It’s OK if the gravel you hit won’t pay.

期末テスト全日程終了。
返却の授業があるクラスとないクラスと。課外補習があるのは進学クラスのみ。
若干名、兆しが見えてきた生徒もいるが、課題は多い。特に、高3は卒業まで時間がない。入試に間に合うか間に合わないかは、志望校が違う以上、それぞれ個人差に負う部分が大きい。それ以上に、

  • 英文を聞いて理解できる語彙力・文法力
  • 英作文的読書のできる「眼」「アンテナ」
  • 用例採集の旅人としての意識

という自前で学び続けることのできる資質を養って卒業してもらいたいと思う。この学年までは、「ライティング」という科目がカリキュラムに存在しなかったので、「書くこと」を扇の要とした英語学習という、私のこれまでのシラバスがなかなか活かせずに高3まで来てしまっているが、受験のテクニックなどではなく、

  • 君と生きたい。
  • 彼は事の一部始終を録画した。
  • 父親の死が彼の人生観を180度変えた。
  • 父は毎日働いていた。朝から晩まで働いていた。父が死んでもうすぐ丸一年になる。

という「和文英訳」「英作文」に取り組む視点・意識を持って、自分の見聞きする英文を扱うことで、

  • I want to share the rest of my life with you.
  • He caught it all on videotape.
  • His father’s death gave him a whole new perspective on life.
  • My father worked every day. He worked all day. It’s almost a year since he died.

という英文を自分で「生き直す」ことができる、ということを実感して卒業していってもらいたい。

高1、高2は「はずれくじ10枚」「振り出し」理論を受け入れることから。怠惰な人にも、打算的な人にも、本当の学びの神は微笑まないように思います。

採点の合間に、加藤京子先生から教えてもらった、

  • 山本麻子 『書く力が身につくイギリスの教育』 (岩波書店、2010年)

を読む。単純な「欧米礼賛」とか「…メソッド」ではない、地に足のついたレポートである。
加藤先生が、

  • 英語話者が国語の授業でここまでしっかりしたシステムで書く力をつけているのに比べると外国語として英語を習っている日本の生徒たちは「書く技術」も書き方の指導も無いに等しいではないか、と思いました。第一、英語教師自身がここまでの「書く技術」を習ってきていないと思いました。マッピングや「たくさん書く」指導を研究している場合ではないです。

といわれることの意味、重さを実感した。
そして、この本は「岩波」から選書版で出ている。結果として三部作になっているようだ。
帰宅後、読み返したのは、

  • 矢吹勝二 『高等自由英作文 改訂増補版』 (研究社、1978年)

これは、全編英文で書かれている。かつて、公立校勤務時代に幸運にも一時期同僚であった、G大の大先輩であり、達意の英文ライターでもあるH先生が使われていたものを見せてもらったことがあり、強く印象に残っている。今となっては、少し回りくどいと感じる部分がないでもないが、30年以上前にこの水準で上級者は学んでいたという事実。では、その前の中級者はどのように「ライティング」を学んでいたのか、そして初学者は?
矢吹氏は言う。

  • The repeated study of grammar is not the requisite of making a writer of you.

確かにその通り。では、What does it take to be a good writer of English?
「書くこと」の基礎基本を共有するために、何かをしなければいけない気がしてきた。
そのためには、まず、目の前の生徒・学習者との実作を豊かなものにすることから。
英作文指導から自由になることはできそうにない。
夕方、妻の手伝いでホームセンターまでブロックを買いに。
遅い夕飯は豚カツ。鹿児島産黒豚を一頭買いした人がいて、その人から買ったのだとか。
ご飯を半分だけお代わりして満腹。小市民なり。
流星群に背を向け就寝。
本日のBGM: Freedom Road (The Divine Comedy)