You won’t learn, will you?

午前中一杯で、高1の課外授業。
夏休みまでに終わっていた、『ぜったい音読』の入門編、標準編から、基本例文を抜き出したワークシートが再登場。文の中の名詞句に着目して、名詞句の限定表現を書き出すためのトレーニングで、10年前は、200例くらいこれでもか、と生徒にやらせていたこともあったのだが、今では20から30くらいで充分なトレーニングができるように、私の指導が成熟している。
何を求められているのかがわかる例が2つ、

  • A country like Japan has a lot of rain and water. から、 a country like Japan which has a lot of rain and water という名詞句の限定表現を括り出す。
  • The people in Chungungo get all the water from fog. から、 all the water the people in Chungungo get from fog を括り出す。

このような操作を可能とする例文が22。ひとつ30秒ペースで、11分で終えるよう指示して開始。案の定、的はずれなことをしている者、最後まで終わらない者などなど。喝!
どのような名詞句を括り出したいのかをしっかりと把握すること、主格と接触節との違いを認識し、足跡の場所を間違えないこと、などの「肝」を説く、まさに夏休みの指導の再現を経て、リベンジの2回目。今度はほとんどできている。「自己肯定感」などとかっこいいラベルを貼るよりも、まずこの違いに生徒自身が気づくことが必要。
『ぜったい音読』は標準編までで、旧課程の中3レベルなので、高1の『ユニコーン』のレッスンから、簡単な文を1つ、やや難しい文を二つ、ディクテーション。それぞれ、まずは3回読み上げる。赤ペンを持って座席移動して、再度3回聞いて、合ってたら○、違っていたら訂正。前の人が○をつけていても、自分が聞いて、そこに書いてある文が間違っていたら訂正、というルール。最初の文は3回移動で全員正解だったが、3つ目はかなり移動した。全員の英文が正しくなったら自分の席に戻って、Read & Look-up。ここから、名詞句の限定表現へ、1文30秒!例文3つはこちら、

  • They’ll be glad to discuss the subject with you.
  • Pepperberg has studied the intelligence of animals for about thirty years.
  • Her work has made many people aware of the true intelligence of some animals.

メカニカルなドリルだと思ってタカをくくっている生徒は、教材のレベルが上がってくると、どこかでついて行けなくなる。このドリルは、いったん仕込んでおいて、その気になれば、いつでもできる、というところにいることが肝心。その後は、読解で指示語の内容を復元する際に活用するための物凄く気の遠くなる伏線である。
品詞分解的ではない、逐語訳でもない、英語は英語のまま理解することを由とする、どんどん英文を読んでいくタイプの授業でしばしば見られる、「わかっているんだからいいじゃない」的な物凄く乱暴な指示語の扱いが気になっていたので、ずっと考えていた。

  • 「そのtheyは誰を指すのか?」 「“children”」 「いや、一般論じゃないんだから」「じゃあ、the children」「the っていって、お互いの了解事項だったら具体的に」「ええ〜っ、日本語でいいですか?」

というようなやりとりの先へと突き抜けるにはどうすればいいか考えてみた、読解指導を改善するための私案であり、作文へと繋げる文法指導の工夫でもある。
教科書の試験範囲をパート毎に音読。その後段落ごとに、Read & Look-up。教科書の音源CDをこまめに止めながら、チャンク毎に置かれる一瞬のポーズとイントネーションの変化に気づかせる。聞き手に内容の予測ができるような読み方が理想、と説く。
ここまでがWarm-upなのだが、

  • 「この後に、センテンス毎に書き写しますから、しっかり、一気に移せるよう、Read & Look-upで頭の中にチャンク毎に英語を保持しましょう!」などというお膳立ては、いちいちしないからね。とにかく、その活動、活動を常に全力でやっていれば、すぐに次の活動に入れるんだから、そのつもりで最初から、がーっとやって、すぐ次の活動に、がーーっと、移りなさい。

というお膳立てをしておく。
B4の用紙を4つ折りにして、ページ番号を振り、1ページには、ひとつの段落を視写。ノートには、チャンク毎に構文をとっていった思考のプロセスが残るように書かれているので、それを教科書と同じように普通の段落形式で書き写す。2人ほど、教科書を見て写そうとした者がいるので、喝!
2ページには、1ページを見てその意味を日本語で書き出す。1ページと2ページが裏表になるように紙を折っておく。和訳は逐語訳ではなく、チャンク毎のフレーズ訳や、ノートに書き出した思考のプロセス、チャンクをつなぐための合いの手が入っていても可とする。
3ページは、動詞句を空所にして書き写す。これは、1ページと3ページが裏表になるように折り直して作業。ここができたら、1ページの音読、続いて、3ページの穴埋め音読。
4ページは、冠詞と前置詞を空所にして書き写す。ここは3ページの穴あき英文を見て書き写す。この段階で、4ページを書き終えたときには、3ページの穴埋め音読をやっていることになるので、精度が上がる、というのが目論見。完成したら、1→3→4ページで最速で音読。
動詞の前でとじかっこ、名詞は四角化で視覚化、前置詞は名詞の前に置くことば、という授業での合い言葉の持つ命をどう活かすか、この活動で感じてくれることでしょう。
残りのテスト範囲も次々と自分で作っていく。自分の英語力、そのパートや段落の難易度に応じて、1枚で1段落のこともあれば、パート全部が1枚にもなる。B4の4分割では書ききれない分量であれば、2つ折りで両面を使うことでスペースを確保する。音源はみな持っているので、音読ではポーズ、イントネーションまで完コピを要求。
この手法での復習・定着は、「今月の歌」でもできるからね、と念押し。
次回は、対面リピートと、キーワードだけを残した再現まで。あとは、授業で扱った素材文から、「My Own P単フレーズ」を生徒が自分で作って期末試験に備える、テストを越えた学びとして、基本のコロケーションを活かして、投野先生に教えてもらったmeaningful substitution drillsへと発展というのが、「絵に描いた」流れになるでしょうか。「餅」を食えるかどうかは、私の腕次第というところか。

昼ご飯も食べずに、皮膚科へ。
湯湯婆で足首に低温やけどをしていたのだが、水ぶくれがどんどん大きくなり、周りが腫れてきて、階段の上り下りでも痛むので、自宅近くの医院で見てもらった。両足ともやけているのだが、右足の方がかなり深いようで、「まあ、普通の火傷で皮膚が再生するのに1週間とすると、低温やけどの場合は、蒸し焼きになっている状態で、皮膚の深いところまでやけどしていますから、皮膚が再生するまでに3週間から1ヶ月はみないといけませんね。」とのこと。
みなさん、低温やけどにはくれぐれも気をつけましょう!
帰宅後、お腹を満たして、化膿止めの薬を飲んで休養。おとなしくしています。
明日は、朝から模試監督。K塾のセンタープレ。ICプレーヤーもなんとか確保できたのはいいけれど、その分準備で時間がかかるのが悩み。
英語教育フォーラム総括の続き、今井康人先生編とシンポジウムに関しては明日以降にでも。
以下、告知です。

 長州英語指導研究会新規会員募集はこちら→ http://cho-shu-forum09.g.hatena.ne.jp/tmrowing/20091124

12月26日 (土) に (財) 語学教育研究所で行われる、冬期講習会で講師をします。私の講座は「高校英語」「ライティング」「舞台裏」がキーワード。詳しくはこちらのページをご覧下さい → http://www.irlt.or.jp/modules/eguide/event.php?eid=91


本日のBGM: Wrote it down and burned it (John Hiatt)