「英語で書く」「英語を書く」

tmrowing2015-08-02

リストマニア移植 第7弾!



「英語で書く」「英語を書く」


とりあえず、これで一段落です。

以前のものから、かなり入れ替えや加筆修正、評価の上下もあるかと思います。
最近は、書いたものが「英語になっているかどうか?」ということがクリアーできれば、「英作文」と呼ぼうが、「ライティング」と呼ぼうが大差はないと思っています。
大学入試での、「自由英作文」などと呼ばれることの多い、「お題」が与えられて、まとまった分量の英語で解答を求められる出題に対応した「英語本」は、このリストでは殆ど扱っておりません。
まあ、そのくらい、「英語」になっていない教材が市販され、流通している、ということなのですけれど。
私にできるのは、冒頭の写真 (GWT表紙.jpg 直) を遠い目で眺めることくらいでしょうか…。

ということで、以下リストをご笑覧下さい。

1. 「意味順」で中学英語をやり直す本(中経出版)
田地野彰監修、 佐々木 啓成、フランチェスコ・ボルスタッド

「意味順」で中学英語をやり直す本

「意味順」で中学英語をやり直す本

  • 作者: 佐々木啓成,田地野彰,フランチェスコ・ボルスタッド
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2012/08/09
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
http://www.amazon.co.jp/dp/4046026626/ref=cm_sw_r_tw_dp_IGDVvb0REWWE3

数ある「中学英語」を謳う意味順教材の中でも、もっとも守備範囲の広い、基本英文と対話で理解を深めその理解を試していくもの。音源は付属していないし、ダウンロードもできないので、中高生の自学自習には向かないだろうと思いますが、できれば良い指導者について自分の中に英語のOSをインストールして下さい。☆☆


2. 日本語から考える英語表現の技術―「言いたいこと」を明確に伝えるための5つの処方箋 (ブルーバックス) 柳瀬 和明

http://www.amazon.co.jp/dp/4062574713/ref=cm_sw_r_tw_dp_5tEVvb1NFR4XR

「和文英訳」に苦手意識を持つ人はまずはここから。日本語としてこなれた表現形式のJ1から、主語や動詞の選択も含め英語の語順、論理展開に近づけた構造をもつ日本語表現のJ2へと「変換」「書き換え」するコツを自分で体得しよう!☆☆


3. 「英語モード」でライティング―ネイティブ式発想で英語を書く (講談社パワー・イングリッシュ) 大井 恭子

「英語モード」でライティング―ネイティブ式発想で英語を書く (講談社パワー・イングリッシュ)

「英語モード」でライティング―ネイティブ式発想で英語を書く (講談社パワー・イングリッシュ)

http://www.amazon.co.jp/dp/4770028342/ref=cm_sw_r_tw_dp_XsEVvb1HE49TD

これが絶版、というのが日本の「ライティング学習」「ライティング指導」の現実なのでしょうか?この内容がきちんと押さえられていないようでは、「英文ライティング」はなかなか定着しないのではないかと心配します。練習問題はないけれど、センスを磨くためには是非一気に通読を! 大切なのはこの本を読んだ後どうするかです。☆☆☆


4. 即戦力がつく英文ライティング 日向清人著 (DHC)

即戦力がつく英文ライティング

即戦力がつく英文ライティング

http://www.amazon.co.jp/dp/4887245394/ref=cm_sw_r_tw_dp_PpEVvb0DYSWER

看板に偽りなしの良書。突き詰めれば「つながりとまとまり」を身につける教則本です。
「そもそも文になっているか?」、文になっているとしても「その文と前の文はつながっているか?」「その文と次の文とはつながっているか?」「一定のまとまりで主題が一読了解となっているか?」が実例と共に丁寧に説かれています。
ただ、「問題演習とその答え合わせ」に依存してきた人には、「テスト」がないので、何を学べばいいのか?と感じるかもしれません。その意味では、「英語の運動性能」を学べる体質改善にも効果的な教材と言えるでしょう。
日本で出ている「中級以上を目指す」ライティングの教則本としてはこれ一択といっても良いくらいの内容ではないかと思います。☆☆☆


5. 松本亨英作全集 第1巻―総括編I 松本 亨

松本亨 英作全集〈第1巻〉総括編1

松本亨 英作全集〈第1巻〉総括編1

http://www.amazon.co.jp/dp/4756200419/ref=cm_sw_r_tw_dp_NoEVvb1MGBGW7

一時期、改訂版がでる動きがあったのですが、絶版が惜しまれます。根気のある人に勧めます。これが気に入れば、このシリーズを古本ででも手に入れて下さい! 体裁は和文英訳だけれども、word for wordではなくidea for idea の練習の本です。☆☆


