We’re laughing in the hole.

記事内容のカテゴリー毎に整理されていない拙ブログにも、毎日一定数のアクセスがあります。
アクセス解析で見ると、拙ブログの検索ワードは学参が多いようです。私は確かに「学参オタク」ではあるのですが、英語教育に関わる方達が読んでくれるのであれば、特定の学参で検索して読んで、その学参を使うかどうかの判断をする、というのではなく、自分の授業実践が、その学参を超えた、突き抜けたところに進むために、該当する学参関連記事を読んで頂きたいと、切に願います。
私の場合は、主として高校で英語を教えてきましたので、学参の記事も高校生用、大学入試用のものが多くなります。私自身materials writerでもありますので、大学入試、しかも特定大学入試に特化したものとして、ベネッセコーポレーションから『√T 東大特講リスニング』というリスニングの教材を久保野雅史先生と作ったこともあります (http://tk.benesse.co.jp/t_lecture/material/material01.html)。この教材は、GWTと違って現在も受講可能ですが、東大の個別試験で課される長文のリスニング問題に対応する教材としてだけでなく、読解問題での頭の働かせ方をトレーニングする「速い精読」を鍛える」教材としても有効ですので、読解が伸び悩んでいる人は、遠回りのようですがじっくり取り組んでみてはいかがでしょうか (受験生へのメッセージはこちら→http://tk.benesse.co.jp/news/gokui/popup5.html)
主として大学受験のニーズから言えば、「読み」に関して、いわゆる英語教育学者の説く、今風・今様の読み方と、受験で求められる「解法」とのギャップは確かにあるように思います。そのギャップが気になるが為に、首都圏や大都市圏で行われる予備校での「英語教員研修」が花盛りなのだろうけれども、進学指導の経験が長い英語教師であるならば「読み」の指導で悩むなよ、と正直思います。こと「読み」に関しては常に「真っ当な英文」があって、それが読めるようにすればいいのです。悩むのは、受験生側の仕事、特権と言ってもいいでしょう。教師はその悩む人ととことん付き合うだけのこと。
大村はまの単元別学習、

  • 「三十五人の三十五の書き出し」(大村はま 『やさしい文章教室』 共文社)

という実践から学ぶべきことは今でも多いと思います。自分の目の前にいる学習者が、何が読めていて何が読めていないのか、ということを確かめながら素材となる英文の難易度を上げていくか、同程度の難易度の英文でジャンルを変えたりテキストタイプのバラエティーを増やせばいい。読めていないのに、「設問」に答えられるようにしよう、などと思うところから不幸は始まるのだと思います。

