”Reputable, national, and in present use”

  • 英作文とライティングは違うものなの?

生徒から質問されたら何て答えますか?
私は最近では「英語で書く作文なら、みんな英作文だし、ライティング」と答えるようにしています。ポイントは「英語」になっているかどうか、ということ。
10数年ライティング指導の改善を謳ってさまざまな活動をしてきましたが、なかなか高校英語の指導実態は大きく変わるには至っていません。相変わらず、受験の指導での短文を中心とした整序完成、空所補充完成、和文英訳、誤文訂正は「英作文」、「自由英作文」となると「ライティング」に近づき、「エッセイ」になるとようやく「ライティング」になるなどと考えている人もいるようです。
どのような英語を書くのか、という点でも、「日本人英語」「学校英語」「受験英語」などの範疇で、文法的に誤りがない、言いたいことをなんとか伝えられる英文が書ければ十分で、「ネイティブスピーカはそうは言わない」などという声に耳を傾ける必要はない、という指導法もいまだに広く行われているようです。
40年も前に、松本亨氏や佐々木高政氏が示してくれた「日本人が到達できる英作文のレベル」、20年以上も前に、長谷川潔氏や中尾清秋氏が見せてくれた「日本の高校生が到達できる英作文のレベル」を、どうしてこれだけ英語に接する機会が増え、コーパスが整備され、ネイティブスピーカから得た情報と膝突き合わせで検討できる時代に、みすみす下げてしまうのでしょうか?
「英作文」という用語しか使っていなかった時代に、十分「英語として通用する文」を書けるようになる教材が存在していたわけです。最近でも、竹岡氏が数研で出している教材などはかなり練り上げたのだろうと思える水準であり、教室での使用に堪えるものでしょう。
パラグラフ・ライティングやエッセイ・ライティングなどの「タテ糸」を重視した「ライティング」志向の指導者は、このような「ヨコ糸」系の「英作文」教材が拓いてきた地平をしっかりと見据える必要があります。段落や構成は英語のパラグラフの体をなしているかに見えて、個々の表現がまったく英語として通用しないのでは、本末転倒です。
大学受験の和文英訳の指導では、よく「まず、和文和訳をすることが大切」といったりしますが、この言葉にも要注意です。

  • 与えられた和文をかみ砕いて、自分が使いこなせる英語の語彙と構文を使って、文法的に間違えずに書く。

というアプローチと、

  • 与えられた和文を整理して、英語の発想や論理、語彙選択に適った表現に移し替えて英語で表現する。

というアプローチの間には、深くて広い河があるはずです。今はリンクが切れているのですが、関西大の中邑先生が以前公開していた、京大・阪大レベルの和文英訳150題、最近ではミクシィの英作文系のコミュでポール先生が示してくれている日本語の調理の仕方、など「英語教育プロパー」の世界に住む方で、予備校の講師など受験指導に特化した指導者以上に入試対策に役立つ技を披露してくれている方もいらっしゃいます。
ネイティブライクであるかどうか、に拘ることを求めるのではありません。中尾清秋先生の言葉を私なりに翻訳すれば、「後ろ指を指されない、仲間内だけではない、今どこで使っても通用する英語」で書くことを求めて、日々指導するのが、日本の英語教育に於ける英作文指導の伝統だったはずです。独習の難しい「英作文」だからこそ、授業で扱うことに意味があり、教師の役割があります。
生徒の作文に対して、

  • 許容範囲とその判断基準を示すこと、
  • 誤りのうち重大なものとそうでないものとを見極めること、
  • 良くできている部分/模範的作品を指摘すること
  • よりよい代替案を示すこと

は、その後、生徒が学びを続けて行く上で不可欠な要素です。
その意味で、日々生徒に求めるインプットをどのようなものとするかが作文指導以上に重要です。普段のインプットが貧弱なものであれば、当然、アウトプットは貧弱なものにしかなりません。ただ、学習者は自分の取り組みを考えた時に、良いインプットをヒナ鳥宜しく食べさせてもらうことばかり考えていてはダメでしょう。何を食べても、栄養にして、健康になれるという意味での「体力」を養うことも大切です。(過去ログ参照→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20070704
英作文的読書をいかに日々の取り組みに取り入れることが出来るか、高校上級の指導では、やはり考えに入れておかなければいけないポイントだと思います。

本日の高1、不定詞の活用口頭ドリル、後置修飾の際の足跡の確認などなど。
本日の高2は「意味を読むこと」から一歩進んで「言葉を読むこと」を説く。その後、テキストの個人最速読み(音読)。235語で最も速い生徒で1分40秒(141 wpm)、遅い生徒で2分30秒(94 wpm)。Wh- to 原形やWh- (S) + Vなどの名詞句、名詞節の基本的なパターンを本文で出てきた例を参考にして、学級文庫のさまざまな辞書の用例から抜き出して整理する課題。
構文の複雑な文の足跡の確認。板書したのは、

  • The food they eat gives them the energy they need to compete.

耳で聞いて即、イメージが浮かぶようになるまで音読、と指示。
高3は、板書一切無しで解説。目の付け所、予測と検証。最終的には自分の足で歩み直し、ということ。
国体関連の委嘱状がようやく届く。ここから授業の振り替えなど。中間テスト前は日程的にかなり厳しい。
放課後は、英語科主任と日本語教育で用いられる教材からどのように指導のヒントを得るか、という話し。
夜は、寮の当番。近くのスーパーに夕食の買い出し。ちょっと早めに舎監室に入り腹ごしらえ。
土曜日のフォーラムに使うレジュメを見て、大まかなおさらい。映像資料を使う場面、資料の参照箇所などを確認。できるだけシンプルに、会場の反応を見て補足の資料がすぐに出せるようにフォルダーにファイルを準備。あとは、当日頑張るだけ。
宿直に引き継ぎをして、9時過ぎに帰路。
TVではサスケ。
久々に見たら、いろいろ種目が変わっていた。この番組の種目選定は膂力とか握力に偏向している様な気もするが、free weightsでもなかなか鍛えられない部分ではあるので、意図は理解できなくない。以前あった、大の字になり(顔は下向きで)両手と両脚を突っ張るようにアクリルの壁の間で自分を支えながら進む種目は体幹の強さが問われるので続けて欲しかった気がする。
台風の動きが気がかり。
本日のBGM: After The Gold Rush (Neil Young)