Is that all you’ve got to say?

英語の参考書や問題集は書店で新刊が出るたびに一通り目を通しているのでけっこう詳しい方だと思っていたが、古い本となると、まだまだ知らないものが多い。英作文では『和文英訳の修業』(文建書房)がロングセラーで版を重ねているが、先日凄い本に遭遇した。
応用自在 英作文1000題徹底演習 (研数書院)
出版は昭和44年(1969年)。著者は出来成訓氏。現在絶版である。
出来氏の英作文の講義が『イングリッシュ・コンパニオン』(吾妻書房)に連載されていたのは知っていたが、このような単行本で英作文の参考書を出していたのは知らなかった。
「英作文こそ基礎英語完成の近道」と題されたはしがきから抜粋

  • 基礎英語とはひとくちでいえば中学校の教科書にでてくる英語である。本書ではそれを徹頭徹尾、「語順」という面から追求した。いわゆる文法中心の品詞別研究法はともすると、知識だけを提供することが多い。日本語と英語の語順の相違を解明する本書は、かならず、読者に鋭い語感を与えうるであろう。

模範例文が276、和文英訳の練習問題が1000題。容赦のない反復練習である。本書の利用法にはこうある。

  • 何事にも努力が必要である。和文英訳は非常に苦しい。しかし、苦しくない方法でやっていてはだめである。本書のスパルタ的訓練をみごとにやってのけられる諸君ならば、かならず英語はものになるはずである。Exerciseでの文法問題も、和文英訳さえできていれば容易にわかる程度のものであって、それがわからぬようなら、2度でも3度でも、練習をくり返してほしい。反復こそ勝利への道である。

今時の学参とは大違いだ。でも、当時の都立高校の英語教師にはこのレベルの人がたくさんいたのだということがわかる。どのようにして英語の力をつけていけばいいのか、どのようにして英語という言葉を成熟させていくのか、ということが教師の中でしっかりとわかっているのだ。この当時であってもおそらく、時流とは一線を画した著者の信念を貫いた参考書だったに違いない。最近の参考書が横並びでどれも似たり寄ったりということは、著者にもいくらでも代わりがいるということか。こちらも隔世の感。
さて、英授研・福袋企画終了!さすがに、この3人に挟まれると緊張しますね。参加者は150から160人とのこと。同友会でお世話になっているS先生、同僚のK先生もきて下さった。深謝。もっとも私を見に来ているわけはないのだが…。3人の発表それぞれに関しては、また後日機会があれば詳しく考えを述べてみたい。
私の場合は予備校や学習参考書などで展開される受験指導とも『英語教育』(大修館書店)の誌面を飾るような英語教育の今のトレンドともかなり違うことを授業でやっているわけだが、どの程度理解していただけたろうか。まず、こういう授業実践を可能としている学校の懐の深さ、そして生徒の資質の高さを讃えて欲しいと思う。凄い学校、素晴らしい生徒あっての授業実践なので、蒔田先生の言葉を借りれば、私が背負ってもらっているわけです。
今年は田尻先生が欠席で、恒例の新春バンド演奏がなかったために私にも出番が回ってきたので、こういう機会を与えられたことはまことに幸運というしかない。田尻先生にも感謝せねば。
懇親会はいつもの場所だったのだが、20名を超える大賑わい。支部長の高橋先生からは「歌でくるとは意外やったね」とコメントをいただく。同席の若手の先生にも高橋先生から「こういう歌を授業で使ったらうまくいく、ということじゃなくて、その歌をどのように使っているのか、活かしているのかというところを学んで欲しい」とアドバイスがあり、我が意を得たり。「私もこの曲使っています」「今度またどういうふうに使っているか情報交換しましょう」と拡がりが生まれた。司会の高橋先生からは、今回の福袋企画に関して、ライティングにまつわる様々なリクエストが寄せられていたのだが、結局こんな感じでしかできませんでした。懇親会ではW高橋先生はじめ、いろいろな方と英語の授業についてじっくり話が出来たのが収穫。ありがとうございました。今回参加されたみなさん、懇親会は大事ですよ。次の日のこととか、いろいろ心配はよぎるでしょうが、次回は思い切って参加しましょう!
さあ、来週はFTC。どうなることやら。その前に明日は本業です。
本日のBGM: P. F. Sloan (Jimmy Webb)