Give me your hand.

午前中は進学クラス1年生の保護者会。
期待と不安と様々な思いが交錯していることでしょう。各教科、学級担任、特進チーム、学校長それぞれがベストを尽くしていくことを見て頂くより他ありません。信頼関係というものは最後に出来上がっていれば儲けもの、というくらいに割り引いて考えておいた方がお互いに健全でしょう。
英語に関して言えば、新入生は本当にいいカリキュラム、シラバスでスタート出来ていると思います。
他校と比較して、教科書にしても、辞書にしても、

  • こんなに易しいもの使っているの?

と心配する必要はありませんし、

  • これだけしかやらないの?

と問題演習の量の少なさに驚くことはないのです。
基礎・基本はどのレベルでも必要不可欠なもの。初歩とは違います。きちんとした学習指導ができていれば、「自分が触れる英語の分量」「自分の頭で処理する英語の分量」はそれなりの量になるものです。答えが予め決まっている四択や並べ替えの問題演習の数を誇るのは、むしろ焦点・目の付け所が定まっていないことの顕れであり、言語学習・言語習得の何たるかを履き違えた妄想、教師の自己満足でさえあるといっておきます。
高1の間は各科目とも私が担当ですから、塾・予備校の必要はないでしょう。もっとも、私と相性が悪かったときにどうするか、という問題は残りますので、阿野先生の『基礎英語3』を紹介しておきました。自主的・積極的に英語を学び、ものにしたいと思うのであれば、高3の教室の学級文庫、高2の教室のサイドリーダーを活用して下さい。
昼からは本業で湖へ。日差しが初夏を思わせる強さ。
カタマランの故障でまともな練習にはならず。艇庫に間借りしている身で恐縮だが、私がこちらに来るに当たって無理を言って県に購入してもらった備品なので、お互い大切に使いたいものです。
経験者も入学まで3,4ヶ月漕いでいなかったので、まずはUT12キロから。その後、腕こぎで左手前、右手後ろでグリップが重なっている間はボディを使ってぶら下がり、リリースでオールをクラッチにきちんと乗せるドリル。結構癖があり、左右同時に乗せようとするとフィニッシュが緩くなり、強く漕ごうとすると、腕が先に反応してボディが止まるあたりが修正点。
初心者軍団は、1Xにフロートをつけ、プチ放牧。グリップの原理原則を教え、腕こぎだけで直進とバックローを数往復確認。その後、片手漕ぎで旋回。ワグリングで艇と漕手の位置関係、さらにはハンドルの高さと艇の傾きを体感してもらう。初回にしてはまあまあ。最後は懸垂かハンギングレッグレイズを自己申告。ストレッチで終了。明日は自主練です。

久々にまともな学参を購入。ただ、どちらも今年になっての復刻版。

  • 毛利可信 『新自修英作文』 (研究社)
  • 篠田錦策・佐々木高政 『和文英訳十二講』 (洛陽社)

前者の腰帯には「今ある『英作文』の参考書のルーツはすべて、この本の中にあります。」とあるのだが、初版は1967年。私が3歳の時である。良書であり、名著であることは確かだと思うのだが、一点、注意するべきことを以下に示しておく。

  • それと同時に、難語や古めかしい語法はつとめて避けるようにした。しかし、本書の問題の大部分が過去の入試問題であるため、この点は思ったようにいかなかった。すなわち、本書では避けるべきだと思われる語句も、書きかえ問題などに瀕出するものについては、やはり一応はとり上げなければなければならないと考えたためである。(「はしがき」より)

このような英作文の入試過去問演習書の持つ潜在的な欠陥も、この書以降連綿と受け継がれていくことになったのかもしれない。
先日亡くなられた長谷川潔氏の学参である『研究英作文』 (旺文社) はそれほど時を経ず1973年には出ている。私の持っている改訂版でも1979年か?つとめて英語として適切な表現を収録したこの長谷川氏の学参も、復刊が待たれる好著であろう。
一方の『…十二講』であるが、初版はおそらく、毛利本よりも古く1957年とか、1954年とかではないかと。コンパクトで、インフォーマルな口調での解説から受ける印象とは違って、英語が良い。というか、大人の言葉になっていくのがわかる。少なくとも第7講までは我慢して一気にやることをお薦めする。

