Così fan tutte

tmrowing2014-11-06

実作は淡々と。
看護科高2は、「条件文の3タイプ」で、タイプ2に続きタイプ3を導入。所謂「仮定法過去完了」ですね。「番付表」の確認も。週3なので「帯学習」とまでは行かないけれど、並行して進めている『フレーズ連結英作文』では、「疑問詞」へ。
疑問詞を疑問視、とばかりに、すらすら口慣らしができたあたりで、じっくりと考えてみることも大事。

Where is Bob?
Where are you from?

の二つは奥が深いですよね? Whereに「疑問副詞」「疑問代名詞」なんてラベルを貼るだけでは解決しませんから?

In his office.
From Russia.

などと答える時に、話者の頭・心の中で「省略している」という意識はないでしょう。では「操作としての省略」が自動化しているのでしょうか?
英語の学習・指導で「チャンク」という言葉が聞かれるようになって久しいです。日本語では「文法」というので、とかく「文」に縛られがちです。文の単位に縛られずに英語の「しくみ」に迫れるか、というのが私の「学習英文法の見直し」の第一歩でもありました。
上記の2「文」の吟味を怠ったまま、高校生になり、「関係副詞」で躓く生徒というのを随分見てきたように思います。副詞、副詞句は「取り除いても大勢に影響のない枝葉」ではないのです。
では、なぜ「枝葉」として取り除きたがるのか?

  • 5文型

に落とし込みたいからでしょうか?「呪縛」といっていいかもしれません。私は、「動詞型」には注意を払いますが、5文型の分類、というものは授業ではほとんど注力していません。
初歩や再入門を謳う教材にも良質なものがいくつかありますが、その多くが、「5文型」の呪縛から逃れられない現状を見ると、田地野彰先生の『意味順』のエポックさが際立とうというものです。

疑問詞の話に戻ると、このセクションの4つの例文に二つ例を追加してもらいました。

5. どこにいるの?
6. ここはどこ?

日本語に続けて、英語の書き取り。

5. Where are you?
6. Where are we?

誰に向かって言う言葉か?それを言っている人と相手の絵が浮かぶか?ということを問うて口慣らし耳慣らしで、「対面リピート」まで。この時に引き合いに出した私のイメージは『オズの魔法使い』の場面二つでした。
私の授業では定番の活動となっている「対面リピート」ですが、そのご利益が最も出るのがこの「疑問詞」でしょうね。「何が問われているのかが直ぐに分からないために応答できない」ということを幾分かは回避できますから。
この「絵が浮かぶか?」という問いは、「英語は英語で」「発問で授業を活性化」というトレンドの中でも忘れてはいけない自問自答だと思っています。「日本語による問いで授業が活性化する」のですから、もっと「当たり前」になっていて欲しいところですが、「ナイモノネダリ」なのですかね。

先日、「大阪府立高校入試サンプル問題」での、空所補充短文完成問題の陥穽 "NASAスペースシャトル級" の英「文」に異議を唱えました。

  • The child playing in the park is my son.
  • 「絵が浮かぶ?」

という問いを、進学クラス高1の「模試解説」でも発しました。
高1の11月期の出題です。こんな英文が扱われていました。固有名詞は変えてあります。

  • Robert is the faster runner of the two.

<二者間の比較>での、「級」と限定詞の問題ですかね。
生徒は笑うのですが、「ロバートはいいけど、あと一人は誰なの?」ということです。

体育祭のクラス対抗リレーで選手を選ぶ場面

でも設定されていたらまだイメージはしやすいですけれど、それでも、

第一走者が一番早くないとダメだから、一番早い人を!

というのか、

やっぱりアンカーが一番早くないと!

という場面であれば、「なぜ二者間で比較しているの?」ということになるわけです。

クラブ対抗リレーのメンバーは「4X」、4人。3人までは顧問も部員も意見が一致して決まったけれど、あと一人を誰にするかで紛糾。RobertとTakashiに絞られた。

というようなケースなのでは?だから「比較級」なのでしょ?

どうでもいい時に「対話文」を使って「文脈」を出したがる(この「文脈」という日本語も要注意です)受験英語ですが、どのようなcontextを補わなければならないかまでご都合主義では困ると思うのです。
この英文で、模試じゃなかった、もし、

  • ( ) is the faster runner of the two.

