「空所なし適語補充」

中間考査進行中。本業はお休み。
すでに3コマ分終了。2コマ分採点済み。作問はまだ2つ残っているので、今日仕上げて印刷の予定。綱渡り。

今回、オーラルは範囲が短いので芸はなし。
高2の英語IIでは、課題の読み物テキストから私が作為的に抽出した話しのタイトル、キーワード、コロケーションを与えておき、「印象に残った一節」を3文程度の英語で復元させるという出題を7問出してみた。2問は、『茅ヶ崎・0』から偉人伝の英文の動詞・準動詞を原形にして提示し復元完成、1問は偉人伝で空所なし空所補充。
高3のRは長文読解テキストの指定範囲の8つの文章から、6題。いつも通りの「動詞・準動詞復元」、「派生語」復元、「空所なし空所補充」で3題。1題は、全文をただ要約するのはテキストで扱っているので、「切り口」を与え直して、主題に絡め100字程度の日本語でまとめるもの。2題は、指示語のthisの内容を明らかにして下線部を日本語で説明させるもの。まずは、第一段階、自分の理解を「母語」を通じてモニターできることからです。期末は実質、高3の最後の定期考査となりますから、英文でのパラフレーズと英文での「自力」のサマリーまで。やっと英語らしいテストにできそうです。
試験前の最後の授業で音読のチェックをしていて思ったこと。

  • 解答・解説も全文和訳も持っていて、音源のCDも持っていても、音読して音に意味がのらない部分は本当の意味で英文が理解できていない部分であり、そのほとんどは語義が分からないというよりも「文構造」が分かっていないことによるもの。その文構造の不理解・誤解は「個々の音」以上に、「強勢」と「リズム」に現れる。

例えば、

  • The Egyptians were fond of counting in base 12 instead of base 10, which is commonly used today, because they counted finger joints rather than the fingers. Each of your fingers has three joints, so if you count by pointing to finger joints with your thumb, you can count to twelve on each hand. This might seem strange, but is actually just as strange as counting in base ten simply because we have ten fingers. (“Change the world” いいずな書店、Unit 7より抜粋)

という部分で、最終文のThis に意味がのるためには、そこまでの内容がthisに収束していかなければならない。さらに、just as … as …での比較と、simply because での論理をきちんと踏まえて音にのせるには単なる理解だけではなく、習熟が必要。
次の例でも同様。

  • I realize that there’s no way we can stop the Disney view of things, and it doesn’t pay to try to prevent children from enjoying sugar-coated views of the world. What we can do as parents and educators is make sure that this is not the only view that our children get. We can use Disney as a way to see into things more deeply and, for example, excite greater curiosity in learning more about the nature and people of Africa. Once a child’s interest is piqued by the super-sweet view of things which Disney markets, we can bring out other aspects that tell other stories and give multiple perspectives on things. This will give children the opportunity to think beyond the Mickey Mouse view of life. (“Change the world” いいずな書店、Unit 8より抜粋)

最後から2番目の文で、”…is piqued by…” という高校生には初見であろう表現が出てくるのだが、この表現も一度学習して語義を理解した後なら、その前文にある、”excite greater curiosity” という他動詞表現との関連、そこでの “greater” という比較が何と何を比較しているのかを踏まえて、その意味が音にのるまでの練習が必要だろう。そうしなければ、最終文の “This” が空疎な語となって宙に浮いてしまう。この文章は、入試問題では久しぶりに真っ当な英文だったので、しっかりと血肉化させたいと思った次第。

ロシアの土産物人形よろしく、構造から部分を切りだし、括りだして読ませてより大きな文の形へと復元していくような「音読」のさせ方をしていると、400語〜600語程度の1長文で1〜2人をチェックして50分授業が終わってしまう。その一人を軸足として、課題となっている音と意味、音と構造、音と論理・主題を他の生徒に振っていくという進め方。個々の音をしっかり調音できるようにして、1文を正確にRead & Look-up できるようにしてから、まとまった長さの文章へ、というのはたやすいが、高1から私が授業で教えていて、すでに高3の2学期。原因は簡単、英文の質も量も高2までとは比べものにならないくらい高くなり、一回の範囲も長くなっているから。改善策、落としどころをどう見いだすか思案のしどころ。一斉授業ではなく、「学級文庫」の教材をもとにした、公文式のような寺子屋スタイルのシラバスになんとか移行できないものかと思う。その時は、高2と高3は同じクラスでも良いと思うのだが。きっと答えは既に自分の中にあるのだろう。これこそまさに教師としての「空所なし適語補充」だな。
昼に、職場に、A書店から本が届く。

  • 磯田貴道 『教科書の文章を活用する英語指導---授業を活性化する技108---』 (成美堂、2010年)

これは、福山の山岡大基先生のサイトの書評で気になっていたもの。この試験期間で充電できるか。

午後になって、車の6ヵ月点検。
『新英語教育』の11月号を買って帰宅。
背中の調子が悪いので、妻に整体の施術をしてもらう。少し持ち直す。
ステレオをかけ、日暮れを惜しみながら靴磨き。最近、日本のミュージシャンで自分の好きだった人たちがどんどん繋がっていくのを眺めているのが楽しい。
『英語教育2.0』でanfieldroadさんの男前なエントリーを読み熟考。

明日は、フォーラムの打ち合わせ会議。ちょっと長い一日です。

本日のBGM: 夜のとばりで会いましょう〜Open End (高橋徹也)