういうことを想定し、手がかり足がかりを残しておいたほうがいい場所はどこかな?という「アタリをつける」ために手書きしています。


2017-sp-3B3-org.jpg 直

その後で、再度、道路そのものをチェックし、通るべき道筋を示す標識や地図、案内板などを整備するために、記号を付け、語義を書き込んでいきます。このような教師からの補助がなくてもスラスラ読める人は、記号に頼らずともいいでしょう。でも、そういう人であっても、悩みどころ、躓きどころは時々(しばしば?)訪れます。そのときに、自力で手がかりを作れるか?そういう観点で、簡単に思える英文であっても、メンテナンスをしておくことに意味はあります。四角化も、番付表も、いつの日か使わなくて済む日が来ることでしょう。でも、それは、英語の基礎力がついて、独り立ちできるようになった、ということであって、それまでに使ってきた記号の類が「誰にとっても価値のない古臭いガラクタ」ということではありません。

  • 基礎とは、あなたがどこにいても、どこに行っても、あなたの足元であなたを支えてくれる何かのことです。

本日はこの辺で。

本日のBGM: アイスタンドアローン(GLIM SPANKY)