「リスニング指導を問い直す」というテーマを問い直す

昨日は、筑波大附属駒場中学高等学校の久保野雅史先生とお話しする機会があった。英作文・ライティングに関して金子稔先生の指導方法が話題となる。基本的な、単純な英語表現をどう展開・拡充していけば豊かな英語表現へと伸ばして行けるのか、というヒントをいただいた。今時(?)こういう話をさせて頂けるのは幸運なのだろう。本当に引き出しの多い先生である。
英授研の全国大会が8月18、19日と開催されますが、そのうち、8月18日(金)の中高課題別分科会 (14:10-15:40) で、提案者となることが決まりました。
テーマは

  • 「高校でのリスニング指導を問い直す センター試験リスニングテスト導入を受けて」

私以外の提案者は東谷保裕(大阪府立長野高校)、山岡憲史(立命館大学)。お二方ともSELHiフォーラムでの模擬授業者です。こういう企画に呼ばれるということは幸運なことなのだろう。与えられたテーマで何を提案しようか思案。
文科省の17年度統計によると、全日制の高校3年生の数は約116万人、定時制の高校4年生の数は約1万6千人、単純に合計して、約117万6千人。対して、今春のセンター試験英語の受験者は、約49万2千人。乱暴な計算だが、現段階では約41.8%の高校生にしか、センター試験のリスニング導入は意味を持っていないということをまず認識しておかなければならない。
センター試験のリスニング問題に関しては、市販教材や学校採択用教材では、まとまった内容の「講義型」とでも言える出題への対策が必要だと言われているようなのだが、いくら「英語で授業を」といっても、英語で「講義」をしている先生はほとんどいないと思われる。なぜなら、我々が教えているのは「第二言語習得論」でもなければ「コミュニケーション論」でもなく、「英語」そのものなのだから。授業で扱うテーマに関して、または教材・教科書で扱う題材に関して、教師がoral introductionをしたり、生徒にspeechをさせることはあっても、数分間一方的に英語で喋りっぱなし、というケースは稀だろう。こんなところに、すでに「現実の使用場面」というコンセプトの脆弱さが現れている。
私の普段やっているリスニング指導に関しては、高1,高2では年間15曲から20曲英語のpopular music, やrockを扱う以外に、

  • 「音の処理」のレベルをどのように指導しているのか→『グランドセンチュリー英和辞典』(三省堂)の「リスニングの極意」
  • 「意味の処理」のレベルをどのように指導しているのか→『東大対策リスニング』(ベネッセコーポレーション)の「ポイント特講」
  • 「ディスコースレベル」での処理をどのように指導しているのか→ディクトグロスもどきでの授業実践→「聞き取りのコツ」(「松井先生の英語教室・第4回」左のアンテナからどうぞ)

くらいしか持ちネタがないのだが、持ち時間は20分ということなので、どれか一つに絞ってお話しすることになるでしょう。
英語教師としてだけでなく、英語学習者としての自分がリスニングで一番関心があるのは、英詩のリスニングとか、Mysteryのリスニングとか、内容スキーマに頼ることが難しい文章のリスニングをどのように指導しているのか?なのですが、どなたか実践例をご存知の方がいましたらご教示願います。
今日はこれから一気に採点です。

  • 本日のBGM: Blue Moon Blue
  • Yukihiro Takahashi (2006)