under the heavy influence of ...

1、6限の月曜日。本業は合宿明けで1日オフ。お互いに平和であれば何より。
普通科2年の再入門講座の教材研究で、動詞の過去形の活用をおさらい。規則性をどのように実感してもらうかを考え、

  • 大津由紀雄・窪園晴夫 『ことばの力を育む』 (慶應義塾大学出版会)

を読み返す。
これはもともと進学クラスの1年生の教室で「学級文庫」に入れておいたもの。こちらのクラスの書棚というかテーブルには他にも、

  • 『探検!ことばの世界』 (ひつじ書房)
  • 『ことばに魅せられて 対話篇』 (ひつじ書房)
  • 『ことばの宇宙への旅立ち 10代からの言語学』 (ひつじ書房)
  • 『ことばの宇宙への旅立ち 2 』 (ひつじ書房)

があり、さながら羊の群状態。私がこんなに読ませようと思っているくらい、入学してくる生徒の「ことばの力」なるものに対する不安要素が大きいのだろうと思う。

1年間様子を見ていて、見守っているだけでは全く浸透していかないことが分かったので、もっと遡って再入門講座の普通科で少し動いてみようかと。
不規則変化の動詞に関しては中学校でもリズムをとって斉唱したり、テストを繰り返したりと熱心に指導がされていることだろう。その一方で、規則動詞の過去形の綴り字と発音は、中学現場でも指導の手薄なところで、高校では「既習」「自明」として、ほとんど全くと言っていいくらい明示的な指導や整理はされていないのではないかと思う。

  • 『エースクラウン英和辞典』 (三省堂)

は語義を引く辞書というよりも、その言葉をいかに使いこなすかに比重を置いた作りになっているのだが、「学習頁」では文法やスキルにも配慮して様々な工夫を凝らしてある。
類書では、

  • “-ed” の発音を取り出して分類する
  • 原形の綴り字の語尾をもとに、「-edとの接点」がどのような綴られ方をするかを分類する

という別々の記述がなされることが多いので、『A王冠』では、綴り字と発音をマトリクスにして整理してみたものです (学習頁の p.073)。
スペースの関係で舌足らずだった部分を補足すると、

  • 「つづりが +d (eに重ねて)」の例としては、loved/smiled は発音が/d/となり、hopedは /t/に、created では/id/になる、とお読み下さい。
  • 「つづりが ie+d (yがieに変わる)」の例は、studied/carriedで、この時の-edの発音は /id/ではなく、/d/なのですよ、とお読み下さい。
  • 「つづりが+ed (子音字を重ねて)」の例の、pinned は/d/、stoppedは/t/、noddedでは/id/となります。この最後の「子音字を重ねて」は正確には「最後の子音字をもう一つ足して;2つ並べて」とでもするべきでした。

網羅的な表にしていないのは、こういうもので小テストをして欲しくないからです。教室でまたは生徒ひとりひとりが学びながら、 “自分の中に” 一覧表を作っていけばいいのだと思っています。

帰宅後は、自分の読書。
広い意味での教材研究も兼ねていますが、まずは読んでいて楽しいから読むといった感じ。

  • 『マザーグースの世界 伝承童謡の周辺』 (ELEC選書、1974年)
  • 『マザーグース童謡集』 (ELEC選書、1973年)
  • 『続マザーグース童謡集』 (ELEC選書、1977年)
  • 『英語で読もう Mother Goose ベストセレクション56』 (筑摩書房、1994年)

これらはみな編著が平野敬一氏のもの。「英語力」などという言葉で形容するのが畏れ多い、類い希なる言葉の資質に裏打ちされたその日本語訳、注釈が巧みであるのは勿論だが、語りが上手いことに唸る。

  • Campbell’s Crossing and other very short stories in authentic English, Penguin Books

これは1995年のAlan Maleyの書き下ろし。この人の名前も若い世代の英語教師には馴染みが薄くなったことだろう。教室に置いてあるサイドリーダーのほとんどは私が集めて読んできたものなのだが、その語彙について少し詳しく調べておこうかと思ったので、まずは統制語彙構文ではなく、教材としてではあっても「真っ当に書かれた」物語で調べ始め。軌道に乗ったら、『ケネス本』シリーズと『ヘザリ本』で音源のあるものを調べて、目安としておきたい。あくまでも軌道に乗ったらですけれど。

夜からは『水戸黄門』。
漫遊記に目くじらを立てても詮無きこととはいえ、鑑賞に堪えられない、品格のない演技者も、豪華キャストに助けられているなぁ。そのこと自体がビルドゥングスロマンなのか?里見浩太朗は本当にどう感じているのだろうか。
本日のBGM: Song of long ago (Carole King)