メディアミックス戦略?

雑誌『NHK英語でしゃべらナイト 創刊1周年記念号!』を買ってきた。
初っ端から申し上げにくいことだが、この番組、パックン英検のところ以外まともに見たことがないのである。
いくつか疑問もあるので、無知をさらけ出しつつ書いています。
疑問その1
発行所はNHKでもNHK出版でもなく、株式会社アスコム(旧アスキーコミュニケーションズ)。 (http://www.ascom-inc.jp/) となっている。番組出演者も誌面に登場し、番組制作の舞台裏なども紹介されている、さらに番組のチーフプロデューサーまで原稿を書いているのに、まったくNHKとは別の会社で編集・出版しているのが腑に落ちない。このような雑誌の発行ができないように放送法で規制があるのだろうか?この雑誌は隔月刊くらいで発行されているようなのだが、これだけの周辺情報が『英語でしゃべらナイト』という番組に付随する必須の情報なのであれば、なぜテキスト自体を充実させないのだろうか?かれこれ1年も発行できていて、別冊も出ているのだから、かなりの部数が出ていると見てよいだろう。
疑問その2
「NHK英語でしゃべらナイト」ケータイ公式サイト
これは NHKエンタープライズが運営しているようなのだが、情報量月額315円。(詳しくは http://www.nhk-ep.co.jp/nep_popup/syabera.html へ)
公共放送で行われている番組の公式サイトを携帯で開きさらに情報量を取る、というのはどういうシステムに基づいてのことなのだろうか。ここでの情報料収入は、NHKエンタープライズがやっている、キャラクターグッズ販売や、過去の放送のDVD販売など他の営利目的の商品販売と同じようにあつかわれているのだろうか?リアルタイムで放送されている番組であり、NHKのWebsiteで番組の公式サイトを運営しているのだから、そこを携帯からもアクセスできるようにすれば済むことではないのか? (番組サイトは http://www.nhk.or.jp/night/)

次は雑誌の内容評価を。
「ネイティブの発想が直観でわかる!あたらしい英文法のススメ」(大西泰斗、ポール・クリス・マクベイ)という連載があるのだが、これはNHKの別番組「ハートで感じる英文法」で扱うべき項目だろう。現時点で、視聴率の高いと思われる番組に便乗した商品企画という印象である。
同様の便乗企画は「1日5分で英語脳をつくる音読ドリル」(ディビッド・A・セイン)などの「別冊」タイアップ企画にも見られる。番組で音読ドリルとか読解とかを扱っているのだろうか?
「予想力がつけば、英語はできるようになる!」という特集も、

  • 相手の立場になってモノを考える(福島範昌)
  • イントネーションとスピードに注目する(ディビッド・A・セイン)
  • 集中の仕方を英語モードに切り替える(在日ビジネスマン)

という具合に、それぞれの関連性は全くない、断片的な情報が矢継ぎ早に提供されるだけで、誌面を見ているだけではとうてい「コツ」などがつかめない。TV番組とのタイアップが必要なのは正に、こういう部分ではないのか。

学習者の数だけ、アプローチがあってもいい、と開き直るのもいいだろうが、効果的な学習方法くらいは、きちんとひとつにまとめて提示すべきだろう。この雑誌はまさに、「あれこれいろんな方法に手を出すけどどれも長続きせず、自分の英語力が向上しない原因を学校、教師、教材にあると考えているので、どの学習方法も極めることなく、常に新たな学校、教師、教材を求めていく」という「英語のレッスンをしている自分が好き」な習性をもつ多くの日本人にねらいを絞ってうまくいっているのではないか、とさえ思えてくる。

「やはり、雑誌だけではなく、このTV番組をきちんと見続けた上で、批評・批判しなければならないだろう。」と思ってしまった時点で、NHKの戦略に引っかかってしまっているのだろうか?