6. 英語モードが身につくライティング 大井恭子、伊藤文彦 (研究社)

英語モードが身につくライティング

英語モードが身につくライティング

http://www.amazon.co.jp/dp/4327421871/ref=cm_sw_r_tw_dp_BnEVvb1P0YBMK

以前、桐原書店で出ていた、『英語で書くコツ教えます-Stop! 日本語的発想』が絶版となっていたものを増補改訂したものと考えていいでしょう。5. を今の高校生にあわせてやさしく簡潔にした練習帳というような性格も持っています。☆☆


7. 英語パラグラフ・ライティング講座 ケリー伊藤(研究社)

英語パラグラフ・ライティング講座

英語パラグラフ・ライティング講座

http://www.amazon.co.jp/dp/4327451606/ref=cm_sw_r_tw_dp_r8DVvb1792ZQR

地に足のついたパラグラフライティングへの入門書。前半にある「情報の整理」は国内の類書にはない項目。ここだけでも絶対にやっておきましょう! ☆☆


8. 英語ロジカル・ライティング講座 ケリー伊藤(研究社)

英語ロジカル・ライティング講座

英語ロジカル・ライティング講座

http://www.amazon.co.jp/dp/4327452432/ref=cm_sw_r_tw_dp_V7DVvb0GSK8N1

ケリー伊藤氏が研究社から出している『…講座』シリーズでは第4作目にあたるが、位置づけとしては、『英語パラグラフライティング講座』の前後に取り組むことが望ましいでしょう。
ケリー伊藤氏は、『使える英語へ 学校英語からの再出発』(研究社、1995年)、『書きたいことが書けるライティング術』(研究社、1999年) で既に、いわゆる学校英語・受験英語で頻出する「公式」的な英語表現を批判し、英語表現として望ましい代替案を提示し、啓蒙していましたが、この本は、もっと根底から英語のライティング指導を揺すぶるものです。大学入試の英語で、今風の「パラグラフライティング」や「ミニエッセイ」を課すところも増えてきましたが、「紋切り型の英作文」対策で済まされていることが多いようです。一方、和文英訳として、英作文を課すところはまだまだ多いので、「受験対策」が英語力の伸長に繋がるように、この本でケリー伊藤氏が指摘する「ロジックの無さ・崩れ・捻れ・飛躍」などを検討し、改善する中で、「英語らしさ」を求め、研鑽する指導者、学習者が増えることを願っています。☆☆☆


9. ハイベーシック英作文 (研究社ハイベーシック・シリーズ (4)) 倉谷 直臣(研究社)

ハイベーシック英作文 (研究社ハイベーシック・シリーズ (4))

ハイベーシック英作文 (研究社ハイベーシック・シリーズ (4))

http://www.amazon.co.jp/dp/4327763306/ref=cm_sw_r_tw_dp_48DVvb1CZX5HF

絶版ですが名著。別解も豊富だし、プロセスも丁寧。学習者目線でも媚びていません。古書店で見つけたら絶対に買いだと思います。
「日本語に盛られた内容を過不足なく英語で表現しようというのですから、ネイティブが荒っぽく捨ててしまう部分にストップをかけ、ネイティブが余計なものを加えようとするときにチェックを加える、その過程が必要です。」
とこの本の巻頭で著者がわざわざ言ってくれていることばに、謙虚に耳を傾けられない人の英語のセンスはちょっと「?」です。☆☆


10. ルール48 英作文の解法 金子 稔 (洛陽社)

ルール48 英作文の解法

ルール48 英作文の解法

http://www.amazon.co.jp/dp/4844200968/ref=cm_sw_r_tw_dp_I9DVvb0JF9NK9

密林レビューでも、

  • 公教育の英語教育に関わる者で、英作文、ライティングに関心を持つ一定以上の世代にとって、金子稔の名前は大きな意味を持っている。個人的にも日本語を母語とし、その干渉からなかなか逃れることの出来ない英語学習者、英語教師として「英作文」や「語法」に関する、地道で精緻な読みに裏打ちされた指導助言にどれだけ恩恵を受けてきたか計り知れない。

と書いて、吾妻書房の『早覚え英作文』が絶版の今では、大学入試に限らず、英作文さらには英語という言葉を基礎から学ぶには最適の書、とずっと言いつづけていましたが、まさかの出版社の落陽で絶版に…。フォントなど誇張でなく古めかしいので、ビジュアル重視の人には向きません。実を取る人にこそオススメです。でも、「中身」を考えた時に、これが読み続けられないのでは、英作文であれ、ライティングであれ。「英語を書く」のは難しいままになってしまうのではないかと危惧します。☆☆☆


11. 怒涛の入試英作文基礎20題―英作文はこれで楽勝! 國弘 正雄 (たちばな出版)

怒涛の入試英作文基礎20題―英作文はこれで楽勝!