というように空所が設定されていたら、解答可能ですか?
私が、高2の終わりまで極力問題演習をやらない一因には、このような「絵が浮かぶ」か、という「ことばの運動性能」「生息域の感覚」の方を重視している、ということがあるのです。まあ、世間との温度差は広がりこそすれ埋まらないのですけれど。
次のリンクで示したような「感覚」を共有できる英語教師が少なくなってきたなぁと感じています。私が年をとったということでしょうね。

”Yes, that’s what became of my play” http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20061204

進学クラス高2の「クリエイティブ英語」では、結局、私が全てを抜き出し、2つの場面の描写での「英語表現」を比較できるように両面印刷。片面30分程度でできるのは、私が一度全冊読んでいるから。上滑りの「○○もどき」ではなく、「意味を読んだら、ことばを読め」の実践です。

お粥お代わり事件.pdf 直
こちらのハンドアウトは、出典などの詳細がまだ入っていませんので、教室での授業その他も含め二次使用はご遠慮願います。

進学クラス3年は引き続き「ライティング」で、argument。
Topic Flower(s) (冒頭の写真のもとになっているのはこちら、写真 2014-10-31 10 36 34.jpg 直) と SPRE/R は導入済み。

トピックとしては、「成人年齢」と「小学校英語」を扱いました。
GWTと『パラグラフ・ライティング指導入門』を素材にして、『即戦力がつく英文ライティング』の解説で補足。それでも、まだまだ、「英語表現」以前の問題に直面します。
昨年末に、博多と熊本の「達人セミナー」のワークショップで使った素材を再利用。
昨年の三年生と今年の三年生の「作品」も、今年の「山口県英語教育フォーラム」での、私の講座の中で扱う予定です。
「生徒を隠して授業を語るな」という戒め通り。こればっかりは、「教わったように教えるな」というわけには行きませんので。
山口県英語教育フォーラムでは第一回以来の登壇ですが、午前の部から参加の方は、私の4年前のこの研修会の内容あたりは押さえておいて欲しいと思います。

「あれは学校の先生の思いつき」http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20100817

「フォーラム」に来られない方も、拙ブログの過去ログで「ライティング」「テクストタイプ」「フィードバック」というキーワードで検索すると、このくらいのエントリーがヒットしますので、古いものから1つずつ読んでみても面白いでしょう。

http://goo.gl/1MpNih

自分の実作にも悩みどころ躓きどころは多々あり、心が折れそうになることもしばしばあります。
第2回のフォーラムでも講師をしていただいた、今井康人先生のセミナーが大阪で開催されるとのことで、先週末、模試の監督を終えて直ぐに (学校を出て25分後!) 新幹線に飛び乗り大阪へ。
3時間のセミナーを終え、旧交を暖める暇もなく、再び新幹線で帰山。本当に疲れました。でも、会いたい人には、会うチャンスがある時に、会っておくのがいいのです。いや、チャンスを作ってでも会いに行くべきです。
今井先生、ありがとうございました。

さて、
フィギュアスケートのGPシリーズ。
先週のカナダ大会は、無良選手の優勝、宮原選手の銅メダルと二人の「台乗り」となりました。

  • 優勝しますよ。

と私が予想していた宮原選手は、SPで、オープニングのコンボ (3Lz3T) を両方とも刺される (=回転不足判定) ということで、LPの滑走順の明暗、悲喜交交という感じでした。
私の居住エリアでは地上波放送がないので、Icenetworkでリアルタイムで観戦していたのですが、今大会4種目のフリーの演技で、スタンディングオベイションがあったのは、カナダの金メダルペア、アイスダンスの金メダルカップルと、無良選手、そして宮原選手でした。
世界が、この小さな16歳の大いなる才能を認めた日でもあったと思います。

今週末は中国は上海で "Cup of China"。
例によって、広告代理店絡みなのか、羽生選手ばかりが露出していますが、見どころは他にもたくさんあるのですよ。
女子シングルは、トクタミシェワ選手とリプニツカヤ選手のロシア対決。そこに、アメリカの新星ポリーナ・エドモンズ選手がどう絡むか。地元期待のジジュン選手は、ルッツの矯正ができているか(そもそも矯正しようとしているか?)が鍵。滑走順では、ポリーナが前半グループで早いので、彼女のスコアがどのくらい出るかに注目しています。もし、65点くらい行くとなると、後半組は70点台の争いとなるか、、興味深いところ。
アイスダンスは、昨シーズンの世界チャンピオン、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組が出場。昨シーズンのSDでのツイズルとローテーショナルリフトで、スカートの描き出したシルエットの美しさが今でも目に浮かびます。(「マジカルスカート」という命名は @diodio0013twさんでしたかね?)
他には、ソチ五輪銅メダリストにして、不可解なカップル解消で、今シーズンに臨むエレーナ・イリニフと、世界選手権7位の、これまた不可解な解消を見せたルスラン・ジガンシンとの新生カップルの公式戦初お目見え。ドキドキです。

そして、本業では、地元は遠いほうの湖で、日ボ(=日本ボート協会)主催の「6000mタイムトライアル」が実施されます。日本代表候補を選ぶ重要な地方大会の位置づけです。私も、土曜日課外講座が終わり次第駆けつけ、予備トライアルから見たいと思っています。

本日のBGM:This romance starts here (Tot Taylor)