寒中お見舞い申し上げます

金曜日は、学校まで出版社の方が足を運んで下さり、いろいろな話しを聞くことができた。というより、私の話を聞いて頂いたというのがより適切かも知れないのだが。県内の学校を回ったそうだが、センター試験前日ということで、冷ややかな応対の学校もあったとか。いくら進学校とはいえ、前日に教師がじたばたしてもどうにもならないだろうに。土壇場までじたばたするのは受験生の権利でしょう。侵害してはなりません。そもそも、センター試験を受ける高校3年生って、全高3生の半分もいないんですから、高校によって温度差があるのは当然で、国民的行事のように思う心理は少し修正しておかないと。
雪の心配された土曜日は本業で、厳寒の朝からいつもの湖へ。午後からの天候悪化を懸念し、午前中のモーションで乗艇を長めにとって、午後はエルゴメニューに。
乗艇は、ランニングからエルゴでのアップを30分ほど行い、岸を蹴って約2kmのアップの後、1500mを8発。スタート5本+10本+10本に続けて指定レートはSR28だったのだが、4セット目あたりは中盤で26程度に落ちていてなかなか強度と艇速をキープすることができず、カタマランで追い回すことに。6セット目が非常に良い出来だっただけに、質を揃えられなかったのが残念。最後は、スクエアでダウン。駅まで送り届けて終了。今日の練習から、新兵器を導入して様子を見てみたが、なかなか良い感じである。次回の合宿でも投入しようっと。

夕方はまだ雪が酷くなる前に、妻の防寒着の買い物のために阿知須のペンブロークまで。
インナーのパンツやアウターのソフトシェルなどをあれこれ。やはりパタゴニアの製品は質・デザイン共にいいですね。自分のものも物色したのですが、予算の関係で、ネックウォーマーと防水スプレーだけ買って帰宅。
夕飯は、合い挽き肉の団子と無農薬栽培大根の鬼おろしみぞれ鍋。
これは近年で最大のヒットと言える美味&滋養。身体が内側から洗われていくかのよう。写真を撮るヒマもなくあっという間に完食。
妻にレシピを書いて貰ったのですが、

  • これはこの大根じゃないとこの味わいにならないと思う。

とのこと。この冬の仕事が一つ増えました。大根を選ぶ眼です。
夕飯の後は、宇多田ヒカルを見て就寝。

日曜日は大雪の予報なので選手が移動する交通手段を考慮し、最初から自宅でエルゴの指示。自分にどこまで厳しくなれるかが問われますよ。
明けてみたら、積雪10cm弱といった感じでした。積雪よりも、気温が上がらないことの方がきつかった。洗面所の水道は蛇口を捻ったところで水が止まり、お湯をチョロチョロと出し続けてしばらくして開通。事なきを得ました。実家にいた頃は、就寝前に元栓を落としたりしてたけど、山口で水が出なくなるとは思いもしませんでした。

