I rest my case.

今日から「共通テスト」。
これを書いている今は、そろそろ外国語(筆記)の終わる頃ですかね。
2日目もありますから、一喜一憂せず、心身の健康&安全第一でお願いします。

  • The number of students who let a small mistake on the first day ruin the rest of the test is increasing.

ということにならないように。

ツイッター(今ではX)での「英語ニュース引用RT140字紹介&詳解」で、こんなツイートをしていました。

COVID-19パンデミック以降完全に定着した感のある
hospitalizations have risen のSV
the number of で単数呼応するでもなしhospitalizationsを限定する in number もなし。
複数形名詞で可算性が前面に出て、容認度が高まっていると考えられるけれど、これが波及する名詞がどこまで拡がるか要観察。

当該の英語ニュースの英文はこちら。

COVID-19 hospitalizations have risen for the ninth straight week while flu hospitalizations decreased for the first time in weeks, CDC data shows.

https://twitter.com/ABC/status/1745986196713402563

この語法の変化は、既に、2021年末には指摘していたことですが、そこからさらに2年でよりはっきりしてきたので再度取り上げる次第。

2年前の投稿。

この2年で大きく変わった語法としては
増減の表現
が挙げられる。とりわけcaseという名詞が増加の動詞を直接取る用法が定着した感がある。the number of casesとかいちいち言っていられない更新頻度が背景にあるのだろうか。case以外の名詞にも波及は感じられる。最早「変動する」と感じるならOK?

当時取り上げた英語ニュースの英文は次のようなもの。

Dr. Sean O'Leary, vice chair of AAP's Committee on Infectious Diseases, shares tips with @GMA for parents of kids under age 5 as COVID cases rise and the vaccine for that age group is delayed.

https://twitter.com/tmrowing/status/1473406231083876352

President Joe Biden gives updates on COVID-19 as omicron cases rise across the country.

https://twitter.com/USATODAY/status/1473378813539147779

何がどう変化しているか、よく分かっていない人もいるかと思うので、「規範的な」書き方の例も示しておきましょう。

ふた昔前の入試英語ではこんな表現でした。

On present trends, the number of cancer cases is likely to double by 2020 with 20 million new cases a year.
現在の傾向では、がん患者数は2020年までに倍増し、年間2,000万人が新たに罹患する可能性がある。

the number of +複数形のcasesが主語で、動詞はthe numberに合わせて単数呼応。

英語ニュースからも引いておきましょう。

Sweden announces new restrictions as the number of coronavirus cases continues to rise.

https://twitter.com/BNOFeed/status/1473313147473780741

このようにthe number of で増加・減少する対象をrise の主語として示すもの、とされていると思います。

The number of cases in which ambulance crews struggled to find where to take emergency patients in Japan hit a record high in the week through Sunday.

https://twitter.com/japantimes/status/1483892906003939339

一見、増減の表現に見えにくいですが、hit a record high は「記録更新」ですから、既存の記録の超過&最上級を表します。その主語は、casesではなく、the number of cases。これも規範的。

The number of tribunal cases in which employees are alleging menopause related discrimination is on the rise.

https://twitter.com/BBCWomansHour/status/1466845205299187714

the number of で主語を立てるもう一つの規範的表現としては、動詞のrise ではなく、名詞のriseを使って… is on the riseとする、というのも規範的な書き方です。

このcasesに関わる語法の変化は、2年前の時点でも、英語を使うプロの方にも指摘してもらっていました。


本題に戻って、このcasesのように複数形名詞が直接数量や変化/増減の動詞を取る例。

ざっくり見ただけでも、増減の表現の変化の予兆くらいは感じられるのでは?
1,2枚目はCOCA。
コーパスのデータは2019年まで。つまりコロナ禍以前のもの。
cases 47位
deaths 58位
hospitalizationsは100位までに入らず。
3枚目はNOWコーパス。
昨日までのデータが反映されていることになっています。

https://twitter.com/tmrowing/status/1745995997577409013



現在完了形の生息域で、過去分詞にどのような語が来るか?
2020を境に世界線が変わっているのが分かる?

cases
hospitalizations
deaths
そして比較のために
births
の4つで確認。

たとえざっくりでも、ここまで来れば、結構、見えてくるものがあるのでは?

https://twitter.com/tmrowing/status/1746004330040508748





この変化が、他のどのような名詞にまで拡大していくのか、目が離せません、よね?

現在の私の授業では、こういった実態には言及するものの、noteで公開している記事(写真の例文32のコメント)と同じく、

  • 「本来は不適切」

という言い方で、ライティングの際には、in number などの増減を測る物差しを示すことを説いていますが、こういった但し書きは、書き言葉の語法でも、不要になる時が(すぐそこまで)来ているのだろうなぁと思っています。

本日はこれまで。

本日のBGM: ある愚か者の場合 (斎藤 誠)