「サルにはなりたくない」

今日は進路ガイダンスとマラソン大会。
進路ガイダンスは、近隣の大学のAO・広報などを担当する方の講演でスタート。
某予備校の講師をしていたらしい。このコマまでは、自分のクラスも一応聞かせました。私は自分の指導で使う資料を印刷していたので内容は知りません。
でもって、2コマ目からは私のガイダンス。
教室には学級文庫で、
・ 進路指導部経由で『K雪時代』(O文社)
という、受験産業と高等教育機関が広告主の受験勉強ファッション雑誌のようなものが毎月届きます。それ以外には、
・ 入試結果追跡資料(Yゼミ、K塾)
など、電話帳系が適宜。あとは、私が自分で買って読んだものを勝手に置いてあります。
・ 大学ランキング(A新聞・K塾)
・ 週刊東洋経済、プレジデントなどの大学特集
・ 大学でのレメディアル教育を概括した書籍
・ 現代思想『大学改革』特集号(1999年6月号)
・ 岩波ブックレットの『教育格差』
などなど。
これらを読んでいれば、まあ、私の話など要らないのですが、指示して読むのが20% いる組織、社会であればすでに十分に機能しているものなので、橋渡しくらいは。
まずは、一コマ目の講演内容を40字で要約し、各自ホワイトボードに書き出させる。私からは事前に「要約を課すので、そのつもりで聞くように」などという指示は一切していません。いくらメモ取ったって、パワポのスライドのコピーをもらってきたって、自分の聞きたいようにしか聞いていないもの。
一事が万事ですよ。

  • 心に響く講演・プレゼン

を求めるあまり、

  • 聞いた内容に響く自分の心の共鳴

を育てたり鍛えたり準備したりする努力を怠ってしまうことになります。
何時何を課されるかわからないとびくびくする段階もあるでしょう。それもまたトレーニングです。
例によって、就職は厳しいという話しがあった模様。あいさつが基本というのも。企業は生涯賃金1億円以上払うのだから、それにふさわしい人材であるかを自問せよ、などという話しも。

続いて、私から。
昨年度の某所で行われた「入学者選抜」に関わる講演の資料を配布し解説。K州大学の理事の方が切実、赤裸々に語っています。(これはkarishimaさんのところでアクセス可能ですかね。リンクは張りません。)
次は、ベネッセのBERDで出している、大学生のアンケート結果をまとめたものから抜粋。
・小中学校時代の「保護者との関わり方」
・小中学校時代の「活動」
・高校での「科目の好き嫌い」
などを性差、文理別、学部系統別、因子別の様々な切り口から分析したもの。

両方ともに共通しているのは「教育に携わる人」に向けて発信された資料であること。生徒向けではありません。私もよく聞くのですが、

  • 生徒は情報を取捨選択できずに、流されたり、躍らされたりする
  • 何でも知らせれば良いというものではない、まずは教師がかみ砕いて、生徒に必要なものを精選せよ

というようなことを真に受けて対生徒の指導をしている限り、「ヒナ鳥」モードからは抜け出せないでしょう。
生データ、一次資料があるならそれを渡せばいいのです。
堅くて噛めないなら、どうやったら柔らかくなるかを一緒にやってみたらいい。効率が悪い?時間がない?だったらそれまででしょう。時間とか、効率とかそういうお題目で置き換えられないものを扱うのも教育現場の大切な役割でしょう。
昼休み、マラソン大会を経て、通知票の作成、成績一覧表の作成。控えをとり、明日の三者面談に備える。一組20分程度ですかね。私からは普段学級通信も含めて情報を流しているので、今回は私がお話しを聞く番です。時間が足りない?まあ、そうでしょう。大事なのはイベントを経た上でのコンスタントですから。
多くの生徒は思うように成績が伸びず、志望校合格に必要と思われる学力とのギャップがなかなか縮まらない中、家庭・教室内・教室外でも様々な逆風にさらされている。順風満帆という者はほとんどいないだろう。

  • ヨットって逆風でも前に進めるけど、それには技術が必要

ということです。ベクトルももう習ったんだからねぇ。『海皇記』読んでもあんまりわからないだろうけど…。
帰宅後、

  • 学力テスト、学校別開示を可決

という某県の冒険的いや暴挙に近い施策を目にして茫然。
その後、

  • 教科書ページ倍増 教育再生懇報告

という記事を目にして、怒りがこみ上げてきた。
内田樹ではないが、もう放っておいて欲しい。
あとは自分でやるからさぁ。
いえ、私じゃなく、生徒が、です。

本日のBGM: さよなら人類(柳原陽一郎)