怒涛の入試英作文基礎20題―英作文はこれで楽勝!

http://www.amazon.co.jp/dp/4813316514/ref=cm_sw_r_tw_dp_m.DVvb0N09N52

『クニヒロの入試の英作36景』(南雲堂)のシリーズがこちらにまとまりました。ただし練習問題は20と激減しています。添削例、別解とも類書にない豊富さですが、消化吸収するにはかなりの英語力を求められるでしょう。☆☆


12. 頻出英作文 (毎年出るシリーズ) 太田 千義(日英社)

頻出英作文 (毎年出るシリーズ)

頻出英作文 (毎年出るシリーズ)

http://www.amazon.co.jp/dp/481680188X/ref=cm_sw_r_tw_dp_SaEVvb1WFAT1V

地味ながら各パートでの英語表現・文法事項がきちんと対応していて、日英社らしい堅実な作りです。以下密林レビューを再録。☆☆

第一章<解説付き暗唱例文>→第2章<文法項目別の基本問題>→第3章<テ−マ別の発展問題>という構成で取り組みやすい。第一章の暗唱例文は高校1,2年生からでも充分対応できる。入試を考えている人も、いわゆる英作文を後回しにせず、3年生の夏休みには始めたい。暗唱例文と基本問題の番号が共通しているので、できなかった問題、わからなかった問題を復習するには便利である。地味なレイアウトの先には、このようなきめ細かい配慮が隠されているので、頑張って取り組んで欲しい一冊。それぞれの問題には解答例2つに加えて、『米人訳』という解答がついているので、実際に英訳文を書いて添削するより、解答の英文と『米人訳』の解答の対比で読み進めて、解答例との食い違いのポイントをマーカーなどでチェックしてから問題の日本文にもどって英語表現のツボをおさえる、という手順で良質の英文を覚えて行く方が早く終わるし、得るところが大きいと思われる。コツコツやってはだめ。1か月で一気に第2章まで終らせ、いち早く第3章に突入することが、この本の良さを味わうには大切。


13. 英作文基本300選―英語的発想の日本語をヒントにして覚える (駿台受験シリーズ) 飯田 康夫

http://www.amazon.co.jp/dp/479611114X/ref=cm_sw_r_tw_dp_NdEVvb0RJDKCS

「和文和訳」とよく言われる割に、その実態はブラックボックスであることが多いのです。これは、大上段に構えるのではなく、例文集。無理に覚えようとせず発想を柔軟にすることをこころがけて。CDは英文が二回読まれるなど、学習者への配慮もなされています。☆☆


14. 宮崎の今すぐ書ける英作文―大学受験英語 (和文英訳編) (東進ブックス―名人の授業) 宮崎 尊

宮崎の今すぐ書ける英作文―大学受験英語 (和文英訳編) (東進ブックス―名人の授業)

宮崎の今すぐ書ける英作文―大学受験英語 (和文英訳編) (東進ブックス―名人の授業)

http://www.amazon.co.jp/dp/4890852883/ref=cm_sw_r_tw_dp_ZlEVvb0K2BN6F

内容は宮崎氏らしく優れています。ただし、問題番号など、復習が容易にできるような作りにはなっていないため、使い勝手は最悪の部類に入ります。面倒でも別にノートを作るか、付箋やインデックスなどを自分で貼り付けて相互参照など、復習ができるように自分で整備することが不可欠でしょう。☆


15. 宮崎の今すぐ書ける英作文―大学受験英語 (自由英作文編) (東進ブックス―名人の授業) 宮崎 尊

宮崎の今すぐ書ける英作文―大学受験英語 (自由英作文編) (東進ブックス―名人の授業)

宮崎の今すぐ書ける英作文―大学受験英語 (自由英作文編) (東進ブックス―名人の授業)

http://www.amazon.co.jp/dp/4890853170/ref=cm_sw_r_tw_dp_plEVvb16Q5ZS9

14. と同じシリーズ。内容は推しで買いなのですが, 問題の通し番号がないなど復習に向かず、使い勝手は最悪といってよいでしょう。内容が良いだけに本当にもったいない。☆


16. 伝わる英語表現法 (岩波新書) 長部 三郎

伝わる英語表現法 (岩波新書)

