『繰り返す表現のみが唯一存在の意義』

土曜日は模試の監督。
教室の空気がよくないと感じた。掃除の徹底だけで解決する問題ならいいのだが。
模試の基準実施日はこの連休でまちまちだろうから、出題の適否など詳細は週明けにでも。

今日は、午前中に地元の大学のボート部で、メニューの基本的な捉え方、記録の方法、漕艇技術上の留意点などのガイダンス。
シブケンメニューをこなす上で、正しい理解と実践、評価が求められるのでそのあたりを話してきた。G大時代のメニューなどを示して、量と強度がどのような波で変化しているのかを考えてもらいながら、一週間のプログラムを説明。言ってみれば、メニューを立案する人の数だけメニューがある。シブケンにはシブケンの、GPにはGPの、SコーチにはSコーチの「イディオム」があるけれども、その言葉で表現するための「文法」はほとんど変わらないのだ。トレーニングカテゴリーをどんなに細分化しても、突き詰めると、

  • 容れ物を大きくするためのトレーニング
  • その容れ物に入れた燃料をできるだけ早く使えるようにするためのトレーニング

という2つが基本となる。
次に大事なことは、

  • 自分の身体を使い切るテクニック
  • 道具を使って艇を運びきるテクニック

その2つが合わさって、

  • 艇に最大のスピードを与える加速が生まれる

という技術の捉え方である。どんな技術練習も、この「艇に最大スピードを与える加速」を求めて行われるのでなければ意味がない。そのために、艇の声に耳を傾け、自分の身体の発する声に耳を傾けるのである。
UTで21kmのメニューも、21kmをイーブンに漕げる強度にはなから落としてメニューをこなすだけではスピードの向上は得られない。一本のストロークは常に最大のスピードを得られる強度を保ち、艇を加速させきること、リカバリーに時間をかけることでSRをコントロールすること、そして出来る限り艇が減速の谷に呑み込まれる前に、もう一度加速を継ぎ足すべく淀みなく艇を加速させることである。
忘れてはいけないのが、メニューをこなしていく上で陥りがちな落とし穴。

  • easy dayに頑張る奴は、hard dayに手を抜く。

ということ。トレーニングの狙いを正しく理解し、自分をきちんと追い込むためにも、メニューの正しい理解が不可欠で、トレーニングの適切な記録・評価が極めて重要となる。
加速・減速といった艇速のカーブがまだ実感として掴めていない一年生もいるので、某T選手&B選手で測定したグラフをもとに解説。艇の加速・減速の大きなサイクルを漕ぎながら感じるためにも、決してリカバリーでオールを擦らないことを強調。一年生など初心者は1Xを漕ぐとバランスが乱れてブレードで水を擦る漕手がいるが、擦っている間は艇の加速・減速を実感することができない。まずは腕漕ぎ、シート10cm、1/2スライドなど擦らずにリリースすることから。リカバリー、そして次のエントリーまで艇を感じ続けること。レンジが短いなら、その短いレンジの中で最大の加速を得るように漕ぐまで。もっと艇速が欲しいというときに、技術水準が一段階上がることになる。その意味でも、完璧に静止した状態から始める、ロールアップなども含めた「ファーストロウ」の重要性はいくら強調しても強調し足りない。静止からの一本目で艇が返してくれる情報を拾いきれない者に、サイクルの中で自分の漕ぎをモニターすることはできないから。
それを踏まえて、乗艇練習の留意点として、資料映像をいくつか見てもらった。

  • 豪州2-のパワーバンドセッション(動画)
  • U選手の腕漕ぎ(動画)
  • インカレ4+のフィニッシュ時真上からの映像(静止画)
  • 北京五輪M2Xのエントリー周り(静止画)
  • 国体山口県チームのエルゴでのアップ(動画)
  • 国体決勝種目(成年W1X, 少年M1X)(動画)
  • 教則DVDのロールアップとスクエアワーク(動画)

最後は、エルゴを漕ぐ時にもしっかりと加速させきることの重要性と、そのアップをどうトレーニングに活かすか、という実地。
ダンパーに毛布を掛けることでワンショットの加速感を得る方法と、スライドピラミッドでレンジが伸びていくのに比例して加速を継ぎ足していけているかどうかを確かめる方法とを試してもらう。スライドピラミッドは乗艇でも使えるので、しっかりと自分のメニューの中に入れておけると便利ではある。
上級生にとっては自明のことも多かっただろうし、私が乗艇時などに指摘することと全く同じことをただ繰り返していただけと感じるかも知れないが、どんなレクチャー、ガイダンス、クリニックであれ、その内容を克明にメモしてマニュアルをまとめて安心するのではなく、自分で何度も反芻し、自身の血となり肉となった「知識」のみが、後進へと伝授できるものだということを心の隅にでも留めておいて欲しい。チームとしての今後の取り組みに期待します。

帰宅後の昼食は、クリームシチューとかねてより私がリクエストしていた「たらこパスタ」。明太子ではなく、無着色で鮮度・程度のいいたらこが入ったので実現。大変美味だった。
GPシリーズはスケートカナダ。SPで頭ひとつリードした、我が家では ”マッチョな松居一代”の異名で呼ばれている、地元カナダのロシェットが優勝。フリーの曲はアランフェス(私の世代では漫画の槇村さとる作品でも有名な曲である)。中盤のコンボがひとつシークエンスに、後半のコンボでの二つ目がシングルになっていたのだが、それでもこの演技が、先週のスケートアメリカでのキム・ヨナよりも高い得点でびっくり。SPで二位につけていたベテラン村主はなんとか二位の座を守った。ファイナルに向け、順位が大事だというのはわかるのだが、この得点差は大きい。ジャッジスコアを見ると、スピンの最後のエレメントは無効とされていたのが気になった。
シニア2年目の武田はGP初戦の緊張か、キレがなかった。リャン選手はフリーの選曲で『SAYURI』。早くもアジア系選手の定番となったか。
解説は伊藤みどり。コストナーの演技で「手足が長いというのは得ですね〜」という言葉に実感がこもっていた。
今回の映像配信はTV朝日系。要所要所で音声が縒れていたのが全くもって残念であった。それとも配信には問題なくて、うちのTVが耐用年数を超えているだけなのか?!

さて、
今月は16日(日曜日)にELEC同友会英語教育学会の大会が行われます。
詳細は→ http://www.geocities.jp/elec_friendship/taikai_2008.htm
私もライティング研究部会部長として、はるばる上京し分科会に出ますので、旧交を温めようという奇特な方も、普段の不満をこの機会にぶつけようという方も、どうぞ奮ってご参加下さいますようお願い致します。

本日のBGM: Songwriter (KAN)