月曜日もまだ雪が残るようだと練習内容も少し考えないとなぁ…。

土曜日に行われたセンター試験の英語に関しては、もう、ネット上でも情報が飛び交っていると思いますが、新課程を見据えてそろそろ現行の出題形式ともお別れになるのでしょうから、この手の試験で英語力を図れていたのかどうか検討する部署が出てきて良いように思います。公的な機関や部署がないのであれば、テスティングが専門の大学の英語教育学者の方たちに、利害抜き、ルサンチマン抜きでセンター試験の英語のテストの分析講評を宜しくお願いしたいと思います。全国の現場の英語教師も、これまでの変遷を実際に見てきた年配の先生方が声を上げることが大切だと思います。
作成側、実施母体へのお願いとしては、「サンプル」の公開。共通一次試験実施、リスニングテスト実施に当たっては「試行テスト」があったのですから、戦後最悪の改訂と私の評価している新課程ではありますが、その課程で学んだ卒業生が受験に臨む前には「サンプル」くらいは出しても罰は当たらないだろうと思うわけです。
以下、現行の問題点改善点などを。
個人的には、まず第1問の語の発音を問う設問は廃止すべし。もし譲歩して出題を残すという場合でも、強音節と弱音節の音を比べるというナンセンスな設問は辞めていただきたい。
現行の出題を「重箱の隅をつつく」のではない良問、などと評する人がいるが、近年、どのような基準で重要な語句・表現だとみなしているのかよくわからないまま、語彙・語法に関しての出題比率が高まったように感じる。第2問は昔ながらの「文法」を正面から問うものに変えることで、受験を意識するという高等学校に対してはシラバスを組んだり教材を選んだりするのに適切な波及効果が生まれるように思う。今の出題の比率では、文法を授業で扱うことが不十分なまま、進学実績の高い高校や予備校の講師の言うことに影響されて「速読力」だの、「概要把握」だのを求め、長文読解の演習の数をこなすことばかりに汲々として実際の生徒は復習も徹底できず、文法も身につかないというまま試験を迎えてしまうのではないかという危惧がある。第2問、第3問で時間を使いすぎるから、読解の時間がなくなるというのが平均的な受験生の実態だろうと思う。
第2問のC、整序完成は所詮、名詞句の限定表現と動詞・助動詞の活用がチャンクを作る鍵を握るのだから、共通一次の昭和61年以降あたりで出ていた、状況設定を簡単な英語で与えての単文完成で充分だと思う。
最もこれ見よがしな出題が、近年続いている第3問のA。これを「文脈から語義を類推する良問」などと評している人の良識を疑う。この下線部の「なじみのない」語句を、単なる空所補充にしたら何か変わるのだろうか?もともと、下線部の引かれた「平均的な高校生はおそらく守備範囲にない語彙・イディオム」を用いる必然性など全くないのである。表面的に、今風のテスト形式を装っても内実が伴わなければ意義はない。こんな設問を入れるよりは第3問のCを3題課した方がまだ良いだろう。
第4問も、文章の読解とグラフ・図表とを絡めたいのであれば、擬似的実用性を前面に出した文章ではなく、「報告文」「叙実文」のパラグラフをグラフ・図表を元に完成させるというような、expository passageの理解と習熟を見ることで、ライティングの潜在的な力を試すような設問を工夫して欲しいものです。
第5問でも必ず、図や絵とのマッチングを求める出題があるのだが、どうにも中途半端。「求めているのは訳読ではありません」というアピールだけ。いっそのこと、第4問はexposition、この第5問でargumentation (論説文) の読解を問い、第6問は早く、内容スキーマに影響されにくい narrative (小説・物語) の読解を求める出題に戻すことで、テクストタイプにも配慮でき、もう少し真っ当な英語のテストになるような気がします。

センター試験も問題が多いのですが、それよりも問題なのが、毎日新聞での記事。
私は基本的に新聞を読まない人間なので、この記事に関しては和歌山大の江利川先生のブログで知りました。
http://blogs.yahoo.co.jp/gibson_erich_man/22780510.html

東京本社版の記事はこちら。
http://mainichi.jp/life/edu/highschool/news/20101204dde041100028000c.html
事実誤認といい、現場に責任があるかのようなmisleadingな論調といい大いに問題がある。英語教育界は記事の訂正を求めてしかるべきだろう。新聞雑誌などの既存のメディアに頼らずとも、真っ当な声を人びとに届けることが可能なネット時代である。良識ある英語教師が自分の考えをネット上で表明してくれるものと期待している。
さて、
この記事に署名のある「篠原成行」氏は、毎日新聞の教育関係で多くの記事を担当している。
「大学入試:センター試験 リスニング、また不具合 初日、97人が再試験」
http://mainichi.jp/life/edu/news/20110116ddm041100122000c.html
という記事も彼の署名によるもの。「また不具合」という描写で、管理責任を臭わせるようないかにもな物言いなのだが、今回のセンター試験の英語聴解試験は、実受験者513576人、不具合申告者105人。率にして0.002%ですよ。今年度からはICプレーヤーのリサイクルが始まり、不具合が増えることが懸念されたにもかかわらず、昨年より大幅に不具合が減り、劇的に状況が改善されたことを報じるべきでしょう。
迅速な対応をしてくれた係の皆さん、会場で連日遅くまで働いて下さった方たちに心より感謝です。

本日の晩酌: 臥龍梅・純米吟醸生・袋吊り滴酒・五百万石・55%精米 (静岡県)
本日のBGM: 温度 (石野田奈津代)