伝わる英語表現法 (岩波新書)

http://www.amazon.co.jp/dp/4004307651/ref=cm_sw_r_tw_dp_lkEVvb0RYCJV8

中級以上、上級を目指す学習者には飛躍が望める書。絶版になる前に買っておいても良いでしょう。
意味に英語という「形」を与える着眼点といいましょうか、「ことばの開き方」と言えばいいでしょうか、多くを学べます。とりわけ「名詞節」の柔軟さ、「ということ」に実感の持てる輪郭線を与えるヒントが得られるでしょう。教則本ではなく、あくまでも「新書」なので、練習問題・解説には当然制約があります。これを読んだ後で、手元に置いて実際の和文英訳に新たに取り組まなければ力にはならないでしょう。その際は、実際に自分で英語を書くことと、信頼のおける英語教師にその英文の添削をお願いできるかどうかが大きな意味を持ってきます。☆☆


17. TOEFL TEST対策iBTライティング 四軒家忍 (テイエス企画)

TOEFL TEST対策iBTライティング

TOEFL TEST対策iBTライティング

http://www.amazon.co.jp/dp/4887841388/ref=cm_sw_r_tw_dp_hvEVvb0EJR66G

上記16冊とはかなり性格を異にする教則本。所謂TOEFLライティングの対策本なのですが、イントロ・ボディ・コンクルージョンという構成と、そのテンプレートを覚えて、「お題」に当て嵌める、というのではないアプローチでも、実際に英語を書いていくことで英語が書けるようになる、という優れものです。このアプローチで、「文と文のつながり」を感じるセンサーを鍛えておけば、逆に言えば、上記16冊を読む際の視点も、立脚点もより確かなものになるのではないかと思います。
とはいえ、TOEFLのレベルですから、留学を前にスコアアップに迫られていないのであれば、「自称中級」以上くらいの学習者が対象となるでしょうか。☆☆

18. 英作文なんかこわくない 日本語の発想でマスターする英文ライティング  馬場彰監修、猪野真理枝、佐野洋 (東京外国語大学出版会)

英作文なんかこわくない 日本語の発想でマスターする英文ライティング

英作文なんかこわくない 日本語の発想でマスターする英文ライティング

  • 作者: 猪野真理枝,佐野洋,馬場彰
  • 出版社/メーカー: 東京外国語大学出版会
  • 発売日: 2011/04/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 1人 クリック: 10回
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http://www.amazon.co.jp/dp/490457513X/ref=cm_sw_r_tw_dp_-NRVvb14DV06X

日英比較で「英語の仕組み」を使いこなす頭の働かせ方を身につけようという試みとしては、田地野彰先生の「意味順」の他にも、この本があげられると思います。『学習英文法を見直したい』(研究社)の拙稿でも、参考書籍として示していました。類書との最大の違いは、腰帯にもある「日本語と英語の表現形式の違いを体系的に学ぶことで中学卒業程度の英文法でもスイスイ理解できる」、という点。そのため、想定された読者・学習者はTOEICで言えば、600点は取れるだけの英語の語彙と英文法の知識があることを求められています。その意味では中級以上でしょうか。
とにかく、今風の「イメージ」や「フィーリング」とは対極にある、徹頭徹尾、対照言語学的アプローチで構成されています。
本書の参考となったのは、『マテジウスの英語入門---対照言語学の方法』(三省堂、1986年)とのこと。千野栄一先生のお顔を思い出しました。群れるのでもなく、さりとて、先人や伝統への敬意を忘れず、流行に阿ることなく、でも、ことさらにオリジナルであるとかエポックであることを誇らない。「外語らしい」一冊です。☆☆☆

19. 英作文なんかこわくない II 連体修飾編

英作文なんかこわくないII 連体修飾編

英作文なんかこわくないII 連体修飾編

http://www.amazon.co.jp/dp/4904575350/ref=cm_sw_r_tw_dp_SMRVvb0A7QZ6Q


中高現場では、英語の「後置修飾」にスポットライトを当ててまとめ直すような指導は見られますが、普段私たちが使っている日本語の「連体修飾」を、どのように英語に対応させていくのか、という体系は薄いように感じています。その部分に光を照らしてくれる一冊だと思います。
18. と並んでこの書を評価しているのは、これらが、東京外国語大学の伝統ある「英米語」教育・研究の土壌からではなく、「L2としての日本語教育」の足場から掛けられた梯子だから。母語としての日本語を見直す目、ということです。☆☆

以上、19冊。
実物を手に取ってから購入できる人は限られているでしょうが、ご参考までに。