教科書の新しい課で教材研究をするときに、脚注の新出語句以外はみな習得済みという日本国内では極めて稀な習熟度の高い生徒を教えているのではない限り、内容理解に必要不可欠な語句で、それ以前にも出会っているはずなのに習得できていない語句があるはずです。にもかかわらず多くの読解教材、そしてほとんどの速読教材では、読む前に、そのレッスンで読む素材に出てくる語彙の手当をしてしまい、読む際にクリアーすべきハードルを下げています。そのような教材、そのような指導法では、わからない語句に出くわした時に、そこに留まり、前後から、または自分で仮定した統一した主題から推測して処理するのか、そこは品詞だけ仮に当てておいて先へと急ぐのか、そのわからないところは気にせず先に行くのか、というような判断を読み手である学習者に委ねることをしていません。まず、この語彙のお膳立てを止めることです。止められませんか?止められないのであれば、私が今年度やろうとしている「物語文」「論説文」指導での試みを共有してはいかがでしょうか?
既習未習を含め、内容語を中心として、読む前に意味を与えておき、その語句を全て使ってはいるけれども、結末の異なる、または結論の異なる二つの話しを読ませる、という課題です。落語で「三題噺」というものがありますが、それをもっと語彙の縛りのキツイ、「十題話」とか「二十題話」に仕立てるのです。このアイデアの芽は90年代の終わりに「英文速読」という講座を担当していた時からありました。(過去ログ参照http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110213http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050727) ただこの当時は、既に読解教材としてある英文を、聴き取りだけで表現と構文の処理をしていこう、という試みでした。今考えているのは、出来合いの教材を使ってそれをやるのではなく、教材そのものから自作して、不備があればそれも自分で繕おうというわけです。
内容スキーマに頼れる部分と、そこから先、自分で読まなければならない、という部分とを橋渡しするような教材としての英文を教師自らが書くことが教材研究の全てといっていいでしょう。時間はかかるでしょうが、こういった試みが教師として「読むこと」ときちんと向き合うための第一歩だと捉えています。
さて、入試に関わる話しに戻ると、大学入試の出題に「問題」があるとすれば、日本語のキューにせよ英語によるお題提示にせよ、解答として求められている英語がいったいどのレベルの英語なのか、ということがブラックボックスのまま、「減点されないことが最重要なので、中学校レベルの英語で書けばいい」とか「文法点が半分、内容点が半分」、などと、ああでもない、こうでもない、と推論や議論をせざるを得ない、和文英訳とか英作文とかライティングといわれる「書く」分野の指導でしょう。
語彙基準をどう設定するかは詳述しませんが、例えば、1000語レベルの英語で、まとまった内容の英語を書くには、どのような構文・文法項目への習熟が求められるのか、もし2000語レベルまで使えるとしたら、その英語はどう変わるのか?構文が複雑になるのか、それとも簡単になるのか?たとえ大規模なコーパスを構築し、そのデータを駆使して日本の学習者にとっての語彙水準を確定できたとしても、それがゴールであっては現場の豊かさには繋がりません。英語教育学者に期待したいことはたくさんあります。
昨年の自分自身のテーマは「パラフレーズ」でした。Basic Englishや要約に関していろいろと振り返ったり、試してみたりしました。今年は「学習英文法」。語彙を統制して易しい語に置き換える時に、使いこなせなければならない文法が確かにあると感じています。では生徒はその私の「実感」をどう共有するのか?現在の私の高1進学クラスでの「多読」指導、高2での「定義」実践はその延長にあるわけです。General Service Listを発展させたCambridge English Lexiconを使っての教材研究や1960年代の日本の英語教育学者の叡智の結晶とも言える令文社の学習英語辞典の活用もそのため。私にとって、自分のことばとして、英語を取り込み育てていくこと、そうしようとする学習者を支援する方が、世間や時代の流行やもっともらしい現実の劣化コピーを教室に取り込むことよりも大事なことです。
昨日に続いて日曜日の今日も雨読。
疲れてきた頃につけたTVで、女子プロゴルフ。ミズノ・クラシック。
私自身、ゴルフをするわけではないのですが、道具を使うアスリートとしてとして、またコーチングのスキルとして、ゴルフの選手とコーチには勉強させられることが多いのでトッププロの動きや試合は見ています。今大会は解説が岡本綾子さんでした。
昨日のラストで4連続バーディーを取り、岡本さんをして、「zoneですね」と言わしめた、上田桃子プロがプレーオフの末、優勝。おめでとう!
ちなみに、上田プロはこのような取り組みもしています。(http://momoken.net/)

以下、告知です。
第4回山口県英語教育フォーラム
東日本大震災の復興支援チャリティーも兼ねています。

第4回 山口県英語教育フォーラム
『英語教師の視点と立脚点---「教育」「読む」「つくる」の立つ場所とそこから見えてくるもの』
(主催)長州英語指導研究会
(協賛)山口県鴻城高等学校 ベネッセコーポレーション
開催日時:2011年11月19日(土)
 10時00分から17時30分頃 (受付開始 9時20分〜)
開催場所:山口県労働者福祉文化中央会館・大会議室
所在地:山口市緑町3-29(TEL:083-925-7332)
・ JR山口駅・湯田温泉駅より タクシーで約10分
・ JR防長バス停「中園町」下車
http://www.welfareyg.jp/map.pdf 
主な内容:
I.組田幸一郎先生 講演  (10:10〜12:00)
II.佐藤綾子先生  講演  (13:00〜14:20)
III.萩原一郎先生  講演  (14:40〜16:30)
協賛のベネッセコーポレーションによる情報提供
講師の方達を囲んでの懇親会 (別会場;会費制) も予定されています。
詳しくは、
http://cho-shu-elt-2011.g.hatena.ne.jp/tmrowing/20110927
申し込みはダウンロードした要項 (第4回英語フォーラム案内文書.doc 直) にあるFAXから、または、(株)ベネッセコーポレーション 中四国支社 山口県担当 三木健之 TEL:0120−350455 まで。

要項での締め切り日は過ぎましたが、まだ席には余裕がありますので、同僚の方もお誘い合わせの上、ご参加下さい。

本日のBGM: Work for the weekend (The Lilac Time)