  • なお全巻を組み立てるに当たって、特に念頭においた方針は、文法の理論や述語を採り入れながら、本書はどこまでも作文書の在り方を保ち、文法書の在り方と区別することであった。また文例は出来るだけその数を多くし、且つ、使用される頻度の多い、換言すれば応用がよく利くと思われる語句・構文を選んだつもりである。読者が解説を読み、問題を演習する間に、これらの語句・文章を記憶されることを期待し、またお勧めしたい。(「はしがき」より)

肩の凝らない読み物としては、

  • 村田聖明 『現代英語60講』 (ELEC選書、1972年初版、1982年再版)

これはネット書店のAで新品。今でも買えることにちょっとびっくり。奥付で発行者の名前に「松本重治」とあるのを見てもっとびっくり。もっとも、今の若い方には松本の名も馴染みがないのだろうか。
もうひとつ最近読んでいるのが、先日の英授研の懇親会で久保野りえ先生に見せてもらった、

  • English Through Actions

これは開拓社から1925年に出ていた英語版の2006年復刻版。Richardはよく言っていたけれども、やはり現在のELTの原点といっていいでしょうね。欧米の英語教育研究者たちにも、自分が依って立つ足場が何に繋がっているものなのか、きちんと教えて上げる必要があるでしょう。

フィギュアスケートの国別対抗戦が閉幕。怪我がないことだけを祈っていたのだが、安藤選手の転倒が大事に至らなければと思う。浅田選手は昨年からずっと懸案だった3ルッツを回避して、技術レベルの評価が低くなる分、3+投入での安全策という常人には不可能な選択肢。ストロボビジョンで見た高さも尋常ではなかった。今回、意外といっては失礼だが、ちょっと驚いたのは米国のジャン選手。スパイラルのトップポジションへの移行やバックアウトでのストロークの伸びなど、浅田選手に迫る美しさを秘めていた。体型や表情が幼いこともありまだまだ点数には直結していないようだが、その潜在能力たるや恐るべし。

今年度の年間スケジュールを見渡し、「山口県英語教育フォーラム」の第二回をどのタイミングで開くか思案。

  • 中学編では、昨年に続いて阿野先生、そして新たに久保野りえ先生をお呼びしたいと思う。また、私立の中高一貫進学校で誠実に英語教育を進めている開成中高の青柳先生など、若手の先生にもその優れた実践を見せて欲しいと考えている。
  • 高校編で今一番見たいのが、北は函館中部の今井康人先生、南は福岡県立香住丘の永末先生。ポストセルハイの今の時期の成果こそが普通の高校にとっての参考になると考えている。あと、やはり頼るべきは今は立命館大に籍を移したけれどもあの山岡憲史先生。慶応義塾高校の宮崎先生の取り組みなどは進学校の先生方にとっても刺激となることだろうと思う。
  • 番外編ではないが、ネット環境で英語教育に関わる良質の情報発信をされている方を一堂に会する企画も是非実現させたい。「英語教育にもの申す」の倫太郎さん、「英語教育2.0」のanfieldroadさん、「英語授業工房」のmits_ecさん、「地道にマジメに英語教育」の山岡大基先生、「arishima.info」のkarishimaさん、「英語教育の哲学的探求」の柳瀬陽介先生。そして私。

以上はまだ私の妄想の段階で、まだ公式ルートはもちろん個人的にも全く打診しておりませんので、ここでいきなりお名前の出てきた方は夢でうなされるやもしれませんが、私の想いを是非受け止めて前向きにご検討頂ければと。

さあ、明けて月曜日は0限から。朝ランも忘れずに。

本日のBGM: Got to get together (The Creation)